「防災って大事だよね」と思いながらも、きっかけがないと、なかなか動けないのが本音です。
そんな中、普段から使っているアイテムが、そのまま災害時にも役立つとしたら?
こんにちは、カーサミアライターのあんどうです。
今回ご紹介する『アイラップで簡単レシピ お役立ち防災編: いつもの食事が災害時の備えにもなる!』(島本美由紀・著 / Gakken)は、日常の料理に便利な“アイラップ”を活用して、効率よく、そして無理なくできる防災のヒントを詰め込んだ一冊です。
料理の手間を減らしながら、いざという時の備えもできる本ですので、最後までチェックして下さいね。
『アイラップで簡単レシピ お役立ち防災編』ってどんな本?

日常使いしているポリ袋「アイラップ」(岩谷マテリアル株式会社)を活用し、普段の食事をそのまま“災害時にも対応できるレシピ”にする。
そんな実用的なアイデアを詰め込んだ一冊が『アイラップで簡単レシピ お役立ち防災編』です。
著者は、テレビや雑誌でも活躍する料理研究家・防災士の島本美由紀さん。
調理器具が限られた状況でも手軽に作れる湯せん料理を中心に、非常時に役立つ知識や工夫をわかりやすく紹介しています。
本書では、「(在宅避難時に)冷蔵庫の中身をどう使い切るか」「水やガスが限られた中でどう調理するか」といった実践的な内容に加え、備蓄に向いた食材や、アイラップの多様な使い方、持ち出し袋のチェックリストまで掲載。
料理初心者や防災にあまり関心がなかった方でも、読み進めるうちに自然に「備えること」の意味が見えてくる構成となっています。
『アイラップで簡単レシピ お役立ち防災編』を読んだ感想
日常の延長線上にある「防災」
『アイラップで簡単レシピ お役立ち防災編』を読んでまず感じたのは、防災を特別なものではなく、日常の延長として自然に取り入れられるよう工夫された、親切な本だということです。
アイラップを使った湯せん調理がメインの本書ですが、普段あまりなじみのない調理法だけに、少し構えてしまう人も多いかもしれません。
しかし、必要な道具や代用品、注意点まで丁寧に解説されていて、「ないものは工夫すればいい」という前向きなスタンスが全体に貫かれています。
初心者にもやさしい防災実践知識
たとえば、ペットボトルキャップで水を量る方法や、湯せん時に鍋底へお皿を敷く理由など、ちょっとした豆知識を多く紹介されています。
どれも、知っているだけで災害時に慌てずに済む内容ばかりです。
また、レシピの並び方も特徴的で、「食料の配給が始まるまでに、冷蔵庫の中身をどう使い切るか」という視点で構成されています。
食材の消費期限を意識して、非常時でもきちんと食事がとれるようになっています。
材料を完璧に揃えなくても大丈夫
本書は、「材料を全て揃えて完璧に再現する」ことが目的ではありません。
むしろ、いくつか実践してみることでアイラップ湯せん料理のコツを体で覚え、日常でも応用できるようになることが大切だと感じました。
特に印象に残ったのは、レトルトのパスタソースや粉チーズ、缶詰など日持ちする食材を活用したレシピが多いことです。
これなら次回の買い物から少し意識するだけで、無理なくローリングストック(普段使いしながら備蓄する方法)を始められそうだと思いました。
ちなみに私は、あまり食材をストックしないタイプです。
本書を読みながら、「今、家にあるもので何が作れるか?」と考えてみたところ、せいぜい、ハムとチーズのオムレツくらい。
備蓄食料に関する意識を改めないとと反省しました…!
暮らしの知恵と防災をつなぐ情報が満載
他にも、「冷凍庫はぎゅうぎゅうにしておいたほうが、停電時に冷気が長持ちする」といった暮らしの知恵も随所に盛り込まれています。
読み進めるうちに、「今できる備え」が少しずつ見えてきました。
本書はレシピ本としても実用的ですが、それ以上に「防災を考えるきっかけ」として非常に優れています。
防災に苦手意識がある方や、何から始めていいかわからない方にこそ手に取ってほしい一冊です。
レシピを参考に、アイラップを使って湯せん調理をしてみた
今回は、本書に掲載されている「ハムとチーズのオムレツ(P57)」のレシピを参考にしつつ、「今、冷蔵庫にあるものでアイラップ湯せん料理をやってみる」を実践してみました。
ちなみに、これまでお肉の漬け込みなどにアイラップを使うことはありましたが、湯せん料理に使うのは今回は初めてです。

思い立った時点で用意できた材料は、卵2個、納豆、ピザ用チーズ、牛乳、塩コショウ。

ハムがなかったので、納豆チーズオムレツになります。
まず、すべての材料をアイラップに入れます。

私は今回うっかりしていて、袋を適当に広げてそのまま材料を放り込んでしまいました…。
そのせいで袋の上部に食材が付着し、ちょっと見た目が汚くなってしまっています。
アイラップは容器にかぶせてから材料を入れるのが正解です。
直接袋に入れると扱いにくくなりますので、みなさまお気をつけください。
材料を入れたら、袋の外から手で揉んでよく混ぜます。

その後、できるだけ食材に近い下のほうで結びましょう。
…のはずだったのですが、私はうまくいかず中途半端な位置で結んでしまいました。
そのまま湯せんにかけたところ、袋の中の空気が熱で膨張してしまい、袋が浮いてきて調理しにくくなってしまいました。結び目の位置、大事です。

さらに、鍋底には耐熱皿を敷いて直接アイラップが鍋に接触しないようにしていたのですが、袋の端が鍋の縁に触れてしまい、そこが焦げてしまいました。袋の位置にも注意が必要です。
また、ガスを節約しようと浅めの鍋で調理したところ、袋がしっかり沈まず、浮いてくるたびにトングで押し込む羽目に……。
これも、袋の結び目と中身の位置関係に原因がありそうですが、本に記載されている通り、ある程度の深さの鍋を使った方が安心です。
そして肝心の湯煎調理の方法ですが、今回は災害時を想定し、沸騰後8分加熱+予熱で10分という手法で調理しました。
ふたをして余熱で火を通すスタイルです。

時間通り湯煎にかけ、完成したオムレツは、外側はしっかり固め、中は少しトロッと半熟。
私は半熟が好みなのでいい塩梅でしたが、しっかり火を通したい方は、予熱時間を少し延ばすかとよいかもしれません。
袋の口を切った後に、もう少し湯煎にかけたい場合は、新しいアイラップに入れ直して湯せんしましょう。
仕上げは、袋の結び目の下をハサミで切って、お皿にそのまま盛り付け。

私は洗い物を減らしたかったので、小どんぶりにご飯をよそい、その上にオムレツをのせて丼スタイルにしました(災害時など徹底的に洗い物を減らしたい場合は、お皿にアイラップをかぶせてから盛り付けると良いです)。
湯せんでもしっかり形が整っていて、見た目も◎。
味も美味しく、しかも油を使わずヘルシー。これは普段のごはんにもアリだなと思いました!
『アイラップで簡単レシピ お役立ち防災編』は、ズボラ飯スキルと一緒に防災意識もアップする本だった!
『アイラップで簡単レシピ お役立ち防災編: いつもの食事が災害時の備えにもなる!』の魅力は、「料理本として読めるのに、読み終えたら防災意識も一緒に上がっている」点にあります。
とくに、防災に不安はあっても何から始めればいいかわからない方や、備蓄がうまくいかないという方にはぴったりの一冊です。
一度読んで終わりではなく、手元に置いて何度も見返したくなるような実用性があります。
また、災害時でも自炊ができて、食事を楽しめるということは、心の安定にもつながります。
すでにアイラップを日常的に使っている人はもちろん、これまで使ったことがないという方にとっても、「食」と「備え」の関係を見つめ直す良いきっかけになるのではないでしょうか。