最近、地震が多いので、怖いです。地震対策の家具転倒防止グッズや防災グッズ、どんなものを使えばいいですか?
場所ごとのおすすめ防災グッズ、防災のプロに教えてもらいました!
一人暮らしのお部屋の地震対策、どこにどんな防災グッズを使えばいいのか、迷いますよね。
みなさんこんにちは、カーサミアライターのえなです。この連載では、防災士という防災系の資格保有者である私が、防災に関する疑問を解決していきます。
今回は、防災グッズを使用した一人暮らしの部屋に必要な地震対策をお伝えしていきます。防災グッズを使った地震対策のほか、後半では、「家そのものの安全性」のことをお話していきますので、いま一人暮らし中の人はもちろん、これから部屋を探す人も、ぜひ最後までご覧くださいね。
一人暮らしでもできる自宅の地震対策
地震の対策として、防災袋の準備や避難所の確認などの事前の対策が挙げられます。しかし、それだけではなく地震が発生した際に、自宅の家具が転倒しないよう家具の転倒防止対策を行っておくことも重要ですね。
一人暮らしの場合、「地震で家具が転倒してしまって身動きが取れない!」となっても、家族や友人がすぐに助けに駆けつけてくれるとは限りません。
災害時の家具転倒リスクを避けることは自分自身の命を守ることにもつながるため、自宅の地震対策をしっかり行いましょう。
【家具転倒防止】のために防災グッズで対策を行おう
家具転倒防止の防災グッズといえば「突っ張り棒タイプ」などが有名ですが、そのほかにもさまざまな便利なアイテムがあることをご存知ですか?家具のタイプによって、相性がよい家具転倒防止の防災グッズが変わってきたりもします。
固定するべき家具の種類と最適な防災グッズ
最初に、どの家具をどの防災グッズで固定すればいいのか、それぞれ紹介していきます。
家具 | 最適な防災グッズ |
---|---|
テレビ・パソコン | ・ベルト式 |
冷蔵庫 | ・ベルト式 ・突っ張り棒orジャッキ+粘着マット ・扉開放防止器具 |
電子レンジ | ・粘着マット ・ガムロック |
洗濯機 | ・ベルト式 |
引き出し付きの家具 | ・扉開放防止器具 ・ベルト式 ・突っ張り棒orジャッキ+粘着マット ・L型金具 |
キャスター付きの家具 | ・キャスター下皿 ・突っ張り棒orジャッキ ・L型金具 |
本棚など扉のない家具 | ・開放棚落下防止器具 ・ベルト式 ・突っ張り棒orジャッキ+粘着マット ・L型金具 |
花瓶などの割れやすいもの | ・粘着マット |
防災グッズのタイプ別おすすめ商品
それでは、防災グッズのタイプ別おすすめ商品を紹介していきます。
どの商品も、ホームセンターで購入できます。 種類が多いので、必要なものをネット通販でまとめ買いしてしまうとカンタンです。
また、中にはダイソー・セリア・キャンドゥなどの100円ショップでお手頃に購入できるものもありますので、 防災グッズに高いお金をかけたくないという一人暮らしの女性は、近所の100円ショップを覗いてみてくださいね!
種類 | 特徴 |
---|---|
突っ張り棒、 ジャッキ | 家具と天井を突っ張り棒で固定するタイプ。 ネジやクギで穴を開けたり、工具を使う必要はないため 賃貸住まいや女性の方でも簡単に取付可能。 シートタイプなどと組み合わせることで強度が増す。 |
L型金具 | 家具と壁をネジとボルトで固定するタイプ。 安く手に入りやすい。下向き取付の場合、固定の強度が非常に高い。 |
ガムロック | 家具と壁をネジやクギを使わずに粘着材で固定するタイプ。 賃貸住宅におすすめ。 |
ベルト式 | 家具と壁に金具をネジで固定して、ベルトで支えるタイプ。 固定の強度は中位。 |
2段分離家具 連結器具 | 二段に積み重ねた本棚など、 上下に別れた家具を固定するタイプ。 |
粘着マット | 家具の底と床を粘着ゲルで固定するタイプ。 小さい家具の固定に適している。 大きい家具の場合は、突っ張り棒タイプなどと 合わせるのがおすすめ。 |
ストッパー | 家具の前側にはさみ、壁側に家具を傾かせるタイプ。 転倒しても壁側に倒れるようにしてくれる。 突っ張り棒タイプなどと合わせるのがおすすめ。 |
扉開放防止器具 | 食器棚など扉付き家具の両扉に器具を設置し、 地震時の扉の解放を防止するタイプ。 ジェルタイプなど簡単に付けれるものもあり。 |
開放棚 落下防止器具 | 本棚など、 扉がついていない棚に棒・ベルト・シート・ネットなどを設置し、 地震時に棚の中身の落下を防止するタイプ。 |
キャスター下皿 | キャスター付きの家具のキャスターに お皿のような形の入れ物を敷き、移動を防止するタイプ。 |
家具の配置場所や向きも大切
家具の転倒防止を行ったとしてもできるだけ災害時のリスクを下げるために、家具の配置場所や向きに関しても次のような工夫を行いましょう。
●避難経路や出入り口に家具は置かず、近くにキャスター付きなど移動式の家具も置かない
●寝室や座る場所に背の高い家具は置かない
●窓側には転倒するもの重量のあるものは置かない
●棚などの高い位置に物は置かない
●災害時に身の安全を確保できる場所を作るために、家具などを何も置いていないスペースを作っておく
出典:東京消防庁 家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック
【窓ガラスの飛散】を防ぐために防災グッズで対策を行おう
地震で窓ガラスが割れてしまっても飛散しないように、「窓ガラス飛散防止フィルム」を貼っておきましょう。
地震だけではなく、台風などの風水害への対策や防犯対策としても有効です。ホームセンター・ネット・100円ショップなどで購入可能ですよ。
【災害時の通電火災】を防ぐために防災グッズで対策を行おう
災害時の通電火災を防ぐために、ブレーカーに「通電火災防止器具」を設置しておきましょう。通電火災防止器具とは、地震が発生した場合自動的にブレーカーを落としてくれる器具のこと。
災害時に自宅から避難する場合、冷静にブレーカーを落とせることは少ないため役立ちます。こちたもホームセンター・ネットなどで購入可能です。
あなたの賃貸住宅は地震が来ても大丈夫?チェックしておくべき耐震構造
でも防災グッズで地震対策をしても、大きな地震が来てアパートごと倒壊しちゃったら、意味がないかも…
ここ40年以内(※)に建てられたアパート・マンションなら、一度の地震では、まず倒壊しませんよ!
※ 1981年6月1日以降に建築確認
チェックポイントも教えてもらいました。
地震に遭遇した時、あなたが一人暮らしをしているアパート・マンション等は、地震に耐えられるでしょうか?
まずは、次の3つの項目を参考にチェックしていきましょう。
①新耐震基準に適合しているか
1981年(昭和56年)6月1日に建築基準法が改正されたことをご存知でしょうか?
建物には「耐震基準」という建築基準法の基準があります。その建築基準法が1981年6月に改正され「新耐震基準」になりました。2020年の現在でも基準とされている耐震基準です。
「耐震基準」とは?
一定の強さの地震が起きても倒壊または損壊しない建築物が建てられるよう、建築基準法が定めている基準のこと。
旧耐震基準 (1981年5月31日まで) |
震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことを検証 |
新耐震基準 (1981年6月1日以降) |
震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことに加えて、 震度6強~7に達する程度の地震で倒壊・崩壊しないことを検証 |
このように旧耐震基準から新耐震基準への改正で、耐震基準が大幅に見直されたため、新耐震基準が適合されている1981年以降に建てられた建築物のほうが耐震性に優れているのです。
実際に、阪神淡路大震災の際には旧耐震基準の建物の倒壊率が高かったと記録されています。顕著に差が出ているため、古い賃貸物件に住んでいる方は新耐震基準が適合されているかチェックしてくださいね。新耐震基準が適用されていない建物の場合は、注意が必要です。
出典:国土交通省 住宅・建築物の耐震化について、 一般財団法人 日本耐震診断協会(阪神・淡路から20年。耐震基準が明暗をわけた)
②建物の構造は何でできているか
また、新耐震基準であっても、揺れやすい建物・揺れにくい建物があります。
居住用建物の構造には主に「木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造」の4種類。
それぞれの構造について、災害への強みやデメリットを簡単に紹介していきます。自分の住んでいる賃貸物件の構造を理解しましょう。
木造
木造は日本古来から用いられている構造で、 住宅では一戸建てやアパートタイプに多用されています。
◆災害への強み:ほかの建物の構造よりも地震の揺れが小さくなる
◆デメリット:2000年以前に建てられた物件は新耐震基準が適合されていたとしても現在の耐震性よりも低い、また火災に弱い
鉄骨造(R造)
鉄骨造は、大きく「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」に分けられます。住宅には軽量鉄骨が採用されるケースが多いです。
◆災害への強み:地震により倒壊する確率は低い、または倒壊したとしても倒壊までに時間がかかる
◆デメリット:地震の揺れを大きく感じやすく、火災が発生した場合は倒壊しやすい
鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄筋コンクリート造(RC造)は、主に柱や梁、床・壁が鉄筋とコンクリートで構成された構造で、多くのマンションやビルなどで採用されています。
◆災害への強み:鉄骨造より強い構造になっている
◆デメリット:地震の揺れを大きく感じやすく、火災が発生した場合は耐震性が下がる
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
鉄筋コンクリート造に鉄骨を加えた構造で、大型マンションやビルなど大規模な物件で採用されることが多いです。
◆災害への強み:すべての構造の中で一番強い構造
◆デメリット:建設費がかかるため家賃が高い、高層建築物に採用されることが多く災害の際はエレベーターがストップすると、高層に住んでいる場合移動にリスクが伴う
出典: 一般財団法人 日本耐震診断協会 (建物の構造と耐震性の関係は?)
③老朽化が起こっていないか
あなたが住んでいる賃貸物件は、扉の開け閉めがしにくかったり、壁などにヒビが入っていませんか?
こういった建物の老朽化が進んでいる場合、耐震性も低下していると考えられるため地震の際に倒壊する確率も高くなります。
自分の住んでいる室内だけでなく、エントランスや廊下などの共用部分も老朽化が進んでいないか、チェックしましょう。
もしも危なそうであれば、すぐには難しいかもしれませんが、なるべく早めの引っ越しも検討してくださいね。
いかがでしたか?
今回は、防災グッズを使用した一人暮らしの部屋に必要な地震対策と、地震に強いアパート・マンションのチェックポイントをご紹介しました。
大震災に遭遇した場合、身の守り方・行動の仕方・避難の仕方を「知っているか・知っていないか」によって、時には命に関わってくることもあります。
地震はいつ来るかわかりません。家具転倒防止対策などの地震対策を行うことはもちろん、非常食や防災グッズの入った防災袋の準備をしたり、外出時の防災を考えておくことも大切です。
一人暮らしの女性の皆さんには、災害時に、自分の命を守れる最善の行動を知っておいてもらいたいです。
知って備えておくことが大切なんですね!