災害時、避難所での生活環境は非常に過酷です。寒さ、感染症の蔓延、プライバシーの欠如によるストレスなど、肉体的・精神的負担が大きく深刻な課題になっています。
今回は、そんな課題解決のために開発された「インスタントルーム」についてご紹介します。
株式会社トラスト・ファイブが運営するビル・土地の記事メディア担当の兼山杳です。不動産とは切り離せない「防災」の最新ニュースをわかりやすくお届けしています。
工具不要の簡単組立で個室空間を実現できるんですよ!早速詳細をチェックしていきましょう。
集団避難生活での居住性とプライバシーを守る「インスタントルーム」
15分で設営可能な断熱・個室空間を実現し、全国避難所の環境改善を支援
事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULLのグループ会社である株式会社LIFULL ArchiTechが、2026年5月13日より、避難所の過酷な環境を改善する個室空間「インスタントルーム」を販売開始したそうです。
インスタントルームは、災害時の避難所生活の質の向上を目指して開発されたもので、優れた断熱性とプライバシー性を備えた個室空間を、工具不要の簡単な組み立てによって迅速に実現するといいうことです。

避難所でプライベート空間を確保できるのは嬉しいですね!
背景:過酷な避難所環境の改善が急務
災害時の集団避難生活では、過酷な避難環境が課題となっています。
避難所となる公共施設の多くが断熱性能を持たないため、特に冬場は寒さによる健康被害が深刻化しやすく、密集した空間での感染症の蔓延や、プライバシーの欠如によるストレスといった、肉体的・精神的負担が発生します。
内閣府の令和5年の調査(※出典:内閣府『災害関連死事例集(増補版)(令和5年5月増補)』)では、肉体的・精神的負担が原因の災害関連死は184人中123人にものぼるということで、避難所生活の環境改善は、高齢者や基礎疾患を持つ方々の命を守るための重要な課題となっていることが伺えます。
LIFULL ArchiTechは、この社会課題を解決するべく「インスタントルーム」の提供を開始したということです。
災害関連死がこんなにも多いことは、重く受け止めなければなりませんね。そんな課題を解決してくれそうな「インスタントルーム」に期待です!
概要:15分で設営完了。避難生活を改善する快適な個室空間と効率的な運用を実現
インスタントルームは、ダンボールの多層構造を活かし、断熱性・遮音性・プライバシーの保護において高い性能を実現し、避難者一人ひとりに安全で快適な個室空間を提供するそうです。
居住性を改善し、避難者の心理的安全性を高めて着替えや睡眠を安心して行えるようにするだけでなく、隔離機能によって感染症の拡大を未然に防ぐ役割も果たすそうです。
これにより、避難所生活における身体的・精神的負担を大幅に軽減し、災害関連死防止に貢献するということです。
運用面においても、工具を一切使わずに大人2名でも約15分で設営できる迅速性を備えているそうです。
また、ユニットを連結することで広さを自由に変更することができ、家族単位でひとつの広い生活空間を確保することや、授乳室、着替え室など、避難所での様々なニーズに対応可能だそうです。
パーツ構成により、破損や汚れが発生してもパーツ部分をすぐに交換することができるため、衛生的で効率的に活用できるそうです。
素材がダンボールであるため、役目を終えた後はリサイクルに回すことができ、災害後の廃棄物処理も円滑かつ環境負荷を抑えて行うことが可能だということです。
▼使用時の室内イメージ


必要に応じて大きさの調整もできるんですね。使用後のことまで考えて作られているのは素晴らしいと感じます。
「インスタントルーム」の概要
| サイズ(組立時) | (約)幅:2m、奥行:2m、高さ:2.7m(約)4.00㎡(2.42畳) |
| サイズ(保管時) | (約)120cm×64cm×16㎝×2箱 (1ユニットあたり)※保管時平積可能 |
| 素材 | ダンボール※留め具はクリップを使用 |
| 重量 | (約)30㎏ |

パーツが少なく、分かりやすいのもいいですね!
備蓄スペースの課題解決:「インスタントハウス モバイル」との併用
備蓄の質が重要となる一方で、多くの⾃治体では、平常時における備蓄品の保管場所の確保に課題を抱えているといいます。
避難所の敷地内に防災倉庫を新たに建築したり、利⽤⽬的に合わせて改築したりする必要があり、⾃治体の財政的な負担が増⼤してしまうため、多くの⾃治体の避難所において満⾜な整備ができない要因となっているそうです。
この避難所における備蓄スペース不足を解消する有効な手段が、移動可能な備蓄倉庫「インスタントハウス モバイル」※1との併用だそうです。
「インスタントハウス モバイル」は、インスタントハウス特有の耐震・耐雪性と高い断熱性能を維持しつつ、3tトラックによる輸送が可能だそうです。
インスタントルームを最大40棟分(梱包時)収納できる容量を備えており、平常時は屋外に設置して備蓄品の保管場所として活用可能だということです。
発災時には、必要な時に必要な場所へ運ぶことができ、備蓄品を搬出した後はそのまま医務室やボランティア拠点、避難所の本部応急物資の管理、指定避難所へ行けない方の避難場所など多目的に利用できるそうです。
新たに防災倉庫を建築したり施設を改築したりする必要がなく、自治体の財政的負担を抑えながら避難所運営の質を向上させることが可能だということです。

※1 LIFULL ArchiTech、車で輸送可能な「インスタントハウス モバイル」の販売を開始
インスタントハウスと合わせてぜひ活用したいですね。
インスタントハウスについて
(URL:https://instantproducts.lifull.net/house/)
インスタントハウスは、2011年3月東日本大震災での被災地支援をきっかけにした名古屋工業大学大学院の北川啓介教授の研究をもとに、LIFULLと名古屋工業大学大学院による共同研究にて開発した新しい構築物だそうです。
土地に定着していないため非建築物扱い(※ 行政判断によって見解が異なる場合もあります。)となり、建築物のような制約がなく、さまざまな土地に設置できるそということです。テントシートを空気で膨らませ、内側から断熱材に使用されている硬質発砲ウレタンを吹き付け施工するそうです。
シンプルな工法で1棟あたりわずか数時間で設営可能なだけでなく、断熱性や耐久性に優れ、さらに耐震性や耐風性をあわせ持つことから、ワークスペースや宿泊スペース、避難所の医療救護室やコミュニティの休憩所、断熱を要する備蓄倉庫などにも活用できるということです。
さまざまな活用ができそうですね!これからの展開が楽しみです。
今後の展開
全国の自治体や地域企業へ、安心できる防災対策の普及を目指す
インスタントルームは、令和6年能登半島地震の被災地において実際に活用され有用性が示された製品を、さらに改良し発売したものだそうです。
過酷な避難生活の中でもプライバシーを確保して安心して過ごせるスペースとして、また、授乳室や着替え室、子どものおむつ替えスペースとしても活躍したそうです。

LIFULL ArchiTechは、全国の自治体や地域企業の防災対策、災害時における避難生活の質の向上を支援し、一人でも多くの避難者が安心して過ごせる環境を提供できるよう取り組んでいくということです。
避難所生活のストレスを少しでも減らせるよう、工夫していきたいですね。
会社概要
株式会社LIFULL ArchiTechについて
(URL:https://lifull.com/company/group/lifull-architech/ )
株式会社LIFULL ArchiTechは、名古屋工業大学大学院工学研究科の北川啓介教授の研究を用いて主に①インバウンド増加に伴う宿泊施設不足、②空き家の利活用、③災害時の住宅供給の課題を解決できるソリューションを開発し、それらに貢献する事業を展開しています。
「ArchiTech」とは「Architecture」+「Technology 」の造語であり、建築技術によって世界を革進していくことをミッションとし、革進していくための技術を開発しているということです。
建築技術で多くの人の命を救える可能性があるんですね。技術の発展や事業の展開に期待です!
株式会社LIFULLについて
(東証プライム:2120、URL:https://lifull.com/)
LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。
現在はグループとして、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」、不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家(けんびや)」などの事業展開を行っているということです。
今回は、株式会社LIFULL ArchiTechが販売を開始した、避難所の過酷な環境を改善する個室空間「インスタントルーム」についてお伝えしました。
工具なしで約15分で設営でき、ユニットの組み合わせで広さを自由に設定できるから、さまざまなニーズに応えることができますね。
避難所の寒さやプライバシーの欠如は非常に大きな問題です。インスタントルームは能登半島地震の際に実験的に活用されたということで、今後、被災地において更に活用が進んでいくといいなと思います。

