この連載は、「一人暮らしで趣味を満喫しているオタク女子（そして腐女子）が家を買ったら……？」という物語を描く、1話5分のほっこりwebノベルです。
「家を買ったときの話、身近な友達には聞きにくい……」そんな疑問が解決するかも！
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「おすすめ度スコア、って……なんですか？」
きょとーん、とスペキャ顔（※きょとんとして真理を悟ったような表情の猫みたいな顔のこと。スペースキャットで検索）をしている私に、吉村さんは一枚の紙を差し出した。
「物件の成績表、みたいな感じです。簡単に言うと。カーサミア不動産では、物件を選ぶときに見ておきたい条件を、比較しやすい数値で表しているんですよ！」
おすすめ度スコア……。
ふむふむ、と紙を眺める。
内見といえば「売れてる物件」とか「新築物件」に連れて行かれるのでは……と心配していたけれど、気にしすぎだったみたいだ。
今日、私はカーサミア不動産に「内見」のためにやってきた。
＊ ＊ ＊
内見。
購入を検討している物件を実際に足を運ぶこと。
やっぱり、実際に観てみないと物件も良さも悪さもわからない……のだけれど。
賃貸物件の内見では、「部屋の汚れ具合」とか「変な匂いがしないか」とか、そういうことしか観ていなかった。けれど、物件を「買おう」という前提で行くのは……正直、ものすごく、緊張する！
カーサミアの担当、吉村さんは言ってくれた。
「ワクワクするような物件の条件をぜひ教えてください。それにあわせて、内見する物件を選びましょう！」
人気の物件を見にいきましょう、じゃなくて「私のワクワクする物件を見にいきましょう」と言ってもらえたのが嬉しかった。
そうして、私が考えて。書き出してみたのは、こんな条件だ。
【藤吉がワクワクする条件】
・たくさんの収納スペース
（推しのグッズに雪崩を起こして欲しくない！）
・買ったときの支払いは、月8万円～8.5万まで
（趣味を楽しむためにこそ購入を検討しているのだもの！）
・できれば、なんとなく品川へのアクセスがいい
（大親友ずにさんと沢山遊びたい！）
うん、我ながらワクワクする。
まあ、なんというか、できれば『推しの住んでそうな家』とかも見てみたいけれど。たとえば、『鬼●の刃』の主人公三人組がルームシェアしているとしたら……みたいな。
って、息をするように現パロ（※どんな世界観の作品のキャラも現代に生きている設定にしている妄想をしてしまうやつ）にしてしまったけれど。
分譲マンションなんて、初めて行くなあ。
どんな感じなんだろう。やっぱり、賃貸よりも広いのかなぁ……。
なんて。
内見の日を待つ間、なんとなくそわそわ、ドキドキしながら過ごしていた。
数日後。
待ち合わせの駅に行くと、吉村さんがニコニコと迎えてくれた。
今日もスーツ姿がばっちり決まっている。
渡されたクリアファイルには、いくつかの書類。
そのうち一枚を取り出す。
「あ、これはよく見ますね」
「はい。これは、物件情報ですね。間取りとか、購入価格とか、そういった情報をまとめてあります」
「あ、賃貸でもよくもらうやつですよね！」
A4のコピー用紙を横に印刷してある、独特のフォーマットだ。
なんというか、同人誌即売会前夜にギリギリに出すコピー本くらいでしかA4横印刷って使わないな……と思っていたけれど、不動産屋さんではよく使うんだな。
「おすすめ度スコアについて、説明させてもらいますね！」
「はいっ、吉村さん。よろしくお願いします！」
駅からの近さなどの生活面の評価から、 物件の建っている地盤（！）、建物自体の評価まで……自分では考えつかないような色々な観点から物件を評価してくれている。
「この評価なら、安心して購入していいと思います。ご自分で住まれるのも勿論ですが、いつか売却を考えている場合でも！」
「おおお……」
ちょっと圧倒されてしまった。
でも、なんというか……、
「すっごく、わかりやすいですね！」
私の素朴な感想に、吉村さんはにっこりと笑った。
＊＊＊ TIPS ＊＊＊
作中でカーサミア不動産が紹介した「おすすめ度スコア」は、カーサミアがご自身で物件を採点できるツールとして提供しているものです。
「おすすめ度スコア」は、物件の評価を客観的に得点化したもの。
項目ごとに得点を比較してみると、間取り図や写真を見ているだけではわからなかった特徴が見えてきます。
総合得点が高得点だからといって、アナタが住んだときに幸せになれるとは限りません。
なので、自分のための条件を見つけることが第一歩。
帰宅が遅くなりがちなら、交通利便性と防犯性の高い物件がいいかも。
インドア派なら、室内の快適性と生活利便性を重視するのもいいですね。
どこに価値を見出すのかは人それぞれ。
あなたがワクワクできるのは、どんな物件でしょうか。
客観的な評価を参考にしつつ、内見での「体感」と併せて、納得できる物件を探してみてくださいね。
次回「7話 腐女子、内見に行く。」
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