CO2排出量の削減は、全世界で取り組みたい大きな課題ですよね。この度、ロンドンに建設時・使用時のCO2排出量を大幅に削減した木造6階建ての環境配慮型オフィスが竣工したんですって!こんにちは、カーサミアライターのハルカです。
住友林業株式会社と英不動産開発会社Bywater Propertiesとの合弁会社Paradise11Limitedが英国ロンドンで開発したこのオフィスは、英国ロンドンの木造オフィスでは最大規模(住友林業株式会社調べ)なんだそう。
詳細をチェックしていきましょう!
CO2排出量の削減や環境配慮に特化したオフィス

資材調達から建設工事完了までのCO2排出量の削減や環境性能の高い設備導入で環境配慮に特化した、英国の環境性能基準を満たしたオフィスなんですって!
エンボディドカーボン排出量削減

ソフトウェア「One Click LCA」(住友林業が日本単独代理店契約を締結したソフトウェア。原材料調達から加工、輸送、建設、改修、廃棄時まで建てるときのCO2排出量(エンボディドカーボン)を精緻に算定できる。)で試算をした結果、資材の製造、運搬、建設、修繕、解体など各工程にかかる「エンボディドカーボン」のうち、修繕と解体を除くCO2排出量(アップフロントカーボン)を床面積1㎡あたり413㎏CO2eに抑制しているということです。
英ロンドン全地域を管轄する広域自治体であるGLA(グレーター・ロンドン・オーソリティ。グレーター・ロンドン全体(特別区32とシティ・オブ・ロンドン)を対象に2000年に設立されたロンドン大都市圏を管轄する広域自治体) が、プロジェクト着工前計画時に示していた新築オフィスにおけるアップフロントカーボン基準値1,000㎏CO2e/m2と比較して約6割の削減となり、さらに木造建築により建物全体で約1,900トンCO2eの炭素を固定しているそうです。
オペレーショナルカーボン排出量削減
建物の利用時に発生する「オペレーショナルカーボン」を高遮熱性能の外壁や屋上太陽光発電の設置による自家発電で削減できるそうです。
建築物の稼働中のエネルギー効率を示す「EPCレート」(2007年から欧州連合政策として開始した、建物のエネルギー効率をA(高)~G(低)レベルに分類して評価する制度)は最高評価のAを取得したということです。
スマートビルディング認証の「WIRED SCORE」は最高評価のPlatinumを取得しており、環境認証の「BREEAM」はExcellent、健康配慮型オフィス認証の「WELL」はGoldを取得予定だということです。
サーキュラーエコノミーを実現する建築資材循環型モデル
建物には約2,300m3の木材が使用されているそうです。構造材として使用する木材の約80%は建物解体後に再利用可能な設計だということです。
木材を建物の解体後に他の建物に再利用することでCO2を長期間固定でき、資源の循環を最大化しサーキュラーエコノミーを実現するということです。
環境配慮型不動産開発をする背景

世界の産業別のCO2排出量のうち37%が建設セクターからで、エンボディドカーボン・オペレーショナルカーボンの排出量を含めた建物のライフサイクル全体のCO2排出量の削減が求められているそうです(出典:Alliance for Building and Construction(2023))。
英国政府は2050年までにGHG(温室効果ガス)排出量をカーボンニュートラルにする目標を掲げており、オペレーショナルカーボンの排出削減に向け「EPCレート」がFレベル以下の建物の賃貸(新規契約・更新を含む)をすでに禁止。
2030年にはBレベルに満たない非住宅建物の賃貸を禁止する方針だということです。
一方、2023年時点で Bレベル以上のオフィス物件は英ロンドンで2割程度と環境性能基準を満たしたオフィスの供給は不足、今後環境性能の高い建物の需要拡大が予想されているそうです。
物件の特徴

建物内部の梁、柱、天井など構造材を現す仕上げとしバイオフィリックデザインを取り入れ、木の雰囲気やぬくもりを体感できるそうです。
緑豊かな公園に隣接し、約100台分の駐輪場やシャワールームを完備するなど快適な職場環境を提供し、ロンドン市内の主要路線に面したランドマーク的な木造建築物となるそうです。
エリアの特徴

ロンドン市内で再開発が進むテムズ川南岸のエリアに立地しているそうです。
エリア周辺ではオフィスや集合住宅、 リテールの再開発が進み、アップル社英国本社ビルや米国大使館の移転先となったBattersea・Vauxhall 地区、ロンドンで年間利用者数最大の Waterloo 駅を中心に新規開発が拡大しているということです。
テムズ川北岸の政府系オフィス(情報保安部 MI5、内務省、司法省、運輸省、教育省、産業戦略省等) が集まる Westminster 地区も近く至便なロケーションだということです。
物件概要
- 名称 Paradise プロジェクト
- 場所 ロンドン ランベス地区
- 開発概要 木造6階建オフィス
- 構造 木造(コア部分RC造、一部柱梁S造)
- 延床面積 7,445㎡
- 着工 2023年3月
- 竣工 2025年3月
今回は、住友林業株式会社と英不動産開発会社Bywater Propertiesとの合弁会社Paradise11Limitedが英国ロンドンで開発した、木造6階建ての環境配慮型オフィスビルについてお伝えしました。
材料や設備を工夫することで、建設時・使用時、解体後までCO2排出量に配慮したオフィス、すごいですね。木のぬくもりが感じられる内装で、心地よく働けそう!
多くの場所で、このような環境に配慮した建物が増えていくといいですね。