【実家女子、かしこく家を出る。】1話 実家女子、新卒2年目になる

【実家女子、かしこく家を出る。】1話 実家女子、新卒2年目になる

この連載は、実家暮らしをしている新卒2年目の20代女子が、一人暮らしへの憧れから「オトナ女子のよりよい暮らし」を求めて部屋選びをする という、1話5分のあるある満載のwebノベルです。

「そろそろ一人暮らししたいな」と考え始めたあなた…!一人暮らしする前の準備を整えやすくなるかもしれませんよ!

> この連載を最初から読む

著:蛙田アメコ / イラスト:八咲ヒサ

Illustration by:八咲ヒサ

 
 社会人、2年目になった。

 新卒入社した会社は、実家から1時間25分の距離にある。
 ドア・トゥ・ドアの通勤時間だ。

 私の名前は、家村琴美。
 社会人2年目。
 コールセンター勤務。
 一応、社員扱い。

 勤務は早番遅番のシフト制。
 早番は朝8時から17時で、遅番は昼の12時から21時。
 ――今日は、遅番。

 そして私は……焦っている。


「や、やばいやばい! バスが行ってしまうううぅ!!」


 そう。
 最寄り駅に着いたのは、22時53分。
 実家まで行ける最終バスの出発時間まで、あと1分。

 やばいのだ!!
 ああ、普段なら、3分は余裕があるのに!

 ちょっとした電車の遅れを恨む。
 何故なら――私の家は駅から徒歩45分。

 スニーカーでスタスタ歩いて45分である。
 なんなら、ちょっと早歩きで。
 ダイエットとか意識しちゃった速度で45分だ。

 しかし、今は――仕事でくたくた!
 そう、くたくたなのだ!!

 このバスを逃すと、家に帰りつくころにはギリギリ日付が超えてしまう。

 それだけは、絶対に避けなくては――!


「ほあぁああぁ、待って。そのバス待ってぇええぇ!」


 バスで悠々と帰宅し、あったかいお風呂で全身をゆるゆるにして お風呂上りにプリンを、ひえっひえのプリンを食べたい!
 だから待って……その願いは、あっけなく敗れ去る。


『本日の運行はすべて終了しました』


 今日も1日、お疲れ様でした……。
 チーーン、という音が聞こえる気がする。


(あぁ……今日も頑張ってお仕事してきたのに……なんてこと……)


 とぼとぼ、と自宅に向けて歩き始めると……目に飛び込んできたのはタクシー乗り場。
 ――乗っちゃう? タクシー、乗っちゃう?

 社会人として働いていて実家暮らし。
 自由にできるお金は幸いにして多少あるし、去年1年間で少し貯金もできている。
 ……頑張って働いたし、いいよね。タクシー乗っても。


「桜井住宅前までお願いします!」

「はーい、シートベルトのご着用にご協力くださーい」


 次の瞬間には、タクシーに乗り込んでいた。
 タクシーの窓から、ビュンビュン走る景色は気持ちがいい!

 さあ、帰ったらお風呂だ、プリンだ!
 明日は……早番だから、6時には家を出なくちゃだけど。
 ということは、どんなに多く見積もっても5時間しか寝れないけど。


(はぁ。会社の近くに住んでれば、あと1時間は多く寝れるのに。……ってか、今月、タクシー乗ったの何回目だろう。っていうか、最近は遅番のときはほとんどタクシーで帰ってない?)


 新卒、2年目。実家暮らし。
 お金の節約をするには賢い選択肢だ――けれど。


「はぁ……ひとり暮らし、かぁ」


 もっと通勤に便利で。
 楽しく暮らせる、自分の家!

 ――そんな暮らしに、憧れないわけではないのだ。

Illustration by:八咲ヒサ

 
 そう……ひとり暮らしなら。
 職場から30分くらいで帰れる便利な、だけど閑静な住宅街っぽい駅に住んだりできるかもしれない。
 終バスダッシュの毎日とはおさらばだ。

 どんな部屋がいいだろう。
 明るい部屋がいいなぁ……。

 日当たりのいいベランダでは、ハーブとか夏野菜をたくさん育てるんだ。
 お休みの日には、キッチンで育てた野菜やハーブで美味しいお料理をするのもいいな。
 冷製パスタに、トロトロ煮込み、クッキーやケーキだって!

 そうだ。
 実家では飼えない猫を……そう、あの可愛い猫ちゃんを! 飼うことだってできる!


「ふふ、ふふふ。猫ちゃん可愛いねぇ……」


 タクシーの運転手さんが、ミラー越しにちらちらこちらを見ていることにも気づかずに、素敵な暮らしを想像する。


 今よりももっと職場に近かったら。
 自分だけのキッチンがあったら。
 可愛い猫ちゃんと一緒に暮らせたら!


「はーぁ……ひとり暮らしかぁあ……!」


 タクシーが止まる。
 千円札を2枚払う。
 ……ちょっとだけお釣りをもらう。


「してみたいなぁ、ひとり暮らし」


 生まれてからずっと、実家暮らし。
 引っ越しをしたことだって1度もない。
 そんな自分にとっては、「ひとり暮らし」というのはちょっと現実味のない夢物語みたい。
 ……その日までは、そう思っていた。


 これは、社会人2年目を迎えた新卒女子が、生まれて初めてのひとり暮らしのために突き進む物語である。

*** TIPS ***

一般的に、女性は一人暮らしをいつ頃から始めるのでしょうか?
20歳~39歳(女性)の年齢別に見た父母との同居割合を見てみましょう。

      同居  非同居 
20-24歳   83.4%  16.6%
25-29歳   62.7%  37.3%
30-34歳   36.0%  64.0%
35-39歳   25.4%  74.6%
(出典:総務省統計局 2014年世帯動態調査

25歳、社会人2~3年目あたりから増えていますね。30代になると半分以上の女性が一人暮らしをしています。

今回の主人公、家村さんも社会人2年目。
実家が駅から遠い、というありがちな環境ですが、一人暮らしはできるのでしょうか…?

次回「2話  実家女子、オンライン飲み会をする


毎週水曜日・土曜日更新(全10話)

* 更新情報はSNSでも告知しています *

  


※記事の内容は執筆時点のものになります

連載|実家女子、かしこく家を出るカテゴリの最新記事