火山の近くに住むなら…知っておきたい噴火対策【防災士解説】
日本には現在111もの活火山があります。世界にある活火山の内、約1割を日本が締めていると言われており、世界でも有数の火山国です。今回は、防災士という防災系の資格保有者である私が、「仕事の関係で火山が近くにある地域に引っ越すことになりました。万が一、火山噴火が発生した場合、どのように対応すればいいのかわかりません。また、事前にできる対策も教えてほしいです。」という疑問に回答します。まず火山噴火の事前対策は、「火山ハザードマップの確認」と「非常用持ち出し袋の準備」です。過去には日本各地で恐ろしい火山噴火が起こっています。噴火の際には、いち早く身を守る行動をとることが大切です。しかし、火山噴火は、事前に予測するのが難しい災害です。ですから、火山噴火から身を守るためには、事前の対策が重要になってきます。噴火の危険が予想される範囲や避難場所などの情報を地図で示してくれる「火山ハザードマップ」を活用し、自身が住んでいる地域の噴火への危険性や安全な避難経路を事前に把握しておきましょう。ハザードマップはお住まいの市区町村の窓口や、ホームページ上で確認可能です。火山噴火に備えて、緊急避難時に必要なものを持ち出せるように事前に非常用持ち出し袋の準備を行いましょう。過去には、1991年(平成3年) 雲仙岳の噴火、2014年(平成26年)御嶽山の噴火など、大きな被害が出ています。火山噴火がもたらす被害には、噴石(火山の噴火で吹き飛ぶ岩の固まりが落ちる)、火山灰(噴火時に破砕して急に冷やされたガラス片・鉱物結晶片の細かな破片が飛散する)、溶岩流(高温の液体状態で溶けた溶岩が斜面を流下する)、火砕流(火山灰や軽石などが火山ガスと合わさって、火口から土砂移動する)、火山ガス(火口や噴気口から出た気体のものが流れ出る)など、さまざまなものがあります。これらから身を守るため、いち早く避難することが大切です。避難時は、長袖と長ズボン・底の厚い靴・軍手・ヘルメット・マスクといった服装で避難しましょう。また、火山噴火の危険がある際に正しい情報を素早く入手するためにも、気象庁が発表する噴火警報・噴火警戒レベルに関して理解しておきましょう。噴火警戒レベルは5段階に分かれており、火山活動の状況・住民が取るべき行動・登山者への対応が設定されています。前兆がなく突然の火山噴火が起こった場合など、避難所へ移動できない場合には、鉄筋コンクリートなどの頑丈な建物へ避難しましょう。また、噴石の影響を受けないために、なるべく建物内の1階で過ごしてください。