室内で地震に遭遇した場合、ときにはドアが開かず閉じ込められてしまう場合もあるでしょう。気象庁の地震の震度解説によると、震度6弱で「ドアが開かなくなることがある」とされています。
こんにちは、カーサミアライターのえなです。防災士という防災系の資格保有者である私が、防災に関するQ&Aに回答していきます!
今回は「地震でドアが開かない場合の対処法」に関してです。
災害の影響により、自宅などの室内に閉じ込められてしまった場合、どうすればいいのかわからないですよね。そこで、今回は地震でドアが開かない場合の対策を複数紹介します。
万が一、閉じ込められた際でも冷静に対処できるように、対処法を学んでくださいね。
質問:地震でドアが開かないときの対処法は?
地震でドアが歪み、閉じ込められた場合、非力な女性の力でも簡単に脱出できる方法はありますか?
災害時にスマホで外と連絡を取れるとも限らないし…身の回りにあるもので力を出せる方法などがあれば知りたいです。
地震でもしドアが開かなくなってしまったら、パニックになってしまいそうです…。自分の命を守るためにも、閉じ込められた際の対処法をしっかり学びたいですね!
回答:地震でドアが開かない非常時の対処法
地震が来たらドアを開けて避難経路を確保することも大切ですが、まずは自分の命を守ることがなによりも最優先です。
そのため、地震が発生したときに素早くドアを開けて、必ずしも避難経路を確保できるとは限りませんね。また、とっさに素早く行動できない無防備な就寝中や、入浴中に地震が発生することも考えられます。
このような場合に、もしドアが開かなくなって閉じ込められても、脱出できる対処法を紹介していきます。
ドア以外の経路で脱出する
ドアが開かない場合、まずは窓やバルコニーなど、ドア以外の脱出経路を探しましょう。
地震の影響で窓ガラスが割れる場合もあるため、揺れが完全に収まり安全が確保できた状態で脱出経路を確保することが重要です。
マンションの1階に住んでいる場合は、窓またはバルコニーからそのまま避難してください。
2階以上の場合は、避難ハッチや蹴破り戸などの避難経路が設けられているならバルコニーを利用しましょう。避難ハッチがある場合は下の階まではしごで降ります。また、蹴破り戸しかない場合は、蹴破って隣の家から避難してください。蹴破り戸を破る際には、危険がないように靴を履いて実行しましょう。
脱出できない場合は、救助を待つ
もし、ドア以外から脱出できない場合は、救助を待つことが次善の選択になります。大声を出して助けを求めると体力が削られてしまうため、防災用ホイッスルを用いて助けを求めましょう。
またホイッスルがない場合は、ドア・壁・床などを堅いもので叩いて周囲に助けを求めるといった方法や、携帯など音の出るもので助けを求める方法もありますね。
しかし、火災や津波が迫っている場合など、救助を待てない状況も考えられます。後述する「閉じ込められないための対策」が大切ですが、いざというときは以下の方法でこじ開けることも試してみましょう。
いざというときは、ドアをこじ開ける
窓やバルコニーからの脱出が不可能で、救助を待つこともできない場合、ドアをこじ開ける必要があります。
こじ開ける方法をいくつかご紹介しますが、無理に開けようとして怪我をする危険性もあるため、非常時にのみ行なってください。
バールを使う場合
ドアをこじ開ける一番の方法は、バールなどの工具を利用することです。内開き(自分のいる側に向かって開く)ドアの場合は、バールでこじ開けられる可能性があります。
しかし、一人暮らしの女性の場合、バールを用意していない場合が多いでしょう。その際には、堅くて長いものなら代用品になる場合もあります。たとえば、太めの突っ張り棒・角材・ゴルフクラブ・工具用品・スチールラックのポールなどが考えられます。
バールなどを利用する場合、ドアノブがある方向のドアの隙間に差し込んでこじ開けましょう。ドアが施錠されている場合は解錠してからこじ開けてくださいね。
自宅にドアをこじ開けられるものがない方は、バールや工具用品を購入して自宅に備えておくこともひとつの方法です。100均でも工具用品は購入できますが、強度が十分でないものもあるため、ホームセンターなどで頑丈な商品を選びましょう。
その他の方法
ドアを自分の足で蹴破るという方法もあります。しかし、力に自信がない女性ではあまり現実的な方法ではありません。
また、屋内ドアや、古いアパートの玄関ドアなど木製のドアの場合は、ハンマーやのこぎりで開ける方法もあります。
ドアをバールや工具、身の回りのものでこじ開ける方法を紹介しましたが、歪んだドアを開けるためには何十キロと力が必要になることもあります。ドアの歪みが酷い場合は、時には何百キロという力が必要になることも。
そのため、ドアの歪みが大きい場合、ドアをこじ開けられる道具があったとしても、女性に限らず自分ひとりの力ではどうしようもないこともあります。ですので、閉じ込められないための対策を考えておくことが必要です。
地震で閉じ込められないための対策
玄関ドア枠が歪んで開かなくなってしまい、窓やバルコニーからも避難できない場合、現実的に取れる手段は非常に少ないです。ですので、そもそも、地震で閉じ込められるというリスクを下げるために、次のような対策を事前に行いましょう。
耐震性のある家に住む
地震で閉じ込められない一番の対策として、耐震性のある家に住んでおくことが挙げられます。また、耐震仕様のドアが取り付けられている場合、閉じ込められる確率がさらに低くなるでしょう。
引っ越しの予定がある方は、ぜひ耐震性にも目を向けながらお部屋探しをしてくださいね。
地震の揺れが収まったらすぐに避難経路を確保する
地震が来たらまずは、ドアを開けて避難経路を確保することを覚えておきましょう。
始めはドアが開けられる状態でも、地震の影響で徐々に歪みが生じ、あとからドアが開かなくなる可能性もあります。そのため、一度開けたドアは必ず閉じないように気をつけてくださいね。
室内のドアは普段から開けておく
とくに自宅の耐震性に不安がある方は、普段からドアを少し開けて生活するよう心がけましょう。
中でも、就寝中に地震が発生した場合、閉じ込められる可能性の高い寝室や、閉じ込められてしまうと困るトイレやお風呂のドアは少し開けておくといいですね。
また、ドアを開けておく際にはドアストッパーなどを利用するのもおすすめです。
ドアの周辺には物を置かない
ドアの周辺に物を置いている場合、地震でそれらが転倒すると、ドアが開かなくなる可能性があります。そのため、ドアの周辺にはできるだけ物を置かないようにしましょう。
また、ドア周辺に限らず室内の家具が転倒して、身動きが取れないなどの状況も考えられますので、家具の転倒防止対策は必ず行ってください。
家具の転倒防止対策に関しては、過去記事で紹介しているので、合わせてご確認ください!
地域住民との関係性を築いておく
阪神淡路大震災の際、ほとんどの人が自助または共助により救出されたと記録されています。災害時は行政機関もダメージを受けるため、すぐに公助による助けが来るとは限りません。
マンションの両隣の住民や、周辺の地域住民との関係を普段から少しでも築いておくことで、災害時に「あの人は大丈夫だろうか」と気にかけてもらえますね。もし閉じ込められて自力での脱出が不可能な場合でも、気にかけて様子を見に来てくれた地域住民のおかげて、すぐに救助してもらえる可能性があります。
災害時にお互いに手助けできるように、普段からマンションのお隣や地域住民との関係性を築いておくことも大切です。
地震で閉じ込められてしまった際の、脱出の仕方を覚えていただけたでしょうか?
とくに覚えておいてほしいのが、以下の二点です
・地震が来たら、すぐにドアを開けて避難経路を確保する
・地震の影響で徐々に歪みが生じ、あとからドアが開かなくなる場合もある
いざというときに冷静に行動するためにも、脱出方法をしっかり知識として覚え、なにより閉じ込められないために耐震性の高い家を選びましょう。
あとからドアが開かなくなることがあるなんて、知りませんでした…!
地震のあとはすぐにドアを開けることにします。
そしてドアも窓もダメで閉じ込められてしまった場合、自力では脱出できない可能性が高いのは、本当に怖いと思いました。
そもそも閉じ込められないための対策、大切ですね…!