避難指示ってどんなレベル?2021年の改定について防災士が解説
2021年5月に「避難情報に関するガイドライン」が改定されたことは、みなさんご存知でしょうか?改定にともない、避難情報がわかりやすくなり、逃げ遅れによる被災を防ぐことが期待されています。この記事では、防災士という防災系の資格保有者である私が、防災に関する疑問を解決していきます。今回は、そもそも「避難情報に関するガイドライン」とはなにか、具体的にどのような内容が改定されたのか、私たちが避難の際に気をつけるべきことはなにかを紹介していきます。 2021年5月に「避難情報に関するガイドライン」が改定:2021年5月20日に、災害対策基本法等の一部を改正する法律が公布され、「避難勧告等に関するガイドライン」から「避難情報に関するガイドライン」に名称が改定されました。「避難情報に関するガイドライン」とは、市区町村で発令される避難指示や避難情報の判断基準や伝達方法についての方針が定められたものです。ガイドラインの改定により、市区町村で発令される避難情報が大きく変わります。 ガイドラインが改定された背景は?:ガイドラインが改定された背景として、2020年に発生した7月豪雨(令和2年7月豪雨)があげられます。7月豪雨は、九州や中部地方など日本各地で記録的な集中豪雨が発生し、大河川での氾濫や土砂災害、浸水など多くの人的・物的被害をもたらした災害です。政府は7月豪雨を教訓に、避難対策の強化を検討したことにより、今回のガイドライン改定に至ったのです。 改定されたことによりなにが変わったのか:避難情報に関するガイドラインが改定されたことにより、具体的になにが変わったのか3つの改定内容を紹介します。(改定内容1)警戒レベル3が「高齢者等避難」に変更(改定内容2)警戒レベル4が「避難指示」に一本化(改定内容3)警戒レベル5が「緊急安全確保」に変更 避難の際に私たちが気をつけるべきこと:警戒レベル5での避難ではすでに手遅れ:警戒レベル5「緊急安全確保」はすでに災害が発生している段階であり、発令されてから避難するのでは手遅れと言える状況です。そのため、警戒レベル4の「避難指示」までに必ず避難することが重要です。避難のタイミングを間違わないためにも、それぞれの警戒レベルの意味を事前にしっかり理解しておくことが必要でしょう。 避難方法を普段から決めておこう:いざという時、どこに避難するのか避難方法を普段から決めておきましょう。避難方法は、自宅近くの学校や公民会などの行政が指定した避難場所への立ち退き避難だけではありません。
事前に被害が大きくなることが予想できるのであれば、ホテルや旅館を予約して立ち退き避難する手段もあります。また、近くに両親・親戚・友人などの自宅があるならば、そちらに立ち退き避難する手もあります。別の場所に避難するだけでなく、ハザードマップを確認し浸水・土砂災害に関して安全な場所である場合は、在宅避難を選択するという手段もありますよ。災害時に発令される警戒レベルの意味を理解していない場合、いざというとき適切に避難できない恐れがあります。今回の改定をきっかけに、ぜひ避難情報に関する規定を見直してみてください。