森トラスト株式会社による「東京23区のオフィスビル供給量調査」が行われました。大規模・中規模のオフィスビルを対象として調査し、26年・29年にまとまった供給があること、今後5年は抑制傾向であることが分かったそうです。
株式会社トラスト・ファイブが運営するビル・土地の記事メディア担当の兼山杳です。業界の最新ニュースをわかりやすくお届けしています。
供給量調査結果に加え、今後の需要や賃料の考察もご紹介しますので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
東京23区の大規模オフィスビル供給量調査2026
森トラスト株式会社が実施した東京23区のオフィスビル供給量調査について、最新の調査結果を発表します!
森トラスト株式会社では、1986年から大規模オフィスビルの供給量調査を実施し、2013年からは中規模オフィスビルの供給動向について、毎年1回調査・分析を行っているそうです。
「東京23区の大規模オフィスビル供給量調査」調査対象
調査対象エリア:東京23区
調査対象ビル:大規模オフィスビル(オフィス延床面積*10,000㎡以上)
中規模オフィスビル(オフィス延床面積*5,000㎡以上10,000㎡未満)
*店舗・住宅・ホテル等との複合用途ビルの場合は、オフィス以外の用途を除いた延床面積
調査結果のポイント 〔調査時点:2025年12月〕
供給量の推移、供給エリアの傾向、開発用地別の供給動向、中規模オフィスビルの供給動向について、結果を見ていきましょう!
1.供給量の推移
東京23区における25年の大規模オフィスビルの供給量は113万㎡(前年比176%)だったそうです。
26年以降の5年間では、26年・29年は25年と同程度の供給が見込まれる一方、今後5年間の平均供給量は87万㎡(過去20年間の平均比77%)に留まる見込みだそうです。

2.供給エリアの傾向
今後5年間は、過去5年間と比較して、都心3区(千代田区・中央区・港区)への供給集中が進み、特に千代田区・中央区の比率が高まる見込みだそうです。


地区別の集計では、過去5年間は「虎ノ門・新橋」および「八重洲・日本橋・京橋」における供給が中心だったそうです。
今後5年間も「八重洲・日本橋・京橋」は高水準の供給が続く一方で、「内幸町・霞が関・永田町」「西新宿」「青山」「大井」など、過去5年間に供給が限定的であったエリアが新たに複数含まれており、開発エリアの多様化が見込まれるということです。

3.開発用地別の供給動向
都心3区では、「低・未利用地(再開発等)」の割合が、16~20年の3割から、26~30年の7割へと増加しており、開発用地の主体が「建替え」から「低・未利用地(再開発等)」へとシフトしたそうです。
都心3区以外では、16~20年以降継続して「低・未利用地(再開発等)」が開発主体となっているということです。(「建替え」「低・未利用地(再開発等)」定義は後述)
4.中規模オフィスビルの供給動向
25年の中規模オフィスビル供給量は9.9万㎡となり、過去10年間の平均供給量9.8万㎡と同等の供給量となったそうです。
26年は4.4万㎡と減少し、今後2年間の平均供給量は過去10年間の平均を下回る6.6万㎡となっていますが、27年は8.8万㎡と再び増加に転じる見込みだということです。
総括
最後に、総括を見ていきましょう。
将来の供給量は抑制傾向。空室消化のスピードは加速。
25年は、100万㎡を上回るまとまった供給がなされたそうです。26・29年も同程度の供給が見込まれるものの、今後5年間の平均供給量は過去20年間の平均を下回り、供給は抑制傾向となる見通しだということです。
将来の供給が抑制される背景には、建築コストの高騰に伴う工期の長期化や計画見直しの影響があると考えられるそうです。
建設費を押し上げている要因には、人手不足など構造的で不可逆的な課題も含まれており、このトレンドは長期化する可能性が高いことから、今後も大幅な供給拡大は見込みにくい状況だということです。
一方で、需要は力強く拡大しているそうです。森トラスト株式会社の調査では、新築ビルの内定率が25年竣工物件で9割後半に達し、26年竣工では約8割、27年竣工では5割超と、高い消化ペースを示しているといいます。
特に、100万㎡超の供給が続く25・26年においても、空室が順調に吸収されており、旺盛なテナント需要が確認できるそうです。
このような空室消化の進展等により、賃料が新築を中心に上昇基調が続いており、既存ビルにも波及しつつあるということです。
需要が高まっている背景としては、コロナ収束以降続く出社回帰の流れがさらに強まっていることが挙げられるそうです。
対面でのコミュニケーション価値の再評価が進み、出社頻度を増やす企業が増加したことで、オフィスの拡張を図る動きが顕在化しているといいます。
さらに、人材獲得競争の激化により、質の高いビルにオフィスを構えることを企業成長のための投資とみなす企業が増え、新築物件への移転が一段と進んだと考えられるということです。
このように、稼働率と賃料はいずれも上昇基調が続いており、当面のマーケットは堅調に推移すると見込まれるそうです。
需要については、今後の外部環境次第で一定の振れ幅を伴う可能性があるものの、少なくとも今後5年間は供給量が抑制傾向であり、需要の変動を踏まえても、供給過多になる可能性は低いと考えられるということです。
既存物件の価値向上が進む。稼働率と賃料の関係に変化の兆しも。
新築供給が限定的となる局面では、ストック全体の中で既存物件の相対的な重要性が高まります。
特に近年竣工した築浅物件は、設備仕様やアメニティ水準が最新スペックの新築物件と劣らないケースが多く、引き続き高い競争力を維持すると考えられるそうです。
また、築年数を重ねた物件でも、リニューアルにより価値を高めた物件は同様に存在感を増しており、高付加価値オフィスを求めるテナントの受け皿として重要性が高まると予想されるそうです。
以上のような供給上の制約とインフレの定着を背景に、稼働率と賃料の関係において、従来とは異なる動きが一部の物件で見られ始めているとのこと。
これまでは満室に近い水準に達してから賃料上昇が本格化すると捉えられてきましたが、足元では必ずしも高稼働でない段階でも賃料を引き上げる事例が確認されているそうです。
この傾向は、東京のオフィス賃貸市場のフェーズが変わりつつあり、貸主が稼働率よりも賃料水準を重視する動きの現れとも推察され、現状では新築物件を中心に見られるものの、今後は既存物件にも波及する可能性があると考えられるということです。
詳細レポート:https://www.mori-trust.co.jp/news/2026/20260423/
<調査概要>
調査期間:2025年1月1日~2025年12月31日
調査主体:森トラスト株式会社
調査対象:オフィスビルの供給動向
調査方法:各種公表資料の参照、現地確認、デベロッパーヒアリング
今回は、森トラスト株式会社が毎年1回調査・分析を行っている「東京23区の大規模オフィスビル供給量調査」について、最新の調査結果をお伝えしました。26年・29年にまとまった供給があるものの、今後5年は抑制傾向だということです。
オフィスビルの供給量は抑制傾向でありながら需要は拡大していく見込みであることから、既存の築浅物件やリニューアルした物件の価値向上が予想されるということで、サステナブルリノベーションなど持続可能な社会への取り組みを後押しする形になるかもしれませんね。
来年の調査結果も楽しみです。


