東京建物株式会社は、自社で保有する建物の空調設備などで使用する冷媒の再生利用を行う方針を策定したそうです。
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国際的なフロン規制強化に伴い、供給不足が心配される冷媒。再生利用はリスク対策はもちろん、資源保護・循環型社会の実現にも有効な手段ですよね。ぜひチェックしてみてください!
オフィスビル、住宅、ホテル、物流施設等を対象とした空調冷媒の再生利用促進方針を策定
資源保護・循環型社会の実現、将来的な冷媒供給不足への対応
東京建物株式会社は、自社で長期保有する施設において、空調設備などで使用する冷媒を更新時に廃棄せず、再生利用を行う方針を策定したそうです。
国際的なフロン規制強化に伴う供給不足リスクへの対応と、資源保護・循環型社会の実現を目指し、段階的に再生冷媒の活用を拡大していくということです。

東京建物ではこれまで主に保有するオフィスビルにおいて、空調機等で使用する冷媒の再生利用を進めてきたといいいます。
今後はアセットの種別を問わず、住宅、ホテル、物流施設等、原則として長期保有する施設において回収冷媒の再生利用を推進していく方針を策定したそうです。
空調設備などで使用される冷媒は国際的な規制強化により、今後、製造量・輸入量が厳しく制限される見込みだそうです。
このため、新規製造冷媒だけでは冷媒の供給が不足する可能性があり、空調機の安定稼働や社会インフラ維持の観点から、冷媒の再生利用は不可欠となっているそうです。
また、冷媒の再生利用は、資源保護や環境保護にも大きく寄与するといいます。法令に基づく適正な回収・再生処理を徹底し、品質基準を満たした冷媒を再利用することで、安定した社会インフラの維持に貢献していくということです。
方針策定の背景
それでは、空調冷媒の再生利用促進方針が策定された背景について詳しく見ていきましょう。
国際的なフロン規制強化への対応
モントリオール議定書キガリ改正※1により、今後フロン類の製造・輸入量は段階的に制限されるということです。
また現在、オフィスビルをはじめとする多くの施設で使用されている空調機の冷媒はR410Aが主流ですが、今後はより環境負荷の少ないR32などの新冷媒への切り替えが進む過渡期にあるそうです※2。
R410A搭載機器の冷媒の更新が進む現段階では、新規の製造が難しいR410Aの再生利用が重要な課題であり、今後R32の冷媒を使用する空調機への切り替えが進んだ段階においても、更に環境負荷の少ない新冷媒への切り替えの必要が生じるなどの理由により、R32の再生冷媒活用も不可欠となるということです。
このため、新規製造冷媒だけでは将来的に供給が不足する可能性があり、空調機の安定稼働や社会インフラ維持の観点からも、回収冷媒の再生利用が不可欠となっているそうです。

※1 オゾン層を破壊する物質の廃絶に向けた規制措置を実施する国際的な取り決めである「モントリオール議定書」について、2016年にルワンダ・キガリで締約国会合が開催され、空調の冷媒として主に使用されている代替フロンを新たに規制対象とする提案が採択されたことを「キガリ改正」といいます。
(参考:環境省https://www.env.go.jp/press/y067-07/ref01_5.pdf)
※2 R410AおよびR32は冷媒の種別であり、従来からの普及冷媒であるR410Aと比較し、R32は環境負荷が小さいとされています。
フロン排出抑制法により設定された「指定製品制度」により、新設用製品においてはR32を使用する必要があります。
資源保護と経済安全保障の両立
冷媒の主原料である蛍石は限られた資源であり、供給が特定国に偏在しているそうです。そのため、地政学的リスクや国際情勢の変化による供給不安が懸念されるということです。
よって、冷媒の再生利用により資源保護を図るだけでなく、各種経済安全保障リスクの低減を目指すことができるそうです。
冷媒再生利用による効果
冷媒の再生利用は、廃棄物削減、省資源化、CO2排出量削減に直結し、持続可能な社会の実現に貢献するということです。
東京建物が長期保有するオフィスビルのうち、空調機で主にフロン冷媒を使用する18棟において空調冷媒の回収時、全量について再生利用を行った場合、GHG排出の削減量は約35.04tCO2となる見込みだそうです。
東京建物株式会社では、今後は充填冷媒に再生冷媒を採用することも検討していくということです。
東京建物のサステナビリティ
東京建物グループは、2030年を見据えた長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」を策定しており、事業を通じて「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立することで、すべてのステークホルダーにとっての「いい会社」を目指しているといいます。
特に、気候変動は最も重要な社会課題の一つであり、脱炭素社会の実現に貢献することは社会的使命であるとの認識のもと、脱炭素社会の実現に向けて温室効果ガス排出削減の中長期目標を掲げているそうです。
CO2排出量※3について、2030年度までにScope1・2は46.2%削減(2019年度比)、Scope3は40%削減(2019年度比)、2050年度までにScope1・2・3についてネットゼロを目指しているということです。
これらの目標達成に向け、ZEB・ZEHの開発推進、再生可能エネルギー※4の導入、グリーンビルディング認証※5の取得など、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進し、引き続き持続可能な社会の実現に貢献していくということです。
東京建物グループのサステナビリティ : https://tatemono.com/sustainability/
※3 Scope1:東京建物グループでの燃料使用による直接排出、Scope2:東京建物グループが購入した電気・熱の使用による間接排出、Scope3:その他事業活動にともなう間接排出(2030年度目標の対象は、「カテゴリ11:販売した製品の使用」および「カテゴリ13:リース資産(下流)」)。
※4 非化石証書の活用を含みます。
※5 グリーンビルディング認証とは、建設や運営にかかるエネルギーや水使用量の削減、施設の緑化など、建物全体の環境性能が高まるよう最大限配慮して設計された建築物を客観的に評価する指標をいいます。
日本では、株式会社日本政策投資銀行(DBJ)が実施する「DBJ Green Building 認証」制度や、国土交通省が支援する認証制度で、建築物の環境性能や快適性などさまざまな側面から評価・認証を行う「CASBEE(建築環境総合性能評価システム)」、建築物の省エネルギー性能を表示する第三者認証制度「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」等の認証プログラムがあります。
今回は、東京建物株式会社が新たに策定した空調冷媒の再生利用促進方針についてお伝えしました。自社が保有するオフィスビル、住宅、ホテル、物流施設等の空調設備などに使われている冷媒を更新時に破棄せず再生利用を行うということです。
国際的な規制強化が進められている冷媒の再利用は今後ますます重要な課題となりそうですよね。また、資源・環境保護の観点からも素晴らしい取り組みだと感じます。みなさんもぜひ参考にしてみてくださいね。

