この連載は、「一人暮らしで趣味を満喫しているオタク女子(そして腐女子)が家を買ったら……?」という物語を描く、1話5分のほっこりwebノベルです。
「家を買ったときの話、身近な友達には聞きにくい……」そんな疑問が解決するかも!
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大親友でオタ友の梓さんことハンドルネーム「ずにさん」が家にホームシアターを設置していた。
さいこう。
なにその生き様……。
私は、決心した。
ずにさんみたいに楽しく生活したい。
っていうか、ずにさんの住んでる品川の近くに引っ越したい!
その決心を胸に、私は再びカーサミア不動産に相談に訪れた。
「私、やっぱり家が買いたいんです!」
カーサミア不動産を訪れて、開口一番。
すこし唐突すぎるほどの勢いで放った私の言葉に、カーサミア不動産の担当・吉村さんは深く頷いた。
その表情は、なんというか、「職人!」という感じの力強さに溢れている。
「藤吉さまの買いたいという気持ち、しっかりサポートさせていただきます。買いたいときが、買いどきですよ」
「買いたいときが、買いどき……っ!」
オタク心にビビッとくる言葉だった。
周囲でどんなに流行っていても、自分の心が「欲しい!」ってならないときもある。逆に、「今だ!」っていう出会いがあったら、そのジャンルがどんなにマイナーだったとしても、自分の情熱を抑えられない……オタクというのは、そういう生き物だ。
「そうなんです! だって、こんな大きい買い物なんですから。気持ちがついていかなかったら、せっかく買うのにもったいないじゃないですか」
「っ! もったいない……」
やっぱり、カーサミア不動産はいい!
確信した。
だって、一番最初に行った不動産屋さんは、「この物件は買いですよ!」とか「このエリアは今が買いどきですよ!」とか、なんというか……物件が主人公みたいな言い方ばっかりされていた。
けれども、吉村さんは、私の気持ちを主人公にしてくれている。
やばい、超嬉しい!!
「……とはいえ、もちろん大きい買い物ですので、購入の流れや資金計画とかを、今までよりも具体的にお伝えしていきますね」
「は、はい……」
一気に現実に引き戻された。
資金計画。
どうしよう……節約とか、この世で一番苦手だけれど。
ちゃんと、できるかしら。
吉村さんは、テキパキといくつかの資料を提示してくれた。
「まずは、本当にマンション購入となったときの流れをご説明しますね」
「あっ、それ知りたい……!』
ありがたい!
いったい、どれくらいのお金が必要なのか?
どんな手続きが必要なのか?
そういうの、事前に知っておきたいぞ。
「お金のこととか、とくに気になります!」
「そうですよね、大事なことです!」
吉村さんは、物件購入の流れを丁寧に説明してくれた。
「まずは、買いたい物件がきまったら【事前審査】を行います。これは、希望の金額の住宅ローンを借りられるかどうか、金融機関に打診することをいいます」
「じゅ、住宅ローン……!」
ごくり、と生唾を飲み込む。
聞いたことあるぞ、住宅ローン。
野原ひろし(※クレヨンしんちゃんのパパだ)が払っているやつだ……! ひろしは、ああ見えても都内で働く商社マンで若くして係長を務めている男だぞ……わ、私が、住宅ローンを借りられるのかな……!?
そんな不安な表情を察してくれたのか、吉村さんが「大丈夫です!」と笑顔をむけてくれる。
「どんな条件で住宅ローンを組むか、そもそもどの金融機関で、どんなローン商品を選ぶかもカーサミア不動産でご提案しますから」
「ええっ、そんなこともしてくださるんですか!?」
「もちろん。お客様のケースにあわせて、どんな金融機関がいいかご提案できますよ。過去には、転職したての方や、派遣・契約社員の方もいらっしゃいましたから」
「そうなんですね……!」
な、なんて心強い!
「また、物件そのもの以外に、【諸費用】がかかってきます」
「頭金というやつですね!」
「ちょっと違います…… 。
頭金+住宅ローンが【物件価格】。
それ以外に必要になるのが【諸費用】です。住宅ローンの融資事務手数料、各種税金、仲介手数料などで、合計で物件価格の7~10%が目安です。2000万円の物件なら140万円~200万円ですね」
そのあとも、契約や、引渡し手続きのことを教えてもらう。
重要事項説明書の読み合わせ、売買契約書の読み合わせ、手付金の支払いや各種書類への署名捺印などなど……全部で2時間くらいかかるそうだ。
「署名と捺印の数がとにかく多いです……!」
と、吉村さん。
遠い目をしている。多いんだ……そんなに多いんだ……!
私は、いつか来る「家を買う日」を想像して、なんだか不思議な気持ちになった。
家を買う。
そんな日が、すぐそこに……!?
*** TIPS ***
物件の条件と同時に、考えておきたいお金のこと。
藤吉さんの場合は、現在住んでいる賃貸マンションの家賃が7.7万円。
削れない趣味の出費と考えあわせて、無理のない月々の支払いを考えるなら、月々の支払額は8万~8.5万までにしたいとのことでした。
ところでこの「月々8.5万の支払い」のうち、すべてが住宅ローンではありません。管理費・修繕積立金の支払いが、1.5~2万円ほどあります(物件により異なります)。
また、月々の支払いとは別に固定資産税もかかります。
とはいえ、こちらは賃貸の更新料と同程度になることが多いので、特別に意識しておかなくても大丈夫。
ちなみに、よく、”借りられる額と払える額は違う(住宅ローンを満額で借りてしまうと返せなくなる) ” と言われますが、 首都圏の場合は一人暮らし向け賃貸の家賃が高いので、「家賃なら払える額なのに借りられない」ということも起こります。
実際に住宅ローンで借りられる額は、さまざまな条件の組み合わせで決まります。
✅ 勤務状況 (収入や勤続年数など)
✅ 年齢、健康状態
✅ 使える貯金の金額
✅ 買おうとしている物件
✅ 申込先の金融機関
などなど、さまざまな要素があります。
(ですので、一般的に「予算は年収の5~6倍+頭金」と言われますが、これはあくまでも目安。実際にいくら借りられるかは、買おうとしている物件によっても違ってきます)
架空の「カーサミア不動産」だけでなく、良心的な不動産会社なら、あなたの状況に応じてベストな住宅ローンと金融機関をご提案してくれるはず!
買いたい気持ちが固まったら、心配し過ぎずに相談してみてくださいね!
次回「11話 腐女子、止められる」
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