東日本大震災を経験した防災士が安心できるキッチンの地震対策について解説します。
こんにちは。カーサミアライターのしのです。東日本大震災のとき宮城県で被災しました。その経験を役立てたい思いから防災士の資格を取得しました。
私の子どももまもなく一人暮らしを始めるため、防災についてあらためて考える機会が増えました。被災経験から学んだことを、みなさんにも役立てていただければと思っています。
東日本大震災のとき、私の部屋のキッチンは対策ができていなかったため、食器棚からは食器が飛び出し、片付けに大変苦労しました。
キッチンの地震対策については色々とお伝えしたいことがありますが、今回は「食器」にフォーカスしてご紹介します。
ぜひ最後までご覧くださいね。
東日本大震災の際に感じた、食器の地震対策の必要性

東日本大震災のとき、対策をしていなかったため食器棚の中の食器類が飛び出してお皿やグラスやマグカップが割れてしまい、油も床にこぼれてしまいました。その後、床に落ちた食器類を片付ける際には、割れ物が散乱しているのでケガをしないよう細心の注意が必要でした。
東日本大震災のあと大変だったこと
割れた食器類の掃除
数個の割れ物を片付けるだけでも、ケガに注意しなければいけません。また、床に散った細かい破片をすべて取りきったことを確認する作業も必要でした。
床に落ちていた油の掃除
出しっぱなしにしていたサラダ油が転倒し、フタが空いて、床が油でベタベタになっていました。油の掃除はティッシュなどに吸わせて取り除き、ベタベタする床をきれいにする作業にも時間がかかりました。
地震対策をしていないと、地震のあとも大変だということを思い知りました。
私の場合は、親戚の家に避難できたため、停電が解消した1週間後まで掃除を待つことができました。そのため、明るい部屋で掃除機を使って掃除ができたのは不幸中の幸いでした。
もし、自宅に在宅避難せざるを得なかったら、暗闇の中で割れ物の片付けや、床に落ちた油の掃除をしなければならなかったと思うと、さらに大変だったでしょう。
防災士が実践中、食器やキッチン家電の安全な収納法
このような経験を踏まえて、現在私が実践している地震対策をご紹介します。
食器棚の地震対策

- 重いものは下に収納する
- 刃物と調味料は扉の中に収納する
- 食器棚の中には滑り止めシートを敷く
- 食器棚や備え付けの棚にはチャイルドロックや耐震ラッチを取り付け
- ガラスには飛散防止のシートを貼る
このように、簡単にできることから対策しています。
都心で暮らす方向け、防災士からのアドバイス
都心のコンパクトなお部屋で暮らす方や、一人暮らしの方など、どうしても収納スペースが限られているなど、私とは異なる状況にある方もいらっしゃると思います。
ここからは、都心のお部屋を想定したアドバイスをお伝えしますね。
「見せる収納」をしたい場合の地震対策は?
地震対策の観点からは、「見せる収納」はあまりおすすめできません。しかし、お部屋の構造上収納が少ないなどの理由で、せざるを得ないこともありますよね。
見せる収納をする場合には「隠す収納」以上にしっかりとした地震対策が必要です。
私が考える見せる収納での地震対策はこちらです。
衝撃に強い素材や、割れない樹脂製の食器を使う
メラミン食器や樹脂製の食器を選ぶとよいでしょう。
ガラスのような見た目で樹脂製・ポリカーボネート製のものもありますよ。
例えばこちらです。
滑り止めシートや耐震ジェルを使う
動いてほしくないものの下には、滑り止めシートや耐震ジェルを使って地震対策をしましょう。
ハサミ、包丁、菜箸は必ず隠す収納
先が尖っているハサミや包丁、菜箸などは地震の揺れで落下して人に当たると、本当に危険です。必ず隠す収納をしましょう。
また、調味料の中でも液体のもの(醤油やサラダ油など)は、転倒してフタが開くとこぼれてしまうので、掃除が本当に大変です。こちらも引き出しや収納ボックスなどに収納することをおすすめします。
水切りかごを食器棚に代用する場合は?
スペースに余裕がなく、シンク周りの水切りかごを食器棚代わりにする場合もあるかと思います。
「見せる収納」をする場合と同様に、割れにくい食器を使うほか、次のような対策が考えられます。
水切りかごの下に耐震ジェルを使って移動防止
ジェルを使う場合は、足の細いタイプのものではなくて、土台が比較的しっかりしたものがおすすめです。省スペースで使いやすそうな商品もありますよ。
例えばこちらの商品です。
「シンクの中」に渡すタイプの水切りカゴを使用する
シンクの中に渡すタイプでしたら、地震が起きた際にもシンク内に落ちるのでケガの心配も少ないでしょう。
例えばこちらのような商品です。
ハサミ・包丁・菜箸は、洗い終わったらすぐにしまう
この場合でも、ハサミ・包丁・菜箸などは、水切りかごに置いておかず、洗い終えたらすぐにしまいましょう。
- Q地震対策を考えた、食器の安全な収納方法は?
- A
食器棚の中には滑り止めシートを敷いて、食器類の移動を防止します。食器棚の扉にはチャイルドロックや耐震ラッチを使い、食器の飛び出しを防止しましょう。
- Q食器棚がなく、見せる収納にする場合の地震対策は?
- A
食器棚などを置くスペースがない場合には、より入念な地震対策が必要です。割れにくい素材の食器やグラスを使うとよいでしょう。滑り止めシートや耐震ジェルも活用してください。ただし、包丁・ハサミ・菜箸など危険なものは、必ず隠す収納にすることが大切です。
- Q水切りラックを食器棚代わりにする場合の地震対策は?
- A
見せる収納同様の対策に加えて、水切りラックの選び方を工夫しましょう。たとえば、土台が比較的しっかりしたラックを選ぶ(耐震ジェルを使いやすいように)、シンク内に渡すタイプの水切りラックを選ぶ(地震の際も、食器がシンク内に落ちればケガの心配が少ない)、等が考えられます。この場合も、包丁・ハサミ・菜箸などは洗い終えたらすぐにしまいましょう。
東日本大震災の当時には存在しなかった便利なグッズが、今は多く販売されています。ご自身のお部屋の状況に応じて、できるところから地震対策を始めてくださいね。