【メディア掲載】不動産専門誌にSDGs事例として掲載

渋谷の住みやすさ・地盤・人気の理由は?土地のプロ・不動産開発会社が解説

土地
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執筆者
(株)トラスト・ファイブ マーケティング担当

不動産開発会社「株式会社トラスト・ファイブ」。商業ビルの開発経験は10年以上。以前に行っていたマンションの企画・開発・販売経験は20年以上になります。長年の経験・知識を公開し、「不動産業者主導の物件選び」から「賃貸者・購入者が主役の物件選び」への転換を目指しています。

物件(ビルやマンション)をつくる人にとっては常識でも、一般にはあまり知られていないような情報や、土地とは絶対に切り離せない「防災」に関する情報を積極的に発信していきます。

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東京都渋谷区にある「渋谷」駅。多くの路線が乗り入れ、大小の商業施設が立ち並ぶ、東京を代表する街のひとつです。

株式会社トラスト・ファイブは、首都圏で30年近く不動産開発を行なってきた「土地のプロ」として、街の地盤や防災情報などを発信しています。

街で見かける「普通の不動産屋さん」と違って、仲介(賃貸物件や中古物件の紹介)をしていないので、普通の不動産屋さんが書きづらいことも記事にできる立場です。

物件をお探しの際には、こちらの情報もぜひ役立ててくださいね。

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渋谷駅周辺の基本情報

渋谷駅の概要|日本を代表する、商業・観光の中心地

渋谷駅は、渋谷区の中心部に位置する駅です。

渋谷駅には、JR山手線、JR埼京線、JR湘南新宿ライン、東急東横線、東急田園都市線、京王井の頭線、東京メトロ銀座線、東京メトロ半蔵門線、東京メトロ副都心線の計9路線が乗り入れています。

駅のすぐ南には、JRを横切るように、首都高速3号線渋谷線と玉川通りが通っています。
またJRの東側には、南北に明治通り、東西に青山通りが走っています。

渋谷駅周辺の街並み|エリアによって雰囲気の異なる繁華街

渋谷駅の周辺は、いずれも繁華街とはいえ、エリアによって雰囲気が異なります。順にご紹介します。

渋谷駅北西側:スクランブル交差点からNHK・代々木公園方面

渋谷を代表する最も賑やかなエリア。大小の商業施設・公共施設が集積し、昼夜問わず人の流れが絶えません。

スクランブル交差点

渋谷駅西口を出たところには「スクランブル交差点」。「渋谷センター街」「道玄坂」「渋谷公園通り」といった渋谷の主要な通りが交差しています。交差点南東には、定番の待ち合わせスポットである「忠犬ハチ公像」、交差点の南には「モヤイ像」がありますよ。

ほかに西口~スクランブル交差点周辺の主な施設としては、「渋谷フクラス(旧・東急プラザ渋谷)」「渋谷マークシティ」「しぶちか(渋谷地下街)」「MAGNET by SHIBUYA 109」「SHIBUYA 109」「渋谷のんべい横丁」などが挙げられます。

渋谷センター街

スクランブル交差点から「渋谷センター街」方面に行くと、様々な飲食店やファッション・アパレル店、「QFRONT」「IKEA渋谷」などがあります。

「井の頭通り」を進むと「西武渋谷店」「渋谷ロフト」「ZARA渋谷店」「ハンズ渋谷店」「渋谷BEAM」「アベマタワー」などがあり、「NHK放送センター」の横を通って「代々木公園」の方面に抜けていきます。

「公園通り」を北に向かうと、「渋谷PARCO」「ヒューマックスパビリオン渋谷公園通り」「Apple Store 渋谷」。さらに奥には「渋谷区役所」「渋谷税務署」「渋谷公会堂」「NHKの各施設(NHK放送センターやNHKホール)」「代々木公園・国立代々木競技場」などがあります。

NHK放送センター

公園通りから「ファイヤー通り」方面に向かうと、「渋谷マルイ」「渋谷モディ」「タワーレコード渋谷店」「ニトリ渋谷公園通り店」「ハローワーク渋谷」「渋谷消防署」などがあります。

渋谷駅西側:文化村通り・松濤方面と、裏渋谷通り・奥渋方面

こちらは美術館や劇場、ライブハウスといった施設もある繁華街です。北西側よりはやや落ち着いた印象になります。

「文化村通り」には、通りの名を冠した美術館と劇場の複合施設「Bunkamura(オーチャードホールを除き、長期休館中)」のほか、「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」「H&M渋谷店」などがあり、その先の高級住宅街である松濤には「松濤美術館」「鍋島松濤公園」があります。

「道玄坂」方面に向かうと、「渋谷プライム」「渋東シネタワー」「渋谷ソラスタ」などがあり、そのまま南に向かうと首都高速3号線渋谷線と玉川通りに行き当たります。

「裏渋谷通り」を進むと、円山町になります。「奥渋」とも呼ばれる、個性的な飲食店やショップの多いエリアです。ライブハウス「Shibuya O-EAST/WEST」や、ナイトクラブ「WOMB」、ミニシアター「ユーロスペース」なども有名ですね。

奥渋

松濤と円山町の間には、京王井の頭線「神泉」駅がありますよ。

渋谷駅北東側:宮下公園からキャットストリート、原宿・表参道方面

一方の渋谷駅東口から北へ向かうと、ファッションと若者カルチャーの発信地・裏原宿エリアに繋がっています。

東口周辺には、「渋谷スクランブルスクエア」「渋谷ヒカリエ」「MIYASHITA PARK(宮下パーク)」「ビックカメラ渋谷東口本館」などがあります。

宮下パーク

さらに「キャットストリート(旧渋谷川遊歩道路)」や「明治通り」を北へ向かうと、「渋谷キャスト」「cocoti SHIBUYA」「渋谷教育学園渋谷中学校・高等学校」があり、「原宿」駅と「表参道」駅を結ぶ都道413号(通りとしての「表参道」)に到達します。

キャットストリート

渋谷駅東側:宮益坂・青山通り・六本木通り~広尾方面

こちらは学校が多く、渋谷の中では最も落ち着いた印象のエリアです。

「宮益坂」から「青山通り」へ向かうと、「渋谷郵便局」「マザーズハローワーク東京」「渋谷クロスタワー」などがあり、「青山学院大学」「国際連合大学」などがありますよ。

青山通り

六本木通り方面には「金王八幡宮」「青山学院初等部・中等部・高等部」「実践女子大学渋谷キャンパス」「実践女子学園中学校・高等学校」などがあり、高級住宅街である広尾に繋がります。

渋谷駅南側:新南口~代官山・恵比寿方面

新南口は、渋谷の中では比較的、大人向けの雰囲気が強くなります。オフィスも多く、そこで働く大人の男女に向けた、感度の高いライフスタイルを感じさせるお店が並びます。

駅の南東方向にあるビル「渋谷ストリーム」を起点に、「渋谷川」が流れています。
ちなみに「渋谷川」の渋谷ストリームより上流や、多数の支流は、いずれも暗渠(地下に埋設された水路)となっています。

ほかに「渋谷サクラステージ」、「國學院大學渋谷キャンパス」「乗泉寺」などがあり、南に進むと代官山・恵比寿の落ち着きのある繁華街とつながっていきます。

渋谷駅周辺の地名

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat) 渋谷駅徒歩15分エリア

渋谷駅周辺の地名は、

渋谷1~4丁目/神宮前5・6丁目/東1丁目/松濤1丁目/神南1・2丁目/円山町/宇田川町/道玄坂町/神泉町/鉢山町/桜丘町/鴬谷町/南平台町/猿楽町/代官山町などがあります。

渋谷駅周辺の人口は約16,000人|単身世帯の割合は70%超

渋谷駅周辺の人口は16,311人。東京と全体と比べると、25歳~44歳の男女の比率が高く、特に25~39歳までの男性は渋谷区の比率も上回っています。

渋谷駅周辺エリアの世帯構成比を見ると、単身世帯の割合が70%を超えていることがわかります。渋谷区の中でも単身世帯が集まっているのですね。

また、産業別事業所数を見てみると、第三次産業の割合が圧倒的に多いです。

内訳では、卸売業、小売業/宿泊・飲食サービス業/情報通信業/学術研究、専門・技術サービス業の数が多いようです。

特に宿泊・飲食サービス業と情報通信業の割合は、東京都全体や渋谷区と比較しても高く、渋谷駅周辺にこうした業種が多く集まっていることが分かります。

渋谷駅の交通アクセス|9路線利用可能

電車アクセス

渋谷駅で利用可能な路線は以下の通りです。

・JR山手線
・JR埼京線(快速・通勤快速停車)
・JR湘南新宿ライン (快速・通勤快速停車)
・京王井の頭線 (始発)
・東急東横線 (始発)
・東急田園都市線 (始発)
・東京メトロ銀座線 (始発)
・東京メトロ半蔵門線 (始発)
・東京メトロ副都心線 (始発)

渋谷駅には多くの路線が乗り入れています。都内主要部への移動で困ることはないでしょう。

東急線を利用すれば、二子玉川や自由が丘、横浜といった話題のエリアにも乗換なしで行くことができます。2022年には東急・相鉄直通線もスタートし、渋谷から新横浜まで乗換なしでアクセスできます。

路線バス

渋谷駅には多くの路線バスが乗り入れています。

・東口:都営バス、東急バス
・西口:都営バス、小田急バス、京王バス、京浜急行バス、東急バス

また、西口からはフジエクスプレスのコミュニティバスも発着しますよ。

渋谷駅周辺の用途地域

渋谷駅周辺の街並みを知るためには、「用途地域」を確認することも欠かせません。

用途地域とは、計画的な街づくりのために、街の利用方法を行政が定めたものです。地域ごとに、建ててよい建物の用途(住居・商業・工業など)や形態が決められています。

これによって「近所にお店が多い、便利な繁華街」「空が広く見える、静かな住宅街」「お店もそこそこあるけれど、賑やかすぎない落ち着いたエリア」などが分けられています。

用途地域を見れば、「駅の北側の雰囲気が好きだと思っていたけれど、南側にも似たような雰囲気の場所がある」のように気付けることもあります。

用途地域を参考に、希望にあった雰囲気の場所を探してみてくださいね。

出典:用途地域マップ
出典:用途地域マップ

渋谷駅周辺の商業系エリア

出典:用途地域マップ
出典:用途地域マップ

渋谷駅周辺の大半は、商業系エリア(商業地域・近隣商業地域)に定められています。

商業地域には繁華街やオフィス街が形成されているなど、商業系エリアのなかでも賑わいのある地域です。商業ビルやマンションなどが密集している場所でもあります。
渋谷らしい渋谷、といえるエリアです。渋谷駅を含む、六本木通り北側に多いです。

また、NHK放送センターと松濤に挟まれた「奥渋」エリア(井ノ頭通りやオーチャードロード)と、青山学院と実践女子の周辺の六本木通り沿いは、近隣商業地域になっています。

こちらは商業系エリアとしては比較的落ち着きのある一帯です。繁華街というよりも商店街の趣が強いエリアです。

いずれのエリアにも、商業施設・オフィスビルだけではなく、マンションや戸建て等も混在しています。

渋谷駅周辺の工業系エリア

出典:用途地域マップ
出典:用途地域マップ

渋谷の繁華街と恵比寿の間には、準工業地域があります。

準工業地域は、工業地域の一種ではあるものの、必ずしも工場が多いわけではありません。実際には、住宅、店舗、軽工場など、さまざまな建物を建てられます。用途地域から街並みをイメージすることが難しいため、実際の景観を確認する必要性が高いエリアです。

渋谷駅周辺の場合は、ビルとマンションが混在する街並みとなっています。

渋谷駅周辺の住居系エリア

出典:用途地域マップ
出典:用途地域マップ

商業エリアの外側には、住居系エリア(第一種住居地域・第二種住居地域)が点在しています。
・渋谷1丁目の美竹通りより北東
・桜ヶ丘町よりも南東(鴬谷町や代官山町)
・神泉駅付近
・南平台町の六本木通り寄りの部分 など

マンションや戸建て、店舗、飲食店、中小ビルが混在する利便性の高い住宅街です。総合スーパーマーケットやホームセンターなどが存在する場所もあります。

第一種住居地域のイメージとしては、商店と住宅が整理されることなく立ち並んでいる雰囲気と、バス通り沿いのような雰囲気の2パターンが挙げられます。

第二種住居地域のほうがにぎわいがあり、商業地区と住宅街の境目や、大通り沿いによく見られる街並みです。こちらでは、オフィスビルやホテルなど不特定多数の人が行き来するエリアや、パチンコ店・カラオケボックスといった賑やかなお店が並ぶ場所もあります。

渋谷駅周辺の住居専用エリア

出典:用途地域マップ
出典:用途地域マップ

意外に感じられる方もいるかもしれませんが、渋谷にも住宅街は存在しています。

・第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域
松濤、広尾、鉢山町が該当します。街並みとしては閑静な住宅街です。いわゆる「邸宅街」で、高級住宅街として知られるエリアと重なります。

住宅は一戸建て、もしくは低層マンション・アパート(2~3階以下)に限られています。第一種のほうにはお店はほとんどなく、第二種はコンビニや美容室、小さな飲食店など、日常生活の中で使う小規模なお店がある街並みです。

・第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域
国立競技場、青山学院大学周辺、実践女子周辺のほか、商業地域と住宅街の間に点在しています。

こちらは比較的便利な住宅街で、住宅のほか、生活に必要な小規模なお店(コンビニ、ミニスーパー、飲食店など)や、銀行、病院、大規模な学校などがあるエリアです。

渋谷駅周辺の歴史・文化|街道沿いで栄えた街

明治初期は郊外の農地

出典:「今昔マップ on the web」をもとに、編集部にて加工

明治初期の地図を見てみると、現在の渋谷駅のすぐそばに渋谷川が流れているのがわかります。

地図中央部には上渋谷村、中渋谷村、下渋谷村、といった地名が読み取れます。

現在の渋谷駅の北東(現在の青山)には、「開拓使一号用地」「開拓使二号用地」と書かれています。これらはそれぞれ大名屋敷の跡地で、1871年から1881年まで北海道開拓ための官園(一種の農業試験場)として用いられていました。西洋の種苗や種畜を北海道に持ち込む前に育成させたり、技術指導が行われたりしていたようです。

全体的には畑が多く、茶畑や竹林、果樹園(梨、李といった文字)も見られます。

郊外の農業地でありながらも、大山街道(≒現在の国道246号)沿いには「□」で表現される住宅が立ち並び、街道沿いの街として栄えていたことが読み取れます。

常にその時代の最先端の街として発展

その後、1885年の山手線渋谷駅を皮切りに各線の渋谷駅が開通し、渋谷は発展を続けます。

戦時中は空襲の被害も受けたものの、戦後は東急電鉄グループと旧セゾングループ(西武百貨店やPARCO)が競うように開発を進めた結果、早くから多くの商業施設が立ち並びました。

現在も、渋谷109・東急百貨店本店・Bunkamura・渋谷スクランブルスクエア・渋谷ストリームなど、東急グループの施設が集積する一帯は、「東急村」という通称がありますよ。

1970年代から90年代にかけては、若者文化の中心地となりました。

90年代後半から2000年代は、大手IT企業の本社や、各地ITベンチャー企業が集積し「ビットバレー」と呼ばれました。

「100年に一度の再開発」が進行中

2010年代からは、東急、JR東日本(東日本旅客鉄道)、東京地下鉄を中心とした大規模な再開発が続いています。

スクランブル交差点からの視点(※掲載しているパースは現時点のイメージです。今後変更になる可能性があります。)|出典:2025年5月9日、東急株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東京地下鉄株式会社より配信されたプレスリリース

2030年度には、渋谷駅および渋谷の東西南北を地上およびデッキ階で結ぶ多層な歩行者ネットワークが誕生する予定です。
渋谷駅およびその周辺のアクセス性が飛躍的に向上し、巡り歩いて楽しい“駅まち一体開発”の実現に大きく近づきます。

JR渋谷駅は改札およびコンコースの整備が概ね完了しています。駅の東西を結ぶ最大幅員20m超の自由通路も整備されます。

また2031年度には、渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)が完成し、首都圏最大級の商業施設になる予定です。

ハチ公広場などを含めた全体の完成は2034年度が予定されています。

ますます魅力的になる渋谷、楽しみですね!

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渋谷駅周辺の防災情報

ここからは、渋谷駅周辺の地盤と防災情報を見ていきます。

Q
渋谷駅周辺の浸水リスクは?
A

渋谷駅を中心に、「Y字型」の浸水予測があります。渋谷川・キャットストリート(=渋谷川の暗渠部分)・宇田川(=渋谷川支流の暗渠)の部分です。明治通り沿いでは最大5.0mの浸水が予測されています。
また過去の浸水被害は、多数の浸水実績が渋谷区地図情報システムに掲載されています。

Q
渋谷駅周辺の地盤は?
A

地盤は全体的に良好です。渋谷川や暗渠の部分には軟弱な地盤も見られますが、軟弱な地盤の下には比較的しっかりとした地盤があるようで、地震の際の揺れやすさには影響がありません。

Q
渋谷駅周辺の地震リスクは?
A

渋谷駅周辺では、地震の際の建物倒壊や火災といった二次災害リスクは低いと考えられています。一方で人の多さに由来する「群衆雪崩」や「帰宅困難」には十分な対策を考えておく必要があるでしょう。

渋谷駅周辺エリアで物件探しをする際は、ぜひ本記事の防災情報も参考に検討してみてくださいね。

渋谷駅周辺の洪水リスク|渋谷川・宇田川流域に浸水予測

渋谷駅周辺の洪水・内水ハザードマップ

出典:洪水ハザードマップ|渋谷区(令和7年5月改訂版、2025年8月21日閲覧)
出典:同上

渋谷駅周辺の浸水リスクは、渋谷区の洪水ハザードマップで確認できます。

渋谷周辺では、渋谷駅を中心にY字型の浸水予測となっています。これは暗渠部分を含む渋谷川と、支流の宇田川の流路と重なります。

Y字の川沿いでは「1.0~3.0m」の浸水予想が広く続いており、明治通り沿いでは最大5.0mの浸水が予測されています。

またこのほかにも、最大3.0mの浸水予想エリアが点在しています。

渋谷川の上流(キャットストリート部分)や、支流は暗渠となっているため、地上部からは流路が分かりづらいので注意が必要です。

なお、渋谷駅周辺に土砂災害警戒区域や、高潮による水害リスクはありません。

渋谷駅周辺の避難所情報

出典:洪水ハザードマップ|渋谷区(令和7年5月改訂版、2025年8月21日閲覧)
出典:同上

渋谷区の避難所は、ハザードマップに「●印」で記されています。

渋谷駅周辺の避難所は、以下の通りです。

猿楽小学校(猿楽町)、鉢山中学校(鴬谷町)、文化総合センター大和田(桜丘町)、常盤松小学校(東1丁目)、広尾小学校(東3丁目)、神南小学校(宇田川町)

このうち鉢山中学校は、浸水予想区域内の避難所となっており、危険と判断された際は開設しない場合があるとのことです。

出典:同上

また、渋谷区の自主避難施設は、ハザードマップに「★印」で記されています。
自主避難施設とは、台風や豪雨の規模に応じて、開設されるものです。

渋谷駅主変の自主避難施設は、地域交流センター神宮前(神宮前6丁目)です。

渋谷駅周辺の地盤|渋谷川・宇田川流域は弱い地盤

渋谷駅周辺の地形区分

渋谷駅周辺の地盤(出典:微地形区分|国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション)2025年8月29日閲覧
出典:同上

渋谷駅周辺の地盤は、「火山灰台地」と「谷底低地」の2種類が見られます。

火山灰台地とは、火山の噴火で生じた火山灰が積もってできた土地です。関東の地盤の中では、しっかりした作りの地域となります。

一方、谷底低地は地盤が弱いとされています。山地や台地などを刻む谷部に砂や枯れた植物が堆積して、腐葉土のような地質になっています。

渋谷駅付近は大半が火山灰台地からできているため、比較的地盤の良い地域です。

渋谷川・宇田川に相当する場所には谷底低地が続いており、洪水リスクの高い地域と谷底低地の区域がほぼ一致しています。また、地図の左下(南西)側、目黒川に近い場所も谷底低地となっています。

渋谷駅周辺の「揺れやすさ」目安

目白駅周辺の揺れやすさ(出典:表層地盤増幅率(Vs-400m/sから地表)|国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション)2025年8月29日閲覧
同上

上の地図は、表層地盤増幅率を表したものです。表層地盤増幅率の数値が高い場所ほど、地震の際に揺れやすいエリアと考えることができます。

渋谷駅周辺は、3つのエリアがあります。広範囲に見られるのは増幅率1.6~2.0のエリア。

渋谷駅や、先の地盤の項目で谷底低地であった場所の多くは、増幅率1.4~1.6となっています。また目黒川寄りの一部では、増幅率1.2~1.4のエリアもあります。

渋谷駅周辺では、地盤の強固さと地震の際の揺れやすさに、相関関係はなさそうです。

渋谷駅周辺で震度6強以上の地震に見舞われる確率

蒲田駅周辺で地震に見舞われる確率(出典:確率論的地震予測地図(震度6強以上の揺れに見舞われる確率)|国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション)2025年3月3日閲
出典:同上

渋谷駅周辺で「今後30年以内に震度6強以上の揺れに見舞われる確率」は、多くのエリアで6~26%となっています。

渋谷駅などのある、比較的揺れにくいエリアでは3~6%とされています。

また渋谷駅を含む地点で、「今後30年間にある震度以上の揺れに見舞われる確率」は以下の通りです。

震度5弱99.7%
震度5強85.6%
震度6弱35.3%
震度6強4.9%

震度5弱、5強といった地震はほぼ必ず見舞われると考えて備えておく必要がありそうですね。

東京近郊との比較
東京近郊で地震に見舞われる確率(出典:確率論的地震予測地図(震度6強以上の揺れに見舞われる確率)|国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション)2025年3月3日閲覧

なお東京近郊全体で見ると、震度6強以上の揺れに見舞われる確率が6~26%というエリアが多くを占めています。渋谷駅周辺は、東京近郊としては平均的なリスクのエリアです。

渋谷駅周辺の地震リスク|全体的に低リスク

東京都が提供する「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」では、地震発生時の各種リスクを地区ごとに5段階でランク付けしています。ランク1が最も低リスクで数字が上がるにつれてリスクが高くなります。

渋谷駅周辺における地震リスクは、建物倒壊危険度・火災危険度・総合危険度のいずれの項目でも、ランク1とランク2の地区で、全体的に低リスクと言えます。

一方で渋谷では、群衆雪崩をはじめ、「人の多さ」による二次災害への備えが重要になりますよ。

渋谷駅周辺の「建物倒壊危険度」

出典:東京都不燃化ポータル|地震に関する地域危険度測定調査(第9回) 2025年9月17日閲覧
同上

渋谷駅周辺の「建物倒壊危険度ランク」は、ランク1とランク2の地区があります。

最も危険度が低いランク1は、神山町、松濤1丁目、宇田川町、神南1丁目、神南2丁目、神宮前6丁目、神宮前5丁目、渋谷2丁目、渋谷3丁目、渋谷4丁目、東1丁目、桜丘町、道玄坂1丁目、南平台町、鉢山町、南平台町、恵比寿西2丁目が該当します。

次いで危険度の低いランク2は、道玄坂2丁目、円山町、神泉町、鶯谷町、猿楽町、代官山町、東2丁目が該当します。

渋谷駅周辺の「火災危険度」

出典:東京都不燃化ポータル|地震に関する地域危険度測定調査(第9回) 2025年9月17日閲覧

火災危険度はほとんどの地域で、最も低リスクとされるランク1です。

ランク2に該当するのは、東2丁目のみです。

渋谷駅周辺の地震に関する「総合危険度」

出典:東京都不燃化ポータル|地震に関する地域危険度測定調査(第9回) 2025年9月17日閲覧

建物倒壊危険度や火災危険度などを合わせ、災害時活動困難係数をかけあわせた「総合危険度」も、渋谷駅周辺ではランク1とランク2のみとなっています。

ランク1は神山町、松濤1丁目、宇田川町、神南1丁目、神南2丁目、神宮前6丁目、渋谷2丁目、渋谷3丁目、渋谷4丁目、東1丁目、桜丘町、道玄坂1丁目、南平台町、鉢山町、南平台町、恵比寿西2丁目、道玄坂2丁目、神泉町、猿楽町が該当します。

ランク2は円山町、神宮前5丁目、東2丁目、代官山町、鶯谷町が該当します。

渋谷駅周辺は開発と再開発が繰り返されていて、比較的新しいビルが多いことから、全体的に低リスクの傾向になっていると考えられます。

渋谷駅周辺の災害事例|多数の浸水実績

「渋谷区地図情報システム」に掲載された浸水実績図

渋谷区の公開している浸水実績図には、多くの浸水実績が掲載されています。

画像の引用が許可されていないため、床上浸水の履歴のみを抜粋し、表の形式でご紹介します。

2000.07.04大雨東2丁目
2003.10.13大雨東2丁目
2004.10.09台風22号東2丁目
2004.10.20台風23号 渋谷3丁目
東2丁目
2005.09.04大雨鉢山町
2005.09.11大雨渋谷2丁目
鶯谷町
鉢山町
代官山町
2009.06.16大雨鶯谷町
2009.08.24大雨渋谷1丁目
2014.06.29大雨神山町
松濤1丁目
神泉町
渋谷2丁目
鶯谷町
鉢山町
代官山町
恵比寿西2丁目
2017.10.22台風21号松濤2丁目
2021.07.11大雨神宮前5丁目
2024.07.06大雨神宮前5丁目
出典:渋谷区地図情報システム 2025年9月17日閲覧

2000年から2024年の間で12回もの床上浸水が起きています。

中には、同じ場所で床下浸水と床上浸水を3回、4回、と繰り返している地点もありました。また、道路冠水も目立ちました。

詳しい位置が知りたい方、床下浸水・道路冠水の情報も知りたい方は、渋谷区地図情報システムも合わせてご確認ください。

東京都「水害リスク情報システム」に掲載された浸水実績図

出典:東京都「水害リスク情報システム」浸水実績図 2025年9月17日閲覧

東京都の水害リスク情報システムでは、平成元年(1989年)7月26日から令和元年(2019年)10月13日までに都内で発生した浸水被害を掲載しています。

渋谷駅周辺においては、1999年8月29日の集中豪雨により渋谷川で発生した被害が確認できました。このときの被害は、床上浸水17棟、床下浸水は42棟にものぼります。

発生地区は渋谷区東、恵比寿、猿楽町、鶯谷町、鉢山町、代官山町、恵比寿南、渋谷、広尾、桜丘町、松濤、富ケ谷、神宮前と、広域にわたっています。

渋谷川と目黒川の洪水対策

渋谷は「谷底の街」であり、水害リスクの高い街であるため、さまざまな水害対策がとられています。

渋谷川流域では、台風や大雨によって何度も水害に見舞われているため、東京都による洪水対策が進められています。1時間あたり75mmの降雨量に対応することを目標に、「護岸整備」「河床掘削」「調節池の整備」の3つを軸に対策が行なわれています。

渋谷川では、堤防などを補強する護岸整備と川底を削って流下能力を上げる河床掘削が完了し、1時間あたり50mmの雨に対応できるようになりました。

参考:渋谷川・古川流域|東京都建設局

また、東急渋谷駅周辺の地下には、巨大な雨水貯留施設が整備されています(2020年8月完成)。

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