「一人暮らし女性のおうちライフを快適に!」がテーマのライフスタイルマガジン「カーサミア」では、一人暮らしに関するエッセイを公開しています。
これだけは妥協できないという、私の基準
部屋を決める際、譲れないポイントは人それぞれあるでしょう。オートロックの物件がいいとか、日当たり重視とか、水回りのきれいさだけは譲れないとか、料理が好きなのでコンロが二口ある方がよいとか。
私の場合、女性の一人暮らしですから安全面は大前提として、まず重視することは、騒音がないかどうかです。
これは私が長年一人暮らしをして、引っ越しが趣味といってもいいくらい色々な部屋に住んできた経験から導き出した結論です。
ところがやっかいなのは、オートロックの有無やコンロの数と違って、騒音は住んでみないと分からないということ。隣にどういう人が住んでいるかは、もはや運次第です。
たとえば、私が大学生になって初めて部屋を借りたときのことです。
夜、布団に横になると、耳元でゴロゴロと低く床を這うような音と、壁越しにわずかな振動を感じました。私はそれが聞こえてくると眠れません。
毎晩その音を観察していて気づきました。それはゴルフボールが転がる音らしいのです。隣には社会人男性が住んでいましたので、彼がパターの練習をしているらしいと見当をつけました。私は片頭痛持ちなので騒音が一番大敵です。
そのうち頭痛薬を飲む回数が増え、我慢できずに大家さんに訴えました。
大家さんから男性に言ってもらったのですが、相手は「心当たりがない」の一点張り。
他にも被害を訴えている人があれば大家さんももう少し本気で取り合ってくれたかもしれません。
もし、男性の部屋が二階だったとしたら、階下の部屋からも苦情は出たでしょう。ところが男性の部屋は一階の角部屋で、音が伝わってくるのは私の部屋だけだったのです。
「生活音はお互い様ですからね。」
大家さんの口ぶりは、あたかも私が神経質で被害妄想に陥っていると非難するかのようでした。私は耐えられず転居しました。
次の部屋は楽器に悩まされました。シンセサイザーのような電子音です。しばらくは、耳栓をしたり、イヤホンで「ホワイトノイズ」と呼ばれる、騒音を無効化してくれるBGMを聞いてやり過ごしました。けれど、寝るときにずっとイヤホンをしていると、耳の奥が圧迫されているようで熟睡できませんでした。
この時も大家さんに伝えましたが、相手は、「あれはテレビの音で、楽器ではない」と主張します。でも私は、自分も音楽をやる人間なので、あれは楽器音で間違いないと思っていました。
大家さんはそれから見回りもしてくれましたが、大家さんが来るときには巧妙に音を鳴らさないのです。そして大家さんがいない時には鳴らすので、私はまるでもてあそばれているようでした。
結局ここも私の方が根負けして退去となりました。
次に選ぶ際には、防音がしっかりしているか、楽器などの持ち込み不可と規定にしっかり書かれているか、住人同士の騒音トラブルがあった場合に大家さんがどのように対処しているか、入念にチェックしました。
限られた予算の中で部屋を選ぶわけですから、何もかもの条件がそろっているというわけにはいきません。ですから部屋を選ぶ際には、絶対にここだけは妥協できないという自分なりの基準を持つことが大事だと思います。
その基準は、「こういう部屋に住みたい」というポジティブな条件ではなく、「これだけは絶対イヤだ」というネガティブなほうの最低限のラインであるほうが、最終的に満足できる部屋を選べると思います。
反対に私がこだわらなかったのは、事故物件。霊感のない私には全く問題ありませんでした。
(エッセイ投稿者:とももん/女性/30代)
カーサミア宅建士からのワンポイントアドバイス
音の問題で苦労してこられたのですね…!
その経験を基に、音の問題で悩まないためのチェック基準をご自身で見つけられたとのこと、素晴らしいと思います。
少し気になったのですが、エッセイ内では騒音について、「隣の部屋で〇〇している音に違いない」と書かれていますが、必ずしもそうではない可能性もあったと思います。
音は壁や床を通じて、縦・横・斜めなど思いもしない方向に伝わります。
「 ”隣の部屋が原因” と思っていても、”実は上階の3軒隣が原因だった” 」のように、全然違う部屋が音源になっているケースも多々あります。
またレアケースですが、「調査の結果、屋上の共用設備で発生する音だった」という物件もありました。この物件では、解決のために屋上の工事が必要でした。
このように、音の問題については、建物全体で考えていく必要があります。
そしてそのためには、大家さんや管理会社が音の問題についてしっかり認識し、訴えに対して先入観を持たずに調査・対処していかなくてはなりません。
ですから、「大家さんや管理会社がしっかり対処してくれること」を条件にお部屋を探されているのは大正解だと思います。
ただ、もし今後、音の問題に遭遇することがあったら「あの部屋が原因だ」と決めつけず、いろんな可能性を念頭に置いて大家さんや管理会社に相談されると、大家さんや管理会社の先入観を減らせるので、よりよいのではないでしょうか。
ちなみにしっかりした管理会社の見分け方は、以下の記事でも解説しています。
また、音の問題についてある程度、入居前に判断する方法もご紹介しています。
とももん様と同じように、静けさを重視してお部屋選びをしたい方にとって、参考になりましたら幸いです!
エッセイ募集企画は終了しました。次回の開催をお楽しみに!