この記事では「旅行・帰省などで自宅を空けるとき、愛猫をどうすればいいか」について、猫のトレーニングサービスも行っているPeT2raineen(ペットレーニー)の代表トレーナー、高橋ルミさんが解説します。
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こんにちは、アニマルトレーナーの高橋です。
今回は、旅行や帰省時の猫ちゃんの過ごし方について、「お留守番」、「預ける」、「連れていく」という3つのテーマについて、トレーナーとして飼い主として日々猫と向き合う私が、愛猫がストレスなく安全に過ごせるポイントを解説するのでぜひ参考にしてください。
猫ってどれくらいお留守番できるの?
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そもそも猫を飼った場合、猫ちゃんだけにしてどれくらい家を空けていいのかそんな疑問が多いと思います。
猫だけでお留守番できるのは、一般的には 1〜2 日が限界とされています。数時間から1日程度ならば、大抵の猫は問題なくお留守番が可能ですが、この間には十分な水分と食事、そして清潔なトイレが必要です。
それ以上の⻑時間のお留守番は、猫にとってストレスとなるので、信頼できるペットシッターさんや知人に定期的に猫の様子を見てもらうか、お留守番以外の選択肢として「預ける」「旅行や帰省に連れていく」のいずれかを推奨します。
では、それぞれの選択肢についてポイントを解説していきましょう。
旅行・帰省時の選択肢①:猫ちゃんだけでのお留守番
猫ちゃんは、縄張り意識が強く習慣的な生活を好む生き物です。住み慣れたところでいる方が安心できるということから、「お留守番させる」は最も選ばれる選択肢。
まず、旅行や帰省時のお留守番の事前準備について解説していきます。
食事と水の管理
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食事について
⻑時間のお留守番には自動給餌器がオススメ!
自動給餌器は、一定の時間になると自動的に猫の食事を提供する便利なアイテム。猫の食事のスケジュールや食事量を保つことができ、衛生的にも“置き餌”より良いです。
お水について
お水は大容量・ステンレス製の自動給水器がオススメ!
猫にとって新鮮なお水が飲める環境はとっても大切です。飼い主がいない間も水をたっぷり用意しておくことが重要。2〜3 日くらいもつ大容量の自動給水器だと新鮮なお水を十分供給できます。
猫の数や連泊数にもよるので、あくまでも個人的な見解ですが、1泊2日程度で猫1~2匹なら、自動給水器は3Lくらい入るものだといいのではないかと考えます。
ちなみに我が家には猫3匹いますが3Lで3日くらいはもっている印象です。
ステンレス製のものは、洗う際に傷つきにくく菌が入りにくいので、おすすめです。
電源が万が一切れることも想定して、殺菌したお水を入れておくのもいいでしょう。
トイレの管理
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猫はとっても清潔好きな動物。ご自宅の猫用トイレの性能や数がポイントです。
全自動猫トイレ
全自動トイレは、文字通り自動でトイレの清掃を行ってくれるので飼い主さんが不在時でもトイレを清潔に保つことができます。最近では、尿便の量や体重も測れる優れたアイテムも販売されています。
トイレの数を増やす
飼っている猫ちゃんの頭数+1つが理想とされるトイレの数ですが、全自動トイレが苦手な子や、全自動トイレがない場合は、旅行時には普段の倍のトイレを用意しましょう。
運動面のケア
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猫は運動好きな動物。⻑時間留守番が必要な場合でも下記のようなアイテムを用意して運動できる環境を作ってあげましょう。
猫用電動おもちゃの活用
全自動の猫用おもちゃは、人が不在時でも活用できます。
たくさん種類があるので自分の猫ちゃんの好みの遊び方に合わせて選んでみましょう。
運動できるお部屋作り
キャットタワーや窓辺のベッド、キャットステップなど、家の中にさまざまな活動スペースを作ることで、猫が運動する機会が自然に増えます。
その他の準備やお留守番時のオススメアイテム
安全なお部屋作り
猫ちゃんがいたずらしそうな物や誤飲に繋がるものは手の届かないところにしまっておきましょう。
あらかじめお留守番に慣れさせる
⻑時間お留守番をしたことがない猫の場合、少しずつ時間を伸ばして、あらかじめお留守番に慣らしていくことでストレスの軽減につながります。猫が単独行動を好むからといって⻑時間のお留守番が得意とは限りません。
ペットカメラの設置
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遠隔操作で猫の様子を確認できるペットカメラが販売されています。スピーカーが付いていて声をかけることができたり、おやつをあげたりできるペットカメラもあります。ぜひ活用して猫ちゃんを安心させてあげましょう。
旅行・帰省時に丸1日以上猫だけでお留守番させる場合は、知人に定期的に家に来て様子を見てもらう、もしくはペットシッターさんに依頼するとより安心して旅行が楽しめます。
ペットシッターさんの費用は大体1日1回の訪問で、2,000円から4,000円くらいが相場です。
旅行や帰省時の選択肢②:猫ちゃんをペットホテルや知人の家に「預ける」
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そうはいってもやはり猫だけでのお留守番は心配、長期の外泊になりそう、といった場合もあると思います。そんなときに選択肢に上がるのがペットホテルや知人のお家。
預ける場合の留意点を解説していきます。
知人の家に預ける場合の留意点
預け先のペットの有無と相性
預け先にペットがいる場合は、必ず相性を確認しましょう。万が一喧嘩して相性が悪くなった場合も、それぞれ隔離できるエリアがあるお家だといいでしょう。
ペットホテルに預ける場合の留意点
ホテル選び
ペットホテルに預ける場合は、サービスや設備は必ず確認しましょう。
猫ちゃんはデリケートなため、環境が変わるとストレスを感じることが多いです。
以下のようなポイントを事前に確認しましょう。
- 猫だけのホテルか
- 犬も預かるホテルの場合、しっかりと犬と猫の居場所が分けられているか
- 防音対策はされているか
- 横に広い部屋ではなく、上下運動できるように天井の高いお部屋か
- キャットタワーなどの運動できる設備があるか
- 定期的にスタッフさんが遊んでくれる時間を設けているか
預ける場合の共通の留意点
知人の家・ペットホテルどちらに預ける場合でも共通している留意点なのでこれも要チェックです!
事前に練習
これが預ける上で1番重要です!
預け先には、定期的に連れていって慣らしておきましょう。いきなり長時間となると、ストレスで体調を崩すこともあります。
短い時間から練習して置くことで、預けるという選択肢が合っている子なのか合わない子なのか、体調や行動の変化で判断できます。また、慣らすことで預ける際の猫ちゃんのストレスを減らせます。
愛用物は持参
普段食べているごはん、おやつ、おもちゃ、寝床などできる限りいつもの環境を再現し、安心感を与えましょう。新しいものだらけだと、よりストレスを感じやすくなります。飼い主さんの匂いがついた物も一緒に持っていきましょう。
情報の共有
預け先には猫ちゃんの性格や好きなこと、嫌がること、普段のルーティンなどを伝えるようにしましょう。預け先の人からは、いつもと様子に変化がないか連絡をもらえるようにして置くと尚安心できます。
旅行や帰省時の選択肢③:猫ちゃんを旅行先に「連れていく」
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猫ちゃんの中には、甘えん坊な性格から飼い主さんと離れることにストレスを感じる猫ちゃんや、好奇心が旺盛で環境変化に強い猫ちゃんもいます。
私も帰省のときは猫もいっしょに連れて帰っています。
少し大変ですが、できないことはないですよ。
また、これから猫を飼う方は子猫のうちから移動に慣らしておくと、急な旅行や引っ越しなどいざというときの猫ちゃんのストレスを最小限にできるのでぜひ参考にしてみてください。
これからお迎えする方は、キティ(子猫)トレーニングが重要!
もし猫ちゃんといっしょに旅行や帰省をしたいなら、子猫の頃から、外出して外を移動することに慣れさせるようにしてください。
猫の場合は生後2~4カ月のしつけで基本的な性格や性質が決まると言われています。
この期間にリュックやキャリーケース、ペットカートに慣らしておくと、その後に旅行や帰省で長距離移動をする際の猫ちゃんのストレスを軽減できます。
散歩などをした後や移動先では必ずご褒美(おやつ)をあげてください。外出をするといいことがあるという経験を小さな頃からしておくことで、長距離移動に慣れやすい子に育ちますよ。
猫を旅行先に連れていく場合の手段と料金
一般的には、下記の3つが考えられます。
- 車
- 電車
- 飛行機
電車と飛行機は、鉄道会社・航空会社によって様々な規定が設けられているので利用する前に十分に調べて置く必要があります。
キャリーケースに慣れていれば、飛行機にも乗れます
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ただ、飛行機に関しては、目的地に着くまで愛猫の様子を確認できないので、1番ハードルが高いと言えます。
金額の目安
- 電車・新幹線の場合:1ケージ当たり290円の手回り品切符が必要
(※JRの場合。鉄道会社によって異なります) - 飛行機の場合:1ケージ当たり5000円〜6000円が相場
猫の移動時のポイント
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長時間キャリーケースに入ることに慣れさせる
どの移動手段も基本的には長時間キャリーケースの中にいることになります。普段から入り慣れていないとパニックになってしまうので、普段からキャリーケースをお部屋に置いて、入ることに慣れさせましょう。
移動前はごはんを与えない
猫も乗り物酔いをすることがあります。また、移動中にトイレをさせることも難しいので、おしっこを我慢しなくていいように長距離移動の前は前日から飲料水とごはんの量を調整しましょう。胃の中を空にして置くことで、乗り物酔いからの嘔吐を未然に防げます。
ただ移動距離や移動時間の限界は個体差があり、どのくらいまでなら大丈夫と一概には言えません。私の場合は最長で片道4時間、猫といっしょに移動したことがあります。
移動前にストレスを発散しておく
移動前にたくさん遊んで運動してストレス発散しておきましょう。また、移動時のキャリーケースで休息しやすい環境を整えておくと鳴き防止にもつながります。
- Q旅行や帰省のとき、猫だけで留守番できる期間は?
- A
1~2日であれば猫ちゃんだけでお留守番も可能です。丸1日以上猫だけでお留守番させる場合は、知人やペットシッターに定期的に家に来て様子を見てもらうと安心です。
- Q旅行や帰省のとき、猫を連れていくことはできる?
- A
甘えん坊な性格から飼い主さんと離れることにストレスを感じる猫ちゃんや、好奇心が旺盛で環境変化に強い猫ちゃんは、連れて行くことがおすすめ。子猫の頃から、お散歩して外出するなど、キャリーケースで移動することに慣れさせるようにしておきましょう。