今回ご紹介するのはJR中央線「阿佐ヶ谷」駅。阿佐ヶ谷駅は杉並区の中央に位置しています。
新宿まで中央線快速で直通・約10分、東京駅も30分以内。都内のどこに行くにも便利な立地です。阿佐ヶ谷駅周辺は1人世帯が65%と、一人暮らし男女から圧倒的な支持を集める街。
駅から南北に延びるケヤキ並木と、パールセンターをはじめとした商店街が印象的な阿佐ヶ谷。個性的なお店も多く、どこかほっとできる街並みです。
一方で、地下化された川が流れており、洪水リスクの高いエリアがあります。昔ながらの街並みは、地震後の火災リスクにも注意が必要。阿佐ヶ谷に住む場合は、地区ごとのリスクをしっかりと把握し、対策を取ることが重要ですね。
カーサミアでは、首都圏で30年近く不動産開発を行なってきた「土地のプロ」として、街の住みやすさ、地盤や防災情報などを発信しています。
街で見かける「普通の不動産屋さん」と違って、賃貸物件や中古マンションの紹介をしていないので、不動産屋さんが書きづらいことも記事にできる立場です。
一人暮らしのあなたのお部屋探しに、ぜひ役立ててくださいね。
阿佐ヶ谷駅周辺の基本情報
阿佐ヶ谷駅の概要|20代~40代の一人暮らし世帯に人気の街
杉並区の中心部に位置する街
東京都杉並区にある阿佐ヶ谷駅。区のほぼ中心部に位置します。
駅から南北に中杉通り(都道427号線)が通っており、北に約1kmのところを東西に早稲田通り、南に約600mのところを東西に青梅街道が通っています。
また、中杉通りと青梅街道の交差点には、東京メトロ丸ノ内線「南阿佐ケ谷」駅があります。
阿佐ヶ谷駅周辺の地名
阿佐ヶ谷駅周辺(徒歩15分圏内)の地名は、
北側は、阿佐谷1~5丁目、高円寺北4丁目の一部。
南側は、阿佐谷南1~3丁目と、成田東4丁目、5丁目の一部。
駅名は「阿佐ヶ谷」で、地名は「阿佐谷」と、表記が異なっているんですよ。
25歳~44歳の比率が高く、一人暮らし世帯も多い
阿佐谷駅周辺の人口構成比を見てみましょう。
東京都や杉並区内の人口と比べて、阿佐ヶ谷駅周辺エリアでは「20~24歳」「25~29歳」「30~34歳」「35~39歳」「40~44歳」の男女が多く住んでいます。
女性では「25~29歳」、男性では「30~34歳」の住人が多いですね。
また、エリア内の世帯構成比は、1人世帯が65%超。
東京都内や杉並区全体と比較して、圧倒的に一人暮らし世帯が多いことがうかがえます。
阿佐ヶ谷駅の交通アクセス|新宿10分、アクセス便利な街
阿佐ヶ谷駅はJR中央線、中央・総武線が通っています。新宿まで中央線快速で直通・10分前後、東京駅や渋谷駅も約20分~30分ほどで、とても便利な立地です。
中央線の一部は東京メトロ東西線に直通乗り入れをしています。東西線からは、メトロや都営地下鉄の各線への乗り換えができますので、都内のどこへ通勤するにも便利なことも、一人暮らし世帯に支持されている理由でしょう。
注意点として、中央線快速が使えるのは平日のみ。
土日や祝日は、隣の「中野」駅で快速に乗り換える必要があります。所要時間も5分ほど長くなります。
南側なら、東京メトロ「南阿佐ケ谷」駅も利用可能
駅の南側に住んでいる場合は、東京メトロ丸ノ内線「南阿佐ケ谷」駅も使えます。
複数の路線を使えると、一方の路線で運休があった際にも助かりますね。
バスロータリーは駅の南北に
北側ロータリー
北側は関東バスのロータリーです。
主な行き先
- 中野駅
- 中村橋駅
- 石神井公園駅
- 下井草駅
- 荻窪駅北口
- 阿佐谷営業所
南側ロータリー
南側は都営バス・京王バス・西武バスと、コミュニティバスのロータリーです。
主な行き先
- 都営バス:渋谷駅前
- 京王バス:渋谷駅
- 西武バス:長久保[練馬区]
- 西武バス:大泉学園駅南口
- コミュニティバス「すぎ丸」:浜田山駅、永福町
ほとんどの路線で始発駅ですので、座って乗ることができそうです。便利ですね。
高速バスに乗るなら、中野駅から
2駅隣の「中野駅」からは、羽田空港行きの高速バスや、群馬(草津温泉)、長野、愛知などに向かう高速バスが出ています。
旅行や出張など、お出かけの際には活用できそうです。
阿佐ヶ谷駅周辺の街並み|ケヤキ並木がシンボル
阿佐ヶ谷駅から南北に伸びる中杉通りのケヤキ並木が、阿佐ヶ谷のシンボルです。
阿佐谷パールセンターをはじめ、商店街が多数
阿佐ヶ谷といえば、南口の「阿佐谷パールセンター」がもっとも有名でしょう。
ほかにも「阿佐ヶ谷スターロード商店会」「阿佐ヶ谷 一番街」「阿佐ヶ谷駅北口アーケード街」「いちょう小路」「かわばた通り」「松山通り」「南阿佐谷すずらん商店街」など、多数の商店街が存在しています。
商店街については、記事の後半でも詳しく触れますね。
独自のカルチャーが息づく街
阿佐ヶ谷の街には、街にはチェーン店ももちろん存在していますが、個性的な個人商店や、名画を上映するミニシアターがあり、独自のカルチャーを作っています。
実は阿佐ヶ谷は、明治期には『阿佐ケ谷文士村』という呼び名がついた、文化的に歴史あるエリアでもあります。
都会の喧騒から一歩離れ、四季折々の姿を見せるケヤキ並木の下で、自分の個性を出せる街。それが阿佐ヶ谷の魅力でしょう。
商店街以外は「住居専用」地域
もう少し詳しく街並みを知るため、「用途地域」を見てみましょう。
用途地域とは、街をどのように利用するのかを行政が定めたものです。地域ごとに、建ててよい建物の用途(住居・商業・工業など)や形態が決められています。
たとえば「近所にお店が多い、便利なエリアに住みたい」「空が広く見える、静かな住宅街に住みたい」などの希望は、用途地域を参考にすると叶いやすくなりますよ。
阿佐ヶ谷駅周辺の【商業系】エリア
阿佐ヶ谷駅周辺~南側、(駅の南側の商店街、中杉通りの南側、および青梅街道沿い)は「商業地域」。
駅より北(中杉通りの北側、松山通り、早稲田通り沿い)は「近接商業地域」に指定されています。
南側の「商業地域」のほうが建築規制等が緩やかなため、賑やかなお店が集まりやすいです。「近接商業地域」は、南と比較すると落ち着いた雰囲気になります。
どちらの地域内にも住宅は建てられますよ。
阿佐ヶ谷駅周辺の【住居系】エリア
商業系エリア以外の大半は、「第1種低層住居専用地域」「第1種中高層住居専用地域」に指定されています。
・第1種低層住居専用地域
戸建て、アパート・低層マンション(2~3階建て)を中心とした住宅街。
駅の南北では、比較的北側に多い。
・第1種中高層住居専用地域
中高層マンション、公共施設や小規模の店舗を中心とした住宅街
駅の南北では、比較的南側に多い。
このほか、線路沿いと青梅街道周辺には「第2種中高層住居専用地域」もあります。
阿佐ヶ谷駅周辺の【工業系】エリア
阿佐ヶ谷駅周辺に、工業系エリア(工業地域・準工業地域等)はありません。
阿佐ヶ谷駅北東地区 再開発計画
阿佐ヶ谷駅北東地区には、小学校、病院、商店街などが集まってます。
このエリアは、地震が起きたときに非常に大きな被害を受けるリスクが指摘されているため、地区の安全を高め、同時に緑を増やし、駅前のにぎわいを創出するための総合的・一体的なまちづくり計画が進められています。
阿佐ヶ谷駅周辺の歴史・文化|大正時代から住宅街として発展
明治期には、田畑の多い「阿佐ヶ谷村」「馬橋村」
阿佐ヶ谷駅周辺エリアの古地図(明治初期の地図)を見ると、「阿佐ヶ谷村」、「馬橋村」というふたつの村があったことが分かります。
「馬橋」の地名は、「杉並区立馬橋公園」や「馬橋稲荷神社」として現代に残っています。
阿佐谷北にある「阿佐谷神明宮」と「世尊院」は、明治期から変わらず同じ場所にあったようですね。当時の横書きは右から左に読む形ですから、地図上には「宮明神」「院尊世」と書かれています。
また、現在の阿佐ヶ谷駅周辺に川は見当たりませんが、明治期には複数の小川が流れていました。川の周囲は水田も多かったようです。
地図上で「神田上水」という文字を認めることができますから、神田川の支流でしょう。現在の桃園川幹線の古い姿と思われます。
また青梅街道沿いには、当時から住宅が多かった様子がうかがえます。
大正末期から住宅街に。「阿佐ケ谷文士村」も
大正11年に阿佐ヶ谷駅が開設。その翌年には関東大震災が発生しました。多くの人が被害の大きかった都心部から、被害の少なかった多摩地区へと移り住んだため、阿佐ヶ谷も住宅街として発展します。
移り住んできた人々の中には作家や詩人も多く含まれていたことから、「阿佐ヶ谷文士村」と呼ばれるようになりました。井伏鱒二や太宰治など、有名な作家も阿佐ヶ谷に住んでいたんですよ。
彼らは昭和初期~戦後にかけて阿佐ヶ谷で交流を深め、作品を生み出していました。いまでも阿佐ヶ谷には、彼らの足跡を感じることができる場所がたくさんあります。
阿佐谷七夕まつり
阿佐ヶ谷といえば、七夕祭り。阿佐ヶ谷駅の発着メロディーは、ジャズアレンジの「たなばたさま」になっています。
阿佐谷七夕まつりは、商店街「阿佐谷パールセンター」で1954年(昭和29年)にスタートしました。70年以上続く、阿佐ヶ谷の一大イベントです。
毎年、旧暦の七夕(8月上旬)に開催されます。商店街のアーケードに吊り下げられる、手作りのハリボテ、クス玉、吹き流しなどを眺めながら、お店巡りが楽しめます。
阿佐谷ジャズストリート
「阿佐谷をジャズで明るく元気なまちに」を合言葉に、1995年から30年続いているイベントです。毎年10月末に2日間開催されています。運営は、すべて地域の人々のボランティア。
JR中央線の阿佐ヶ谷駅を中心とする南北2キロの中杉通りに沿って、駅前広場、神社、教会、小・中学校の体育館、企業のロビー、喫茶店、レストランなどがジャズの演奏会場となります。
有料会場、無料会場、路上演奏があり、思い思いにジャズを楽しむことができますよ。
阿佐ヶ谷駅周辺の防災情報
杉並区に属する阿佐ヶ谷駅の近くには、かつて「桃園川」という河川が流れていました。この河川は川底が浅く、台風や大雨でたびたび氾濫を起こしていたため、全区間が暗渠(地下に埋設された河川や水路)に整備されました。現在は、「桃園川幹線」という名称の下水道として利用されています。
桃園川幹線の地上部には、「桃園川緑道」という遊歩道や公園になっている区間があります。高円寺駅寄りの地区であり、阿佐ヶ谷駅周辺では河川の面影を感じられません。しかし、桃園川幹線に沿って最大3.0mの浸水リスクがあるので注意が必要です。
過去の浸水実績では、桃園川幹線よりも阿佐ヶ谷駅の近隣で多くの被害が確認できます。旧桃園川が下水道として整備される前は、阿佐谷南3丁目を中心に浸水被害が多発していました。
阿佐ヶ谷駅周辺は比較的しっかりした地盤が広がっていますが、地震が起きた際の揺れやすさは、阿佐ヶ谷駅の北側と南側エリアで違いがあるようです。
阿佐ヶ谷駅の周辺エリアにおける地震発生時の二次災害リスクは、やや高めの想定となっています。古い街並みが残る地域なので、震災による建物の倒壊や火災の延焼といった点で懸念が出てきます。
住まい選びをする際には、住みたいエリアの防災情報も頭に入れて、安心して生活できるお部屋を見つけられるといいですね。
阿佐ヶ谷駅周辺の洪水リスク|桃園川幹線沿いは深い浸水の恐れ
杉並区が提供している水害ハザードマップを使って、阿佐ヶ谷駅周辺の洪水リスクを確認していきます。
阿佐ヶ谷駅周辺のエリアは広い範囲で内水氾濫のリスクがあります。特に、桃園川幹線上の地域は深めの浸水が予想されており、最大3.0mの高さまでの浸水が起こりえる場所があります。
阿佐ヶ谷駅の近隣には2カ所の避難所がありますが、桃園川幹線付近の浸水状況と滞在している場所によっては、早めの避難や避難場所の変更といった判断が必要になるかもしれません。
なお、阿佐ヶ谷駅周辺では液状化や津波、高潮、土砂災害の警戒区域はありませんでした。
阿佐ヶ谷駅周辺の水害ハザードマップ
ハザードマップを見ると、明治期の地図で川だったエリアを中心に、浸水リスクが高くなっています。
桃園川幹線沿いでは最大で3.0mの深さまで浸水が想定されており、これは一般住宅における2階部分の床に匹敵する高さです。浸水深2.0〜3.0mの想定エリアは、阿佐谷北1丁目付近で確認できます。
阿佐谷南2丁目と高円寺南3丁目付近は、深さ1.0〜2.0mの浸水が広めの範囲で予想されています。
また、全体的に黄色と黄緑色で示された浸水深0.1〜1.0mのエリアが広がっており、阿佐ヶ谷駅周辺は内水氾濫が起こりやすいエリアとなっています。
阿佐ヶ谷駅周辺の避難所情報
阿佐ヶ谷駅周辺には、2カ所の避難所があります。阿佐ヶ谷駅の北側では「杉並第一小学校」、南側では「阿佐ヶ谷中学校」が避難所として指定されています。
阿佐谷北4・5丁目や高円寺北4丁目付近と2カ所の避難所の間には、深い浸水が想定されているエリアがあるため、場合によっては迂回する避難経路や別の避難所に向かう方が安全な場合もあるでしょう。
水害の恐れがあるときは、気象情報や避難所の状況をこまめにチェックして、状況に応じた適切な行動を検討することが大切です。
阿佐ヶ谷駅周辺の地盤|地震発生時の揺れやすさは南北で分かれる
阿佐ヶ谷駅周辺の地盤は、一部の桃園川幹線上を除き、ほとんどが比較的しっかりとしています。
ただ、地震が起こった際の揺れやすさは南北で違いがあるようです。阿佐ヶ谷駅の南側エリアは、北側エリアより全体的に地震の揺れを大きく感じやすい予想となっています。
また、今後30年間で震度6弱の地震が起こる確率は50%を超えています。迫りくる災害への準備をしっかりしておきたいと感じるデータです。
ここからは、国立研究開発法人の防災科学技術研究所が提供している「地震ハザードステーション」の地図で、阿佐ヶ谷駅周辺の地盤を詳しく確認していきましょう。
阿佐ヶ谷駅周辺の地形区分
上のマップは、阿佐ヶ谷駅周辺における地盤の種類を表したものです。オレンジ色になっているエリアは、比較的しっかりとした地盤と言われている「火山灰台地」でできた場所を示しており、阿佐ヶ谷駅周辺はほとんどの地域が火山灰台地に該当します。
一方、桃園川幹線上の一部区間は、軟弱な地盤とされる「谷底低地」から成っています。水害ハザードマップで深い浸水が想定されていたエリアと重なっており、地盤の硬さと浸水深には関連性が見られました。
阿佐ヶ谷駅周辺の「揺れやすさ」目安
表層地盤増幅率を表した地図を使って、地震が発生した際の揺れやすさを確認していきます。表層地盤増幅率は、数値が高い地域ほど地震の揺れを大きく感じるエリアと考えることができます。
阿佐ヶ谷駅周辺における表層地盤増幅率は、線路を境に南北で差があるとわかります。阿佐ヶ谷駅南側の一帯は、北側より地震発生時に揺れやすい予測です。
阿佐ヶ谷駅周辺で地震に見舞われる確率
下の表は、阿佐ヶ谷駅周辺において今後30年間で発生する地震の確率を、4つの震度ごとに表したものです。
震度5強 | 94.3% |
震度6弱 | 52.9% |
震度6強 | 10.9% |
震度5弱は今後30年の間に100%発生すると予想されています。震度6弱でも50%以上の確率で起こるとされており、近い将来で大きな災害に見舞われる恐れがあります。
震度6強以上の確率を東京近郊の広域なマップで見ると、阿佐ヶ谷駅周辺のマップと同色のエリアが大半となっています。阿佐ヶ谷駅周辺のみならず、関東エリアは大地震が発生する可能性が高めの予想です。
阿佐ヶ谷駅周辺の地震リスク|地震の二次災害リスクはやや高め
ここからは、東京都不燃化ポータルの「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」のデータを使って、地震が発生した際のリスクを見ていきます。
昔ながらの建築物が残る阿佐ヶ谷駅周辺エリアでは、地震発生時の建物倒壊や火災といったリスクがやや高めの傾向にあります。地区ごとの差はあまりなく、全体的に二次災害の危険性があります。
阿佐ヶ谷駅周辺の「建物倒壊危険度」
阿佐ヶ谷駅の周辺エリアにおける地震発生時の建物倒壊危険度は、ランク2に該当する地区が大半となっています。
この一帯で最も建物倒壊リスクの高い場所はランク3の地区で、阿佐谷北1丁目が該当します。
一番リスクが低いランク1のエリアは、阿佐ヶ谷駅周辺にありませんでした。昔ながらの趣ある街並みが広がるエリアなので、築年数の長い家屋も多いことが関係していると考えられます。
阿佐ヶ谷駅周辺の「火災危険度」
阿佐ヶ谷駅周辺では、火災危険度がランク3とランク4の地区のみとなっており、震災時の火災リスクが高めのエリアです。
ランク3は、阿佐谷南2・3丁目と成田東4丁目、高円寺北4丁目、阿佐谷北1・4・5丁目となっています。
ランク4の地区は、阿佐谷南1丁目と成田東5丁目、高円寺南3丁目、阿佐谷北2・3丁目、天沼1丁目です。
阿佐ヶ谷駅周辺は密集した木造住宅や道幅の狭い道路が多く、火災の延焼や消火活動の妨げにつながりやすいため、火災リスクが高めの予測になったと考えられます。
阿佐ヶ谷駅周辺の地震に関する「総合危険度」
火災危険度と同様に、総合危険度でも阿佐ヶ谷駅周辺は危険度が中程度~やや高めのランク3とランク4の地区になっており、より危険度の高いランク4の方が多くなっています。
ランク3に該当する地区は、阿佐谷南2・3丁目と成田東4丁目、阿佐谷北1・4丁目です。
阿佐ヶ谷駅周辺の中で総合的なリスクが高めとなるランク4は、高円寺南3丁目と阿佐谷南1丁目、成田東5丁目、高円寺北4丁目、阿佐谷北2・3・5丁目、天沼1丁目となっています。
阿佐ヶ谷駅の周辺エリアは、全体的に地震発生時の二次災害リスクが高めの傾向が見られました。
阿佐ヶ谷駅周辺の災害事例|阿佐ヶ谷駅の近隣に多数の浸水実績
東京都が提供している「水害リスク情報システム」では、1989年(平成元年)7月から2019年(令和元年)10月までに発生した浸水被害を地図上で確認することができます。
阿佐ヶ谷駅の周囲では、多くの浸水実績が残っています。特に、阿佐谷南3丁目の被害が多く、台風や集中豪雨などによる5度の浸水履歴が確認できます。
東京都「水害リスク情報システム」に掲載された浸水実績図
浸水実績図を見ると、過去の浸水被害は阿佐ヶ谷駅のすぐ近くに集中しています。中でも、阿佐ヶ谷駅の南側では青く囲われた浸水箇所が多数重なっており、過去に何度も浸水したエリアであることがわかります。
発生日 | 種別 | 浸水地点 |
---|---|---|
1990年8月8日 | 台風11号 | 阿佐谷南2・3 |
1999年7月21日 | 集中豪雨 | 阿佐谷南2・3 |
2005年9月4日 | 集中豪雨 | 阿佐谷北1・2・3 阿佐谷南2・3 |
2018年8月27日 | 集中豪雨 | 阿佐谷南3 |
浸水実績図にあった被害をまとめると、上の表にある通り、5度の浸水が発生していました。阿佐谷南3丁目は5度すべてで浸水被害にあっており、局地的な大雨による内水氾濫が起こりやすい地区のようです。
ちなみに、水害リスク情報システムでは、ハザードマップで浸水リスクが高いとされる桃園川幹線上の浸水実績は残っていませんでした。
杉並区の水害対策
近年、集中豪雨による浸水被害が増加傾向にあり、杉並区でも過去に低い土地で多数の浸水が発生しました。局地的な豪雨による水害を軽減すべく、杉並区では雨水流出抑制対策を行なっています。
都市化が進んだ地域ではアスファルトで覆われた面積が多くなり、雨水が地中に吸収されにくいため、冠水を引き起こしやすくなります。こうした地域では、雨水流出抑制施設を利用して雨水を浸透させたり、一時的に貯留することで、浸水被害を軽減させることができます。
くぼんだ地形の影響で浸水被害が多発していた阿佐ヶ谷駅周辺では、平成23年度に約2,400㎥の雨水を貯められる貯留管が完成しています。下水道の整備や河川の改修と合わせて、公園や学校といった公共施設に雨水流出抑制施設の設置を進めていますが、十分な浸水対策ができているとは言い難いのが現状です。
さらに浸水被害を食い止めるため、杉並区では民間施設にも雨水流出抑制施設の設置について協力を要請しています。また、個人の住宅においても雨水浸透施設の設置を推進しており、助成金制度が設けられています。
参考:雨水流出抑制対策|杉並区ホームページ、雨水流出抑制の手引き|杉並区ホームページ
阿佐ヶ谷駅周辺の住みやすさ
ここからは、実際に阿佐ヶ谷駅周辺を歩いてみて、実際の住みやすさをご紹介します。
駅の北側は大型スーパーや公園・映画館・神社などがあり、日々のお買物も休日のお出かけスポットの面でも充実しています。
南側は徒歩圏内に杉並区役所や杉並郵便局など、便利な施設がそろっています。阿佐谷のランドマークともいえる商店街「阿佐谷パールセンター」も南側です。
阿佐ヶ谷駅周辺には、数多くの商店街があります。
多すぎて挙げきれないので、まずは杉並区の商店街マップをご覧ください。
この記事では、「阿佐谷パールセンター」「松山通り」「ビーンズ阿佐ヶ谷」をご紹介します。
阿佐谷パールセンター
阿佐谷の代名詞、「阿佐谷パールセンター」。阿佐ヶ谷駅前から青梅街道まで約700m続く屋根付きの商店街で、飲食店や食料品店、雑貨屋などが軒を連ねています。
昭和の高度成長期に、「真珠の首飾りのように結び合って繁栄していこう」という想いからついた愛称です。
屋根付きのアーケードなので、天候に左右されず散歩や買い物を楽しめるのもポイントですね。
仙台や平塚の七夕まつりに着想を得て昭和29年から始まった「阿佐谷七夕まつり」は東京7大祭りの1つにも数えられ、くす玉や吹き流しにハリボテの造形物を加えた独自のスタイルに進化しながら、現在も親しまれています。
さらに、ハロウィンフェスタなどの新たなイベントも開催され、よりいっそう賑わう商店街となっています。
参考:阿佐谷パールセンター http://www.asagaya.or.jp/history/history.html
ちもと総本店 阿佐谷店
阿佐谷パールセンターを800mほど南に進んだところにある和菓子店です。本店を軽井沢にかまえる「ちもと」の和菓子が食べられるのは、本店以外ではここだけ!
軽井沢の天然氷を使用したかき氷が看板商品ですが、あんみつやところ天、「たまゆら」というパフェのようなオリジナルの甘味、蕎麦・うどんといった食事メニューもラインナップされています。
信州のフルーツジュースや軽井沢高原ビールなどの飲み物もそろっているので、都内で気軽に軽井沢のリゾート気分を味わえますよ。
松山通り
中杉通りを西に1本入ったところにある商店街「松山通り」。北口ロータリーのアーケード街を抜けた先にあります。
阿佐谷パールセンターに比べると知名度は低いですが、「近年、オシャレなお店が続々とオープンしている」とテレビに取り上げられたこともある、人気の商店街です。
グルメサンドイッチのお店や、野菜が主役のベーカリーなど、おしゃれなだけでなく一捻りあるお店が多く、歩くだけでも宝探しをしているようなワクワク感があります。
居酒屋も多いため、世代問わず賑わっていて、楽しい気分になれました。
ジェラテリア シンチェリータ
一見すると無機質な内装に木や緑の温かみがプラスされたおしゃれな空間で、こだわりのジェラートが味わえる人気店です。
筆者が訪れた際も大行列で、お店の近くではジェラートを手に笑顔で歩いている人が多くみられました。
フレーバーの入れ替えもあるそうなので、いつでも選ぶ楽しさがあるのもいいですね。
Sandwich Store Laugh
青い軒先テントが目を引くグルメサンドイッチのお店です。ボリューミーで見た目も楽しめるサンドイッチが楽しめます。バンズはバゲット、食パン、ベーグルから選べますよ。
店内はカウンター席もあり一人でも気軽に入りやすい雰囲気でした。ショーケースに並んでいるパンは、見ているだけでワクワクしてしまいますね。
ビーンズ阿佐ヶ谷
JRの駅直結の商業施設です。スターバックスやコメダ珈琲店などのカフェ、カルディや紀ノ国屋などのショップ、ユニクロやスリーコインズなど、近くにあれば便利なお店が目白押し。
カフェは7時から開いているので、モーニングを楽しんでからショッピングするのもいいですね。
お買物施設
スーパーマーケット │ 大型店舗は北側か阿佐谷パールセンターに
駅の北側には、帰りが遅くなったときにも便利な24時間営業の西友が。
食品はもちろん、衣類や日用品も取り扱っているので、日常のお買い物はここでおおむね済ませられそうですね。
また、駅を出て目の前の阿佐ヶ谷駅前北口ビル地下1階には23時まで営業しているヨークフーズもありますよ。
一方で駅の南側には、駅前すぐ、阿佐ヶ谷南1丁目、阿佐ヶ谷南3丁目にまいばすけっとがあります。のちほどご紹介する商店街、阿佐谷パールセンターにもピーコックストアやココスナカムラが入っています。
一度で日用品も含めた様々な買い物を済ませたいときは北側の西友が便利ですが、日々の食品の買い物にはどこに住んでも困らない便利な街ですね。
ドラッグストア │ 中杉通り沿い&パールセンター内に点在
阿佐ヶ谷を南北に走っている中杉通り沿いとパールセンター内には、ココカラファイン、トモズなど、多くのドラッグストアがあります。
一方で、東西の通りに入ってしまうとドラッグストアはほぼありませんので、お買い物は中杉通り沿いで済ませましょう。
コンビニ │ 駅近くに集合、
駅前はセブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、NewDaysと、なんでも揃います。JRの線路沿いや、大通り沿いにも点在しています。
一方で、住宅街に入るとコンビニの数はまばらになります。特に駅の南側は中杉通り沿いにしかありません。コンビニをよく利用する方は駅の北側の物件を選ぶか、中杉通り沿いや線路沿いの物件を探すことをおすすめします。
100円ショップ │
駅の北にはローソンストア100、駅の南側はパールセンター内にキャンドゥとダイソーがあるようです。
衣料品店│北は中杉通り沿いと松山通り沿い、南はパールセンター内に
駅の北は中杉通りと松山通り沿いに、南はパールセンター内に 多数の衣料品店があります。チェーン店はパールセンター内に多そうです。
インテリア雑貨店│商店街の内外に、個性的なお店が
ざっと地図を見るだけでも、英国雑貨、ロシア雑貨、アジア民芸、アフリカ雑貨など、多様な雑貨屋さんがあることが分かります。商店街から離れた場所にもお店がありそうなので、休日にお散歩がてら探しに出かけるのも楽しそう。
飲食店
商店街の多い阿佐ヶ谷は、飲食店も豊富。駅の南北の各商店街に、さまざまなお店が点在しています。
チェーン店は、どちらかといえば中杉通り沿いとパールセンターに多め。個人店はまんべんなく各商店街に、という印象を受けました。
郵便局・公共施設
郵便局
阿佐谷駅前郵便局
阿佐ヶ谷駅南口からすぐの、とても便利な場所にあります。2階ですが、歩道や窓に大きく看板が出ているので分かりやすいです。
営業時間は平日の9時~16時です。
杉並郵便局
中杉通りに沿って南へ700m、南阿佐ヶ谷駅前に位置します。平日は9時~19時、休日は9時から土曜日は17時まで、日曜日は12時30分まで開いているので、平日に時間がとれない人にとっても便利です。
杉並区役所
杉並郵便局と同じく、南阿佐ヶ谷駅前にあります。近くにはミスタードーナツやガスト、デニーズなどの飲食チェーン店もあり、手続き後に一息つく人たちで賑わっていますよ。
阿佐谷駅前交番、杉並警察署
阿佐ヶ谷駅南口の目の前に交番があり、安心です。また、南阿佐ヶ谷駅前の杉並郵便局の隣には、杉並警察署もありますよ。
病院
中杉通り沿いを中心に専門科含め、複数のクリニックがあります。また、ビーンズ阿佐ヶ谷には土日にも開いている内科もあり、安心です。
河北総合病院
阿佐ヶ谷駅から北東へ350mのところに位置する、病床数331の総合病院です。地域医療専門病院の指定も受けており、診療科は多岐にわたります。夜間・休日診療もあるので、もしものときにも安心ですね。
おでかけスポット
馬橋公園
阿佐ヶ谷駅から北東850mほどに位置する公園です。親子連れが多いですが、一人でのんびりしている人や読書をしている人も多く見られました。
四季折々に姿を変える木々が植えられた「四季の広場」や、あずまやから池を眺めることができる「水辺の広場」など、ゆったりとした時間を過ごせます。
また、防火樹林や散水装置、備蓄倉庫も設けられており、災害時には一時避難地にもなりますよ。
管理棟のホールも開放されており、芝生広場を臨むカウンター席やテーブル席を利用できますよ。
ラピュタ阿佐ヶ谷
阿佐ヶ谷駅からわずか200m、駅前の賑やかさを忘れるような路地の奥にある建物です。ザムザという劇場と映画館「ラピュタ」、そしてフレンチレストラン山猫軒が入っています。
わずか50席の小さな映画館は、館長さんの「街からひとつずつ映画館が消えていくのに終止符を打ちたい」という願いから生まれました。
少しマニアックな映画の上映やトークイベントが開催されており、「サブカルチャーの街・阿佐ヶ谷」のイメージを牽引する映画館です。
阿佐ヶ谷神明宮
阿佐ヶ谷駅から北に240mのところに位置する、200年以上の歴史をもつ神社です。平成21年の「平成の大改修」により、歴史ある中にモダンな雰囲気を取り入れた場所になりました。
「神むすび」と名付けられた、繊細なレースブレスレットのお守りで有名です。季節の花々をモチーフにした限定デザインもあり、SNSで一躍話題になりました。
骨董市やジャズストリートの会場になるなど、地域の人々が集う場所としても愛されていますよ。
阿佐ヶ谷駅周辺の治安
情緒ある歴史とサブカルチャー、高い利便性を兼ね備えた阿佐ヶ谷駅周辺はそのときどきによって様々な顔を見せてくれる、面白くて魅力的な街です。
夜の様子も確認したいエリア
治安が気になるのは、夜に人が集まりやすい「居酒屋」があるエリアと、キャバクラ・ガールズバーなどのいわゆる「夜のお店」があるエリアですよね。
許容範囲は人それぞれですから、自分で実際に見て「この程度なら気にならない」「こういう雰囲気はちょっと避けたい」と判断することが大切ですよ。
阿佐ヶ谷駅周辺の居酒屋|駅前を中心に、各商店街に多数
阿佐ヶ谷は商店街が多い分、個人経営の居酒屋がたくさんあります。地図に表示するには多すぎるようで、こちらに引用したGoogleマップでは一部のお店しか出てきませんでした。
傾向としては、駅の南側はかわばた通り、一番街商店街、パールセンターの南側、すずらん通り、北側はスターロード商店街に多めです。が、ほかにもあるので、実際に歩いて確認してほしいと思います。
阿佐ヶ谷駅周辺の”夜のお店”|かわばた通りと一番街商店街などに点在
こちらは「阿佐ヶ谷 キャバクラ」の検索結果です。かわばた通りと一番街商店街、スターロード商店街に、ガールズバーやラウンジが点在しているようです。
実際に引っ越しを検討した感想
それでは、筆者が実際に阿佐ヶ谷駅周辺を歩いてみて、住んでみたいと感じたところをご紹介します。
駅の北側、松山通りから一歩離れた「阿佐谷北2丁目周辺」
おしゃれなお店が続々出店している松山通りは、ひとりのときにも友人と一緒のときにも、散歩をしたいときにも食事をしたいときにもぴったりです。
とはいえ、松山通りには居酒屋もあるため、騒音や防犯の面で多少の不安はあります。なので、松山通りから少し中に入ったところに住みたいと感じました。
駅の北側は、24時間営業で日用品までそろう西友が近くにあるのも便利そうで魅力的です。
駅から北西側は大きな施設もないので、便利さと静かさの両方を享受できそうです。
「阿佐谷南1丁目」、阿佐谷パールセンターから横道に入った落ち着きのある住宅街
せっかく阿佐谷に住むのであれば、阿佐谷パールセンターの近くも憧れます。昔ながらのお店と新しいお店が軒を連ね、人々で賑わう姿につられて楽しい気分になれそうです。
しかし普段の生活をするのに人通りが多すぎると、騒音や防犯の面が気になる人もいるかもしれません。
そんなときは阿佐谷パールセンターから横道に1本入るだけで、静かで落ち着いた住宅街になりますよ。静かな自宅で過ごしたり、賑やかな商店街に出かけたり、その日の気分で選べる暮らしも素敵ですね。
阿佐ヶ谷駅周辺に住むなら、まずは適切な家賃の目安を知ろう
阿佐ヶ谷駅周辺への引っ越しを検討するなら、まずは「家賃の目安」を知ることが必要です。
手取りから、家賃の目安をシミュレーション
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