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金曜日の夜は、私が私らしくいるためコンビニへ行く【一人暮らしエッセイvol.1】

一人暮らしエッセイ
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疲れているけど誇らしい金曜日、私が私らしくいるために必要な時間を過ごす。

終電に乗ってすぐ、人差し指のネイルが剥げているのに気が付きました。

冒険して買ったブラウンカラーのネイルポリッシュは、普段使っているベージュやピンクよりも剥げが目立って、だらしなく見えました。
そう言えば、一週間ネイルが剥げなかったことがありません。

そんなに手を酷使しているのか…?

もう一度ネイルが剥げた爪を見てみると、一週間頑張った証のように感じました。

さっきまではだらしなく見えて嫌だ、なんて思っていたけれど、急に誇らしく思えてきて、思わず自分の両手を色んな角度から見てみました。

金曜日の終電に乗る人は、誰もが疲れ切っているから私の行動を変に思う人はいません。

私も疲れ切ってはいるけど、金曜日の夜は特別なのです。

最寄りのコンビニで気になっていた新作のスイーツや、カップラーメン、缶チューハイなど、普段はコンビニで買わないものを買って帰宅しました。どれもスーパーで買う方が安いけれど、たまには良しとしています。

最近、ネットスーパーでまとめ買いする便利さに気がついて、ついつい玄関や廊下にダンボールに入ったままの日用品を放置しているから、土日で片付けよう…などと休日の予定を立てながら、コンビニで買ったものと食べかけのお菓子をテーブルに並べました。

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食べかけのお菓子ボックスを作ったのはいつからだったか…。
ポテチチップスを1回で食べきれなくなりました。いや、ポテトチップスだけじゃありません。じゃがりこもアルフォートも、封を開けてからもう一週間以上経っています。

簡単に落ちない体重は簡単に増えるようになって、すぐに肌荒れを起こして、治るのには時間がかかります。二日酔いも胃もたれも昔より酷いです。

つまり、食べるものに気を使っているのです。
そういう年齢になったことを、悲しく思うことはありません。
けれど少しだけ、昔が懐かしくなったりします。

アラサーになる前は、年齢を身体で実感するなんて想像できていなかったし、何も気にすることなく好きなことをしていました。

うん、懐かしいです。

だけど、金曜日の夜だけは、あの頃のような気持ちになれるのです。

お菓子だけじゃない。ケーキもラーメンも、お酒も、食べたいものを食べたいだけ楽しむ、一人パーティーをするのです。

明日顔が浮腫もうが、肌荒れしようが、二日酔いになろうが、明日は何の予定もないのだから気にしません。一人暮らしだから誰かに邪魔されることもありません。

録画したテレビドラマを見ながら、テーブルの上に無造作に並べた好きなものを、好きな順番で口に運ぶ。至福です。

お酒が回って気分が良くなり、気になっていた新作のネイルポリッシュをネットのカートに入れました。SNSで「カメムシネイル」と流行っている、その名の通りカメムシのようなカラーのネイルポリッシュです。

「待って、派手すぎるかな?」

「爪の色で仕事してるんじゃないんだから私の好きにするべきよ!」

「でもまた剥げたら目立つし…。」

「その時は頑張った証として自分を褒めればいいのよ。でしょ?」

そんな風に私は私に勇気付けられながら、ネット注文を済ませました。

きっと一人暮らし金曜日の夜は、夜景の見えるレストランの高級ディナーより幸せを感じるかもしれません。

なぜって、私が私らしくいるために必要な時間だからです。

(エッセイ投稿者:うちだ詩央里)

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