災害が起きても「可能なら在宅で避難できるようにしたい」「避難所はちょっと…」と感じている方のため、在宅避難の体験談をお伝えします。
こんにちは。カーサミアライターのしのです。東日本大震災を宮城県の自宅アパートで被災し、親戚宅へ在宅避難しました。
在宅避難ですので、避難所と比べればプライバシーは守られていたものの、不便なことも多々ありました。実際に困ったことをお伝えしますので、在宅避難する際の備えの参考にしてくださいね。
在宅避難をした際、困ったこと
東日本大震災が起こる前は、避難生活を自分が経験するなんて夢にも思いませんでした。他の地域で災害が起きたニュースを見ていても、どこか他人事で防災の備えをしていませんでした。
そのため、いざ自分が避難生活をするとなったとき、様々なことに困惑しました。
たとえば、水道・電気・ガスなどのライフラインがストップすると生活が大変だということ。当たり前と思われるかもしれませんが、想像以上の大変さでした。
また、情報を得ることも難しかったです。家族や親戚の安否確認も時間がかかりましたし、津波や福島の原子力発電所の事故も1日遅れで知るほどでした。
在宅避難ではあるものの、やはり「避難所と違って、普段通り生活できる」というわけではありません。
それでは、具体的に困った事を発表していきますね。
在宅避難の困ったことランキング TOP5
1位・水道がストップ
私が一番困ったことは、水道がストップしたことです。
お水を使う場面としてまず思い浮かぶのは、飲料水や調理でしょう。それからお風呂。しかし、それだけではありません。トイレ、手洗い、洗面や歯磨き、食器洗いなど、生活の様々な場面で、普段は半ば無意識に使っています。
それが急に使えなくなるのです。
断水になると自治体の給水車が水を運んでくれます。しかし給水車がくる場所まで水を取りに行かなければいけませんし、水を運ぶための容器(ポリタンクや給水パック)が必要になります。
親戚宅でも水を運ぶためのポリタンクは備えておらず、ポリタンクを購入できるまでは空のペットボトルを何本も持ってお水を調達していました。
給水車が到着する場所には、到着予定の時間前から列ができていました。給水車から水をもらうためには長時間並ばなければいけません。給水車の容量も決まっていますから、並んでいる全員が水をもらえるわけではありません。
「水をなんとしてもゲットしなきゃ」と焦る気持ちがありました。
そして給水車から水をもらったあとは、水の入った重い容器を自宅まで運ばなければいけません。親戚家族と協力しながらとはいえ、とても重労働でした。
当時は親戚宅に大人5人が避難していました。20リットルのポリタンクは節約しながら使っても、2日間で空になりました。(ちなみに目安としては、1人分で1日3リットルと言われているので、5人で1日10リットルは、かなり節約しています。)
水道から水が出るまで1週間、3回給水車のお世話になりました。
2位・情報が得にくい
あらゆる「情報」が得られないことにも困りました。
まず携帯電話が繋がりにくく、家族や親戚の安否を知るために何十回と電話をかけ続ける必要がありました。
また、地震のあとすぐ電気が止まり、テレビからの情報が得られず状況がわかりませんでした。
太平洋沿岸に大津波が襲ってきたことも、福島の原子力水蒸気爆発がおきたことも1日遅れで知りました。
他にも給水車がいつ・どこに来るのか、食料品を買える(開店している)スーパーがどこにあるかなど、生きていくうえで必要なものをいつ調達できるかなどの情報が得にくいことが、とても不安でした。
さまざまな意味での「情報」の重要性を実感しました。
3位・食料品の調達
家にいくらかの買い置きもありましたが、2日、3日と過ぎていくにつれて食料品を買い足す必要が出てきました。どうにかして開店しているスーパーを探しましたが、開いているスーパーは長蛇の列になっていました。
長時間並んで、ようやく中に入れたとしても買えるものは限られていました。卵や肉、魚、野菜などの生鮮食品はありませんでした。
物流が安定するまでは、1ヶ月程度はかかった記憶があります。その間は近所の人や知人などの間で、手に入った際に分けてもらったり、自分が購入できたときにあげたり、助け合って過ごしました。
4位・心に余裕がなくなる
不便な生活が何日も続くと、ストレスがたまりますよね。家族のなかでもささいな言い合いが出てきます。
家族同士は言いたいことが言えますので、親戚一家の間の「ケンカまではいかないほどのちょっとした言い争い」を目撃することも多かったです。
「私がいるせいかなぁ?」などいらぬ心配もしてしまいます。
親戚家族にはとても親切にしてもらいましたが、「自宅アパートに早く戻りたいなぁ」と思ったこともありました。
5位・電気が止まり暖房器具が使えない
東日本大震災は3月に起きました。東北の3月といえば、まだまだ寒く暖房器具が必須な時期です。日中は気にならないのですが、夜間は本当に冷え込みます。
暖房器具が使用できないと室内でも寒いので、ダウンコートを着用し、布団をかけてもなかなか体が温まりません。寝付けないと心身ともに疲労感が残りました。
以上、東日本大震災の在宅避難を経験して困ったことをランキング形式でお伝えいたしました。
予想できることもあるかもしれませんが、実際に体験してから気づくことも多いです。
これから在宅避難する可能性がある方は、私の経験を少しでも参考にしていただければ嬉しいです。
- Q在宅避難で一番困ったことはどんなことですか?
- A
水を調達することです。普段は蛇口をひねれば使いたいときに使いたいだけ水が出ます。しかし、水道がストップしたことで、ポリタンクを購入して給水車を探し回り、運ばなければいけません。ポリタンクは20リットル入るものです。調理、洗面など生活するためには節約しながら使用しましたが、2日に一度は給水車のお世話になりました。