「一人暮らし女性のおうちライフを快適に!」がテーマのライフスタイルマガジン「カーサミア」では、一人暮らしに関するエッセイを公開しています。
私だけの社長室に
自分もいつか結婚するだろうから、そのときに新居に引っ越して、広くて快適な家で、互いに気に入った家具を買い揃えて……と漠然と思ったまま社会人歴、早十数年。
来るべきその時のために、不用品を抱え込まないようにと、「べつに好きじゃないけど使える品、子ども時代からなんとなく使っている品」で身の回りをなんとなく揃えてばかりでした。
しかしある時、「おや、自分には恋人すらいないぞ」とふと我に返ったのです。
インスタグラムには好みの家の内装や、ミニマリストな方々のアカウントがたくさん。でも、このままぼんやり待っていたら、快適なおうち生活は永遠に遠いまま……。
そして私は、ついに決心をしました。恋人や結婚云々は置いておいて、とりあえず、このワンルームを自分好みに整えたいと。もう「なんとなく我慢」はせずに、とりあえず、好みの内装、欲しい家具を買ってしまおうと。
まず本棚をネットで注文しました。薄くて高さがあって、とにかく大容量のものです。
インスタグラムで見かけるミニマリストの方々は、本は電子書籍派の方が多いようなのですが、私は本だけは紙派で譲れない。積み本もたくさんありますが、売れません。愛する作家の著作はすべて手元に置いておきたいし、嵩張るけれど、読むと毎回泣いてしまう少女漫画全巻も、私には必要なものなんです。
届いた本棚を三つなんとか組み立てて、壁際に置いて、大切な本たちを白い本棚にズラーっと並べると、片付け・模様替えのスタートを切った気がしました。
しかしさっそく問題にぶつかります。
在宅ワーク用にと、最近購入したデスク兼テーブルの大きめ机。これをどう置くかに、とても悩みました。
机は、インスタグラムによると、みなさん結構壁際とか窓際とかに置いている方が多いようなのですが(私も模様替え前までは壁向きでした)、私の部屋では、間取り的にそれができません。
壁一面に3つもの本棚を置いてしまったのと、もう片方の壁にはベッドがあるからです。
そこで、デスクは、キッチンからも歩きやすい距離で、本棚にも手が届く距離の、部屋の中心に置くことにしました。日焼けが気になるから窓を背にして、入り口に向かって。
……なんだか、玄関から入ってきた人が奥へ進むと、デスクに座った私と目があう「社長室」みたいになってしまったけれど、これはこれで動線がいいので問題ないや、と思っています。
一度うちへ来た友人が、見慣れない間取りにびっくりしていたけど、でも快適です。
実際座ってみるとわかるのですが、コンロに鍋を置いたまま火をつけて仕事もできるし、部屋の中心に座るって、部屋全体に目が行き届いてとても快適なんです。
以前は壁に向かって仕事していたけれど、今は視界に開放感があるし、それに、机が壁に面していないので、机の上にペンなどの細々したものを出しっぱなしにしていると、すぐに転がってなくしてしまうということで、机の上を片付ける習慣もできました。
今は、視界の端に緑が欲しくて、窓際に置く観葉植物を探しています。
大きすぎず小さすぎず、ズボラな私にも、愛想をつかさず育ってくれる子はいないかなあ。一緒に、私の社長室を、私を含めて見張ってくれる子を、募集中です。
私の私だけの部屋の模様替えは、まだまだ続きます。
(エッセイ投稿者:蒼乃/女性/30代)
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