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【腐女子、家を買う。】13話 腐女子、事前審査を受ける。

連載|腐女子、家を買う
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この連載は、「一人暮らしで趣味を満喫しているオタク女子(そして腐女子)が家を買ったら……?」という物語を描く、1話5分のほっこりwebノベルです。

「家を買ったときの話、身近な友達には聞きにくい……」そんな疑問が解決するかも!

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(はぁあ……、まだメールは来てないなぁ)


 仕事帰りに、Twitterに流れてくる推しのピクチャーにいいね♡を押しまくりながらも(神絵師、ありがとう!)、そわそわと落ち着かない気持ちがとまらない。
 推しは今日も顔がいい。
 そして、私はいま……金融機関の事前審査をうけているのだ!


(こんなにドキドキするものだとは……舞台のチケットとかで「ご用意できませんでした」には慣れているはずだったけど、こう、重みが違う!)


 あ、好きな絵師さんの新作イラスト。
 わあ、好きなカプ(※カップル。腐女子が発言する場合は男性同士のカップルである場合がほとんど)好き。
 ちょっとえっちな雰囲気~~~っ、いいね♡


(しかし……通ってなかったらショックだな、住宅ローン……いや、通っていてもドキドキだけれど!)


 ローンのことを考えて渋い顔。
 推しのことを考えてハッピーな顔。

 表情筋が忙しい。


(だ、だってこれで審査が通って、手付金を払ったら、もう引き返せないんだぞ……!)


 そのとき、ピロン♪ とスマホが鳴る。
 おっと、音消し忘れていた。

 メッセージの着信だ。

 相手は、大親友で長年のオタ友、そして家を買った先輩でもある結城梓さんこと「ずにさん」。
 彼女からのメッセージには、こう書いてあった。


『うち、家買ったとき一番緊張したんが事前審査通った瞬間やったよ~。引き返せないって感じで♡』


 って!
 ずにさん、どうしてそんなに不安にさせるようなことを!!!
 彼女、ちょっと小悪魔っぽいところがあるもんな……悪い女だ。


(えっと……ずにさん、あとでちょっと通話しましょ……っと)


 家を買いたい、という相談をしてからずにさんと連絡を取る機会がなんとなく増えた。
 最近は毎晩のように通話をして、家を買ったらやりたいことリストをいっしょに作ったりもしている。


(もう、なにが『引き返せないって感じで♡』だ。直接文句を言ってやる~!)


 あと、週末にランチに行こうって誘ってやる。
 私はそう決意した。


   * * *


 ――そして、数日後。

「と、と、通った……!?」


 打診をしていた金融機関から、住宅ローン事前審査が無事に通ったという連絡があった。
 カーサミアクラブの担当・吉村さんともすぐに連絡を取り合う。

 これで、あの大井町のひろびろ収納ワンルームが私の城に!
 ずにさんの住む品川とも一駅、なんなら根性出せば歩ける距離!!

 どきどき、と期待に胸が高鳴る。
 と、同時に。
 ぞわぞわぁ~っと、緊張で背筋が震えた。


「これで、手付金を払ったら引き返せないぞ……っ!」


 さっそく吉村さんから返信が届く。
 お祝いのメッセージとともに、結構な長文が送られてきていた。


「なになに……物件の契約当日は宅地建物取引士による重要事項説明書の読み合わせ、状況報告書、付帯設備表の読み合わせ、売買契約書の読み合わせ、手付金の支払い、重要事項説明書・売買契約書・媒介契約書への署名捺印がありますので……2時間くらい予定をみておいてください。住宅ローンの正式申込も行います」


 おお、おおお……。
 話には聞いていたけど、当日も結構大変そう。
 ローンの正式申込も、住民票や源泉徴収票などを集めて、実印も作っておかなくちゃいけないようだ。


「浮かれてばかりもいられないな……やること多いぞ!」


 私は奮い立って、やることを書きだした。
 あ、そうだ、ずにさんにも報告しよう。
 ずにさん、きっと「お祝いしよ!」って言ってくれるんだろうな。
 品川駅にある生ハム食べ放題の朝食ビュッフェ行ってみたいから、誘ってみようかな。楽しみだな。

 そんなことを考えながら、ずにさんにもメッセージを送信する。

「えっと……『トウキチ、やりました!』っと」

 推しのスタンプも、ぽち。

*** TIPS (1) 購入の流れ ***

気に入った物件に出会ったら、購入の意思を示す「買付申込書」を出します。
住宅ローンを利用する方は、同時に事前審査もスタート!

手続きの流れはだいたいこんな感じになります。
(専門用語には「不動産用語集」のリンクを貼っています。より詳しく知りたい方は、リンク先もご覧くださいね)


物件の申込・住宅ローン事前審査
物件の購入意思を示し、同時にローンの事前審査を開始します。
事前審査の申込から1週間くらいで連絡があります。
 ↓
(1週間~10日後)
 ↓
物件の契約・住宅ローン正式申込
同じ日にやることが多いですが、書類や実印の準備が間に合わなければ別の日でもOK。
・契約
2時間くらいかかります。
物件に関する重要事項説明を受け、売買契約を締結します。
この時に手付金を支払います。
・住宅ローン正式申込
住民票課税証明書などの【 公的書類 】と【 実印 】が必要になります。
正式申込から10日前後で、結果が出ます。
 ↓
(約10日後)
 ↓
金銭消費貸借契約
金銭消費貸借契約は、1時間くらいかかります。
ローンに関する重要事項の説明、借入の条件の確認を行い、住宅ローンの契約を行います。
 ↓
(5~7日後)
 ↓
融資実行・決済・引渡し
融資実行決済引渡しは、一般的に全て同じ日に行います。
合計で2時間くらいかかります。
融資実行(住宅ローンの実行)
 金融機関から自分の口座に、住宅ローンのお金が振り込まれます。
・決済
 売主へ:物件金額+管理費等の精算金などを振り込みます。
 不動産業者へ:仲介手数料を振り込みます。
・引渡し
 物件の鍵を受け取ります。
 これでいつでも、自分の部屋として出入りできるように…!
 ↓
(後日)
 ↓
登記(司法書士に依頼)
登記が終わると、司法書士から登記簿謄本が送られてきます。
大切に保管してくださいね。

*** TIPS (2) ***

家を買うとき、団体信用生命保険(団信)のことが気になる方もいらっしゃるでしょう。

「持病があるけど保険に入れるかな?」
「睡眠薬をもらったら、もう生命保険に入れないの…?」
など不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

結論から言えば、一人暮らし女性の場合、団信に入る必要は薄いです。

なぜなら団信は、「自分がもし死んでしまったときでも、遺された家族がその家に住み続けられるようにするための生命保険」だから。

銀行ローンの場合は団信加入が条件とされていることが多いですが、フラット35では団信に入らないことを選べます。(ちなみに団信に入らない場合、死んでしまったときは、その家が金融機関のものになります。)


そうは言っても、団信の三大疾病特約(ガン・急性心筋梗塞・脳卒中などの病気になったときに保険がおりて、住宅ローンを払わなくてよくなる仕組み)に魅力を感じる方もいらっしゃるでしょう。

でも、病気になったときに住居費の心配をしないためなら、医療保険や収入保障保険という手もあります。

団信以外の保険で保障をかけるほうが、種類も多く、対応も柔軟です。若くて健康な人は保険料が安くなったり、非喫煙割引があったりします。既往歴がある場合も、不担保特約をつけるなどの対応があります。

金額も自由に設定できるので、費用を抑えて必要最低限のみの保障にすることもできますし、逆に、団信ではまかなえない費用(管理費・修繕積立金など)の分まで保険をかけることもできます。
必要な保障金額の考え方は、賃貸のときと同じです。
(参考:【FP直伝】医療保険の選び方

団信にこだわらず、ご自身の必要に合わせて、柔軟に保障内容を設定してくださいね。

次回「14話(最終回)腐女子、家を買う。

毎週水曜・土曜更新!

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