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豪徳寺/山下の地盤・浸水リスク・防災情報は?土地のプロ・不動産開発会社が解説

街の住みやすさ情報
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東京都世田谷区にある小田急小田原線「豪徳寺」駅、東急世田谷線「山下」駅。昔ながらの商店街が残り、のんびりとした雰囲気が特徴の街です。

SUUMOの「家賃が手ごろで満足度が高い 住み続けたい街ランキング2024」では、世田谷線「山下」駅が1位になりました。

近くには招き猫で有名な豪徳寺やがあることでも知られています。一般に「古いお寺の近くは災害に強い」などと言われることもありますが、豪徳寺周辺の地盤や浸水リスクはどうなのでしょうか。

カーサミアでは、首都圏で30年近く不動産開発を行なってきた「土地のプロ」として、街の住みやすさ、地盤や防災情報などを発信しています。

街で見かける「普通の不動産屋さん」と違って、賃貸物件や中古マンションの紹介をしていないので、不動産屋さんが書きづらいことも記事にできる立場です。

一人暮らしのあなたのお部屋探しに、ぜひ役立ててくださいね。

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豪徳寺駅(山下駅)周辺の防災情報

世田谷区にある豪徳寺駅は、2つの河川に挟まれています。豪徳寺駅の北側には北沢川、南側には烏山川が流れており、双方とも全面的に暗渠化された河川です。暗渠とは地中に埋設された水路を指し、現在の北沢川は「北沢幹線」、烏山川は「烏山幹線」として下水道に転用されています。

暗渠部の地上は四季折々の草花が植えられた遊歩道になっていて、「北沢川緑道」「烏山川緑道」という名で親しまれています。暗渠ゆえに地上部からは河川が流れていることに気付きにくいため、豪徳寺駅周辺はハザードマップで洪水リスクと避難経路をよく確認しておくことが重要です。

世田谷区のハザードマップでは、2つの河川付近で最大3.0mの浸水が予想されています。内水氾濫のリスクは豪徳寺駅エリア一帯に広がっており、比較的浸水リスクの高い地域といえます。

地盤の面でも、河川付近は軟弱な地層が続いているため、豪徳寺駅周辺は災害リスクが高めのエリアと考えられます。また、人口の多い住宅地で道幅も狭いことから、火災の発生には十分な注意が必要です。

豪徳寺駅エリアで住まい選びをする際には、ぜひ本記事の災害リスク情報を参考に検討してみてください。

豪徳寺駅周辺の洪水リスク|河川周辺では特に水害リスク大

ここでは、世田谷区が提供しているハザードマップで洪水リスクと避難場所を確認していきます。

北沢川と烏山川は暗渠になっているため、一見して河川とは分かりません。しかし、周辺エリアは、河川と同様に洪水リスクが高めに想定されています。内水氾濫の想定されたエリアも転々と混在しているため、豪徳寺駅の周辺地域では十分な水害対策が必須です。

川に挟まれた地域となる豪徳寺駅周辺エリアは、水害時の避難所や避難経路を慎重に見極めねばなりません。氾濫状況によっては、危険エリアを迂回する経路や離れた避難所を選ぶ必要があるでしょう。

豪徳寺駅周辺の洪水・内水氾濫ハザードマップ

出典:世田谷区洪水・内水氾濫ハザードマップ(内水氾濫・中小河川洪水版)(令和6年7月改訂) 2024年8月21日閲覧
同上

世田谷区の洪水・内水氾濫ハザードマップを見ると、豪徳寺駅近郊では洪水リスクのある地域が広いことがわかります。特に、北沢川と烏山川周辺では最大3.0mの深さまで浸水することが予想されており、これは家屋の1階天井を超える高さに匹敵します。

最大3.0mの浸水が予想される地区は梅丘2丁目が広範囲にわたっていて、宮坂1丁目の一部にも見られます。北沢川周辺に比べて、烏山川の周辺地域のほうが広範囲で浸水の深さも大きいリスクがあるため、より一層の警戒が必要です。

北沢川の北側では、一部の地域で内水氾濫の恐れがあります。東急電鉄世田谷線沿いに最大1.0mの浸水が想定されており、赤堤2丁目・3丁目が該当エリアです。また、松原6丁目にも内水氾濫リスクのある地域が南北に伸びています。

0.1〜0.5m程度の浸水は、豪徳寺駅近郊でまばらに点在しています。水害リスクが高めの一帯なので、防災情報のチェックはこまめに行なったほうがいいでしょう。

豪徳寺駅周辺の避難所情報

豪徳寺駅に一番近い避難所には「桜木中学校」があります。ただし、烏山川の洪水リスクが高いエリアの南側に位置しているため、滞在している場所や状況によっては別の場所に避難するほうが安全なことがあります。

避難所の開設・混雑状況などは、世田谷区防災ポータルで確認できるようになっています。災害時の状況に応じた適切な避難場所と経路を確保するために、世田谷区から発表される情報を必ずチェックしましょう。

豪徳寺駅周辺の土砂災害リスク|小規模の土砂災害特別警戒区域あり

豪徳寺駅から西へ約1kmほど離れた代田4丁目(梅ヶ丘駅の北側・羽根木公園内の一角)に、土砂災害リスクの高い地域があります。豪徳寺駅周辺の土砂災害指定場所はその1か所のみです。

土砂災害の種類には急な傾斜地が崩壊する「がけ崩れ」「土石流」「地すべり」の3つがあります。このうち、世田谷区の土砂災害指定場所はすべて「がけ崩れ」の恐れがある地域です。

がけ崩れは、「がけにヒビが入る」「水が湧き出る」「地鳴りがする」などの前兆現象が起こる場合があります。こうした現象が発生したら、躊躇せずに避難しましょう。

豪徳寺駅周辺の土砂災害ハザードマップ

出典:世田谷区土砂災害ハザードマップ(令和6年7月改訂) 2024年8月21日閲覧

代田4丁目の一角に、土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域に指定されているエリアがあります。指定地域は羽根木公園内のみですが、地震や大雨などの災害時にリスクが高まり、複合的に被害が拡大する危険性もあるので十分に注意しましょう。

豪徳寺駅周辺の地盤|南北で揺れやすさに差があるエリア

ここからは、国立研究開発法人 防災科学技術研究所が提供しているデータで地形を見ていきます。

豪徳寺駅周辺は、河川近くに弱い地盤が集中しています。地震の際の揺れやすさは、線路を境に南北で差が出ている印象です。

この先30年の間に大きな地震が起こる確率は高く出ており、改めて防災意識をしっかり持ちたくなるようなデータとなっています。

豪徳寺駅周辺の地形区分

豪徳寺駅周辺の地盤(出典:微地形区分|国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション)2024年8月22日閲覧
同上

豪徳寺駅周辺の地盤は、「火山灰台地」と「谷底低地」でできています。比較的しっかりした地盤である火山灰台地に対し、谷底低地は軟弱な地盤といわれています。

全体的には火山灰台地の割合が多くなっていますが、暗渠の河川が流れているエリアでは谷底低地が大半です。谷底低地は砂や粘土質のような地層でもろいため、水害リスクの高い区域と地盤の弱い区域は重なりやすくなっています。

豪徳寺駅周辺の「揺れやすさ」目安

豪徳寺駅周辺の揺れやすさ(出典:表層地盤増幅率(Vs-400m/sから地表)|国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション)2024年8月22日閲覧

豪徳寺駅の北側は、南側より地震の際に揺れやすい地域が多くなっています。中でも、松原6丁目や赤堤3丁目付近は揺れのリスクが「1.6〜2.0」のエリアで、豪徳寺駅周辺で最も揺れやすい地区となっています。

豪徳寺駅の南側は揺れのリスク「1.2〜1.4」のエリアが多く、地震が起こった時の揺れやすさは線路を境に違いがあるようです。

豪徳寺駅周辺で地震に見舞われる確率

豪徳寺駅周辺で地震に見舞われる確率(出典:確率論的地震予測地図(震度6強以上の揺れに見舞われる確率)|国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション)2024年8月22日閲覧

下の表は、豪徳寺駅周辺で今後30年間に起こる地震を、4つの震度ごとに確率で表したものです。

震度5強90.1%
震度6弱43.2%
震度6強7.3%
出典: 国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードカルテ 2024年8月29日閲覧

今後30年の間に震度5弱の地震が起こる確率は、ほぼ100%の予想です。震度6弱でも4割を超えた確率になっており、大地震が来る日が目前に迫っていてもおかしくありません。地震への対策を今一度、見直しておきましょう。

ちなみに東京近郊では、以下のように予測されています。

東京近郊で地震に見舞われる確率(出典:確率論的地震予測地図(震度6強以上の揺れに見舞われる確率)|国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション)2024年8月22日閲覧

豪徳寺駅周辺の地震リスクが特別に高いわけではなく、「東京の平野部としては標準的」と言えそうです。

豪徳寺駅周辺の地震リスク|火災のリスクが高めの傾向

住宅密集地である豪徳寺駅周辺では、地震発生時の二次災害リスクが高めに出ています。特に、火災リスクの高い地区が多く、住宅地の道幅の狭さも火災の危険性を高める要因となります。

東京都が提供する「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」で、震災発生時の各種リスクを見ていきましょう。

豪徳寺駅周辺の「建物倒壊危険度」

出典:東京都不燃化ポータル|地震に関する地域危険度測定調査(第9回)2024年8月22日閲覧
同上

豪徳寺駅周辺の建物倒壊危険度は、全体的にランク2の地区が広がっています。人口が多い地域である分、建物も多く立ち並んでいるので、比較的倒壊の危険がある地区が広範囲にわたっていると考えられます。

一番倒壊のリスクが低いのは、赤堤3丁目と羽根木公園のある代田4丁目です。地震の「揺れやすさ」の項目では、この地区は周囲より揺れやすいエリアに入っていましたが、建物倒壊危険度は低く出ています。この理由としては、築年数が浅く、構造がしっかりした建物が多いと予想されます。

豪徳寺駅周辺の「火災危険度」

出典:東京都不燃化ポータル|地震に関する地域危険度測定調査(第9回)2024年8月22日閲覧
同上

豪徳寺駅周辺の火災危険度はランク2と3が大半を占めており、全体的に火災リスクが高めのエリアです。松原4丁目ではランク4となっており、この一帯で一番火災の危険性が高い地区になっています。

火災リスクの低いランク1は、建物倒壊危険度でもランク1だった赤堤3丁目のみです。

閑静な住宅街である豪徳寺駅周辺エリアは建物が密集し、道幅も狭くなっているため、火災リスクは高めに設定されているようです。

豪徳寺駅周辺の地震に関する「総合危険度」

出典:東京都不燃化ポータル|地震に関する地域危険度測定調査(第9回)2024年8月22日閲覧
同上

総合危険度でも赤堤3丁目のみがランク1となっており、豪徳寺駅周辺で最も二次災害のリスクが少ない、安全な地区であることがわかります。

ランク2にあたる地区の割合が多いですが、豪徳寺駅の目の前にある宮坂2丁目・豪徳寺1丁目はランク3の中リスクとなっています。

人口の多い住宅街では二次災害のリスクが高い傾向にあります。万が一の時に困らないよう、日頃からあらゆる災害への準備を怠らないようにしたいものです。

豪徳寺駅周辺の災害事例|広域で浸水履歴あり

世田谷区のホームページと東京都が運営する「水害リスク情報システム」では、過去の浸水実績を確認することができます。

豪徳寺駅周辺では、過去の集中豪雨による浸水被害が広域にわたって点在しています。

世田谷区の浸水履歴(床上浸水)

1999.8.29集中豪雨松原 5
2002.8.2集中豪雨赤堤 2 松原 5
2003.10.13集中豪雨松原 5
2004.10.9台風22号松原 5 宮坂 1
2005.9.4集中豪雨赤堤 2 梅丘 2 代田 3 松原 5 宮坂 2
2008.8.29集中豪雨代田 3
2017.10.22台風21号代田 3
2018.8.27集中豪雨赤堤 1・2・3 宮坂 1・2
2019.10.12台風19号宮坂 2
参考:世田谷区|浸水確認箇所一覧(平成元年~令和3年)2024年8月29日閲覧

上の表は、豪徳寺駅周辺における1989年以降の床上浸水被害を並べたものです。

豪徳寺駅周辺エリアは全体的に浸水被害の実績が残っていますが、豪徳寺駅のすぐ南にある豪徳寺1・2丁目では、1989年以降の浸水履歴はありませんでした。

2005年までは、松原5丁目で頻繁に浸水被害が起こっていたのがわかります。

台風による浸水被害は3度のみで、大半は集中豪雨による内水氾濫が起こったことによるものです。

東京都「水害リスク情報システム」に掲載された浸水実績図

出典:東京都「水害リスク情報システム」浸水実績図2024年8月22日閲覧

東京都の「水害リスク情報システム」では、1989年7月以降に発生した浸水実績を地図上で確認できます。

松原5丁目と豪徳寺2丁目付近で浸水実績が確認できます。

松原5丁目の浸水は、2004年10月の台風22号による内水氾濫です。豪徳寺2丁目付近のほうは2005年9月の集中豪雨によるもので、7棟の床上浸水被害が出ています。

世田谷区の豪雨対策

近年では、集中豪雨による浸水被害が増加傾向にあります。2005年(平成17年)9月4日の集中豪雨時には、世田谷区内だけでも床上浸水221棟・床下浸水245棟という甚大な被害が発生しました。

こうした集中豪雨による水害に対応するため、世田谷区では2009年(平成21年)10月に「世田谷区豪雨対策基本方針」を策定しています。この方針では具体的な豪雨対策の取り組みを掲げており、東京都と連携・調整を図りながら河川・下水道の整備などを進めています。

また、2010年(平成22年)3月には「世田谷区豪雨対策行動計画」が策定され、流域対策強化などのさらなる豪雨対策に取り組むことを推進しています。

こうした基本方針や行動計画が策定された現在でも、局所的な豪雨の降雨量に対応しきれず、浸水被害は起こっています。気候変動による水害から命と街を守るべく、世田谷区の集中豪雨対策は随時更新されています。

参考:世田谷区の豪雨対策|世田谷区ホームページ

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