今回ご紹介するのはJR中央線「阿佐ヶ谷」駅。阿佐ヶ谷駅は杉並区の中央に位置しています。
新宿まで中央線快速で直通・約10分、東京駅も30分以内。都内のどこに行くにも便利な立地です。阿佐ヶ谷駅周辺は1人世帯が65%と、一人暮らし男女から圧倒的な支持を集める街。
駅から南北に延びるケヤキ並木と、パールセンターをはじめとした商店街が印象的な阿佐ヶ谷。個性的なお店も多く、どこかほっとできる街並みです。
一方で、地下化された川が流れており、洪水リスクの高いエリアがあります。昔ながらの街並みは、地震後の火災リスクにも注意が必要。阿佐ヶ谷に住む場合は、地区ごとのリスクをしっかりと把握し、対策を取ることが重要ですね。
カーサミアでは、首都圏で30年近く不動産開発を行なってきた「土地のプロ」として、街の住みやすさ、地盤や防災情報などを発信しています。
街で見かける「普通の不動産屋さん」と違って、賃貸物件や中古マンションの紹介をしていないので、不動産屋さんが書きづらいことも記事にできる立場です。
一人暮らしのあなたのお部屋探しに、ぜひ役立ててくださいね。
阿佐ヶ谷駅周辺の基本情報
阿佐ヶ谷駅の概要|20代~40代の一人暮らし世帯に人気の街
杉並区の中心部に位置する街
東京都杉並区にある阿佐ヶ谷駅。区のほぼ中心部に位置します。
駅から南北に中杉通り(都道427号線)が通っており、北に約1kmのところを東西に早稲田通り、南に約600mのところを東西に青梅街道が通っています。
また、中杉通りと青梅街道の交差点には、東京メトロ丸ノ内線「南阿佐ケ谷」駅があります。
阿佐ヶ谷駅周辺の地名
阿佐ヶ谷駅周辺(徒歩15分圏内)の地名は、
北側は、阿佐谷1~5丁目、高円寺北4丁目の一部。
南側は、阿佐谷南1~3丁目と、成田東4丁目、5丁目の一部。
駅名は「阿佐ヶ谷」で、地名は「阿佐谷」と、表記が異なっているんですよ。
25歳~44歳の比率が高く、一人暮らし世帯も多い
阿佐谷駅周辺の人口構成比を見てみましょう。
東京都や杉並区内の人口と比べて、阿佐ヶ谷駅周辺エリアでは「20~24歳」「25~29歳」「30~34歳」「35~39歳」「40~44歳」の男女が多く住んでいます。
女性では「25~29歳」、男性では「30~34歳」の住人が多いですね。
また、エリア内の世帯構成比は、1人世帯が65%超。
東京都内や杉並区全体と比較して、圧倒的に一人暮らし世帯が多いことがうかがえます。
阿佐ヶ谷駅の交通アクセス|新宿10分、アクセス便利な街
阿佐ヶ谷駅はJR中央線、中央・総武線が通っています。新宿まで中央線快速で直通・10分前後、東京駅や渋谷駅も約20分~30分ほどで、とても便利な立地です。
中央線の一部は東京メトロ東西線に直通乗り入れをしています。東西線からは、メトロや都営地下鉄の各線への乗り換えができますので、都内のどこへ通勤するにも便利なことも、一人暮らし世帯に支持されている理由でしょう。
注意点として、中央線快速が使えるのは平日のみ。
土日や祝日は、隣の「中野」駅で快速に乗り換える必要があります。所要時間も5分ほど長くなります。
南側なら、東京メトロ「南阿佐ケ谷」駅も利用可能
駅の南側に住んでいる場合は、東京メトロ丸ノ内線「南阿佐ケ谷」駅も使えます。
複数の路線を使えると、一方の路線で運休があった際にも助かりますね。
バスロータリーは駅の南北に
北側ロータリー
北側は関東バスのロータリーです。
主な行き先
- 中野駅
- 中村橋駅
- 石神井公園駅
- 下井草駅
- 荻窪駅北口
- 阿佐谷営業所
南側ロータリー
南側は都営バス・京王バス・西武バスと、コミュニティバスのロータリーです。
主な行き先
- 都営バス:渋谷駅前
- 京王バス:渋谷駅
- 西武バス:長久保[練馬区]
- 西武バス:大泉学園駅南口
- コミュニティバス「すぎ丸」:浜田山駅、永福町
ほとんどの路線で始発駅ですので、座って乗ることができそうです。便利ですね。
高速バスに乗るなら、中野駅から
2駅隣の「中野駅」からは、羽田空港行きの高速バスや、群馬(草津温泉)、長野、愛知などに向かう高速バスが出ています。
旅行や出張など、お出かけの際には活用できそうです。
阿佐ヶ谷駅周辺の街並み|ケヤキ並木がシンボル
阿佐ヶ谷駅から南北に伸びる中杉通りのケヤキ並木が、阿佐ヶ谷のシンボルです。
阿佐谷パールセンターをはじめ、商店街が多数
阿佐ヶ谷といえば、南口の「阿佐谷パールセンター」がもっとも有名でしょう。
ほかにも「阿佐ヶ谷スターロード商店会」「阿佐ヶ谷 一番街」「阿佐ヶ谷駅北口アーケード街」「いちょう小路」「かわばた通り」「松山通り」「南阿佐谷すずらん商店街」など、多数の商店街が存在しています。
商店街については、記事の後半でも詳しく触れますね。
独自のカルチャーが息づく街
阿佐ヶ谷の街には、街にはチェーン店ももちろん存在していますが、個性的な個人商店や、名画を上映するミニシアターがあり、独自のカルチャーを作っています。
実は阿佐ヶ谷は、明治期には『阿佐ケ谷文士村』という呼び名がついた、文化的に歴史あるエリアでもあります。
都会の喧騒から一歩離れ、四季折々の姿を見せるケヤキ並木の下で、自分の個性を出せる街。それが阿佐ヶ谷の魅力でしょう。
商店街以外は「住居専用」地域
もう少し詳しく街並みを知るため、「用途地域」を見てみましょう。
用途地域とは、街をどのように利用するのかを行政が定めたものです。地域ごとに、建ててよい建物の用途(住居・商業・工業など)や形態が決められています。
たとえば「近所にお店が多い、便利なエリアに住みたい」「空が広く見える、静かな住宅街に住みたい」などの希望は、用途地域を参考にすると叶いやすくなりますよ。
阿佐ヶ谷駅周辺の【商業系】エリア
阿佐ヶ谷駅周辺~南側、(駅の南側の商店街、中杉通りの南側、および青梅街道沿い)は「商業地域」。
駅より北(中杉通りの北側、松山通り、早稲田通り沿い)は「近接商業地域」に指定されています。
南側の「商業地域」のほうが建築規制等が緩やかなため、賑やかなお店が集まりやすいです。「近接商業地域」は、南と比較すると落ち着いた雰囲気になります。
どちらの地域内にも住宅は建てられますよ。
阿佐ヶ谷駅周辺の【住居系】エリア
商業系エリア以外の大半は、「第1種低層住居専用地域」「第1種中高層住居専用地域」に指定されています。
・第1種低層住居専用地域
戸建て、アパート・低層マンション(2~3階建て)を中心とした住宅街。
駅の南北では、比較的北側に多い。
・第1種中高層住居専用地域
中高層マンション、公共施設や小規模の店舗を中心とした住宅街
駅の南北では、比較的南側に多い。
このほか、線路沿いと青梅街道周辺には「第2種中高層住居専用地域」もあります。
阿佐ヶ谷駅周辺の【工業系】エリア
阿佐ヶ谷駅周辺に、工業系エリア(工業地域・準工業地域等)はありません。
阿佐ヶ谷駅周辺の歴史・文化|大正時代から住宅街として発展
明治期には、田畑の多い「阿佐ヶ谷村」「馬橋村」
阿佐ヶ谷駅周辺エリアの古地図(明治初期の地図)を見ると、「阿佐ヶ谷村」、「馬橋村」というふたつの村があったことが分かります。
「馬橋」の地名は、「杉並区立馬橋公園」や「馬橋稲荷神社」として現代に残っています。
阿佐谷北にある「阿佐谷神明宮」と「世尊院」は、明治期から変わらず同じ場所にあったようですね。当時の横書きは右から左に読む形ですから、地図上には「宮明神」「院尊世」と書かれています。
また、現在の阿佐ヶ谷駅周辺に川は見当たりませんが、明治期には複数の小川が流れていました。川の周囲は水田も多かったようです。
地図上で「神田上水」という文字を認めることができますから、神田川の支流でしょう。現在の桃園川幹線の古い姿と思われます。
また青梅街道沿いには、当時から住宅が多かった様子がうかがえます。
大正末期から住宅街に。「阿佐ケ谷文士村」も
大正11年に阿佐ヶ谷駅が開設。その翌年には関東大震災が発生しました。多くの人が被害の大きかった都心部から、被害の少なかった多摩地区へと移り住んだため、阿佐ヶ谷も住宅街として発展します。
移り住んできた人々の中には作家や詩人も多く含まれていたことから、「阿佐ヶ谷文士村」と呼ばれるようになりました。井伏鱒二や太宰治など、有名な作家も阿佐ヶ谷に住んでいたんですよ。
彼らは昭和初期~戦後にかけて阿佐ヶ谷で交流を深め、作品を生み出していました。いまでも阿佐ヶ谷には、彼らの足跡を感じることができる場所がたくさんあります。
阿佐谷七夕まつり
阿佐ヶ谷といえば、七夕祭り。阿佐ヶ谷駅の発着メロディーは、ジャズアレンジの「たなばたさま」になっています。
阿佐谷七夕まつりは、商店街「阿佐谷パールセンター」で1954年(昭和29年)にスタートしました。70年以上続く、阿佐ヶ谷の一大イベントです。
毎年、旧暦の七夕(8月上旬)に開催されます。商店街のアーケードに吊り下げられる、手作りのハリボテ、クス玉、吹き流しなどを眺めながら、お店巡りが楽しめます。
阿佐谷ジャズストリート
「阿佐谷をジャズで明るく元気なまちに」を合言葉に、1995年から30年続いているイベントです。毎年10月末に2日間開催されています。運営は、すべて地域の人々のボランティア。
JR中央線の阿佐ヶ谷駅を中心とする南北2キロの中杉通りに沿って、駅前広場、神社、教会、小・中学校の体育館、企業のロビー、喫茶店、レストランなどがジャズの演奏会場となります。
有料会場、無料会場、路上演奏があり、思い思いにジャズを楽しむ