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在宅避難を経験した防災士が語る「困ったことランキング」と、今できる対策

防災
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執筆者
防災士・大沢しの

東日本大震災の際は宮城で被災し、避難生活を送った経験から、2025年に防災士資格を取得。実体験に基づいた防災情報を発信しています。

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災害が起きたとき「可能なら在宅で避難できるようにしたい」「避難所での生活はちょっと⋯」と感じている方は、意外と多いのではないでしょうか。

こんにちは、株式会社トラスト・ファイブが運営するビル・土地の記事メディア担当の大沢しのです。

不動産とは切り離せない「防災」に関する情報を、被災経験を持つ防災士の立場からリアルな体験談をお届けします。

この記事で伝えたいこと
  • 在宅避難は、避難所と比べればプライバシーは守られる一方で、さまざまな不便に直面することも事実です。
  • 当時の在宅避難で困ったことは、防災士として学んだ今なら、備え方があると分かります。
  • 在宅避難は「備えがすべて」です。少しずつでも備えていきましょう。
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そもそも「在宅避難」とは?

在宅避難とは、災害が発生した際に避難所へ行かず、自宅で避難生活を送ることです。自宅の建物に倒壊・浸水・土砂災害などの危険がなく、安全が確保できる場合に選択できる避難方法です。

私のように親戚の家に避難する場合などは、正確には「縁故避難」と呼びます。

この記事では「一般の住宅で避難生活を送ること」という意味で、在宅避難・縁故避難の双方を併せて紹介しますね。

在宅避難のメリットは?

在宅避難には、「避難所への避難」と比べて、以下のようなメリットがあります。
「避難所での避難」を経験した親戚の話と比較してご紹介します。

プライバシーが守られる

避難所での共同生活は多くの人とのスペースを共有するため、プライバシーの確保が難しいのが実情です。慣れない環境での集団生活は精神的なストレスを感じやすく、体調を崩す人も少なくなかったとのこと。

一方で在宅避難であれば親族だけの空間でプライバシーを保ちながら生活できました。もちろん災害時なのでストレスはありましたが、なじみのある場所という安心感のおかげで軽減されていたと感じます。

感染症リスクを避けられる

避難所では多くの人が密集して過ごすため、風邪やインフルエンザなどの感染症が広がりやすいリスクがあります。

一方、在宅避難であれば、部屋を別にするなどの対策も取りやすく、感染症が広がるリスクを減らすことができます。

ペットと一緒に過ごせる

避難所では、ペットは人間と離れた場所にいなければならない場合や、そもそも受け入れてもらえないところもあります。ペットにとっても、見知らぬ場所での生活はストレスになりかねません。

在宅避難であれば、ペットと一緒に避難生活を送れますので、ペットが安心できる環境を維持できます。

在宅避難のデメリットは?

一方で、在宅避難には以下のようなデメリットがあると感じました。

支援物資が届きにくい

生活物資・支援物資は避難所で配布されることが一般的です。そのため、在宅避難では物資を自力で確保しなければならず、不足するリスクもあります。

情報が入りにくい

被災者支援に関する情報は毎日変化するですが、地域ごとの細かな情報や連絡事項は避難所の掲示板に貼られることが多いです。ホームページの更新は後回しになりがちでした。

最新情報は避難所のほうが早い傾向がありました。

ライフラインが止まると自力で対処が必要

避難所では給水車が来てくれたり、災害時用の電源が確保されていたりします。

一方で在宅避難ですと、断水が起きた場合は、給水車が来る時間と場所に合わせて自分で水を確保しなければいけません。また停電時に明かりを備えていないと、夜は真っ暗で過ごさなければいけなくなります。

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【体験談】在宅避難の実情

在宅避難は「被害が軽微」というイメージもあるが、経験してみると困ったことがたくさん | イメージ画像:写真AC

東日本大震災が起こる前は、避難生活を自分が経験するなんて夢にも思いませんでした。他の地域で災害が起きたニュースを見ていても、どこか他人事で防災の備えをしていませんでした。

そのため、いざ自分が避難生活をするとなったとき、様々なことに困惑しました。

たとえば、水道・電気・ガスなどのライフラインがストップすると生活が大変だということ。当たり前と思われるかもしれませんが、想像以上の大変さでした。

また、情報を得ることも難しかったです。家族や親戚の安否確認も時間がかかりましたし、津波や福島の原子力発電所の事故も1日遅れで知るほどでした。

在宅避難ではあるものの、やはり「避難所と違って、普段通り生活できる」というわけではありません。

それでは、具体的に困った事を発表していきますね。

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在宅避難の困ったことランキング TOP5

1位・水道がストップ

私が一番困ったことは、水道がストップしたことです。

お水を使う場面としてまず思い浮かぶのは、飲料水や調理でしょう。それからお風呂。しかし、それだけではありません。トイレ、手洗い、洗面や歯磨き、食器洗いなど、生活の様々な場面で、普段は半ば無意識に使っています。

それが急に使えなくなるのです。

断水になると自治体の給水車が水を運んでくれます。しかし給水車がくる場所まで水を取りに行かなければいけませんし、水を運ぶための容器(ポリタンクや給水パック)が必要になります。

親戚宅でも水を運ぶためのポリタンクは備えておらず、ポリタンクを購入できるまでは空のペットボトルを何本も持ってお水を調達していました。

給水車が到着する場所には、到着予定の時間前から列ができていました。給水車から水をもらうためには長時間並ばなければいけません。給水車の容量も決まっていますから、並んでいる全員が水をもらえるわけではありません。
「水をなんとしてもゲットしなきゃ」と焦る気持ちがありました。

そして給水車から水をもらったあとは、水の入った重い容器を自宅まで運ばなければいけません。親戚家族と協力しながらとはいえ、とても重労働でした。

当時は親戚宅に大人5人が避難していました。20リットルのポリタンクは節約しながら使っても、2日間で空になりました。(ちなみに目安としては、1人分で1日3リットルと言われているので、5人で1日10リットルは、かなり節約しています。)
水道から水が出るまで1週間、3回給水車のお世話になりました。

防災士の資格を取った今だからこそ、伝えたいアドバイス

断水の経験から「水の備えはもっとも重要である」と強く感じています。まず備蓄してほしいのが、飲料水。備蓄量の目安は1人1日あたり3リットルです。

水の備蓄に加えて、折りたたみ式のポリタンクや給水バッグも用意しておくと、給水所での受け取りがスムーズです。

また、生活用水に関しては、普段からお風呂のお湯をすぐに流さない習慣をつけるだけでも立派な備えになりますよ。

2位・情報が得にくい

あらゆる「情報」が得られないことにも困りました。

まず携帯電話が繋がりにくく、家族や親戚の安否を知るために何十回と電話をかけ続ける必要がありました。

また、地震のあとすぐ電気が止まり、テレビからの情報が得られず状況がわかりませんでした。
太平洋沿岸に大津波が襲ってきたことも、福島の原子力水蒸気爆発がおきたことも1日遅れで知りました。

他にも給水車がいつ・どこに来るのか、食料品を買える(開店している)スーパーがどこにあるかなど、生きていくうえで必要なものをいつ調達できるかなどの情報が得にくいことが、とても不安でした。

さまざまな意味での「情報」の重要性を実感しました。

防災士としてのアドバイス

被災した経験から、情報収集の手段はひとつではなく複数を準備しておくことが大切だと感じています。

まず家族の安否確認には、災害用伝言ダイヤル(171)を活用できるよう、使い方を家族間で確認しておきましょう。

次に防災ラジオを備えておくことです。私の経験からは、乾電池式のものを備えることを強くおすすめします。

さらに、お住まいの自治体の防災情報システムにも登録しておきましょう。私の住んでいる自治体では、事前に登録しておくとLINEでローカルな防災情報を受け取れます。

3位・食料品の調達

家にいくらかの買い置きもありましたが、2日、3日と過ぎていくにつれて食料品を買い足す必要が出てきました。どうにかして開店しているスーパーを探しましたが、開いているスーパーは長蛇の列になっていました。

長時間並んで、ようやく中に入れたとしても買えるものは限られていました。卵や肉、魚、野菜などの生鮮食品はありませんでした。

物流が安定するまでは、1ヶ月程度はかかった記憶があります。その間は近所の人や知人などの間で、手に入った際に分けてもらったり、自分が購入できたときにあげたり、助け合って過ごしました。

防災士としてのアドバイス

防災士としておすすめしたいのがローリングストック法です。普段使いの食品を少し多めに買い、食べた分を買い足すだけなので、無理なく続けられます。備蓄量の目安は最低3日分、できれば1週間分を目指しましょう。

あわせてカセットコンロとガスボンベも備えておくと、温かい食事が食べられて気持ちの余裕につながります。

4位・心に余裕がなくなる

不便な生活が何日も続くと、ストレスがたまりますよね。家族のなかでもささいな言い合いが出てきます。

家族同士は言いたいことが言えますので、親戚一家の間の「ケンカまではいかないほどのちょっとした言い争い」を目撃することも多かったです。
「私がいるせいかなぁ?」などいらぬ心配もしてしまいます。

親戚家族にはとても親切にしてもらいましたが、「自宅アパートに早く戻りたいなぁ」と思ったこともありました。

防災士としてのアドバイス

在宅避難とはいえ不便な生活が続く中、じわじわストレスが溜まっていきます。
防災士として伝えたいのは、備えがあることで心に余裕が生まれるということです。食料品や水の備蓄があれば不安が減り、情報収集の手段があれば焦りが和らぎます。

そしてもう一つ大切にしてほしいのが、ご近所とのつながり。日頃から挨拶を交わす程度のつながりでも、被災時に声を掛け合い、助け合う力になります。一人で抱え込まず、地域のつながりを大切にしておきましょう。

5位・電気が止まり暖房器具が使えない

東日本大震災は3月に起きました。東北の3月といえば、まだまだ寒く暖房器具が必須な時期です。日中は気にならないのですが、夜間は本当に冷え込みます。

暖房器具が使用できないと室内でも寒いので、ダウンコートを着用し、布団をかけてもなかなか体が温まりません。寝付けないと心身ともに疲労感が残りました。

防災士としてのアドバイス

電気に頼らない暖房手段として、以下のものを備えておくと安心です。

  • 保温効果の高いインナー
  • アルミ製保温ブランケット
  • 湯たんぽ
  • カセットガスストーブや石油ストーブ※使用時は必ず換気をしてください。
    (住宅環境によっては使用NGなところもあるため、要確認)

また、私が被災したのは3月だったため暖房が重要になりましたが、備えとしては「夏の暑さ」に対するものも必要です。例えば以下のようなものが考えられます。

  • 充電式のサーキュレーター
  • ネッククーラー
  • 携帯型ハンディファン・携帯型ミストファン

近年はポータブル電源を備える方も増えており、小型のものでも電気毛布やサーキュレーター、照明、スマートフォンの充電にも活用できます。また太陽光発電と組み合わせれば、日中に充電して夜間にも使えますよ。

東日本大震災での在宅避難を経験して、防災士として学んだいま言えることは、「在宅避難は、備えがすべて」ということです。

水・情報・食料・心の余裕・寒さ、どれも事前に備えていれば、もっとラクに乗り越えられたことでしょう。

みなさんも、少しずつからでもいいので、備えを進めてくださいね。

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