質問:マンションの1階の部屋が安いのは、何か問題があるからですか?
同じマンションの同じ間取りでも、1階は家賃が安くなっていました。やっぱり防犯上の問題などがあるから安いのでしょうか?
1階だと、階段を上らなくていい・階下への音の心配がなさそう、などの魅力も感じています。家賃も安いし、1階に住んでも大丈夫でしょうか?
今回は「1階」の物件に関するご質問です。
1階だと、家賃が安い・階段を上らなくてもいいなどは魅力ですよね。安いのにはどんな理由があるのでしょうか。
このコーナーでは、カーサミア編集部が、みなさんの疑問・質問に答えていきます~。
実は、カーサミア編集部は全員が宅建士(おうちに関するプロ)です。
お部屋・住まい・不動産に関する一人暮らし女性の疑問に、宅建士としての立場から回答します。
回答:デメリットを避けたい人が多いから家賃が安い。でも理解して選べば大丈夫!
1階の問題点(デメリット)
× 防犯・プライバシー
× 浸水の可能性
× 湿気・冷気
× 日当たり
× その他(眺望・外の音・虫など)
1階の魅力(メリット)
〇 家賃が安い
〇 階段を上らなくていい
〇 共同ポストや宅配ロッカーが近い
〇 引っ越し費用が安い
※ 防犯面では、階数よりも死角に注意
※ 音は横に伝わることも。1階でも飛んだり跳ねたりはNG
今回は私が回答します。
私は1階のお部屋が好きで、過去の引っ越しでは4度、1階を選んでいます。(ちなみに、2階以上のお部屋に住んだことは2度あります)
なので「一人暮らし女性なら1階は避けた方がいい」とは思いません。
とはいえ、問題点・デメリットがある(と考える人が多い)から安くなるのです。
私の経験と、宅建士としての知識から、1階で考えられる問題点をご紹介しますね。問題点を想定して、きちんと対策を考えながらお部屋を選べば大丈夫ですよ。
マンションの1階、問題点(デメリット)
1階の問題点(デメリット)は、物件(アパートやマンション)や土地によって異なる部分も大きいです。
でも、問題点が少ない物件だと、家賃が2階以上と変わらないこともあります。
ですので今回は、「どんな問題が考えられる場合に家賃が安くなるのか?」を中心に解説します。
防犯・プライバシーの問題
1階は道路から繋がっているので、侵入しやすくなってしまいます。しかし一方で、道行く人の目があるため、ピッキングやガラス破りなどの侵入方法が取りづらい面もあります。
また、防犯に関しては、階数よりも、ベランダ・バルコニーや玄関に死角がないことが大切です。2階や3階であっても、雨どい・自転車置き場の屋根などを足掛かりにベランダへ侵入し、死角に隠れて潜む事件も起きています。
参考:ベランダが危ない…侵入犯は2階を狙う(読売新聞オンライン)
防犯面ではプラスになる人目ですが、暮らしていく中ではプライバシーが気になってしまいます。透けにくい遮像カーテン(ミラーレースカーテン)を選ぶなど、対策を工夫していきましょう。ミラーレースカーテンは、ニトリや通販でも買えますよ。
ただ、人目が多くて死角のないバルコニーだと、洗濯物が干しづらいです。とはいえ人目につかなかったり、しっかり目隠しされるタイプのバルコニーだと、防犯面の不安が生まれ…ここは悩ましいところです。
ちなみに私は、バルコニーは防犯優先で部屋干し派です。部屋干しだと急な雨の心配もいらないですし、花粉の季節も気にならないですしね!
浸水の可能性の問題
低い土地にあるマンションの場合、豪雨・台風などの際に、浸水の可能性があります。
カーサミアでは、「引っ越す前にハザードマップを確認してください」と繰り返しお伝えしていますが、1階を選ぶ場合は特にしっかりとハザードマップを確認して、防災対策を意識してくださいね。
参考:防災士「引っ越しのときはコレを見て」災害リスクの調べ方とは?
私の場合、あえて1階を選んでいるので、ハザードマップはめちゃくちゃ詳しくチェックしています!
湿気・冷気の問題
建物の性能による部分も大きいのですが、1階は地面と繋がった部屋なので、湿気が多く、カビが発生しやすいことがあります。
私はカビ対策として、クローゼット内に電気式の除湿器を稼働させています。
ただ、過去に住んだ「2階以上だけど断熱性能が悪いお部屋」だと、いま住んでいる1階のお部屋よりもカビに困らされました。カビ問題は、建物の性能の影響が本当に大きいです。
また、冬場は床下から冷気があがってくるため、暖房効率が悪くなりがちです。
陽当たりの問題
窓の前に高い建物などがある場合、採光が取れず陽当たりが悪くなってしまいます。
とはいえ、都心のマンション密集地の場合、2階や3階であっても陽当たりが悪いことも珍しくありません。
逆に、窓の前が駐車場や大きな道路であったりすると、1階でも十分な日当たりが確保されます。(でもこの場合は、2階以上と比べてあまり家賃が安くないことも多いですね。)
ちなみに陽当たりが悪くても、風通しがよければ、洗濯物は乾きますよ!
その他の問題
感じ方の個人差・慣れなどの要素も大きいので一概には言えませんが、物件選びのときに少し気にしておくと、住んでからの満足度があがるかもしれないアレコレもお伝えします。
眺望の問題
マンションの上層階では「景色がきれい」「花火が見える」なんてこともありますが、1階では望みにくいです。
眺望にこだわるなら上層階がオススメです。
車の音や光
車通りの多い道路に面している場合、車の音やヘッドライトの光が気になりやすいかと思います。とはいえ、音は上層階でも聞こえますし、光は性能のいい遮光カーテンで防げますよ。
マンションに出入りする人の物音など
お部屋と共用設備の位置関係によっては、マンションに出入りする人の物音や足音が気になることがあります。内見時にはエントランス・共用階段・エレベーターなどの位置も確認しておきましょう。
虫が入ってきやすい
1階だと比較的、虫が入ってきやすいと言われます。(とはいえ上層階に住んでいる友人の話でも、室内で虫を見たことはあるらしいので…上層階なら絶対に大丈夫というわけでもなさそうです)
ちなみに私が過去に住んだ1階のお部屋の中には、ひとつだけ、室内でほとんど虫を見かけないお部屋がありました。
周辺がマンションと駐車場しかないような場所でした。
逆に、飲食店が近くにあったり、公園・畑などが近くにあったりすると、虫が多いと感じます。
虫が多い環境の場合は、ドラッグストアで害虫対策グッズを買ってきて対処しましょう。
気になる虫に合わせた対策グッズを選ぶことも大切です。虫除けの中には、「ハエには効くけど、蚊には効かない」などもありますので、しっかりとパッケージの注意書きを読んで選んでくださいね!
マンションの1階、魅力(メリット)
では逆に、1階のメリットはなんでしょうか?
1階を愛する者として、1階のメリットを力説させていただきます!!
家賃が安い
質問者さんもおっしゃるように、1階は家賃が安いことも多いです。
でも「家賃の安さだけが1階のメリット」と思ってしまうのはもったいないです。1階には、家賃の安さ以外にもたくさんの魅力があるんですよ!
階段を上らなくていい
これは1階の最大の魅力です。
出掛けようとしたときに「財布を忘れた!」と気付いても、取りに戻りやすいのが1階です。急いで取りに帰って再出発したいときに、階段を上ったりエレベーターを待ったりするのは、とてもイヤなものです。
またエレベーターの場合、災害時などに停電すると階段を使うしかありません。災害で停電&断水になったら、給水所でもらった水をかかえて階段を上ることになります。もしその災害で脚をケガでもしていたら……どんなに大変なことでしょうか?(心配しすぎかもしれませんが、私は心配性なので考えてしまいます。)
階段を使わない1階のお部屋は、どんなときでも気軽に帰れる安心感があります。
共用施設(共同ポスト・宅配ロッカー・ゴミ捨て場等)が近い
1階だとポストや宅配ロッカーが近いので、休みの日・在宅勤務の日など、家から出ない日でも、ポストを見に行くのが億劫になりません。
また、ゴミ捨て場が近いのも便利です。
エレベーターに乗ってゴミを捨てに行くとき、ほかの住人と乗り合わせてしまうと気まずくなりませんか? 1階ならそんな気まずさは無縁です。
通販の大きな段ボール箱を捨てに行くときは特に、「1階でよかった~~」と思います。
引っ越し費用が安い
ただでさえ何かとお金のかかる引っ越し。2階以上は基本費用が高くなりがちです。
1階なら引っ越しだけでなく、大きな家具を買ったときにも、追加の搬入費用がかかる心配がありません。
ちなみに…1階だと、階下への音の心配をせずに筋トレやダンスができるメリットもありますか?
音は床を通して横にも伝わるので、1階だからといって思いっきり飛んだり跳ねたりすると、隣の住人の迷惑になります…💦
なので、普段の生活音が控えめな一人暮らし女性の場合は、あまり関係ないと思いますよ。(小さなお子さんのいるファミリー層だと、また変わってくるのですが…)
以上、マンション・アパートで1階のお部屋ばかり選んでいる宅建士が、1階の問題点(デメリット)と魅力(メリット)をお伝えしました。
気になるお部屋が見つかったのであれば、「1階だから」というだけの理由で避ける必要はないと思います。もちろんデメリットもあるので、物件選びのときには慎重に検討してほしいですが…。
階段を上らなくていい1階、個人的にはとても魅力的だと思っています!!
みなさんも納得のいく物件探し・お部屋選びをしてくださいね。