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住み心地が悪いのは、都会の普通。と諦めかけていたけれど【一人暮らしエッセイvol.16】

一人暮らしエッセイ
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大失敗だった初めての一人暮らしを経て、大切にしたい「普通の暮らし」と出会えた話

急に、仕事の都合で地方都市で暮らすことが決まりました。
それまで、私はずっと、生まれ育った故郷の田舎で暮らしていました。

地元では、寮生活というかルームシェアも経験したけれど、誰かと暮らすというのは苦痛でした。
転勤先の地方都市では、会社が職場の近くにアパートを用意してくれるとのことで、安心していました。

しかし、会社が用意してくれたそのアパートは、駅と職場には近いものの、とても住みにくいものでした。

アパート一棟が社員寮のようになっていて、住人は同じ会社の人ばかり。
住んでいる人のほとんどが男性でした。
隣の部屋の音も、上の階の音も、聞こえてしまうのはストレスでした。

周辺もアパートばかりの場所なのに、コンビニは遠いのです。
街灯も薄暗い場所で、道端には「痴漢に注意」の立て看板が出ていて、会社の人からは「下着泥棒に注意してね」と言われるような場所です。

夜に出歩こうとは絶対に思えませんし、カーテンも開けられません。
といっても、カーテンを開けたところで、日当たりは悪いのです。

これが都会では「普通」なのか…と思いつつも、いくら駅から近くても、会社に近くても、嫌だと感じることがたくさんありました。

水漏れのトラブルがダメ押しになり、私は引っ越しを考え始めました。
そんなとき、何気なく通りすがりにあった不動産屋の店頭で、貼り出されていた物件案内が目に留まりました。

家賃も安く、家具家電付き。
社員寮からも数駅で、つまり職場からも近い。
近くにはスーパーと商店街。

家賃が激安な理由は、すぐに分かりました。そのアパートは、駅から急な坂を上ったところにあるのです。

内見は、昼間・夕方・夜・日曜日と、複数回行きました。

夜に向かったときは、街灯は少ないものの一般家庭が多くあるので、家から漏れ出る灯りで安心して歩ける状態でした。
昼間に訪れた内見では、アパートのすぐ裏手の小学校で運動会が行われていて、子供たちの声が明るく響いていました。

坂道のてっぺんに建っているこの部屋は、窓を開けっぱなしにすることもできます。アパートの半分は空室とのことで、静かな暮らしも期待できそう。

引っ越したらすぐに、食材を近くのスーパーで買って、この台所で料理をしたい。
この部屋に決めよう!というよりこの部屋しかない!と、運命のようなものを感じました。

引っ越ししたあとの生活は、最初の社員寮での日々とは全くの別物でした。
あの窮屈な暮らしは「都会の普通」ではなかったのです。

仕事の帰りには、駅からアパートまでの道のりにあるお店で買い物をします。この商店街は、個人商店も多くあって、駅前だけど騒がしすぎないのです。スーパーやドラッグストアに行くこともあるけれど、毎日寄るのはお惣菜屋さん。

お惣菜屋のおばちゃんと世間話をして、ときどきお惣菜をオマケしてもらいます。このおばちゃんは、母親のように私の健康を見守ってくれているのです。

とある一軒家の前を通りかかると、今夜のおかずの匂いがしました。私も次の休日は、じっくり煮込む料理をしようと考えます。

アパートに帰宅したら、お風呂にお湯を張りながら、今朝炊いたご飯の残りとお惣菜で夕飯にします。

洗い物をしていると、実家から箱でリンゴが届きました。今度、お惣菜屋のおばちゃんにもリンゴを差し入れしようかな…と考えながら、お風呂に入り、静かな環境でぐっすり眠ります。

朝は起きるとすぐにカーテンと窓を開けます。
風通しが良いのが魅力。窓を開けられるのは本当に気持ちが良いです。洗濯物もよく乾きます。

このアパートに出会えなかったら、今頃、心がささくれ立っていたかもしれません。
居心地の良い場所を見つけられた自分を褒めたくなります。

私は今の「普通の暮らし」を、大切にしたいと思っています。

(エッセイ投稿者:あがちゃ・クリスティン)

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