オタクだって、腐女子だって、おひとり様だって。
私たちは、家を買ってもいいんだ。
私の名前は藤吉夕美(ふじよしゆうみ)。
29歳。
ひとり暮らし歴、5年。
オタクである。
「はぁあ〜、今日も推し(※推しているキャラクターのこと)が尊い!!」
もっと言えば、フジョシである。
男性同士のラブやロマンスが生きる希望で、その趣味のために仕事をしていると言っても過言ではない。それが私という人間だ。
そんな私は、先月家を買った。
中古マンションで、リノベーション済みの物件だ。
広々としたリビングには、ビニール製のカバーでコーティングされたポスター(※作品のポスター。オタクの家にはたくさんあるし、無限に増える)が所狭しと貼られている。私の家だから、画鋲も使える(※画鋲問題。賃貸物件に住むオタクとポスターの間に横たわる大きな問題)。
11畳のリビングに、広々としたキッチン。それから、たっぷり収納のウォークインクローゼット。
私のための、私のためだけの家は、私の「好き」で溢れている。
家を買う。つまり、不動産購入。
一言でいえば、『一生モノの買い物』だ。
昭和時代、サラリーマンはマイホームを持つことを大きな目標として激務に励んでいたという。結婚して、子供を持って、車を買って、そしていよいよ家を買う……それが、『大正解』の人生とされていた、らしい。
そうして手に入れたマイホームは、文字通りサラリーマンのおじさまと家族の一生モノの資産になった。……家を買うというのは、たぶん、そういうことだと思っていた。
私はといえば、独身で、彼氏はいなくて、今日も推しが可愛くて仕方ない。
そんな私が、家を買う。
無駄だ、とか。
無理だ、とか。
そもそも、馬鹿馬鹿しい夢物語だとか。
もう、誰にもそんなことは言わせない。
誰のためでもない、私のために、私は家を買うんだ。
これは、オタクで腐女子な29歳女が、都会の片隅に家を……『自分の城』を持つまでの長くて短い物語だ。
*** TIPS ***
この連載は、「ひとり暮らしで趣味を満喫しているオトナ女子がもしも家を買ったら……?」という物語を描く、1話5分のほっこりwebノベルです。
「家を買ったときの話、身近な友達には聞きにくい……」
「不動産ってむずかしそう」
「実際にマンション購入を決めるのって、どういう感じ?」
そんな疑問が、解決するかも?
主人公のオタク女子(そして腐女子)な藤吉夕美が実際に家を買うまでを全14回のミニストーリーでお届けします。
親友でオタク仲間のキャリアウーマン「ずにさん」こと結城梓さんや、カーサミア不動産の颯爽とした女性営業マン「吉村さん」など、個性豊かなキャラクターも魅力です。
毎回、ストーリーの最後には『物件購入のお役立ち情報(TIPS)』がついているので、家を買うことに興味がある方は情報収集もできますよ♪
もちろんストーリーだけ読んでも楽しめます!!
次回、「1話 腐女子、飲み会に行く。」