質問:敷金なしの物件、何か”罠”があるのではと心配です
あまり貯金がないので、初期費用の安い敷金なし物件を検討しています。でも敷金なし物件は、退去時に高額の費用を請求されるなどの罠があるんでしょうか?
実際のところを教えてください!
「タダより高いものはない」なんて言葉もありますから、心配になりますよね。敷金なし物件には、どんなデメリットがあるのでしょうか。
このコーナーでは、カーサミア編集部が、みなさんの疑問・質問に答えていきます~。
実は、カーサミア編集部は全員が宅建士(おうちに関するプロ)です。
お部屋・住まい・不動産に関する一人暮らし女性の疑問に、宅建士としての立場から回答します。
回答:名目や支払い時期が違うだけで、最終的には同じくらいの金額を払うことが多いです。
☑ 敷金は主に退去時のクリーニング費用・修繕費用として使われる
☑ 敷金なし物件でも、ほとんどの場合、別の名目で支払うことになる
☑ 様々なケースがあるので、物件ごとにしっかり確認すること
今回は私が回答しますね。
そもそも、敷金とは
入居時に(オーナー、大家さん)に払う初期費用として、「敷金・礼金」が挙げられます。
このうち敷金とは、入居時に貸主(オーナー・大家さん)に預けておく預け金のようなものです。
関西や九州の一部の地域では、「敷金・礼金」ではなく「保証金・敷引き」としている地域もあるそうです。
とはいえ最近は、全国一律な物件検索サイトが一般的になった影響で、全国的に「敷金」が増えているとの話も聞きますので、ここでは「敷金」に絞って解説しますね。
敷金は主に、退去時のクリーニング費用・修繕費用などに充てられます。
また、入居中に万が一家賃の滞納があった場合は、大家さんの判断で家賃に充当することもあります。しかし最近は保証会社が入っているケースも多いので、家賃保証の意味での必要性は薄れてきています。
敷金の金額は、家賃の1~2ヶ月分が相場です。基本的に退去時に精算し、残金があれば戻ってきます。
敷金なし物件でも、なんらかの形で費用を払っている
さて、通常は退去時のクリーニング費用・修繕費用に充てられる「敷金」。
敷金がない物件の場合はクリーニングをしない…なんてわけ、ありませんよね。退去時の修繕費用やクリーニング費用は、何らかの形で求められます。入居時に敷金以外の名目で払う、退去時に同等の金額を払う、月々の家賃に上乗せで払う…などのケースが考えられます。
それぞれ、順番に見てみましょう。
入居時に別の名目で支払うケース
入居時に、カギ交換代・メンテナンス費などの名目で支払うケースもあります。
この場合は、名目こそ「敷金」ではないものの、初期費用としてある程度の貯金が必要です。しかし、内訳がはっきりしていて分かりやすい、と魅力を感じる人もいるようです。
退去時に支払うケース
退去時に改めて、クリーニング代・修繕費用が請求される可能性もあります。
これが最も多いパターンだと思います。ご質問者様が懸念しているのもこのケースでしょう。
初期費用を抑えて引っ越しできるのが大きなメリットですが、退去時に向けて貯金をしておく必要があります。退去時の費用をまったく想定していないと、”罠”と感じてしまうかもしれません。
家賃に上乗せされているケース
また、最初から敷金分を見込んで、家賃が高めに設定されている可能性もあります。この場合、初期費用や退去時の費用は安価で済みますが、居住年数が長くなるとトータルでの支払い金額は高くなります。
逆に、短期間での引っ越しを考えている場合はお得になるかもしれません。
このように、なんらかの形で費用を払う可能性が高いので、敷金なし物件は「純粋にお得」というわけではありません。
検討中のお部屋がどのケースにあたるのか、しっかり確認してくださいね。
もしかして…礼金なし物件の場合は、「純粋にお得」ですか?
そうですね。礼金は大家さんの判断で決めているものなので、礼金なし物件は「純粋にお得」なケースが多いと思います。
敷金なし物件=不人気物件の可能性も?
貸主(オーナー・大家さん)の本音として、「退去時に修繕費を清算するより、入居時に前払いしてほしい」というものがあります。
なぜなら、契約で退去時の支払いを約束していたとしても、実際の退去時に改めて費用を請求したら「高すぎて払えない」「聞いてなかった」などと揉めてしまうケースもあるからです。
退去後はすぐにクリーニング・補修をして次の入居者を迎えたいため、支払いまでに時間がかかることは避けたいはずです(特に個人や小さな会社が大家さんの場合は、この傾向があると思います)。
それでもあえて「敷金なし、退去時に清算」としている場合は、入居者募集を急いでいるから…かもしれません。
- 不人気物件だから
- お部屋探しをしている人が少ない時期だから
- そのほか、貸主側の事情があるから
等の理由が考えられます。
また、ほかのパターンとして、たとえば初期費用を下げる代わりに長く住んでほしいと考えている貸主(オーナー・大家さん)の場合は、「〇ヶ月以内に退去する場合は違約金」などの設定をしている可能性もあります。
「敷金なし物件」とひとくちに言っても様々なケースがありますので、検討中の物件がどういった理由で敷金なしになっているのか、代わりに支払う費用が何なのか、しっかりと確認しておきましょう。