【メディア掲載】不動産専門誌にSDGs事例として掲載

中村橋の地盤・浸水リスクは?土地のプロ・不動産開発会社が防災情報を解説

土地
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東京都練馬区にある「中村橋」駅。西武池袋線の停車駅で、池袋まで電車で15分と都心へのアクセスが良く、住みやすい街です。周辺エリアは練馬区と中野区にまたがっています。

駅前はにぎわいを見せますが、少し歩くと閑静な住宅街が広がるため、落ち着きのある街で暮らしたいという人にはぴったりの街ですね。

そんな中村橋駅周辺の地盤や防災情報はどうなのでしょうか?

株式会社トラスト・ファイブは、首都圏で30年近く不動産開発を行なってきた「土地のプロ」として、街の地盤や防災情報などを発信しています。

街で見かける「普通の不動産屋さん」と違って、仲介(賃貸物件や中古物件の紹介)をしていないので、普通の不動産屋さんが書きづらいことも記事にできる立場です。

物件をお探しの際には、こちらの情報もぜひ役立ててくださいね。

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(株)トラスト・ファイブ 広報部

不動産開発会社「株式会社トラスト・ファイブ」。商業ビルの開発経験は10年以上。以前に行っていたマンションの企画・開発・販売経験は20年以上になります。長年の経験・知識を公開し、「不動産業者主導の物件選び」から「賃貸者・購入者が主役の物件選び」への転換を目指しています。

物件(ビルやマンション)をつくる人にとっては常識でも、一般にはあまり知られていないような情報や、土地とは絶対に切り離せない「防災」に関する情報を積極的に発信していきます。

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中村橋駅周辺の防災情報

Q
中村橋駅周辺の水害リスクは?
A

中村橋駅周辺には、石神井川(しゃくじいがわ)の氾濫による浸水が予想されるエリアがあります。最大で2.0m程度の浸水が発生する可能性があるため、河川の氾濫が予想されるような天候の際は早めの避難が必要です。

貫井1・2丁目付近では地下に埋設された暗渠(あんきょ)となっている貫井川が流れているため、この一帯でも2.0m程度の深い浸水が想定されています。そのほかの地域でも、0.1~0.5mの浸水が予想されるエリアが広く存在しており、内水氾濫(下水道などの排水能力を超える大雨によって雨水が地表に溢れ出す現象)にも注意が必要です。

Q
中村橋駅周辺の地盤は?
A

中村橋駅周辺は、比較的強固な地盤が広く分布しています。石神井川周辺は軟弱な地盤が見られますが、地震の揺れやすさに影響はありません。中村橋駅周辺の中では、北側エリアのほうが比較的揺れにくいと予想されています。

Q
中村橋駅周辺の地震リスクは?
A

地震発生時の建物倒壊リスクは、全体的に低いと予想されています。総合的な地震リスクは北側エリアのほうがやや高い傾向が見られます。

中村橋駅周辺でお部屋探しの際は、ぜひ本記事の防災情報を参考にしながら安心して暮らせる住まいを見つけてみてください。

中村橋駅周辺の洪水リスク|北側エリアでは河川氾濫による浸水リスク

中村橋駅の北側エリアでは石神井川や暗渠になっている貫井川があることによって、深い浸水が想定されています。最大の浸水深は、一般家屋における1階軒下の高さに相当する2.0mとなっています。

河川の影響を受けないエリアでも、0.1~0.5m程度の浸水に見舞われる可能性があります。局地的な大雨などによる内水氾濫には要注意です。

なお、中村橋駅周辺における土砂災害や高潮、津波、液状化の警戒区域はありませんでした。

中村橋駅周辺の洪水・内水氾濫ハザードマップ

中村橋駅周辺の浸水リスクは、練馬区と中野区から提供されている防災ハザードマップで確認できます。

本記事では2つのハザードマップを使って、自治体ごとに浸水リスクを確認していきます。

練馬区の水害ハザードマップ
出典:練馬区水害ハザードマップ(令和6年5月発行) 2025年2月7日閲覧
同上
同上

中村橋駅の北側には、赤枠で囲われた石神井川氾濫時の浸水区域が見られます。

また、貫井1・2丁目付近では石神井川の支流である貫井川が流れているため、この一帯も深い浸水が想定されています。貫井川は暗渠となっており、地上からは河川があることに気付きにくいので、ハザードマップで浸水リスクを確認しておくことが大切です。

河川周辺以外でも、広範囲に0.1〜0.5m程度の浅い浸水が想定されたエリアがあります。

中野区の水害ハザードマップ
出典:中野区水害ハザードマップ(令和6年7月改訂) 2025年2月7日閲覧
同上
同上

中野区内でも、0.1~0.5m程度の浸水想定エリアが広がっています。内水氾濫には注意が必要です。

中村橋駅周辺の避難所情報

出典:練馬区水害ハザードマップ(令和6年5月発行) 2025年2月7日閲覧
同上
出典:中野区水害ハザードマップ(令和6年7月改訂) 2025年2月7日閲覧
同上

中村橋駅周辺の避難所は、練馬区と中野区それぞれに設けられています。

練馬区の避難所は開設の優先順位がつけられており、A・B・Cの順で開設されます。水害の危険性がさらに高まった場合には、さらに区立小中学校の一部も避難所として開放される場合があります。

中村橋駅周辺には優先度Aの避難所はなく、優先度B・Cの避難所と、危険性がさらに高まった場合に開設される避難所が指定されています。Bの避難所は向山4丁目にある「向山地域集会所」と貫井1丁目にある「貫井地区区民館」、Cの避難所は中村2丁目にある「中村かしわ地域包括支援センター」と中村南2丁目にある「中村地域集会所」です。

水害の危険性がさらに高まった場合に開設される避難所は、向山2丁目の「向山小学校」と貫井1丁目の「練馬第三小学校」、貫井2丁目の「練馬第二小学校」「貫井中学校」、中村北4丁目の「中村西小学校」、中村2丁目の「中村小学校」となっています。

中野区内の避難所は、上鷺宮1丁目にある「上鷺宮小学校」が指定されています。

避難所は災害の状況に応じて開設されるので、各自治体のホームページなどでこまめに避難情報を確認しましょう。

中村橋駅周辺の地盤|石神井川周辺以外は比較的安定

ここからは、国立研究開発法人の防災科学技術研究所が提供している「地震ハザードステーション」のデータをもとに中村橋駅周辺の地盤の特徴を見ていきます。

石神井川沿いには軟弱な地盤が見られるものの、それ以外のエリアは広い範囲で比較的安定しています。地震時の揺れやすさに関しては、地盤の影響はあまり見られません。なお、地域の北側には、周囲よりも揺れにくいとされる地点もあります。

中村橋駅周辺の地形区分

中村橋駅周辺の地盤(出典:微地形区分|国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション)2025年2月9日閲覧
同上

中村橋駅周辺の地盤は、大半が「火山灰台地」となっています。火山灰台地とは降り積もった火山灰が固まって形成された地盤を指し、関東の中では比較的しっかりした地盤のひとつです。

石神井川の周辺には、一部に軟弱な地盤の「谷底低地」が見られます。川の流れによって土砂が運ばれて堆積した土地で、柔らかい土や枯れた植物などからできています。

中村橋駅周辺の「揺れやすさ」目安

中村橋駅周辺の揺れやすさ(出典:表層地盤増幅率(Vs-400m/sから地表)|国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション)2025年2月9日閲覧

上の地図は、表層地盤増幅率を表したものです。表層地盤増幅率の数値が高い場所ほど、地震の際に揺れやすいエリアと考えられます。

中村橋駅周辺は、増幅率1.4~1.6のエリアが広く見られます。北側エリアの貫井2丁目や向山4丁目付近では増幅率1.2~1.4となっており、中村橋駅周辺の中では最も揺れにくいと予想されています。

一般的に軟弱な地盤の場所ほど地震の際に揺れやすい傾向がありますが、中村橋駅周辺においては地盤の種類と揺れやすさに大きな関連は見られません。

中村橋駅周辺で震度6強以上の地震に見舞われる確率

中村橋駅周辺で地震に見舞われる確率(出典:確率論的地震予測地図(震度6強以上の揺れに見舞われる確率)|国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション)2025年2月9日閲覧

以下の表は、中村橋駅周辺で今後30年間に起こる地震の確率を、震度ごとに表したものです。

震度5弱99.9%
震度5強90.7%
震度6弱44.1%
震度6強7.5%
出典: 国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードカルテ 2025年2月9日閲覧

震度5弱はほぼ100%、5強も90%と高い確率で予想されています。震度6弱でも40%以上の可能性があるので、いざという時の備えをしておきましょう。

東京近郊で地震に見舞われる確率(出典:確率論的地震予測地図(震度6強以上の揺れに見舞われる確率)|国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション)2025年2月9日閲覧

震度6強以上の揺れに見舞われる確率を東京近郊全体で見ると、中村橋駅周辺と同程度の確率が広範囲に及んでいます。中村橋駅周辺における震度6強以上の揺れに見舞われる確率は、東京近郊の中では標準的な予想となっています。

中村橋駅周辺の地震リスク|総合的な危険度は北側エリアのリスクがやや高め

東京都が提供する「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」で、地震発生時の各種リスクを見ていきます。この地図では地区ごとに5段階でランク付けされており、ランク1が最も低リスクで数字が上がるにつれてリスクが高くなります。

地震発生時の建物倒壊リスクはランク1と2の地区が大半となっており、比較的低リスクと予想されています。火災危険度では、中村橋駅の近くにランク1の地区が集中しています。

これらの要素を総合した「総合危険度」では、駅の北側にランク3の地域が複数あり、南側に比べるとややリスクが高い傾向が見られます。

中村橋駅周辺の「建物倒壊危険度」

出典:東京都不燃化ポータル|地震に関する地域危険度測定調査(第9回)2025年2月9日閲覧
同上

中村橋駅周辺における建物倒壊危険度は、ランク1からランク3までの地区があります。

最も低リスクとなるランク1の地区は、上鷺宮2・3丁目と向山1丁目、中村北1・2・4丁目、中村南3丁目です。

ランク2の地区が最も多く、上鷺宮1・4丁目と向山2・3丁目、中村1・2・3丁目、中村北3丁目、貫井1・2・3・4・5丁目、練馬3丁目が該当しています。

中村橋駅周辺で最も高リスクの場所はランク3の向山4丁目となっています。

中村橋駅周辺の「火災危険度」

出典:東京都不燃化ポータル|地震に関する地域危険度測定調査(第9回)2025年2月9日閲覧
同上

火災危険度でもランク1からランク3までの地区がありますが、建物倒壊危険度に比べるとランク3の地区が若干多く見られます。

ランク1には、上鷺宮3丁目と向山1丁目、中村3丁目、中村北1・2・4丁目、貫井1丁目が該当しています。

ランク2の地区は、上鷺宮1・2・4丁目と向山2丁目、中村1・2丁目、中村南3丁目、貫井2・5丁目、練馬3丁目です。

ランク3に該当する地区は、向山3・4丁目と向山4丁目、中村北3丁目、貫井3・4丁目となっています。

中村北3丁目を除けば、中村橋駅周辺の地域は、比較的リスクが低い傾向です。

中村橋駅周辺の地震に関する「総合危険度」

出典:東京都不燃化ポータル|地震に関する地域危険度測定調査(第9回)2025年2月9日閲覧
同上

中村橋駅周辺は、総合危険度でもランク1からランク3までの地区が見られます。

ランク1に該当する地区は、向山1丁目と中村1丁目、中村北1・2・4丁目、中村南3丁目です。

ランク2の地区は、上鷺宮1・2・3・4丁目と向山2丁目、中村2・3丁目、中村北3丁目、貫井1・2・5丁目、練馬3丁目となっています。

中村橋駅周辺で最も高リスクとなるのは、ランク3の向山3・4丁目と貫井3・4丁目です。

総合的な地震リスクでは、ランク3の地区は中村橋駅の北側エリアに集中しています。中村橋駅の南側エリアは比較的低リスクと予想されています。。

中村橋駅周辺の災害事例|複数回の集中豪雨による被害

練馬区と中野区のホームページでは、過去に区内で発生した浸水被害を掲載しています。練馬区のホームページでは平成元年以降の被害、中野区のホームページでは昭和60年7月14日から現在までの被害が閲覧できます。

中村橋駅周辺では、平成の時期に8度の床上浸水が発生しています。そのうち7度が集中豪雨による被害となっており、局地的な大雨によって浸水が起こりやすい地域のようです。

また、東京都が提供している「水害リスク情報システム」の浸水実績図でも、都内で発生した浸水被害を確認できます。この実績図では、中村橋駅周辺において3度の被害が記録されています。

練馬区・中野区の浸水事例(床上浸水)

平成元年8月1日集中豪雨練馬区向山3・4
練馬区貫井5
平成3年9月19日台風18号中野区上鷺宮4
平成11年7月21日集中豪雨練馬区中村1・2
練馬区中村北1・2・4
練馬区向山2・3・4
中野区上鷺宮4
平成11年8月24日集中豪雨練馬区中村1・2
平成13年7月18日集中豪雨練馬区中村1・2
練馬区中村北4
練馬区貫井3・4
中野区上鷺宮4
平成17年8月15日集中豪雨練馬区中村1・2
中野区上鷺宮4
平成17年9月4日集中豪雨練馬区中村1・2
練馬区中村北4
練馬区向山1・2・4
練馬区貫井1・3・4
中野区上鷺宮4
平成22年7月5日集中豪雨練馬区向山2・4
練馬区貫井3・4・5
参考:浸水履歴|練馬区ホームページ中野区内水害被害記録一覧(昭和60年~)|中野区ホームページ2025年2月21日閲覧

上の表は、練馬区と中野区で提供されている浸水実績をもとに、中村橋駅周辺における床上浸水の被害をまとめたものです。

中村橋駅周辺では、平成元年から平成22年までの間に8度の床上浸水が発生しています。台風による被害は1度だけで、ほとんどが集中豪雨によるものです。

床上浸水は、練馬区向山4丁目や中村1・2丁目でやや多く発生しています。

東京都「水害リスク情報システム」に掲載された浸水実績図

出典:東京都「水害リスク情報システム」浸水実績図2025年2月9日閲覧

東京都の「水害リスク情報システム」では、1989年(平成元年)7月26日から2019年(令和元年)10月13日までに都内で発生した浸水被害を地図上で確認できます。

浸水実績図では、中村橋駅周辺において3度の浸水履歴が掲載されています。

掲載されている中で最も古い被害は、1989年(平成元年)8月1日の大雨(雷雨)による被害。練馬区向山3・4丁目や貫井1・4・5丁目で発生しています。

翌年の1990年(平成2年)8月8日にも、浸水被害が起きています。台風11号による水害で、練馬区向山4丁目や貫井2丁目で浸水しました。

直近の被害は、2005年(平成17年)9月4日の集中豪雨によって発生したものです。練馬区貫井3丁目で床下浸水4棟、床上浸水19棟の被害が出ています。

石神井川の水害対策

近年、気候変動による集中豪雨の増加が問題となっています。各地で浸水被害が頻発するようになり、自治体や関係機関などは対応に追われています。

石神井川流域でも多数の浸水被害が発生しており、100棟以上が被害に見舞われた洪水も少なくありません。練馬区・中野区の浸水事例にもあったように、平成17年9月4日の集中豪雨では中村橋駅周辺において複数の地区で浸水しています。石神井川流域の全体では、921棟に上る浸水被害が発生しました。

現在、石神井川流域では1時間あたり75mmの降雨量に対応できるように、護岸整備・河床掘削・調節池の整備といった洪水対策が行われています。中村橋駅周辺を含む護岸整備が完了している区間では、下流の河道や調節池の整備に合わせて河底を掘り下げる工事が進められているところもあります。

調節池の整備は「環状七号線地下広域調節池」の工事が進行中で、完成している白子川地下調節池と神田川・環状七号線地下調節池につながるトンネル式調節池となる予定です。環状七号線地下広域調節池が完成すると、白子川地下調節池と神田川・環状七号線調節池を合わせて、約143万㎥の水が貯留できるようになります。

令和3年度末時点で石神井川の護岸整備は76%完了しており、河床掘削や調節池の整備などを含めた全体の対策は70%まで進んでいます。

参考:石神井川|東京都建設局環状七号線地下広域調節池(石神井川区間)|東京都建設局

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