あなたは、首都圏近郊で一人暮らしをしている女性。大地震によって、避難所生活を余儀なくされたらどう行動しますか?
みなさんこんにちは、カーサミアライターのえなです。防災士という防災系の資格保有者である私が、防災に関する疑問を解決していきます。
今回は、「身のまわりのもので可能な応急処置法」をご紹介していきます。大規模な災害が発生した場合、負傷したとしても、すぐに医療機関で手当てを受けられない可能性があります。そのため、自分や身のまわりの人の命を守るためにも、災害時でも直ぐに手に入る、身のまわりのものでできる応急処置法を覚えておきましょう。
災害時は医療機関が足りなくなる
災害時は、医療機関・行政も被害を受けたり、不測の事態にすぐ対処できない可能性があるため、正常に機能しなくなる恐れがあります。機能し始めたとしても、人的被害が多大であった場合、医療機関は重傷者から優先的に治療するため、軽傷者の治療まで手が回らず後回しとなることも。
また、重症であったとしても、すぐに医師が駆けつけてくれるとは限りません。そのため、災害時には自身の傷や、側に居合わせた負傷者の傷を最低限でも手当できるように、基礎的な応急処置法をいざという時に向けて覚えておく必要があるのです。
身のまわりのものを使ってできる応急処置法
災害時には、応急処置に必要な救急セットがすぐに揃うとは限りません。そのため、身のまわりのもので代用して、自分たちでできる応急処置を行う必要があります。以下で、その方法をご紹介していきます。
骨折の手当てをする場合
骨折した場合、折れている箇所をむやみに動かすのは禁物。添え木やギプスで固定する必要があります。添え木やギプスがない場合は、「折り畳み傘・雑誌(新聞)」など添え木の代わりになりそうな硬い物で代用できますよ。
<手順>
①骨折している箇所に、添え木代わりのものを添え、布やガムテープなどで固定
②腕の骨折の場合、大判ハンカチやビニール袋を利用しすることで、首から吊るして骨折箇所が動かないように固定できる
出典:
できることから始めよう!防災対策 第4回‐内閣府防災情報のページ : 防災情報のページ – 内閣府
応急手当 – 防災手帳 | Yahoo!天気・災害
切り傷の手当てをする場合
切り傷の手当てをする場合、ガーゼや包帯が必要になりますね。ガーゼがない場合は「ハンカチ」「ラップ」、包帯がない場合は「ストッキング」「大判ハンカチ」「ネクタイ」などで代用できます。
<手順>
①傷口の汚れを落とすために、水で洗い流す
②傷口をガーゼまたは綺麗な布で押さえて、その上から包帯を巻く
出血している場合
人は体内の30%の血液が失われると、命に危険が及ぶと言われています。特に、動脈から出血している場合には早急な手当が必要となります。「直接圧迫法」「間接圧迫法」という2種類の応急処置法があるため、それぞれご紹介していきます。
直接圧迫法
直接圧迫法は、主に静脈からの出血の場合に用いる止血方法です。静脈からの出血の場合、「赤黒い血がジワっと湧き出る」ことが特徴。一般的に出血時には、直接圧迫法を用いることが推奨されています。
<手順>
①傷口を心臓より高い位置に持っていき、ガーゼや綺麗な布を出血箇所に当てて、強く圧迫する
②圧迫する際には直接傷口や血液には触らず、感染症を防止するために、手袋やビニール袋を代用して手を保護する
③止血できたら、先述した「切り傷の手当てをする場合」の方法を参考に、傷口を手当てする
参考:赤十字奉仕団
間接圧迫法
間接圧迫法は、動脈からの出血の場合や直接圧迫法がすぐに行えない際に用いる止血方法です。動脈からの出血の場合、「鮮紅色な血が勢いよく出る」ことが特徴。
<手順>
①出血箇所に近い拍動の感じられる血管を手で圧迫する
※直接圧迫法と同様に直接傷口や血液に触らない
②出血が治まってきたら、直接圧迫法を用いて止血する
③止血できたら、先述した「切り傷の手当てをする場合」の方法を参考に、傷口を手当てする
負傷者を運ぶ場合
災害の二次被害が起きそうな危険な場所に負傷者がいる場合、安全な場所に運ぶ必要がありますね。その際に必要な、身のまわりのもので代用できる担架の作り方をご紹介します。
<手順>
①物干し竿など長い棒を2本用意する
②毛布を横向きに敷いて、3分の1のところに1本棒を置き、毛布を折り返す
③折り返した毛布の上に、もう1本の棒を少し端に余裕をもたせて置く
④広がっている毛布を折りたたんだら、担架の完成
※毛布がない場合は、衣服2枚でも代用可能
災害時に備えて救命講習を受講しておこう
赤十字や各地域の消防で救命講習が行われているのをご存知ですか?
ここでご紹介した応急処置法だけではなく、心肺蘇生、AEDの使い方、搬送方法、災害時の心得など様々な知識を教えてくれます。知っていて損はない情報ばかりですので、ぜひ一度受講を検討してみてはいかがでしょうか。
阪神淡路大震災では、公的機関の救助よりも地域住民に救助され助かったという人が多かったそうです。災害時は、公的機関や医療機関の助けをすぐに受けられるとは限らないため、周りの人との助け合いが最も大切になってくるのではないでしょうか。
災害が起きた際、そばに居合わせた人の手助けができるように、今回ご紹介した身のまわりのものでできる応急処置法をぜひ覚えておいてください。また、これらの応急処置法は災害時だけではなく、日常生活でも活用できる機会があるかもしれません。
災害に対する予備知識はこちらからチェック
知っておきたい防災の知恵
《災害発生前》
①ライフラインの停止に備えて準備しておきたいアイテム
②非常用持ち出し袋に用意しておきたいアイテム
《災害発生時》
③怪我をした際の応急処置法
④家族や友人に連絡を取る方法
《災害発生後》
➄避難所で支給される食料・物品について
⑥避難所でのお風呂やトイレについて
⑦避難所生活に役立つアイデア
⑧避難所での女性問題(性被害など)
⑨自身が行う救助活動・ボランティア活動
⑩自宅の後片付けについて