「一人暮らし女性のおうちライフを快適に!」がテーマのライフスタイルマガジン「カーサミア」では、一人暮らしに関するエッセイを公開しています。
1月、水風呂に凍えながら自分の未熟さを思い知った
20代も終盤に差し掛かり、周りで一人暮らしを始める友達が増えてきた頃、私も流れに乗って二度目の一人暮らしを始めることにしました。
学生時代には「同じアパートの違う部屋」に友達と暮らすという、学生の醍醐味みたいなことをしていましたが、社会人になってからはずっと実家で甘えて暮らしていたので、久しぶりの一人暮らしは新しい気持ちで迎えるものでした。
以前に一人暮らしをしていたことから、そんなに不動産業者の評判なども調べませんでした。「大手だから安心」と思い込み、不動産業者に言われるがまま契約書を書いた日の自分を、なんでもっと事前に調べなかったのかと、今なら真剣に叱りたいと思ってしまいます。
今回の引っ越しは辛い思いをすることの連続でした。
まず引っ越し当日、鍵をもらって家に新居に入ったところ、靴箱の中でファイルを見つけました。その中には以前の居住者の実家の住所やフルネーム、契約日や年齢が記載されていました。おそらく前の居住者が置き忘れていったものなのですが、それにしても不動産業者の方で何故気が付かないのか疑問に思いながら、対応について指示を仰ぐため連絡を入れました。
その後、家財の搬入前に部屋を掃除していたところ、部屋内には複数の生の米粒が落ちており、拭き掃除をした掃除道具にはかなりのごみが付着し、到底綺麗とは言えない状況でした。
さらに部屋には複数の虫がおり、虫が大の苦手な私がこの家で一番虫と戦ったのは初日だったなと思います。築5年、住宅街に位置するマンションの3階なのになぜと、ただただ悲しい気持ちになりました。
そのうえ、水道やガスの開通手続きをしていたところ、ガス業者に水漏れがあるため早急に直してもらう必要があると伝えられました。取り急ぎガス業者にお湯は出ることを確認してもらい、その場で不動産業者に電話をしましたが、大家さんに確認をとるとのことで、そのまま音沙汰がなく夜を迎えました。
とりあえずお湯は使えたので問題ないかと思い、お風呂にお湯を張って入ろうとしたところ、湯舟に溜まっていたのはただ水でした。すぐには状況が理解できず、お湯を再度出しながら手をあててみたところ、なぜか40度に設定した蛇口からはお湯と水が交互に出てくるようでした。
1月、ただでさえ寒いところに、仕方なしの水風呂。
何か自分が悪いことをしたのだろうかと、この一日を振り返って、もう一人暮らしを頑張ろうという気持ちがどこかに消えてしまい、なんでこんなことをしなくてはならないのか、絶望感で一杯になりました。
翌日、不動産業者から電話が入り、ガス業者が再度来ることになりました。ただ、来るのはまた数日後。しかし、2度目の訪問時には、大家さんに確認をしないと進められない事項がありました。その場でガス業者から大家さんに連絡をとるも繋がらず、何も解決しないまま業者は帰宅。
再度日程を調整し、数日後また訪問があり、同じ状況を繰り返し。そんなことが2回ほど続き、やっとガスが使えるようになったのは、入居して2週間が経過した頃でした。
私は未熟で、事前の不動産業者の評判への下調べも足りず、不満を感じたことを相手に伝える力もなく、ただ部屋で絶望して涙を流すだけでした。
強く主張できる人ならもっと早く解決してもらえた可能性もあったかもしれません。私の対応が「申し訳ないけれど困っていて、早く対応してもらえると助かります」程度のものだったからこそ、そこまで優先順位が高くないと思われたのかもしれません。
強く何かを言う力は、時には自分を守る武器になるのだと強く実感した出来事でした。これから先、自分で自分をもう少し守れる大人になれたらいいなと思います。
(エッセイ投稿者:みみ/20代・女性/Tw:@yuki_usagi_82)
エッセイ募集企画は終了しました。次回の開催をお楽しみに!