この記事では「犬も飼い主も喜ぶお部屋探しのポイント」について、横浜・八景島シーパラダイスで飼育係を経験後、犬や猫をはじめとした様々な動物のトレーニング会社を運営している「カリスマアニマルトレーナー」高橋ルミさんが解説します。
一人暮らしの女性で犬を飼っている人、これから飼いたいと思っている人、けっこう多いのではないでしょうか。
犬と暮らすなら、「ペット可」物件を探すことになります。
ですが、ペット可の部屋ならそれだけですべて快適というわけではありません。
周辺環境は?間取りは?設備は?……。
人間の部屋探しもそうですが、犬にとっても暮らしやすい部屋の条件があります。
「動物のプロ」からのアドバイス、ほかではなかなか読めないかも!
そもそも、一人暮らしで犬を飼うのは難しい
犬は本来群れで生活する動物のため、飼い主といっしょにいる時間が足りないと、寂しくてストレスで問題行動を起こしてしまう可能性があります。
飼う前に、対策や解決法について、しっかり確認しておきましょう。
一人暮らしで飼いやすいのは、小型犬
都会の一人暮らしの女性を想定すると、ワンルームか1K、1DKくらいのペット可の部屋に住むことが多いと思います。
この場合の「ペット可」というのは大体小型犬のみと考えていいでしょう。
小型犬の犬種は?
犬種で言うと、トイプードル、ダックスフント(ミニチュアダックスフント)、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャーテリア、マルチーズ、最近人気のシュナウザー、フレンチ・ブルドックなど。
人気犬種同士をかけ合わせたミックス犬も最近は人気傾向にあります。
今ペットショップでも多く見られる犬種、マルプー(マルチーズ×プードル)は、代表的なミックス犬の一種です。
小型犬の体重は個体差もありますが、大まかに言って10kg未満が小型犬と定義されることが多いですね。
中でも4~5kgより軽い犬種は、超小型犬と呼ばれることもあります。
犬と住む前にチェックしておきたい注意点1:周辺環境
急な坂道の多い環境は避けることをおすすめ
ちょっとコアな話になりますが、小型犬に多く見られる症状として「パテラ」という膝のお皿の骨が外れてしまう病気があります。
これは、お迎えする前の幼犬から分かっている場合と成犬になって生活をする上で発症する2つの場合があります。
緩やかな坂道は足腰のトレーニングになりますが、急すぎる坂道が多いエリアは人間と同様にわんちゃん達も足腰に負担がかかるので、将来老犬になったときのことも考えると平坦な道が多いエリアがおすすめです。
人にとっても坂道は上り下りが大変。住む前はわからなくても住んでから不便さを感じるという声も多いので、最初から平坦なエリアを選んでおくと飼い主もわんちゃんも生活しやすいと思います。
動物病院やペットホテルもチェック
ほかに周辺の環境で言うと、動物病院やペットホテルが近所にあるかどうかもチェックしておくと、あとあと安心できます。
犬と住む前にチェックしておきたい注意点2:階数
チワワ、ヨークシャーテリア、ダックスなど番犬系は2階以上がおすすめ
チワワ、ヨークシャーテリア、ダックスなど、番犬に向いている犬種は、本能的に警戒心が強く音や周囲の環境変化に敏感なので、1階のような周囲の変化を感じやすく周囲の音が入りやすい環境だと吠えやすくなります。
これらの犬種を飼う場合は2階以上がおすすめ。
一人暮らしの女性だと飼い主の防犯にもつながると思うので一石二鳥です。
犬と住む前にチェックしておきたい注意点3:間取り
間取りで言うと理想的には、玄関とリビングの間にドアがあって、なるべく縦に長い長方形で、部屋の中に柱などの出っ張り(カド)がない部屋が飼いやすいです。
玄関との間にドアがある
玄関とリビングの間のドアは、飛び出し防止のため。
ドアで仕切られていると、あとから間仕切りを買って設置する必要がないので、費用的にも助かります。
なるべく長方形の部屋
正方形よりも縦長の長方形な部屋がいいのは、わんちゃんの運動量が確保しやすいから。
縦に距離がある方が、往復して走る距離が稼げるので雨で散歩に行かない日などはストレスの軽減につなげられます。
室内に柱などの出っ張り(カド)がない
犬は出っ張りがあるとカドを噛みがち。柱のカドがボロボロになることもあるので、壁面はなるべくまっすぐな部屋がおすすめ。
フローリングに滑り止めのマットを敷く場合も、壁に凸凹がないほうがマットを切って加工する必要が少なくて手間が省けますよ。
キッチンがリビングから独立していると理想的
さらに、キッチンがリビングから独立していると理想的。
わんちゃんは、大好きな飼い主さんのそばにいたくて足下をうろちょろすることも多いです。
料理中にわんちゃんが足下にいると、何か落としてしまったときの怪我や誤飲のリスクにも繋がるので、セパレートタイプのお部屋の方が何かと便利で安心もできます。
犬と住む前にチェックしておきたい注意点4:設備
室内のコンセント位置
ペット可の物件には、室内のコンセントが壁の真ん中より上側に付いている場合があります。これはわんちゃんが電源コードを噛んだり引っかけたりしないようにするための設計。
わんちゃんが安全に過ごせると、飼い主も安心です。
犬用の足洗い場
また、ロビーや玄関のすぐ外に犬用の足洗い場があるといいですね。
散歩後に汚れた足を洗ってからお部屋に入れるのでとっても便利な設備です。
- Qマンション・アパートで飼いやすい犬種は?
- A
大まかに言って10kg未満の小型犬です。具体的には、トイプードル、ダックスフント(ミニチュアダックスフント)、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャーテリア、マルチーズ、最近人気のシュナウザー、フレンチ・ブルドック、マルプー(マルチーズ×プードル)などです。
- Q犬種によって、お部屋探しで気を付ける点は?
- A
小型犬の脚には、急すぎる坂道は負担をかけます。将来老犬になったときのことも考え、急な坂が多いエリアは避けましょう。チワワ、ヨークシャーテリア、ダックスなど、番犬に向いている犬種は、2階以上のお部屋がおすすめです。周囲の音が入りやすい環境だと吠えやすくなるためです。
全部がかなう物件はなかなかないかもしれませんが、ペット可物件を探す際はチェックポイントとして参考にすると、わんちゃんも飼い主も暮らしやすい部屋を見つけやすいと思いますよ。