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【実家女子、かしこく家を出る。】3話  実家女子、不動産サイトに登録する

連載|実家女子、かしこく家を出る
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この連載は、実家暮らしをしている新卒2年目の20代女子が、一人暮らしへの憧れから「オトナ女子のよりよい暮らし」を求めて部屋選びをする という、1話5分のあるある満載のwebノベルです。

「そろそろ一人暮らししたいな」と考え始めたあなた…!一人暮らしする前の準備を整えやすくなるかもしれませんよ!

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著:蛙田アメコ / イラスト:八咲ヒサ

Illustration by:八咲ヒサ

 
 たこ焼きパーティにお呼ばれした。
 会場は会社の同僚の家。

 同僚はいわゆる第2新卒で年上。
 サバサバしていて明るい女性だ。

 会社のある路線の、各駅停車だけが止まる駅にある。
 こんなことがなければ、一生降りなかっただろう駅だ。

 駅前に集合して、大きな安売りスーパーで買い物。
 食材を買い込んで、同僚の家に向かった。

 遅れてくるという男性陣が、お酒類は買ってきてくれるらしい。
 お酒、けっこう重いので助かる。

 ――駅から歩いて15分。
 真っ白い壁のアパートが見えて来た。
 同僚は、「ちょっと遠くてごめんね~」なんて言っていたけど、いや全然近いですから!

 生まれてこの方住んでいる実家は駅徒歩45分、ちんたら歩いていたら60分だ。 


「わぁ、ロフトがある!」

「あはは、そんなに珍しい? もうロフトとか物置だよ~。夏めっちゃ暑いし」

「そうなんですか!」


 ロフトにはしごって、なんとなく憧れてしまう。
 キッチンと廊下が一体化しているのもなんだかおもしろい。

 お部屋に、キッチンとお風呂とトイレがくっついていて……家全部が自分の部屋って感じなんだなぁ。
 聞けないけど、家賃っていくらくらいなんだろう……。

 あまりきょろきょろと人の家を見るのも失礼かなと思いながら、興味津々なのを隠せなかった。


    * * *

 
 たこ焼きはすごい。
 くるくるっとひっくり返すだけで、なんだかわからないけど充実感がある。
 こう……料理してる! ってかんじだ。


「おー、家村ちゃん上手いね」

「えへへ、実はお菓子作りとか料理とか結構好きで」


 学生時代には、バレンタインデーには張り切って手作りお菓子を作るタイプだった。
 チョコレートブラウニーからはじまって、高校3年生の最後のバレンタインデーの登校日には、なぜかホールケーキを作っていった。
 推薦で進学が決まっていたのだ。


「お菓子とたこ焼きって違くない!?」

「え? いや、どっちも小麦粉ですし?」

「そ、そういうものかなぁ……。家村、実家住みなのに料理できるって偉いね」

「うちは両親が共働きなので、けっこう私が料理するとかもあったんです。弟も年が離れてますし」

「そうなんだ。じゃあひとり暮らししても困らなさそう」

「そ、そうですかねっ!!?」

「おあ、びっくりした!? なに、その勢いっ!?」

「あ……す、すみません。ついつい……」


 たこ焼き、くるくる。
 焼き色をつけながら、「実は」と切り出す。


「その……実家を出るのもいいかなーと最近思ってて。こういうマンション? アパート? とかいくらくらいで借りられるのかなと」


 あと、引っ越しとかもお金かかりそうですし。
 もにょもにょ。
 歯切れの悪い呟きをうんうんと聞いてくれていた同僚。
 じーっと見つめられて、どぎまぎしていると。


「ひとつ。お金を貯めたい、ってだけなら絶対実家にいたほうがいいね」


 同僚は存外に真剣な表情で、指をひとつ立てた。
 指をふたつ立てて、


「ふたつ。でもひとり暮らしは、めっちゃ楽しい! お金のやりくりも必要だけど、楽しいことは多い。こうやって家村とタコパしたりね」


 にっこり、と職場内を明るくする人のよさそうな笑顔を浮かべて、3つめの指を立てる。


「みっつ。部屋選びは運命! 引っ越しはお金かかるけど、物件を見るだけならタダ!」

「見るだけならタダ……」

「物件紹介サイトとか、CMでよく見るでしょ? ほら、これとか……これとか」


 同僚が見せてくれたスマホには、物件紹介アプリが3つも入っていた。
 それぞれで、使い勝手が違うらしい。


「まぁ、違うアプリで同じ物件が紹介されてることも多くってダブるんだけどね。ほら、家村もアプリだけでも入れときなよ」

「あ、はい……!」

 
 いそいそとアプリをダウンロードする。
 そんなことをしている間に、たこ焼きはこんがりと焼き上がった。

 男性陣がお酒やジュースと追加の食材をもってやってくる。
 そのうちの1人は、同僚の彼氏だ。

 実は今日のタコパ、同僚の彼氏さんと会社の同期のうち1人が、偶然大学の先輩後輩だったことがきっかけだ。


「いらっしゃーい。重かったでしょ」

「全然。お茶のストックはいつものとこ置いておくからな」

「さんきゅ」


 彼氏さんは、きっとこの家に何度も来たことがあるのだろう。
 勝手知ったる、といったかんじでペットボトルのお茶を洗濯機の上にある棚に積んでいる。そこが置き場所なんだろう。

 はぁ、彼氏とおうちデートとかできるんだ。
 いいなぁ、ひとり暮らし。

 小学生の弟がいると、おうちデートとかできないもんなぁ。
 というか、あいつが友達呼んでギャアギャア騒いでたりする方が多いし。
 受験が近づいてきて、弟と親の喧嘩も増えてうるさいんだよなぁ……。

 そういう騒音から逃れて、猫ちゃんに囲まれて、お洒落なインテリアとか置いて、素敵な彼氏とかすっごい可愛い女友達とかを家に呼んで楽しく過ごせるんだなぁ、ひとり暮らし。
 最高……。


Illustration by:八咲ヒサ


 そんなこんなで、帰り道。
 ふと、スマホを見て……叫んだ。


「なにこれ、通知がいっぱーい!?」

 
 ぴこん、ぴこん、ぴこぴこぴこん!
 全部、物件紹介アプリのポップアップだった。

 あなたへのおすすめ物件!
 新着物件ご紹介!

 しかも、ちょっと気になる物件の資料問い合わせをしたら、不動産屋さんからも別途メールが入っていた。

 それが、いち、に、さん……9件も!?


「 このポップアップとかメールとか、もしかして毎日来るの?」

 
 すごいな、物件紹介サイト!
 でも……。


「多すぎて、何がいい物件なのか全然わからない……」

 
 電車とバスに揺られる間、色々な物件を見てみたけれど。
 正直、よくわからない。


 女の人のひとり暮らしにいい物件、すてきな物件……どうやって探せばいいんだろう?

次回「4話  実家女子、「生活費って何?」と考える