この連載は、実家暮らしをしている新卒2年目の20代女子が、一人暮らしへの憧れから「オトナ女子のよりよい暮らし」を求めて部屋選びをする という、1話5分のあるある満載のwebノベルです。
「そろそろ一人暮らししたいな」と考え始めたあなた…!一人暮らしする前の準備を整えやすくなるかもしれませんよ!
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著:蛙田アメコ / イラスト:八咲ヒサ
「アイスうま~い」
お風呂上り、濃厚バニラの棒アイスをぺろぺろと舐めながら伸びをする。
明日も仕事だけれど、この一瞬だけは世界は丸ごと私のものって感じだ。うーん、最高!
「あ~~~家賃1000円で新築駅近システムキッチンバストイレ別広々8畳ワンルームがあればいいのに~~~!!」
スマホをぽいっ!
ころん、と布団に寝っ転がる。
今日の仕事もくたびれた。
というか、通勤に疲れた。
今まで、意識しないようにしていた分、「会社と家が遠い!」「通勤しんどい!」と思ってしまうと、そればっかり考えるようになってしまう。
人間の心って不思議だ。
「はぁ~、この間の部屋……電熱線コンロでさえなければなぁ……」
アルアル不動産の田中さんは、
『慣れれば大丈夫だし、電熱線コンロの上に板をおいて卓上コンロで調理している人もいますよ」
って言っていたけど、それってカセットコンロのボンベを常に買っておかなきゃいけないってことだよね……それはちょっと……。
「やっぱり、家賃が安いなら安いなりの理由があるんだなぁ……」
はーぁ、とお馴染みの自分の部屋の天井を眺める。
ちゃんと引っ越し、できるのかなぁ。
ふと、思い立つ。
部屋が安い理由って、どんなものがあるんだろう。
「じ……事故物件とか聞いたことあるけど、この間行った部屋も……まさか……?」
検索、検索。
『賃貸 安い理由』――っと……。
「あ、意外と事故物件って出回ってないんだ……えっ、ちかごろは事故物件があえて人気!? ひぇ~」
なるほど、幽霊とか信じていない人からすればリフォームしたてのお家に安く住めるっていうことなんだ……。ぶるぶる。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ本当に幽霊がでたらどうしよう……って思っちゃうタイプだから、個人的には遠慮したいかも。
「えぇー、これはびっくり! 『前に住んでいた家のことですが、家賃が比較的安くて、それなりに築浅だったアパート……土砂災害警戒区域内にちょっと敷地がかぶっていました!』だって……そういうこともあるんだっ! 安いって……やっぱり理由があるんだなぁ……」
うーん。知らない話が、いっぱいだ。
色々なサイトを見て回っていると、ふと見覚えのあるサイト名に行きつく。
「あ、『カーサミア』だ!」
ペパーミントグリーンのサイトカラー。
生活費や家賃相場を調べたときにも、参考にしたサイトだ。
「ふむふむ……家賃を押さえたかったら、マンションよりもアパート……ただしセキュリティ面はマンションの方が安心な部分もある……」
「そっか、キッチンだけじゃなくって洗濯機の置き場所のこともあるんだ……!」
> こんな間取りが理想的♡一人暮らし女子のお部屋選び、ココに注目
お母さんも、「ひとり暮らしはいいけど、安全な家にしなさいね! 夜道が暗いとか絶対にダメよ!」と何度も何度も言ってくる。
たしかに、危ない目にあっても家には自分ひとりと可愛いもっふもふの猫ちゃんしかいないんだもんね……強くて格好いい彼氏ができるまでは。
「そうだ。安心な家を選ぶときのポイントっていうのメモしておこう!」
色々と見て回ったインターネットの情報をまとめてみる。
10分後、私の手帳にはこんなリストができあがっていた。
◆物件探しチェックポイントリスト
・ 月7~8万円前後の家賃(管理費、共益費込)
・ 駅から徒歩15分以内
・ 会社からドアtoドアで1時間以内
・ 洪水・土砂災害・津波のリスクがない場所であること
(ハザードマップをチェック)
・ 2階以上 、できればオートロック&カメラ付きインターホン
・ バストイレは別、3点ユニット(トイレも一緒のやつ)はNG
・ 洗濯機は室内必須、置き場所と家事動線の確認
・ 玄関に大きめな物入がある、室内の収納スペースも確認
・ …できたらペット飼育可能
「おお~! 今まで、駅とか家賃とかばっかり考えてたけど……けっこう具体的になってきたかも!?」
やるじゃん、私!
*** TIPS ***
家を探しているとき、同じようなエリアなのに突然安い物件があることがありますよね。「やった!良い物件見つけた!」と掘り出し物であればいいのですが、不動産は、需要と供給のバランスで家賃や価格が決まることが多いので、ぬか喜びは危険です。
「需要」と「供給」のバランスで決まるとなると、【人気のエリア】や【利便性の高いエリア】で他の物件よりも明らかに安い場合は、家村さんが気になった通り何か安い理由があるということになります。
・駅から遠い
・建物が古い
・部屋が狭い
など、分かりやすい要因がない物件は、「事故物件※1」だったり「土砂災害警戒区域※2」だったり「近隣問題※3」を抱えてる場合などがあるので、注意が必要です。
※1:事故物件/物件の専有部分(各住居)または共用部分で、何らかの原因で前居住者が死亡した経歴のあるものの通称。
※2:土砂災害警戒区域/土砂災害防止法という法律に基づき、長雨・大雨等により土砂災害が発生する恐れのある地域を「土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)」「土砂災害特別警戒区域(通称:レッドゾーン)」として設けている。不動産契約(賃貸・売買)でも説明義務のある重要な項目。
※3:近隣問題/なかなか表に出てこない、賃料や価格が安くなる理由のひとつ。騒音問題や人間関係などの問題で、居住者が安定しない場合に賃料や価格が安くなるケースがある。
住んでから後悔するような物件を選ばないように、きちんと自分に合った判断基準を準備しておきましょう!
次回「9話 実家女子、基準を持つ!」