お店で非常食を備えるとなったとき、子ども連れのお客様の分は何を備えればいいか悩みませんか?
こんにちは、株式会社トラスト・ファイブが運営するビル・土地の記事メディア担当の大沢しのです。
不動産とは切り離せない「防災」に関する情報を、2歳児を抱えて被災した経験を持つ防災士の立場からリアルな体験談をお届けします。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
- 子どもは月齢や年齢によって食べられるものが限られているため、お店で非常食を備えるなら、子どもも大人も食べられるものにするとよいでしょう。
- 3日分の非常食を備えられるとよいですが、難しい場合は避難所や一時滞在施設などへ移動するまでをしのげる「1食分」を備えるだけでも価値はあります。
- 調理不要で、限られたスペースでも保管でき、アレルギーの特定原材料が入っていないものという視点で選んでみてください。
Q.お店で非常食を備えることになりました。子ども連れのお客様もいるのですが、どんな観点で選べばよいでしょうか?
私の働くお店で、お客様の分まで災害時用の非常食を備えることになりました。お客様にはお子様連れの方もいるのですが、小さなお店で保管場所も限られている中、どんな非常食を選ぶのが良いでしょうか?
ご質問いただき、ありがとうございます。
質問者様のお店ではお客様の分まで非常食を備えることになったのですね。とても意識が高く、すばらしいことだと思います。しかし現実には保管場所にも限りがありますから、避難所のように大々的に備えることは難しいですよね。
ご質問の口調から察するに、普段から子どもの多いお店(ベビー用品店や幼児教室など)ではなく、基本的には大人向けのお店ですが、お子様連れのお客様もいらっしゃる⋯といった状況でしょうか。

子どもの相手に慣れていないスタッフも多いでしょうから、なおさら困ってしまいますよね。
小さなお店でできる備えについて、私の被災経験や防災士としての知識を踏まえて解説していきますね。
A.大人向けの備蓄だけでは足りない
子ども連れのお客様への備えを考えるなら、大人と同じ非常食だけでは不十分です。
乳幼児は内臓の機能が未発達のため、年齢や月齢に応じたものを食べる必要があり、大人と同じものを食べられるわけではありません。特に大人向け食品に多い濃い味付けは負担になりやすいのです。
東日本大震災が起きたとき、私の子どもは2歳8ヶ月でした。
当時のエピソードをご紹介しますね。
親として幼児に大人と同じカップ麺は食べさせられない
震災当日、開いているコンビニで購入できたものは「カップ麺」と「アンパンマンのビスケット」だけでした。
しかし、当時2歳児だった我が子には、まだカップ麺を食べさせないようにしていました。食べるものが少ない状況でも、親として、幼児にカップ麺のような塩分の多い食品を食べさせたくないと感じました。
非常時ということもあって悩んだのですが、子どもにはアンパンマンのビスケットだけを食べさせました。子どもが喜んで食べてくれたうえお腹も満たしてくれたので、ホッとしたのを覚えています。
このような経験から、大人基準で選んだ非常食では、子どもには不十分な可能性がある、ということはお伝えしていきたいです。
乾パンは、子どもには食べにくい
また、非常食の定番として「乾パン」を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、乾パンは硬く水分が少ないため、小さな子どもには噛み砕きにくく、飲み込みづらい食品です。
うまく噛めずに喉につまらせてしまう危険もあるため、乾パンだけに頼るのは避けたほうが安心です。
「店舗で備える非常食」の選び方

では、店舗ではどのような視点で非常食を備えたらいいかお伝えしていきますね。
帰宅困難者対策のガイドラインでは、
- 備蓄量の目安は従業員の3日分とするが、3日分以上の備蓄についても検討する
- 外部の帰宅困難者(来客者等)のために、例えば、10%程度の量を余分に備蓄する
という目安が示されています。
参考:内閣府防災情報のページ | 災害発生時における大規模な帰宅困難者の発生の対策に関するガイドライン
保管スペースに余裕があるなら、目安の通りに備蓄を行いましょう。
来客分までを備えることが難しい場合は、近隣の避難所や一時滞在施設への移動が可能になるまでの「その場をしのぐための1食」だけでも備えておく、という発想で選ぶとよいでしょう。
混乱が収まったら、避難所や一時滞在施設などへ案内できるよう、近隣の施設を調べておいてくださいね。公民館や大規模商業施設、大規模オフィスビル、学校などで設置予定となっていることが多いようです。
それでは「その場をしのぐための1食」として適切な非常食の選び方をご紹介しますね。
調理不要で「そのまま」出せるもの
災害直後は停電・断水していることも多く調理が難しい状況が想定されます。
飲料水を備えていたとしても、水で戻す調理には時間がかかります。湯煎が必要なものも、お湯を沸かすことが難しいでしょう。
「その場をしのぐための1食」には、封を開けてそのまま食べられるものが適切です。
限られたバックヤードでも保管できるもの
保管スペースは限られていますから、常温保存でき、かさばらず、賞味期限が長いものを選ぶとよいでしょう。
バックヤードの一角に置くことができ、日常のローリングストックにも組み込みやすくなります。
アレルギー対応のもの
食物アレルギーは、生死に関わることもある重要な問題です。
しかし当日どんな方が来店するかは事前にはわからないため、幅広い可能性に対応できるよう「特定原材料」を使っていない食品を選ぶことが大切です。
特定原材料は「アレルギーを持っている方が多い食材」であり、これ以外の食材であればアレルギーの原因にならないわけではありません。
たとえば、「米アレルギー」といった珍しいアレルギーも存在しているため、自己判断は厳禁です。お子さんに配布する際には、必ず保護者にアレルギーの有無を確認しましょう。
子どもも大人も一緒に食べられる、おすすめの非常食
それでは、具体的にどのような商品を選べばよいのか、農林水産省「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」も参考にしながら、私のおすすめの非常食を紹介していきます。
乳幼児は年齢・月齢によって食べられるものが異なるため、小さなお店で備えるなら幅広い年齢で食べられるものを選びましょう。乳幼児でも食べられる柔らかいものを選ぶと、高齢のお客様への対応にもつながります。
常温保存できるレトルトおかゆ・柔らかいご飯
小さな子どもや高齢の方でも食べやすく、大人もそのまま主食として食べられます。
ビスケット
食器やスプーンも不要で、そのまま食べられるのが魅力です。小さな子どもも食べやすい、柔らかいものを選びましょう。
魚肉ソーセージ・チーズ入りの保存食品:
調理不要でたんぱく質が摂れ、子どものおやつ代わりにも使えます。防災備蓄用の長期保存タイプもありますよ。
ゼリー飲料
水分と最低限のエネルギーを同時に補給でき、食欲がないときでも口にしやすいです。
液体ミルク
開封してそのまま飲めるため、乳児連れのお客様がいた場合の備えとして検討する価値があります。
哺乳瓶がなくても授乳できるタイプの商品を選び、専用のアタッチメントを併せて備えておけば、安心ですね。
災害に備えてお店に非常食を備えるなら、もし子ども連れのお客様が滞在していたとき、「うちには子どもが食べられるものがない」と困らずに済むよう、子供向けの非常食も備えておきましょう。スペースが限られているなら年齢を問わず食べられるものがよいでしょう。
帰宅困難者対策としては3日分を備えておくことが理想ですが、避難所や一時滞在施設などへ移動するまでの間をしのげる1食分でも価値はあります。
調理が不要で、限られたスペースでも保管でき、アレルギーの特定原材料が入っていないもの⋯この3つの観点を意識するだけで、いざというとき子ども連れのお客様にも安心して過ごしていただけることでしょう。







