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コタツを知らない、沖縄の友人。ふたりで東京の寒さを乗り切った思い出【一人暮らしエッセイvol.40】

一人暮らしエッセイ
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冬の寒さを乗り切る必需品は?

私の実家は奈良で、東京で一人暮らしをしています。
東京に住み始めてからは、小さい日本でこんなにも違うのか、ということがいくつかありました。

それでも外国に住んでいるわけではなかったので、すぐに順応はできました。

私の勤めていた会社は海外の方と接することも多く、彼らの生活を通訳として支えることも私の仕事でした。悩みや困っていることを聞けば、できる範囲で助けてあげていました。
海外から来て東京で暮らしている彼らに比べれば、私のカルチャーショックは小さなものです。

そんな日々を過ごす中で、同業他社の沖縄出身の人たちと現場で顔を合わせ、そのうちに仲良くなることができました。
沖縄も、ずいぶん遠い場所です。東京に住むことのカルチャーショックも大きいようでした。

なかでも一人の女の子と、特に仲良くなりました。
沖縄の子特有の、大きな目で濃い顔立ちの子です。一見派手に見えますが、服装は飾らない、シンプルでカジュアルな女の子でした。

そんな彼女に親近感を覚え、「東京人でない田舎者同志、仲良くしよう」と結束したのです。

ある休日、彼女とランチをする約束をしました。

お互い一人暮らしで、節約しながら生活していたので、華やかなOLたちが行くようなおしゃれでインスタ映えをするようなランチではなく、チェーンのファミレスでした。
お店を決めるとき「ファミレスでいいよ」と言ってくれたのは彼女で、正直ほっとしたことを覚えています。

秋の終わりの季節。彼女はファミレスで、「冬の寒さがどうしてもつらい」と沖縄出身ならではの悩みを話してくれました。

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「もちろん初めて雪を見たときは感動したけれど、できれば冬だけでも沖縄に帰りたい」とぼやく彼女と一緒に、訪れる本当の寒さをどうやって暖かく過ごせるか考えることにしました。

ちなみに彼女は初めての冬、暖房器具の「コタツ」の使い方が分からなかったそうです。
コタツ布団を使わず、コタツだけで部屋を暖めていたという経験を話してくれた時は、大笑いをしてしまいました。

私は実家に住んでいたころ、電気代など考えることなく寒ければ暖房をつけるという考えでした。
しかし一人暮らしを始めてからは、電気代を節約しなければという気持ちが頭から離れず、毛布にくるまって生活をしたりしていました。

彼女も「それ分かる」と言って共感してくれました。

そうして話しているうちに「やっぱりお酒が体を温めてくれる!」という話になり、私の部屋で缶ビールを買って飲むことになりました。

部屋で飲んでいると、彼女はふと部屋の隅にあった段ボールを見つけました。今朝、実家から届いた野菜やお菓子の差し入れが入ったものです。

彼女は「実家のママからね」と小さく呟き、寂しそうにポロっと涙を流したのです。

私はびっくりして、「酔ってる?」と声を掛けました。

「家族が恋しくなるの、特にこう寒くなってくると」そう言いながら、彼女は本格的に泣き出してしまいました。

私もその涙につられ泣きそうになってしまいました。
今まで家族の大切さや温もりは、電気代と同じで、何も考えずに過ごしていました。

でも、寂しくなると、心まで寒くなってしまいます。
心を温めてくれるのは、お酒や暖房器具ではないのかもしれない。彼女の涙を見て、そう思いました。

次はどっちかの部屋で鍋でもしよう、心も体も暖めよう、とふたりで励まし合い、私たちはその冬を乗り切りました。

(エッセイ投稿者:はる)

エッセイ募集企画は終了しました。次回の開催をお楽しみに!

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