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面倒だけど好きな、週末のアイロンがけ。背筋がピシッと伸びるんです【一人暮らしエッセイvol.34】

一人暮らしエッセイ
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心整うアイロンがけ

「部屋の乱れは心の乱れ」とはよく言ったもので、家事って家を整え、ひいては自分を整えるための仕事だと思うんです。

一人暮らしだったらなおさら。ぜーんぶ自分でやらないといけないから、いい意味でも悪い意味でも全部自分に返ってくる……。
手抜きしてインスタントの食事ばっかり摂っていたら肌荒れするけど、質素でもきちんと栄養バランスの整った料理を食べていると肌も心も満たされます。

「心を整える」なんて言葉が数年前に流行ったけれど、まさに家事は家を整えることで、間接的に心を整えているのだと思います。

特にそう感じるのが「アイロンがけ」。
特別好きなわけじゃない、いや、むしろ面倒に思うことの方が多い、でも私がほぼ毎週末にこなす家事の一つです。

そして何をアイロンがけするかというと……「ハンカチ」です。
洗うとシワになって、それこそアイロンかけるのが面倒だからと最近はタオル地のものが主流のようだけど、私は布帛のハンカチが好きです。

特に仕事の時はきちんとした印象に見られたいから、カジュアルなタオルハンカチよりも布帛のハンカチを選びます。

コロナ禍に入って手洗いの機会も増えたし、公共のトイレからエアタオルがなくなってしまって、俄然出番が増えたハンカチ。
意外と人の目につくこともあるので、きちんとしておきたい。

でもやっぱり、洗濯するとしわくちゃになっちゃうんですよね。

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なので、ウィークデーに使ったハンカチはまとめて週末に洗濯して、一気にアイロンかけてシワを伸ばします。
乾いたしわほどとるのが大変になるので、私は脱水を終えた状態で先にアイロンがけをしてから干すことにしています。
わざわざ霧吹きで濡らす必要がないので時短だし、この後他の洗濯物と一緒に干したら生乾きも気にならないのでおススメです。

アイロン台にハンカチを広げたら、余計なしわがつかないように角をもってピンと張り、真ん中からその角に向かってスーっとアイロンを滑らします。
四隅には、アイロンの先の三角部分をきっちり沿わしてキュッと仕上げます。
逆にヘムは潰さないよう、アイロンはのせずにふんわりと。

さっきまでくしゃくしゃだったハンカチが、ピシッとした存在感を見せてくれます。

洗濯機から取り出したばかりのしわしわのハンカチは、まさに一週間奮闘した私。
仕事でうまくいったりいかなかったり、失敗したって歯食いしばって踏ん張って、やっとの思いで乗り切った金曜辺りには、なんだか顔にシワの1本や2本増えている……。
身も心もくしゃくしゃになっています。

「今週も無事に乗り切ったね」
「また来週もがんばろうね」

アイロンがけをしていると、なんだかそんな言葉をかけてもらっている気がしてくるんです。
ちょっと面倒だけど、心整うひととき。

今、私の引き出しにはしわ一つないハンカチたちが並んでいます。
月曜にはこの中の一枚を選んで、一週間が始まります。
その時の私の背筋はピシッと伸びて、足取りも軽く駅に向かっているんです。

(エッセイ投稿者:小桜/40代・女性/Twitter:@Panemi4

エッセイ募集企画は終了しました。次回の開催をお楽しみに!

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