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女性が企画!避難所セクハラ対策まで考えた、避難訓練最新アイデア2023・前編

防災
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一人暮らしの女性に向けて様々な情報を発信しているカーサミア。
掲載している記事の大きなカテゴリーとして「おうち」「暮らし」「防災」があります。

ある日、その中の防災の記事に注目してくれた方から「私が住んでいる地域の防災訓練で配る資料として、カーサミアの女性防災士さんが書いた記事を使いたい」という連絡が入りました。

詳しくうかがってみると、女性ばかり9名が主導して、地域の防災・防犯についての啓蒙活動の一環として、大規模な避難訓練を計画しているとのこと。

女性ならではの視点を大事にして記事を掲載しているカーサミア編集部としては、「これは興味深い活動に違いない」と思い、急遽、現地・福岡県早良区有田に飛んで取材をすることを決定!

カーサミアの読者のみなさんにも、きっと共感いただけるお話をいろいろと聞くことができました!
今回はその取材の模様をお伝えしたいと思います。

取材レポート。女性9名が企画した避難訓練とは?

取材先の福岡県早良(さわら)区有田はどんなところ?

福岡タワーから見た早良区有田方面

取材にうかがったのは福岡県早良(さわら)区有田。

早良区の海辺は「福岡タワー」や「シーサイドももち」があり、新しく開発された観光地といった雰囲気です。「福岡paypayドーム」も近いです。

早良区有田は少し内陸に入ったところに位置し、都市部近郊の穏やかな住宅街といった印象でした。福岡の中心部である博多や天神からは12キロほど。地下鉄のアクセスもよく、人気の住宅地だそうです。

今回の取材場所となった有田公民館|編集部撮影

ここで昨年(2022年)の11月に新たに発足したのが有田校区自治協議会の自主防災活動を担当する「有田防災9(ナイン)」

有田校区の9名の女性が中心となっていることから名付けられたそうです。

取材当日はメンバー9名の中から、今回の防災訓練の発起人Aさんや公民館長をはじめ4名の方が集まってくださいました。

ではまず「有田防災9(ナイン)」が何をしようとしているのかといったところからお話を聞いてみましょう。

今回、主にお話を伺ったのはこのお二人

発起人・Aさん

今回の防災訓練の発起人の方


好きな言葉:しない後悔よりして後悔

Bさん

カーサミアの記事を防災訓練に活用しようと、ご連絡くださった方


好きな言葉:自分がしてあげたことは水に流せ、
人にしてもらったことは石に刻め

有田校区自治協議会の自主防災会「有田防災9」とはどういう組織ですか

有田防災9(ナイン)のみなさま|写真は有田防災ナイン提供

Aさん 有田校区自治協議会(早良区では小学校の校区内の自治会・町内会が集まって「自治協議会」として活動しています)は10町内会の集まりで、町内会ごとにいろいろな役割の振り分けがあります。
その中の一つとしてもともと自主防災会はありました。

これまでは男性が自主防災会長をすることが多かったのですが、たまたま私が担当することになって、自分がやるならもっと女性の目線で防災について考えたらどうだろうと思いつきました。
そのほうが身近なところから防災活動ができると考えたんです。

そこで、有田公民館を通じて校区内の女性に声をかけて、集まってくれたのが有田防災9(ナイン)の9名でした。公民館はこのほかにも、避難訓練全般について力強いサポートをしてくれました。

全員が女性であることを除いては、子育て真っ最中の世代からずっと上の世代まで幅広く、普段の活動も様々です。

年代がバラバラということで、防災活動についての意見やアイデアもバラエティに富んで、月1回の会合の度に驚きがありました。

どのような活動をしていますか?

取材風景。左からBさん、発起人Aさん、カーサミア編集部・イイダ、アサノ|編集部撮影

Aさん 避難訓練の開催に向けて準備を進めているところです。有田校区全体として行うのはおそらく初めて。

昨年の11月から有田防災9(ナイン)で毎月1回会合を開いて避難訓練のため計画を練ってグッズや資料を整えてきました。
資料づくりの中でカーサミアさんの防災記事を見つけて、ぜひ活用させてもらいたいとお願いした次第です。

避難訓練は実践的であるだけでなく、人がたくさん集まることで、当日参加しない人にも「何か防災のイベントをしている」ということアピールできます。
そこをきっかけに防災意識を育てていきたいというのがねらいです。
3日後の3月12日が第一回となります(※編集部注/取材は3月9日)。

できれば毎年続けていくことで、私たちの世代だけでなく、若い世代や地域の子どもたちにも防災意識を根付かせたいというのが本当の目的なんです。

というのも、ここ早良区有田は、幸いにも大きな災害に見舞われたことがないのどかで住みやすい地域。
海や山がそばにあって崖が迫ってという、いかにも危なそうという場所ではありません。

強いて言えば室見川という大きな川があって、増水したり少し川が溢れたりしたことがあるくらい。
どうしても災害に備えるという意識は薄くなりがちです。

ですが災害はいつどこででも起こる可能性がありますよね。
なんとか次世代や子どもたちに防災意識を持ってもらいたい。
これから長い目で見て「防災」について啓蒙していければと考えています。

今回の避難訓練は具体的にどのような内容ですか?

取材の3日後に実施された避難訓練の様子 参加者がビブスを付けて避難場所に向かっている|写真は有田防災ナイン提供

Aさん 昨年11月から計画し始めて4カ月の準備期間で、当初の目標150名のところを180名(スタッフ含む)まで参加予定者を増やすことができました。

「避難訓練中」と書いた180名分のビブス(ゼッケンのようなもの)を用意して、当日は参加者全員が付けて避難場所の次郎丸中学校に集まってもらいます。
有田校区のあちこちからビブスを付けた人が街中を歩いてくるので目立ちますよね。

それと、避難訓練当日は各町内の放送のほかに、青パト(青色回転灯と拡声器を装備した防犯パトロールカー)で有田校区内を巡回して、避難訓練を行うことをアナウンスもします。
いままで大きな避難訓練は行ったことがないので、これだけでもかなりのアピールになると考えています。

避難訓練を実施するという目標を立てると、いろいろと課題も見えてきました。
避難場所が用意されていても、例えば一人暮らしのお年寄りで体が不自由だと逃げたくても一人ではなかなか避難できません。
万が一のときは近所の人が声をかけたり一緒に避難したりする必要も出てきます。

ですが、この有田校区内も人の入れ替わりが進んでいるので、近所にどういう人が住んでいるか、みんなが把握しているわけではないです。

町内会の人同士のつながりが希薄だと、避難場所や避難設備、避難物資といったハード面をいくら整えても、逃げ遅れる人が出てくる可能性があります。

ハード面も大事ですが、今回の避難訓練が人のつながりも含めた防災意識、言うなれば防災のソフト面も考えるきっかけになればと思っています。

女性ばかり9名が集まっていることのメリットは?

Aさん 有田防災9を結成する前も、男性主体で町内会の防災に関する勉強会は開かれていたんです。ただ長年やっているとなかなか新しいアイデアや意見が出なくなり手詰まり感があったのも事実です。

ところが有田防災9での初会合では、それまでの男性目線とは違う女性ならではの身近な意見が次々と出てきました。

避難所の倉庫の備品としては、もともとパーテーション、ブルーシート、テント、水、パン、かゆなどの在庫がありました。追加で何が必要か挙げてもらったところ、消毒液、ハンドソープ、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、マスク、ゴミ袋、ラップ、アルミホイル、紙皿、紙コップ、タオル、バケツ、ガムテープ、養生テープ、ゴム手袋、軍手、子どものおもちゃなど、女性目線ならではの意見がいろいろと出てきたんです。

小さな子どもを育てているメンバーからは「避難先で液体ミルクが必要」といった要望もありました。

さら会合を重ねていく中で、熊本の地震のときに避難先で女性の性被害があったという情報も共有されました。

このように、女性だから気にする、若い世代だからわかる、身近できめ細かい情報や意見が集まったのは、幅広い年齢層の女性が9人も集まったからこそだと思っています。

Q
避難所での避難訓練を女性が企画する意味は?
A

女性が企画すると、女性ならではの視点で避難所について考えることができます。

大勢の人が学校の体育館などに避難してきた場合、更衣室がなかったり、施設のトイレが使えなかったりするとプライバシーが守られませんし、性被害にも繋がりかねません。

男性にとってはそれほど重大なことでなくても、女性には大問題なことに気づいて対策を取れるのは、やはり女性ではないでしょうか。

カーサミアのどこに注目されたのでしょうか?

Bさん 避難訓練をするに当たって、どんな情報が必要か最初はまったくわかりませんでした。

そこで東日本大震災、熊本地震に関する書籍で、女性の視点に立った論文や事例を載せたものをたくさん読んで調べました。

そんな中、避難所のスペースをどう使えばいいか考えていたときに、「女性の視点に立った避難所」について女性防災士の方が書いた記事を探していたところ、カーサミアさんの記事に出会ったんです。

簡潔にわかりやすく、避難所での性被害や性暴力についてまとめられていて。これはためになるので、有田防災9の中だけでなく、今回の避難訓練の参加者にもぜひ知ってもらいたいと考えました。

そこで、「配布資料にカーサミアの記事の内容を転載する許可をもらいたい」という連絡をカーサミア編集部にしたんです。そしたら転載の許可だけでなく取材の申し込みまでいただいて、とてもうれしく思っています。

Q
「避難所で起きるセクハラ・性被害の実情とは?」
A

2016年4月に発生した熊本地震では、熊本県内の指定避難所で10代の少女がボランティアの少年から暴行を受けるという事件が実際に起きています。

このときは少女の母親が気づいて警察に被害届を出しましたが、泣き寝入りして申告されなかったセクハラ・性被害は一定数あると考えられています。

今回の避難訓練のために用意したグッズや資料について教えてください。

ビブス(ゼッケンのようなもの)

ビブスは福岡市と交渉し、人数分を提供してもらったとのこと|編集部撮影

Aさん 先ほど話が出ましたが、避難訓練の参加者全員が付ける「訓練」と書いたビブス(ゼッケンのようなもの)を180人分。これは福岡市から提供してもらいました。

ラミネート看板

掲示物は可愛いだけでなく、子どもにも分かりやすい配慮がされている|編集部撮影

Bさん 「救護場所」や「避難本部」、「受付」などの場所を告知するラミネート看板も準備しました。

子どもにもわかりやすいように「ウサギの場所に行ってね」「クマの絵のところだよ」と伝えられるよう、キャラクターのイラストをあしらうなど工夫してくれています。

女性と子どものための「相談先カード」

相談カードはひとつずつ手作り|編集部撮影

Bさん 避難所での性被害について、NHKで3年前にやっていた番組の中で「相談先を書いたカードを女性に配る衛生用品と一緒に配るとよいのではないか」という意見を聞いていたので、女性や子どもが万が一避難所で性被害や暴力、セクハラに遭いそうになったときの「相談先カード」も作りました。

100均で売っている名刺用の紙に困ったときの相談窓口の連絡先を書いた紙を印刷して切り離し、同じく100均のカードケース(トレカケース)にひとつずつ挟んでいます。

今回は、それを子どもたちにも配ることにしました。性被害者の年齢層は若くて、「NO」と言えない子どもたちがターゲットになることも多く、普段からそういう意識を持たせることは、先々の性被害防止につながると思います。

女性のための防犯資料

Bさん作成の防犯リーフレット|記事掲載にあたり編集部にて一部加工

Bさん 災害時に女性に対する性暴力が起こる可能性があるので注意が必要ということを知ってもらうために、「有田防災9が女性目線で考えた避難所情報とおすすめ防犯グッズ」と題したリーフレットも作りました。

女性用の更衣室や授乳スペースがあればプライバシーは守れるし、「みんなで見守り隊」が監視したり、「女性のニーズに応える窓口」があれば女性が気になることをすぐ相談できてりして安心です。

今回の避難訓練ではそこまで手が回らなかったというのが実情です。ただ今後実現できるように女性たちで声を挙げる続けることが大切だと考えています。


防犯資料には、カーサミアの記事を活用いただきました|編集部撮影

Bさん そしてこちらが先ほどお話しした、カーサミアの防災記事を要約し、転載させてもらったものです。

特に注目したのが「避難所での性被害を防ぐポイント」「女性に必要な防災時の防犯グッズ」の記事でした。

女性の視点に立った防災に関する参考文献はいろいろありましたが、「避難時や避難場所での防犯」、それも女性向けのことについて、カーサミアの記事のようにわかりやすく簡潔にまとめたものは、私が調べた限りほかに見当たらなかったんです

注目していただいたカーサミアの防災記事はこちら

【一人暮らし女性が大災害に遭遇したら…】避難所での性被害を防ぐための意識と対策
防災のプロ「防災士」が、避難所での性被害・性犯罪・性暴力に関して解説します。残念なことに、災害時には避難所などでの性被害も、少なからず発生しています。避難所での慣れない生活の中で、自身の身を守るための対策や防犯グッズを紹介していますので、参考にしてください。避難所で発生する性被害に関して紹介ていますが、決して避難所にいる男性避難者やボランティア男性のみなさんを「犯罪者かもしれない」という目で見てほしいわけではありません。けれどもいざというときに対策できるように、災害時にはこういった性被害が一定数発生しているという情報を覚えておいてほしいです。
避難所での防犯対策、どうしたら?女性防災士のおすすめ防犯グッズも紹介
災害時は、ライフラインが断絶することや、警察や消防などの公的機関が救助優先になることから、被災地のセキュリティが下がることが考えられます。そのため混乱に乗じて、窃盗・詐欺・性犯罪などさまざまな犯罪が発生する可能性があります。過去の事例では、避難所で「寝ていたら知らない人が布団に入ってきた」「暗い場所に連れ込まれそうになった」「支援するかわりに見返りとして性行為を要求された」など、女性や子どもに対する性犯罪が一定数存在しています。また、女性に限った話ではないですが、不特定多数の人が出入りする避難所では貴重品の盗難についても注意が必要です。そのため、避難所で犯罪に巻き込まれないためにも自分の身を守れるよう、非常用持ち出し袋の中には防犯グッズも用意しておく必要があるでしょう。では、女性の場合どのような防犯グッズを用意しておけばいいのか具体的に紹介していきます。(おすすめ防犯グッズ1)防犯ブザー:防犯ブザーは、相手を威嚇し、周囲に異変をすぐに知らせるのに有効です。また、簡単に音が出せるため女性でも扱いやすく、小型でおしゃれなデザイン性があるものも多いため普段から携帯しやすいでしょう。防犯ブザーを選ぶ際には、周囲に音が聞こえるよう最低でも80db以上の音量が出る商品を選び、誤作動で音を鳴らさないように誤作動防止機能がついているかもチェックするといいです。百均などで手軽に購入できます。(おすすめ防犯グッズ2)防災用ホイッスル:息を吹きかけるだけで音が出せるためいざという時使えないという問題はありません。弱い力でも十分に音が出る防災用ホイッスルを用意するのがおすすめ。防災用ホイッスルも防犯ブザー同様、小型でデザイン性があるものが多いため持ち運びやすく、百均などで気軽に購入できますよ。(おすすめ防犯グッズ3)催涙スプレー:もし性犯罪に巻き込まれた際でも自分より力の強い男性を怯ませられるでしょう。中には、リップ型やペン型など一目で催涙スプレーとわかりにくく、小型で持ち運びやすい商品も販売されています。相手に近づきすぎると反撃される恐れがあるため、3m程度離れた場所からでも利用できる飛距離のあるものを選ぶといいでしょう。(おすすめ防犯グッズ4)動きやすい服:動きやすい服を着用していれば、もし犯罪に巻き込まれた際や二次災害が発生した際にも逃げやすいですよね。おすすめなのがジャージの上下セットです。避難所では支援物資の配布や救助活動など動き回ることが多い場面もあるため、衣類が汚れやすい可能性があります。ジャージは、洗濯して乾きやすい点や、寝やすいなどの観点からも災害時に適しているといえます。(おすすめ防犯グッズ5)ボクサータイプの下着:避難所では、男性の目がある中で洗濯を行わなければいけない場合もあります。もし、悪意のある人に女性用の下着が目に入ると盗難につながる恐れもあります。(おすすめ防災グッズ6)貴重品バッグ:非常用持ち出し袋の中には、貴重品を肌身離さず持ち歩けるよう貴重品用のバッグを用意しておくといいでしょう。とくに、防水タイプのウエストポーチやショルダーバッグがおすすめです。バッグを選ぶ際には、盗難のリスクを下げるために高価なブランド品ではなくお手頃な価格のもので、動いても中身が出ないファスナーがついたものがいいです。 避難所では、災害に乗じて悪いことを考える方もいます。また、セキュリティリスクが下がることから、自分の身は自分で守る必要があります。災害で大変な状況下の中、さらに犯罪に巻き込まれて大変な目に合わないためにも、防犯グッズの準備は欠かせません。現在用意している非常用持ち出し袋の中に、ぜひ今回紹介した防犯グッズをプラスしてみてください。

参加記念品

編集部撮影

Aさん 参加記念エコバッグは、防災訓練当日に、飲料水(5年間賞味期限付き)のペットボトルと、真空パックの菓子パンを入れて、記念品として配ります。

エコバッグは、普段のお買い物などで使ってもらうことで避難訓練に参加したことを訓練後もずっと覚えていてもらって、少しでも防災意識が根付く助けになればという想いから配ることにしました。

不採用になったアイデアも…

Aさん このほか、避難済みのお宅に「避難完了」の旗を立てて、避難できていない家がわかるようにしてはどうかという意見もありました。

逃げ遅れを確認するにはいいアイデアだと思いましたが、避難時の防犯という観点では空き巣狙いに「ここの家にはいま誰もいません」と教えていることになってしまいます。
それではまずいのでこのアイデアは不採用となりました。

旗のアイデアはほんの一例ですが、有田防災9のみんなで知恵を出し合って、取捨選択をした結果がいま紹介したグッズや資料となっています。

今後の展開は?

Aさん 3日後の避難訓練を成功させたいというのが目下の目標です。

うまくいったら毎年のようにできればと思いますし、勉強会なども開いて防災意識を育てていきたいです。

今回、避難訓練の計画を立てていく中で有田校区にも防災士の資格を持っている人が4名いることがわかりました(男性2名・女性2名)。今後は10町内ある有田校区の町内に最低1人ずつ防災士がいるようしたいと思います。すでに昨年12月には防災士の資格に興味がある人向けの講習会も開きました。

防災士が町内にいるという安心感も、住民同士のつながりや防災に関する知識や避難のしくみといったソフト面の強化につながると考えています。

取材を終えて…。

インタビューでは「普通の主婦が集まり、防災を考えて企画した訓練です。」とおっしゃっていましたが、もともと地域のことを大切に考えて活動していらっしゃる女性たちだからこそ、女性目線で、優しく心配りのできる避難所開設という企画の避難訓練ができたのだと思います。

編集部:アサノの感想

編集部・アサノ
編集部・アサノ

カーサミアで発信してきた情報が、「いま現在」だけでなく、「次の世代」にまで役立てていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。

私たちは日頃、ウェブを通じて活動しているため、地域でリアルな活動されている方のお話を伺えたのは、大変貴重な経験でした。また、読者の方のご感想を直接聞く機会もあまりないので、個人的に大変嬉しく感じております。

カーサミアは「都会で一人暮らしをしている独身社会人女性」を対象にした、ピンポイントな情報発信をしています。それは「一人暮らしの独身女性は相談できる相手も少なく、社会的にも経済的にも弱い立場になりがち」だと感じているため、そうした女性たちに向けて情報発信していきたいという想いから始まったものです。

今回のインタビューの中では「女性の視点」のみならず、「子どもたちなど、次の世代を育成する」という言葉が何度か出てきたことが印象的でした。

今回の防災訓練は「都会で一人暮らしをしている独身女性」のためのものではありません。しかし、「弱い立場」である女性や子どもに向けて必要な情報を伝えていきたいという気持ちは同じで、普遍的なものだと感じました。

また、いまの子どもたちも5年後、10年後には都会で一人暮らしをするかもしれません。カーサミアで発信してきた情報が、「いま現在」だけでなく、「次の世代」にまで役立てていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。

これからもカーサミアらしい「ピンポイントさ」を大切にしつつも、多くの人に役立つ「普遍性」と両立できるような記事を作っていきたいと、気持ちが引き締まる思いをいただきました。

編集部:イイダの感想

編集部・イイダ
編集部・イイダ

私たち編集部メンバーの中では「当たり前」になっていた知識も、いま一度、より多くの方にお伝えし、少しでも誰かの力や支えとなることができればと思いました。

カーサミアで防災記事を扱っているからこそ、私たち編集部メンバーの中では「繰り返し目にして身についていた知識」や、「みんなが当然に知っていると思ってしまっていたこと」が、今回お話を伺うことで「多くの方の当たり前」の中に入っていない危険もたくさんあるということを改めて認識しました。

実際に震災や大規模災害時、避難所の映像などはニュースやネットでも多く目にします。

しかし、そこで「女性だから」と直面する問題は見えづらいと思います。
たとえば生理用品はどうしたらいいか、避難所での性被害の発生、そういったシーンで自分が誰に相談できるのか、みんなの一大事にと自分を我慢してしまう方への心的ケアや公的な相談窓口など…。

そうしたさまざまな問題も、いま一度、より多くの方にお伝えし、少しでも誰かの力や支えとなることができればと思いました。

編集部・アサノ
編集部・アサノ

この取材の数日後、3/12の避難訓練が大成功に終わったお知らせをいただきました!

同時に、新たに見えてきた課題もあったとのこと。

実際の避難訓練の様子は、後編の記事にてお伝えいたします。

女性が企画!みんなに優しい避難所って? 避難訓練最新アイデア2023・後編
女性9名が主導して、地域の防災・防犯についての啓蒙活動の一環として、大規模な避難訓練を計画しているというグループを取材。実際の避難訓練の様子や、参加者へのアンケート結果、避難計画を立てやすくするツールについて紹介します。避難訓練当日は、9時30分に「震度6弱の地震発生」のお知らせを、各町内の拡声スピーカーと青パトから放送。避難所でのイベントは、以下の通りです。「・避難所として倉庫に置かれている備蓄品についての紹介・ガソリン発電機を使用した投光器の実演・救護用や更衣室に使えるテント(写真)やパーテーションを組み立てた状態で展示・担架でケガ人や病人を運ぶ実演・備蓄品の見学タイム・有田校区のハザードマップを使用しての早良区役所からの防災講座・校区内にいる防災士(男性2人、女性2人)によるAEDの操作と心臓マッサージの実技」。実際に避難訓練をやってみたところ、最初の放送が住民によく聞こえたのは、町内放送の方でした。また、各自避難者は全体としては移動が早かったものの、何人かは集団避難者より集合場所に到着するのが遅くなりました。集団避難は時間はかかりますが、避難者をより確実に誘導できるように、それぞれメリット・デメリットがあります。またAEDの実技は大好評でした。駅や公共施設などでAEDを見かける機会は増えましたので、一度使い方について調べておくことをおすすめします。避難訓練全体の感想として、公民館と自治協議会と地域が一体となって実施できた点はよかったと思います。反省点としては、備蓄品のテントや段ボールで作る簡易ベッドの組み立てを実演し、ほかの備蓄ももっと注目されるようにすればよかったです。終了後のアンケートから「地域のつながりの大事さ」といった声があり、今回の避難訓練のテーマに沿っているのでうれしかったです。“女性ならではの目線で、優しく心配りのできる避難所を開設したかった”というテーマについては、女性向けの避難所で役立つ性被害に備えるツールを配布できました。また、避難の困難な車いすの方やペットの避難の方法なども、今後の課題として考えていきたいと思っています。最後に、カーサミアの読者も使える防災ツールをご紹介。福岡市から転用許可をいただいた“マイタイムライン(我が家の避難計画)”は、みなさんにも役立つと思います。それぞれの家族構成や緊急連絡先、自宅のある場所の危険度、避難先、防災・避難情報の入手方法、非常時の持ち出し品のチェックリストなどが、一枚のプリントにまとめられるようになっていて、災害が起こってから慌てないように自分用の避難計画が立てられます。一人暮らしだからこそ、いざというときに慌てないように避難計画を立てておけますね。もし家族の近くで一人暮らしをしている人なら、どのタイミングで実家を手助けしに行くのか、相談しておくこともできそうです。よかったらプリントアウトして使ってみてください。一人暮らしの女性の場合は、日頃から地域住民との関わりを持つことが少ないかもれません。しかし、万が一の大規模災害の際は、住民同士のつながりが重要。地域住民同士が助け合う「共助」がないと、大規模な避難は困難です。普段から近所のお店の人と挨拶を交わしたり、地域のイベントなどに参加したりして、少しでも地域住民とのつながりを持っておくことを考えてみてはいかがでしょうか。ぜひ一度、ご自身の近所でいつ、どんな避難訓練があるか調べて、参加してみることをおすすめします。
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