簡単に本格的な料理ができるイメージの低温調理。自宅でローストビーフやステーキを手作りしている人もいるのではないでしょうか。でも低温調理は、食中毒を引き起こす可能性があるって知っていますか?
こんにちは、カーサミアライターのいずみです。暮らしに役立つ情報を発信しています。
今回は、ローストビーフなどの低温調理を安全に作るためのポイントをご紹介します。牛肉で起こる食中毒には死に至るものもあるので、最後まで読んで覚えておいてくださいね!
ローストビーフなどを作るときは食中毒に注意
加熱不足のお肉は食中毒の原因になります。牛肉の場合、もっとも注意が必要なのは腸管出血性大腸菌O157です。感染すると腹痛や下痢といった症状が起こるほか、死に至るケースもあります。
通常、菌は牛肉の外側に付いているため、表面をしっかり焼けばよいと言われています。しかし熟成が進んだり包丁で切れ目を入れたりすると、菌が内側に入ってしまうことがあるのです。
そのためローストビーフは「特定加熱食肉製品」に該当し、中心温度を55度以上にしたうえで十分な時間をかけて加熱しなければいけません。
ローストビーフなどの低温調理で食中毒を起こさないためのポイント
牛肉の調理では、食中毒菌を殺菌することが大切です。
ローストビーフなどの低温調理を安全においしく作るため、以下の3つを心がけましょう。
- 十分に時間をかけて加熱する
- 見た目で判断しない
- 低温調理器の公式HPや公式レシピ本を参考にする
十分に時間をかけて加熱する
お肉を安全に低温調理するためには、時間がかかるものです。牛モモ肉(約300g、厚さ約4cm)を58度で調理する場合で説明します。
58度のお湯に入れると、お肉の中心温度が同じ温度になるまで約100分かかります。しかもその後28分間温度を維持しなければ殺菌できません。
つまり58度でローストビーフを作ると、牛肉の中心温度が上がるまでの100分と維持するための28分で、合計約130分もかかるのです。
殺菌のために温度を維持する時間は55度なら97分、63度なら不要です。しかし中心温度が到達するまでに時間がかかるので、温度にかかわらずじっくりと時間をかける必要があるんですよ。
見た目で判断しない
牛肉にしっかりと火が通っているかを目だけで判断してはいけません。なぜなら、加熱が十分なお肉と、不十分なお肉は、ほとんど同じ見た目だからです。
外側だけでなく、断面も似たように色が変わります。そのため十分加熱したつもりでも、生焼け・加熱不足の可能性があるのです。
食中毒菌を殺菌するためには、温度と時間をきちんと確認しながら調理しましょう。
公式HPやレシピ本を参考にする
ローストビーフやステーキを作るときは、自己流アレンジをしたりインターネット上のレシピを参考にしたりするのはやめましょう。
先ほど牛肉を加熱殺菌するために必要な温度と時間を解説しましたが、実際はお肉の量や厚さによっても変わります。
そのため、安全性を考慮して作成されている低温調理器の公式HPや、公式レシピ本に載っているレシピ通りに調理してくださいね。
また「お肉の表面をフライパンで焼いたあとアルミホイルで包む」「肉をジッパー付き袋に入れ、沸騰させた後に火を止めた湯につけっぱなしにする」」などの余熱を利用したレシピも見かけます。しかし、余熱では殺菌が難しいので、避けた方が安心ですよ。
自宅でローストビーフを手作りすることはできます。しかし食中毒菌をきちんと殺菌するためには、温度と時間の管理が欠かせません。
低温調理器の公式HPやレシピ本が推奨するレシピを参考にし、安全でおいしいローストビーフを作ってくださいね!
【参考資料】
牛肉の低温調理「安全に美味しく食べ物を調理しよう」
https://www.youtube.com/watch?v=PUjvDmEeWjA
食品安全委員会 │ 肉を低温で安全においしく調理するコツをお教えします!
http://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/shokuhniku_teionchouri.html
厚生労働省 │ 腸管出血性大腸菌Q&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177609.html