【メディア掲載】不動産専門誌にSDGs事例として掲載

目黒区・品川区を流れる「立会川」。ほぼ見えない川の水害リスクと対策【防災士まこぴ解説】

防災
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立会川って聞いたことありますか?意外と知らない人も多いかも!?

東京都目黒区から品川区にかけて、都心を流れている川なんですが、その約9割が暗渠(あんきょ)※1となっており、地上からはほとんど見ることができません。

普段は存在を意識しにくい川ですが、豪雨時には浸水や内水氾濫※2などのリスクが想定されています。

※1 暗渠=地下に埋設した水路のこと。
※2 内水氾濫=下水道などの排水施設の能力を超えた雨が降ったときや、雨水の排水先の河川の水位が高くなったときなどに、雨水が排水できなくなり浸水する現象。

実際に、最近も浸水被害が発生しており、その近辺に住む人・通う人にはエリアの特性として理解して、必ずその災害リスクをチェックしておいてほしい川なんです。
また不動産に携わる方にとっても、入居者の安全確保や物件価値の維持という観点から無関係ではありません。

こんにちは、「防災をHappyに伝える防災士」として活動中の「まこぴ」です。

この記事では、立会川の特徴や水害リスク、そして不動産関係者や日常生活にも役立つ備えについて、分かりやすく解説します!ぜひ最後まで読んで、しっかり備えてくださいね。

まこぴ|防災をHappyに伝える防災士

2020年防災士取得以来、「防災をHAPPYに伝える防災士」としてSNS発信・防災イベント企画監修・セミナー・コンサルティング等実施。2024年2月 (株)ColorfulBosaiCreation設立。
神奈川県茅ヶ崎市&岩手県陸前高田市で2拠点生活。
趣味はお洒落な防災グッズ探し、特技はギャルと防災を語れること。

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立会川の特徴

まずは、立会川がどこを流れていて、どんな特徴があるのかを見ていきましょう!

どこを流れている川?

立会川の源流は、目黒区碑文谷(写真左上)。そこから東に向かって西小山駅・大井町駅・立会川駅付近を通り、最終的に東京湾へ注ぐ二級河川です。全長は約7.41km。みなさんおなじみの目黒川(立会川の少し北を流れています)は全長約8kmなので、目黒川とほぼ同じくらいの長さの川になりますね。

立会川の終着点は、坂本龍馬にゆかりがある地域

立会川の坂本龍馬のブロンズ像。せっかくなので、通りすがりの人にお願いして記念撮影してみました

川の名前が駅名にも付けられている「立会川駅」が、この川の終着点。実はここ、坂本龍馬ゆかりの地として有名なんです。

立会川駅の1番出口を出て歩くと……すぐ近くの品川区立北浜川児童遊園に、坂本龍馬のブロンズ像がありました!

品川観光協会サイトによると、この像は龍馬が立会川周辺に滞在していたとされる20歳頃の姿を再現したもの。履物もブーツではなく草履を履いており、全国的にも珍しいブロンズ像だそうです。

顔はめパネルもありました

最大の特徴: 約9割が 「見えない」川

立会川最大の特徴は、川の全長7.41kmのうち、開渠(かいきょ、川が見える区間)は0.75kmしかなく、それ以外の約6.66kmは暗渠(川が見えない区間)。

なんと、衝撃の90%が暗渠、つまり”見えない”状況となっています。

出典:立会川流域とは?|東京都建設局
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本当に川が見えなくなる?実際に立会川沿いを歩いてみた!

暗渠区間が約90%の立会川。実際どんなふうになっているのか気になって、川沿いを歩いてみました!

開渠区間:立会川駅〜東京品川病院付近(徒歩で約15分)

住宅街を流れる立会川(開渠区間)

まずは、開渠区間から。

立会川駅からスタートして、川沿いを歩き始めました。

住宅街のすぐそばを流れる普通の川といった感じでしたが、全体のたった10%しか見えないと思うとなんだかすごく貴重に感じました……

川沿いにはところどころ、水位警報や防水板設置助成など、防災関連の案内も掲示されていました。

立会川に掲示されていた水位警報のお知らせ

立会川に掲示されていた防水板設置費の助成に関するお知らせ

川が見えなくなる境目:東京品川病院付近

東京品川病院の少し手前で、川は地上から見えなくなります。

ここを境に「立会道路」という名称になって暗渠へと変わります。

開渠と暗渠の境目
立会道路。ここからが暗渠。

Googleマップ上でも、川が途切れて「立会道路」となっていることが確認できます。

現地に行ってみると、Googleマップの赤い点線で丸く囲った境目の部分は下水道の新設工事中でした。

立会道路(暗渠区間):東京品川病院付近〜大井町駅(徒歩で約10分)

次に、大井町駅に向かって暗渠となっている立会道路を歩いてみました!

東京品川病院付近の立会道路。緑道となっていて暗渠ということが分かりやすい

東京品川病院付近は緑道として整備されています。

都道421号との交差点付近。ここが元々川だと想像するのは難しい

ですが、少し進むと普通の道路と区別がつかない場所も多く、元々川だったことを見た目で判断するのはほぼ不可能だと感じました。

10分ほど歩いて、ついに大井町駅へ到着!

大井町駅の駅前風景。川が近くを流れているようには見えない

大井駅前は大きめのビルが立ち並び、川の名残は全く感じられません。

これ以上、立会川の名残を探すのは難しいかと思われましたが……

標識を拡大。「立会道路」とあります!

駅前の交差点の右奥に……ありました。「立会道路」の道路標識。

大井町駅付近の立会道路。緑道のようになっており暗渠と見分けやすい

この先の道は、また川の名残を少し感じられる緑道のような道になっていました。

今回歩いたのは大井町駅まででしたが、暗渠は「立会道路」として洗足学園駅や西小山駅の近くを通り、碑文谷の源流まで続いています。

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立会川には、どんな水害リスクがある?

さて、ここまで実際に一部区間を歩きながら、立会川がどんな川なのかを見てきました。

見える部分10%・見えない部分90%という特徴をもつ立会川ですが、それでは「水害」の観点ではどのようなリスクがあるのでしょうか。

立会川や立会道路周辺は周囲に比べて地盤が低いため、平成初期にかけて多くの浸水被害が発生していましたが、

区や都が連携して様々な治水対策を積極的に進めた結果、浸水被害が大幅に軽減されました。

ただ、現在でも水害リスクのある場所はかなり残っています。

参考にした資料:品川区・大田区・目黒区ハザードマップ

立会川は、品川区・大田区・目黒区の3区にまたがっています。そのため、3区それぞれの浸水ハザードマップに立会川に関する記載があります。

各区には目黒川や多摩川などもありますが、この記事では立会川に焦点を当ててリスクを紹介していきますね。

開渠区間では最大3.0mの浸水リスク

まず立会川の中でも、開渠(川が見える区間)ではどんな水害リスクが想定されているのか、各区が出しているハザードマップを見てみました。下図の左が浸水ハザードマップ、右がそれに対して立会川の開渠の位置を示したものです。

出典:品川区ハザードマップより、筆者加工

川が見える開渠区間(立会川駅〜東京品川病院付近)は、やはり浸水リスクが高めで、0.1~ 0.5m未満を示す「薄黄色」や、高いところで1.0m~ 3.0m未満を示す「オレンジ」に塗られている地域が多いです。

0.1~ 0.5m未満(1階の床下、屋外で大人の膝まで浸かる程度)
1.0m~ 3.0m未満(1.0m : 大人の腰まで浸かる程度、3.0m : 2階の床下まで浸かる程度)

東京湾へ注ぐ勝島運河・京浜運河沿いにも浸水リスクが高い地域が南北に広がっています。

ゲリラ豪雨に弱い

立会川のような都市河川は、
・川幅が狭い
・溜められる容量が小さい
・増水スピードが速い
のトリプルパンチで、ゲリラ豪雨など短時間に強く降る雨に弱い。

決して大きくない川に、流れる水の量が一気に増えると氾濫しやすい、という都市特有のリスクがある。

潮の満ち引きの影響を受ける

最終地点の立会川駅付近では、勝島運河を通って東京湾に注ぎます。

勝島運河へと繋がる場所。ここを通って東京湾へと流れていきます。観光スポットでもある龍馬の壁画は、意外とポップでした。

つまり立会川は海に接しており、潮の満ち引きの影響を受けるんです。

開渠区間は全て感潮区間(潮の干満の影響を受ける範囲)となっており、満潮時には月見橋付近まで海水が上がります。そのため、満潮の時に大雨が重なるとより水害リスクが高まりやすいことを覚えておく必要がありますね。

満潮×大雨×高潮のリスク

大雨は、潮が引いているときだけとは限らない。

立会川は東京湾と接しているので潮の満ち引きの影響を受ける。
そのため、もし満潮時に大雨や台風、高潮が来ると、より被害が拡大する可能性が高まる。

「この川は海に近い」という認識を持っておくことが大事。

暗渠区間でも浸水リスクはある

暗渠区間では「川が見えない=安全」と思われがちですが、侮るなかれ。実際には暗渠区間も浸水リスクが高い傾向があります。

ハザードマップで浸水リスクのあるエリアと、川(暗渠)の位置は、ピッタリ重なっています。元々河川だった場所は谷地形であることが多く、水が集まりやすいためです。

東京品川病院付近〜西大井駅付近

出典:品川区ハザードマップより、筆者加工

図の右側、緑色の線を引いた箇所が、暗渠になっていて見えないけれど立会川が流れているエリアです。

この区間は、0.1m~ 0.5m未満(1階の床下、屋外で大人の膝まで浸かる程度)を示す「薄黄色」が主で、部分的に0.5m~ 1.0m未満(大人の腰まで浸かる程度)を示す「薄オレンジ」に塗られている地域があります。

西大井駅付近〜西小山駅付近

出典:品川区ハザードマップより、筆者加工

こちらも同じく、図の右側で緑色の線を引いた箇所が、暗渠になっていて見えないけれど立会川が流れているエリアです。

この区間は、特に旗の台駅〜西小山駅にかけて1.0m~ 3.0m(1.0m : 大人の腰まで浸かる程度、3.0m : 2階の床下まで浸かる程度)を示す「オレンジ」に塗られており、かなり高い浸水リスクが想定されていることがわかります。

西小山駅付近〜源流付近

出典:目黒区ハザードマップより、筆者加工

この区間では、品川区から目黒区のハザードマップに切り替わるため、色分けが異なりますが、こちらも立会川(暗渠区間)に沿って水害リスクが想定されています。

川の中心付近は0.5m〜1.0m(大人の腰まで浸かる程度)を示す「」、その周辺は0.1m〜0.5m(1階の床下、屋外で大人の膝まで浸かる程度)を示す「黄色」で示されています。

暗渠でも水害リスクがある

ここまでに解説してきた通り、立会川は90%が暗渠で、地上からは川だとわかりづらい。
にもかかわらず、地形としては谷筋で水が溜まりやすい。

そのため、
・立会道路=立会川で、今は暗渠になっていること
・暗渠も水害リスクがあること
を理解しておく必要がある。

都心ならではの内水氾濫リスク

立会川流域は舗装面が多く、雨水が地中に浸透しにくい地域です。このため、排水能力を超えた際に発生する「内水氾濫」が起こりやすい条件がそろっています。

都心ならではの内水氾濫リスク

舗装面が多く雨が地面に染み込まない
 ↓
一気に下水へ流れ込む
 ↓
下水の処理能力を超える
 ↓
道路冠水が発生しやすい

津波リスク

都心の河川なので意外に感じるかもしれませんが、東京湾に接しているため、立会川駅付近では最大2.0m程度の津波浸水が想定されています。

出典:品川区津波ハザードマップ(立会川)より、筆者加工

もし立会川駅付近にいるときに津波注意報・警報が出された場合には、以下の避難施設など、「できるだけ標高が高い場所」にある「頑丈な建物の高層階」に、すぐに避難することが重要です。

出典:品川区津波ハザードマップ(立会川)

津波リスクがある

河口に近い立会川駅付近は津波リスクあり。
津波注意報/警報が発生した場合は、ただちに高いところに避難!

土砂災害リスク

こちらで最後のリスク紹介となります。

大雨などで引き起こされる災害として土砂災害もあります。

出典:土砂災害ハザードマップ(東大井・八潮)

立会川周辺で、ハザードマップ上でリスクがあるされている場所は、東大井3, 4丁目。上図の黄・赤で示されているのが土砂災害(特別)警戒区域に指定されている場所なので、要注意です。

大雨などで土砂災害が起きやすい状況では、とにかくその場所から離れることが大事。

立会小学校は、避難場所に指定されていますが、グラウンドの東側は土砂災害警戒区域に指定もされています。そちら側には近づかず校舎側にいるようにしてください。

東大井3、4丁目では土砂災害リスクも

水害は土砂災害も引き起こす。
土砂災害(特別)警戒区域に指定されている場所を把握した上で、大雨や台風時にはそれらの場所に近づかない!

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一人一人ができる、立会川沿いでの水害対策

ここまでの解説で、立会川沿いで暮らす、働く、遊ぶ人にとって、川の氾濫だけでなく、暗渠部分での浸水や津波、土砂災害など、さまざまなリスクがあることを理解できたと思います。

では、こうした災害による被害をできるだけ減らし、この地域で安心して過ごすためには、どのような備えが必要なのでしょうか。

ここからは、具体的な対策をいくつか紹介します。

自宅・職場の水害リスクを知る

自治体が公開している情報を確認する

まずは、どこにどんなリスクがあるかを「知る」ことから。この記事でも解説しましたが、立会川流域の品川区・大田区・目黒区の水害関連情報を事前に確認しておきましょう。

ハザードマップ
自治体が設定している避難場所

過去の浸水実績を知る

過去の浸水実績を確認できるサイトをのぞいてみると、開渠部分だけではなく暗渠部分も含めて、立会川流域のかなり多くのエリアで浸水実績がありました。

ほとんどが8月と9月に発生していて、台風・集中豪雨・秋雨前線が原因のようです。

度重なる浸水を踏まえて治水対策も進められていますが、こうした過去に実際起きた浸水実績をしっかり知ることも大切です。

出典:水害リスク情報システム 浸水実績図|東京都より、筆者加工

直近では、2025年9月に立会川で氾濫が起きています。

ゲリラ豪雨が発生し、たった数十分で水位が上がり氾濫した結果、床上浸水などの被害が出ました。

建物や土地の防災対策について

地下・半地下、低地の浸水対策

地下室や地下駐車場、半地下や低地にあるオフィス・住居は、短時間で浸水する可能性があります。

そうした事態に備えて、止水板や防水板の準備、排水口が詰まっていないかの確認・掃除を定期的に行うと安心です。

備蓄品の用意

停電・断水を想定して、最低3日分の飲料水、食料、簡易トイレ、懐中電灯、モバイルバッテリーなどを備えておく。

水害補償の確認

火災保険や地震保険に水害補償が含まれているかを確認し、必要に応じて見直しましょう。保険に入っているかどうかで、その後の生活再建に大きな影響を与える場合があります。

自治体の取り組みを活用

土のうステーション

出典:大田区ウェブサイト

目黒区・大田区・品川区では、区民が必要に応じていつでも土のうを持ち出せる「土のうステーション」を設置しています。

「〇〇〇区 土のうステーション」でWeb検索すると、設置場所の情報が出てくるのでぜひチェックをしてみてください。

止水・防水板設置への助成金制度

出典:目黒区ウェブサイト

目黒区・大田区・品川区には、住宅や店舗に止水板・防水板を設置する際、費用の一部を助成する制度があります。

立会川沿いの居住者や企業は、こうした補助制度を活用することで、水害対策を進めやすくなります。事前に担当部署へ問い合わせ・相談してみましょう。

災害情報収集の習慣をつける

「情報を制する者は災害を制する」という言葉があるほど、いかに信頼性の高い情報をすぐに取れるかは、防災においてかなり重要です。

私のおすすめの方法はこちら! 用途に応じてぜひ使ってみてくださいね。

防災アプリ

あらゆる防災に関する情報が即時確認できるので、携帯にアプリをダウンロードしておくのがおすすめ(私はどちらも入れています!)。

Yahoo!防災速報では急な雨予報などについても即時通知がきたり、NERV防災は雨雲レーダーが見られたりするなど、日常使いにも便利です。

キキクル

気象庁が提供するWebサイト「キキクル」。

既に雨が降り始めていて、近くの川が溢れたり土砂災害になったりする危険性がどのくらい高まっているのかリアルタイムで知りたい場面でおすすすめです。

浸水・洪水・土砂の3種類について確認をすることができますよ。

ここまで読んでみて、どうだったでしょうか。

立会川は都心を流れる比較的小さな川ですが、いろいろな災害リスクがあること、またそれに対してできる備えについて紹介しました。

大雨や台風などを止めることはできませんが、知識をつけて正しく備えすることでリスクをぐっと減らせるはず。

立会川沿いで働く人・暮らす人・訪れる人にも、立会川沿いの物件を管理する人にも、ひとりひとりに役立ててほしいです。

まずは、できることから一つずつやっていきましょう!

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