不動産に関わる人に、より主体的な選択を【媒体概要】

不動産マーケット動向調査【2026年9月度】

市況・マーケット
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執筆者
(株)トラスト・ファイブ マーケティング担当

不動産開発会社「株式会社トラスト・ファイブ」。首都圏で30年近く不動産に関わってきた経験・知識を公開します。賃貸・購入時の判断、建物の維持管理、地域との向き合い方まで、ブラックボックスと言われがちな不動産業界において、不動産に関わる人がより主体的に選択できる社会を目指しています。
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当記事は、売買マーケット・賃貸マーケット・投資家動向・建設業界市況について、各社が発表する調査レポートやニュースリリースを横断的に俯瞰し、注目すべきトピックを月次でまとめたものです。

各分野の動向を一覧できる形でお届けしますので、日々の情報収集の一助としてご活用ください。

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不動産マーケット動向調査【2026年9月度】

売買マーケット

• 四半期別では、決算対策の売却が集中しやすい第1四半期が前年同期比2%増の1兆5129億円、第2四半期が同22%増の7630億円と、期を追うごとに勢いを増している。
出典:日経不動産マーケット情報

• 2026年上半期の日本の商業用不動産投資額は3兆7517億円(前年同期比+17%)で上半期として過去最高。第2四半期単独でも1兆6765億円と、第2四半期として過去最高を記録した。
出典:JLL「ジャパン マーケット ダイナミクス 2026年第2四半期」(日経不動産マーケット情報掲載の要約)

• 第2四半期の事業用不動産の投資額は前年同期比17%増の1兆1,210億円で、第2四半期として金融危機後初めて1兆円を上回った。サッポロホールディングスの不動産事業売買が最大案件で、オフィス・ホテル・物流での国内投資家による100億円以上の取得が牽引した。
出典:CBRE「ジャパンインベストメントマーケットビュー 2026年第2四半期」

• セクター別割合はオフィス45%、住宅19%、物流14%、ホテル12%、商業施設5%。地域別では東京都心5区が43%、都心5区を除く東京都が23%を占め、投資の約3分の2が東京に集中している。
出典:JLL(日経不動産マーケット情報掲載の要約)

• 2026年第2四半期において東京オフィスの空室率は0.8%(前年同期比-1.7ポイント)、賃料は4万2109円(同+16.4%)でプロパティクロックは「賃料上昇」局面。一方、東京リテールの賃料は11万2686円(同+12.9%)だが、プロパティクロックは「賃料上昇の減速」とされ、商業ビルはオフィスに比べ勢いが落ち着いている。
出典:JLL(日経不動産マーケット情報掲載の要約)

賃貸マーケット

賃料・空室率

• 都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の2026年8月時点平均空室率は1.87%(前月比0.08ポイント低下、前年同月比0.98ポイント低下)。新築ビル10.29%(前月比1.08ポイント低下)、既存ビル1.71%(前月比0.07ポイント低下)。
出典:三鬼商事株式会社「オフィスマーケットデータ」

• 平均募集賃料は坪あたり23,647円(前年同月比+2,620円、前月比+360円)で、31カ月連続の上昇。新築ビルは40,288円と既存ビルの水準を大きく上回る。
出典:三鬼商事株式会社

• 2025年12月時点の区別空室率は、千代田区1.4%、渋谷区1.8%、港区2.5%、新宿区2.6%、中央区2.8%と全区で前年比低下。募集賃料は全区で前年比プラス、特に港区は前年同月比+7.7%と上昇率が拡大。
出典:三鬼商事株式会社(ニッセイ基礎研究所レポート)

大型移転・テナント動向

• 日本システム技術は、JR東日本が開発を進める「TAKANAWA GATEWAY CITY」内のTHE LINKPILLAR 2(港区)へ2026年度中に本社移転予定。
出典:日本システム技術株式会社プレスリリース

• 商船三井は2028年完成予定の赤坂二・六丁目地区再開発への入居を検討中。大規模再開発の竣工に合わせて既存ビルからの移転・集約を図る企業の動きが継続している。
出典:日経不動産マーケット情報

• 大規模ビルの相次ぐ竣工に伴い、港区を中心に既存中小規模ビルで二次空室が発生する見込み。移転企業にとっては好立地の中小規模ビルを比較的抑えたコストで確保できる局面ともなっている。
出典:NOT THE OFFICE

投資家動向

国内投資家・機関投資家の動向

• オフィス特化型J-REITの保有構造は、機関投資家が約45%、外国人投資家が約30%、個人投資家が約25%とされ、機関投資家が引き続き最大の投資主体。
出典:業界推計データ(J-REIT市場分析)

• 直近(2026年9月17日付報道)では、金利上昇を受けJ-REIT指数(東証REIT指数)が年初来13%安に沈む中、割安感や賃料上昇による収益改善期待から、大手を中心とした国内投資家がオフィス系J-REITへの買いを強めており、「海外勢は売り過ぎ」との見方も出ている。
出典:日本経済新聞(2026年9月17日)

海外投資家の動向

• 2026年についてもオフィス投資への関心を維持するとの見方が示されている。背景として、金利上昇局面でのJ-REITによる含み益物件の売却が増加し、優良物件の取得機会が生まれたことが挙げられる。
出典:JLL「2026年はどうなる?日本不動産投資市場の展望」

事業会社のアセットライト化

• 株式市場からの圧力等を背景に、事業会社による本社・保有不動産の売却(アセットライト化)が継続(HISの「神谷町トラストタワー」での本社用2フロアを森トラストへ325億円で売却など)。サッポロホールディングスの不動産事業の海外投資家への売却などが発表されており、今後もポートフォリオ入れ替えの動きが見込まれる。
出典:JLL「2026年はどうなる?日本不動産投資市場の展望」

建設業界市況(関東圏)

工事費・労務単価の上昇

• 2026年3月適用の公共工事設計労務単価(全国・全職種加重平均)は25,834円と初めて25,000円を超え、14年連続の上昇(前年度比+4.5%)。特殊作業員28,111円、型わく工31,671円、鉄筋工31,267円など主要職種でも上昇が続く。
出典:国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」

事業中止・延期・計画変更(首都圏中心)

• 帝国ホテルは、2031〜36年度に予定していた「帝国ホテル東京」本館の建替え時期を未定に変更。建設費・労務費の高騰により隣接タワー館の解体工事が先送りとなったことが影響。
出典:共同通信(Yahoo!ニュース、2026年5月)

• 西武ホールディングスは、品川駅前再開発に伴う「グランドプリンスホテル新高輪」の建替え時期を建設費高騰により見直し、2026年度中に予定していた営業終了を撤回して営業継続を決定。
出典:共同通信(Yahoo!ニュース、2026年5月)

• 新宿駅西南口開発事業(京王電鉄・JR東日本)は施工者が決まらず、完成時期が「未定」の状態が続いている。
出典:REDS(仲介手数料無料の不動産情報サイト)

今月のマーケット動向を俯瞰すると、売買マーケットにおいては投資額が第2四半期として過去最高になるなど、拡大基調が続いています。

賃貸マーケットにおいては、賃料が上昇・空室率は減少と、貸し手市場の傾向が強まっています。大規模ビルの竣工が今後の需給バランスに与える影響が注目されます。

投資家動向としてはオフィス系J-REITへの注目度が高まっています。

建設業界市況においては工事費・労務単価の上昇に伴う事業中止・延期・計画変更などが各所で見られており、引き続き注視すべきポイントといえそうです。

各社の調査結果を並べて見ることで、特定分野の動きだけでは見えてこない、マーケット全体の温度感や連動性が浮かび上がってきます。来月以降も、各分野の動向を継続してウォッチし、変化の兆しを見逃さずお伝えしてまいります。

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