簡単なのにジューシーに仕上げられる低温調理。自宅でチャーシューやローストポークを作る人も増えているのではないでしょうか。でも実は、低温調理には危険が潜んでいるんですよ。
こんにちは、カーサミアライターのいずみです。暮らしに役立つ情報を発信しています。
今回は、豚肉を安全に低温調理するためのポイントを解説します。間違った調理法では食中毒を引き起こすこともあるので、ぜひ最後まで読んでくださいね!
豚肉の低温調理には食中毒の危険がある
お肉は加熱しすぎるとパサついてしまうので、ジューシーさを保ったまま火を通せる低温調理は助かりますよね。
しかし低温調理には食中毒のリスクがあります。正しく調理しないと、火が通ったように見えても食中毒菌は殺菌できないんですよ。
生の豚肉を食べると、以下のような食中毒や感染症を引き起こす可能性があります。
- E型肝炎ウイルス
- カンピロバクター食中毒
- サルモネラ症
- エルシニア食中毒
- トキソプラズマ症
場合によっては死に至ることもあるので、豚肉を調理するときは内部まで十分に火を通しましょう。
豚肉を安全に低温調理するためのポイント
豚肉で食中毒を起こさないためには、しっかりと火を通すことが大切です。
自宅で低温調理するときは、以下の3つを心がけましょう。
- 十分に時間をかける
- 見た目で判断しない
- 公式HPやレシピ本の通りに作る
十分に時間をかける
豚肉に潜む食中毒菌を加熱殺菌するためには、お肉の中心温度を63度以上にして調理する必要があります。
豚肩ロース肉(約650g、厚さ約6cm)を63度のお湯に入れた場合、中心温度が63度になるまでに約3時間40分かかります。しかも、その状態を30分維持しなければいけません。
75度なら1分維持するだけで同じ殺菌効果が得られますが、温度が高いぶんお肉がかたくなってしまいます。
つまり豚肉をやわらかく仕上げるためにもっとも低温の63度で調理すると、中心温度が上がるまでの3時間40分と加熱を維持するための30分で、合計4時間10分ほどの時間が必要なんです。
お肉の量や厚み、使用する調理器具によってはさらに時間がかかるかもしれません。豚肉を低温調理するときは、温度を確認しながら十分な時間をかけましょう。
見た目で判断しない
「温度や時間にこだわらなくても、見た目で判断すればいい」と思った人もいるかもしれません。
しかし低温調理の場合、加熱が十分な豚肉とそうでないものの見た目はほとんど同じなんです。
つまり目で見ただけでは加熱具合を判断できないので、温度や時間を計測しながら調理してくださいね。
公式HPやレシピ本の通りに作る
ここまで説明したように、豚肉を安全に低温調理するためには温度と時間が大切です。しかし実際にはお肉の量や厚みによって必要な時間は変わります。
自宅で調理するときは自己流で作らず、安全性を検討したうえで作成されている公式HPやレシピ本のレシピを参考にしてくださいね。
インターネット上にもさまざまなレシピがありますが、安全性が不十分なものもあるので要注意です。
またよく見かける「フライパンで表面を焼いたあとアルミホイルに包んで火を通す」という余熱を利用した調理法も実はNG! 豚肉の中心温度が上がらず殺菌できないのでやめましょう。
豚肉を低温調理するときは、食中毒に気をつけましょう。紹介した3つのポイントを意識すれば、安全においしく作れますよ。ぜひ覚えておいてくださいね!
【参考資料】
食品安全委員会 │ 豚肉の低温調理「安全に美味しく食べ物を調理しよう」
https://www.youtube.com/watch?v=kRQ0SZNQ_20
厚生労働省 │ 豚のお肉や内臓を生食するのは、やめましょう
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syouhisya/121004/