愛犬・愛猫と一緒に暮らすための「ペット可」の住まいをお探しの方は多いですよね。所有している物件を「ペット可」にするかどうか迷っているオーナーの方もいらっしゃるでしょうか?
ペット可物件は、賃料がいくらか上がるイメージがありますよね。こんにちは、カーサミアライターのハルカです。
そこで今回は、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」が実施した「ペットとの住まい探しの実態」調査結果をお伝えします。ペット可物件の実際をチェックしていきましょう!
LIFULL HOME’S が「ペットとの住まい探しの実態調査」を発表

①LIFULL HOME’Sのデータから見る「ペット可」物件の現状
ペット可物件の割合はコロナ禍から上昇もいまだ全体の2割にも届かず。ペット可物件は不可物件と比べて17日早く決まる。

まず、LIFULL HOME’Sにおける「ペット可」物件の掲載割合についてです。2022年3月は賃貸物件の12.9%、2025年3月時点では19.3%と4年間で6.4ポイント上昇しましたが、全体の2割にも届いていないということです。
ペット飼育割合が28.6%(クロス・マーケティング「ペットに関する調査(2024年)」)とすると、十分な供給量とはいえない状況だということです。

掲載賃料についても調査が行われました。
「ペット可」物件は平均112,771円で、「ペット不可」物件は平均78,253円と34,518円の差があったそうです。
一方で、掲載日数については「ペット可」物件は平均66.8日で、「ペット不可」物件は平均83.4日と「ペット可」物件は16.6日短く、埋まりやすいことが分かったそうです。
「ペット可」物件の数が多くないため、賃料が高くても埋まりやすく、ペットと暮らしたい愛好家にとっての住まい探しはスピードがポイントとなりそうです。
②アンケートから見る愛犬家・愛猫家の実態
住まい探しでペットがいることを理由に不便を感じたり困ったりした経験がある人は9割に。ペットの飼育を理由に近隣から注意や要請を受けた経験がある人は67%

住まい探しでペットがいることを理由に不便を感じたり困ったりした経験がある人は9割に。不便なことは「物件数が少ない」「家賃が高い」「敷金・礼金の追加が必要」が上位に
ペットとの住まい探しの経験がある人に、住まい探しでペットがいることを理由に不便を感じたり、困ったりした経験について聞いたところ、91.6%が「経験がある」と回答したそうです。
不便だった理由1位は「ペット可物件の数の少なさ」(34.4%)だということです。LIFULL HOME’Sの掲載データでも全体の2割以下であることから、立地や条件を絞るとさらに物件の数が少なくなることは想像に難くないでしょう。
この他には、「家賃や敷金の追加費用」など金銭面の負担が挙がったそうです。
また、「ペットの種類・大きさの制限」や「契約条件や規約が厳しい」などの回答もあり、気に入った物件への入居までには様々なハードルがあることが分かったそうです。

ペットとの住まい探しは長期化、15.8%は3ヶ月以上に。
ペットとの住まい探しで不便を感じている人が9割にのぼるなか、ペットとの住まい探しから契約までにかかった期間について聞いたところ、「2週間から1ヶ月未満」が25.8%と最多でしたが「2ヶ月未満」で契約できている割合(71.3%)は一般層(82.1%)(※)よりも10.8ポイント低いことが分かったそうです。
反対に、「2ヶ月以上4ヶ月未満」かかった割合が一般層よりも9.1ポイント高く、ペットとの住まい探しは長期化する傾向にあることが分かったということです。
※LIFULL HOME’S「住宅弱者の「住まい探し」に関する実態調査」(2022年) https://lifull.com/news/23978/

ペットの飼育を理由に近隣から注意や要請を受けた経験がある人は67%
ペットと一緒に住んだ後についても聞いたところ、近隣から注意や要請を受けた「経験がある」と回答した人は66.5%と高い結果となったそうです。
ペットの鳴き声や騒音、匂いなどは気を配っていても、どうしても起きてしまうもの。ペットがいるからこそ近隣の方との挨拶や集合住宅でのマナーを守る姿勢が重要だということです。
③不動産会社から見るホンネ
不動産会社では「ぺット可」賃貸物件のニーズ増加を実感!「ペット不可」物件のオーナーの実際のトラブル経験は4割未満

LIFULL HOME’S加盟店企業の不動産事業者にもアンケートが行われました。
まず、ここ2,3年での「ペット可」物件のニーズについて聞いたところ、全体の67.2%が「増えている」と回答したそうです。
一方で、居住者からのペットにまつわるトラブル相談の対応頻度は「よくある」が6.1%、「時々ある」が58.3%、「全くない」が35.7%と不動産事業者の約6割がトラブル相談に対応しているということです。

トラブル相談の内容は「近隣の部屋のペットの鳴き声がうるさい」が64.9%で最多となったそうです。
この他には「飼育禁止のペットを飼っている」(43.2%)、「共用スペースでのマナー違反」(37.8%)といった規約やマナー違反に当たる内容が続くそうです。
「先住者のペットによる物件の破損や汚れ」という回答も約3割あり、先住者の退去後のトラブルも寄せられていることが分かったということです。

ペット不可の理由をオーナーから聞いた経験がある不動産会社77.3%に対し、「自社から提案」(「自社から提案」「オーナーから聞いたことがあるかつ自社からの提案」)と回答したのは17.3%ほどだったことから、物件のペット可/不可はオーナーの判断による部分が大きそうだということです。
さらに、オーナーから聞いたことがある「ペット不可」の理由は「破損や汚れが発生し、修繕費や回復期間が長くなる可能性があるため」の74.2%が最多だったそうです。
しかし、2位の「過去にペット飼育者とのトラブルがあったため」や、5位の「ペット飼育に対して一般的に悪いイメージを持っているため」のように、実際の経験ではなくイメージや聞いた話からペット不可としているオーナーも一定数いることがうかがえるそうです。
この他の理由には、次の入居者のアレルギーへの配慮に関する内容があがったということです。
ペットとの生活がもたらす人への健康効果

マース ジャパン リミテッド 中村 由帆(なかむら ゆほ)広報・渉外部 ディレクター
『ペットと一緒にいると癒されると感じたり、笑顔が増えたり、飼い主の方とのコミュニケーションが生まれたなどの経験をしたことがある方は多いかと思います。
マース ペットケアが英国のウォルサム研究所で「人と動物の関係学」の人と動物の相互関係に関する科学的な研究でも、ペットとの生活は人の健康に好影響を与えているという結果が示されています。
飼い主のストレスの軽減はもちろんのこと、子どもの情緒的な成長と安定をもたらしたり、子どもの免疫力を高めて喘息などのアレルギーを減少させたりできるという論文も発表されています。
また、ペットを飼育している人が医療機関を受診する回数は非飼育者よりも少ないという研究結果や、ペットを飼っている人の方がストレスに強く、なかでも犬を飼育している人は非飼育者に比べて血圧が低いという健康への好影響も報告されています。
このようにペットとの生活は人々に多くの好影響をもたらしてくれる存在ですが、日本ではペットの飼育頭数は減少傾向にあり、諸外国と比較しても飼育率が非常に低いのが現状です(※1、※2)。
ペットを飼いたいのに飼っていない最大の理由にはペットの飼育が禁止されている住環境を挙げる方がトップになっている(※2)ことからも、ペット可の賃貸住宅が探しやすくなったり増えたりすることは、ペットと暮らしやすい環境が整い、ペットを飼いたいと思っている人が飼いやすい社会の実現につながると考え、歓迎いたします。』
※1 Mars Incorporated 「STATE OF PET HOMELESSNESS PROJECT」
※2 一般社団法人ペットフード協会「令和6年(2024年)全国犬猫飼育実態調査」
調査概要
①物件データ
対象物件:LIFULL HOME’Sで掲載されていた全国の賃貸物件(マンション・アパート)
掲載期間:(推移)2021年2月~2025年3月、(掲載賃料・掲載日数)2024年4月~2025年3月
②ユーザー調査
調査対象:全国の20~50代の男女、5年未満にペット可の賃貸物件の契約経験があり、犬または猫の飼育経験者1,100人
調査期間:2025年4月11日~2025年4月22日
調査方法:インターネット調査
③不動産事業者調査
調査対象:LIFULL HOME’Sに加盟する賃貸仲介または管理を行う不動産会社の事業者で接客頻度が「週1回以上」の方 131人
調査期間:2025年4月15日~2025年4月29日
今回は、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」が実施した「ペットとの住まい探しの実態」調査結果をお伝えしました。
ペットとの生活が人の心と体に良い影響をもたらすことは科学的に証明されているということで、飼い主もペットも、近隣の人たちも、皆が気持ちよく暮らせる場所が増えていけばいいですね。
「家賃が高くてもすぐ埋まる」とのことですので、ペット可への変更を検討するオーナーの方も増えたらいいな…と感じました!