この連載は、「一人暮らしで趣味を満喫しているオタク女子(そして腐女子)が家を買ったら……?」という物語を描く、1話5分のほっこりwebノベルです。
「家を買ったときの話、身近な友達には聞きにくい……」そんな疑問が解決するかも!
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家を買ってから、2週間後。
引っ越しを済ませて、だいたいの片づけを終わらせて。
まだ少し段ボールが残っている家に、初めてのお客様がやってきた。
「ただいま!」
「えっへっへ、お邪魔しますぅ~……って、ひゃあ~、広いなぁ!」
「えへへ。いらっしゃい、ずにさん。ようこそ我が家へ!」
ひさびさの三連休の入り口、金曜日の夜。
大親友で長年のオタ友、そして今ではご近所さんになった結城梓さんことずにさんを、新居に招いたのだ。
私が買った家は大井町。
ずにさんの家は品川。
根性出せば歩ける距離だ。
仲良しの友達が近くに住んでいるのって、すごく嬉しい。
ドアを開けるなり、ずにさんが弾んだ声をあげる。
「わあ~、リフォームしたてってかんじでテンションあがるなぁ!」
「でしょでしょ、そして見てくださいよ。これ!!」
「おお~~、祭壇!!!」
祭壇、というのは推しのフィギュアやグッズなどを祀った一角のことである。
推しとは、それすなわち、神。
推しをたくさん並べた一角は祭壇。
完璧にロジカルだ。
「いやあ、前の家は祭壇作るスペースがなくて自重していたわけですが……いままでため込んでいたグッズもこれで成仏です!!」
「ほんとねぇ。っていうか、これ歴代の推したちやん。うっわ、サ終(※サービス終了)したアプリの缶バッジやんなっつかし!!」
「でしょう~!」
きゃっきゃと話に花が咲く。
広々ワンルームには、ベッドの他にもソファを置くことができそうだ。
まだソファは買っていない。
これから、この部屋にお気に入りのものをたくさん集めていくんだと思うと、選んでいるプロセスさえも愛おしくて楽しいものに思えてくるから不思議だ。
「ね、トウキチちゃん。今日はいっぱいお喋りしよ!」
「もっちろん! ちょっとまだ、ベッドがソファ替わりで申し訳ないんですが」
「いいよいいよ、むしろ一緒に寝よ! お風呂も借りていい?」
「はい!」
家具を選ぶのも、楽しい。
こうやってお友達を呼ぶのも、楽しい。
諸費用をためる準備期間にはじめた節約生活も、なんだかんだ楽しくて続けている。
「……あ」
「ん、どうしたん。トウキチちゃん」
「ちょっと思い出したんですよ、ここを紹介してくれたとき担当者さんにいわれた言葉」
「ああ。なんやっけ、カーサミア不動産」
「吉村さんっていう女の人なんですけどね、たしか初めて内見に行くときに言ってくれたんですよ。『家を買うのって、楽しいことですよ』って」
吉村さんの、プロとしての言葉。 あれでずいぶん、心が軽くなったっけ。
「あのときは、『へぇ、なるほどな』ってくらいしか思わなかったけど、あれこれ悩みながら物件を選んでいるときも、なんだかんだ楽しかったし、家具をそろえるのも楽しいし、こうしてずにさんと遊べるのもすごく楽しいし……きっと、吉村さんはこういうこと言ってたのかなって」
「へえぇ。家を買うのって、楽しいことですよ……か。いいなぁ、私も言われたかった」
「ふふふ」
「なによぉ」
「ずにさん、焼きもちだ」
「ぷっふ、それ意味違うからぁ」
家を買うのって、楽しいことですよ。
これからも、大きな決断をするときとかに思い出す気がする。
自分のことを、自分で責任をもって決めるって、とっても楽しいことなんだ。
「よーし、ずにさん。ご飯食べましょ、ご飯!」
「うんうん! 大井町駅前のスーパー、フードコートあるの知らなかったわぁ」
「色々、おいしそうなものテイクアウトできましたね!」
「アイスも買ったしな!」
「あ、ねえ、ずにさん。『プロメア』観ましょ!」
「ああ~、いいわぁ! あ、でも『シン・ゴジラ』もよくない?」
「ああ! あれ、劇中のニュースのテロップに南大井って出るんですよ」
「ご近所やん! っていうか、うちの住んでる品川らへんもガッツリ出てるわ」
「よし、『シン・ゴジラ』に決定~!」
ベッドに腰かけて、ローテーブルにおつまみを広げて、新調した大きなテレビで映画を観る。
楽しいお泊り会の幕開けだ。
「はぁ~、やっぱ音楽がいいねぇ、シンゴジ」
「ゴジラのテーマって、やっぱりテンション上がりますね」
「あとアニメの最終話でさ、戦闘中にオープニング曲が流れるのとかもテンションあがるぅ」
「わかる! あ、あとアニメの最終話のサブタイトルが作品のタイトルと同じとか」
「あっはは、そういうのいいわよね!」
しょっちゅう通話しているはずなのに、話題は尽きない。
家を買ってから、なんだか毎日に張り合いがある気がする。
これからきっと、もっとワクワクすることがたくさんあるんだろうな。
独身、アラサー、オタク……っていうか腐女子。
そんな私が、家を買う。
何年か前の自分にそんなこと話しても、絶対信じてくれなさそう。
でも、私は、やったんだよ。
胸を張って、そう言える。
家を買って、本当によかった。
……大量のグッズも、ウォークインクローゼットにちゃんとおさまったしね!
*** ご挨拶 ***
こんにちは。ウェブマガジン「カーサミア」編集長の吉村です。
意外な繋がりから、蛙田アメコ先生に素敵なWEB小説を書いていただくことになり、カーサミア不動産という架空の不動産会社の担当者として登場までさせていただきました。
「家を買う」
何だかとても大きくて、自分には関係ないことのように感じている方も多いと思います。
ですが「家」は生きていく以上必ず必要なもの。
借りれば家賃が毎月かかります。東京で女性が一人暮らしをしようとすれば、最低でも6万円はしますよね。少し条件をつけるとすぐ9万円とか。
そんな家賃も、手取りの3割以内に収まれば良いほうです。4割という方もいらっしゃるでしょう。
手取りの3~4割。結構なウェイトです。
カーサミアでは、せっかくなら、その3~4割分を自分のためになる有意義な使い方をしてもらいたいと考えています。
そこで「賃貸」から「持家」への転換です。
家賃を無駄にするのはやめましょう。
「自分の家」を持つだけで、何だかハッピーになるだけでなく、お金に対する価値観や仕事に対するモチベーションまで変わった方を、これまでたくさん見てきました。こちらまで嬉しくなりました。
家は、選び方さえ間違えなければ、大きな失敗はしません。
選び方は、自分で勉強することもできますが、それなりに大変です。
なので、知っている人から聞けばいいのです。
教えてくれる人に協力してもらえばいいのです。
私たちはウェブマガジン「カーサミア」を通して、そんな女性の一人暮らしを有意義にするために、住まいの探し方や選び方など、「分からない」「恐い」を「楽しい」に変換するお手伝いをしています。
女性が一人でものびのび暮らせる未来のために。
家を買うのって、楽しいことですよ。
カーサミア 吉村夏子
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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