こんにちは、カーサミアライターのえなです。防災士という防災系の資格保有者である私が、防災に関する疑問を解決していきます。
今回は、「女性にとっての、避難所でのプライバシー問題」に関して紹介します。
避難所運営は男性中心で行われることが多いため、これまで女性の意見や声が避難所の運営に反映されないという問題がありました。しかし、最近では過去の災害の教訓から、避難所運営の男女共同参画が多くの自治体で実施されはじめています。
男女共同参画が進められているとは言え、避難所の環境設備は自治体によりそれぞれであるため、まだまだプライバシーが守られづらい避難所があることも事実。
少しでもプライバシーを確保し災害時にストレスなく避難所で過ごせるように、用意しておくべき防災グッズや、知っておきたいアイデアなどをシーン別に紹介していきます。
質問:避難所でプライバシーを確保する方法を教えてください
避難所はプライバシーが保たれないなど、特に女性にとっては過酷な環境であると聞きました。
テント設置が禁止されている避難所も多いとのことですが、代わりに避難所に持って行ったほうが良いものがあれば教えてください。着替えや、ボディシートで身体を拭くときなどに役立つものが知りたいです。
ただでさえ災害で大変な中、避難所でも大変な思いはしたくないですよね…。避難所でのプライバシー確保のために必要なことを伺ってみましょう!
回答:シーン別、避難所生活で困るプライバシー問題を解決する防災グッズ
着替え・お風呂・洗濯・就寝・貴重品管理など、避難所生活で困るプライバシー問題を解決する防災グッズをシーン別に紹介していきます。
避難所での着替えについて
更衣室が用意されているかどうかは、避難所によって異なります。しかし、過去の災害では「女性用更衣室が設けられておらず困った」という声が多数上がっていることから、昔と比べて女性用更衣室の導入を検討する自治体も増えてきています。
また、体育館・学校・スポーツ施設などは、もともと更衣室が備え付けられているケースが多いため、避難所として利用する際にもそのまま更衣室として利用できることが多いようです。
部屋数が少なかったり、更衣室がなかったりする避難所であっても、ダンボールやテントなどの組み立て式の簡易更衣室が導入されている場合もあります。
最寄りの避難所にもし女性用更衣室が設けられていないという場合には、避難所のトイレで着替えるか、日中に片付けで自宅に帰った際に着替えることになるでしょう。もし、避難所内で周囲の目がある中で着替えないといけない場合には、防災ポンチョを用意しておくと目隠し対策ができます。
また、避難所は不特定多数の人が出入りする場であるため、更衣室で着替えを行う際でも、のぞきなどの犯罪に気をつけなければいけません。
できるだけ、日中の明るいうちに着替えを行うようにしたり、一人で行動せずに複数の女性と声を掛け合って更衣室を利用したりするようにしましょう。
避難所でのお風呂について
更衣室同様に、女性用シャワールームが用意されているのかは避難所によって異なり、体育館・学校・スポーツ施設などの場合は設置されていることが多いでしょう。
また、避難所にシャワールームがなくても、自衛隊によるお風呂の提供や、近くの銭湯・温泉施設を利用できる場合があります。
もし避難所で身体を清潔にできない場合には、着替え同様に日中に自宅を利用したり、目隠しポンチョを利用したりするしかないでしょう。
避難所でお風呂に入れない場合に備えて、ドライシャンプーやボディーシートを用意しておくと便利です。
以下の記事でも、避難所のお風呂問題について詳しく紹介しているのであわせてご覧ください!
避難所でのトイレについて
避難所のトイレ問題として、過去の災害では「生理用品を捨てる場所がない」「夜は暗くて危険」「男性との共用」「避難物資の生理用品などを男性が配布しており受け取りづらい」などといった声が挙げられています。
そのため、最近では避難所のトイレは男女別で設置されたり、生理用品の配布は女性が担当したりするなど、女性がトイレを利用しやすい環境が整えられた避難所も増えてきています。
停電が発生している場合、トイレは夜は暗くて危険なため非常灯が設置される避難所もあります。しかし、死角や暗闇を狙った性犯罪に巻き込まれる可能性もあるため、夜にトイレを利用する際にはなるべく一人で行動しないようにしましょう。
また、災害時に停電や断水が発生した場合、避難所のトイレがそもそも利用できない可能性があります。避難所へ仮設トイレが届けられるのも数日かかる可能性があるため、トイレの問題で困らないためには、自分でも携帯トイレや簡易トイレを備えておくことが大切です。
また、万が一、生理になったときにそなえて、生理用品やサニタリーショーツも用意しておくと安心です。生理用品や使用済みの携帯トイレなどを捨てられるように、中身が見えない袋や消臭袋もあわせて用意しておきましょう。
以下の記事でも、避難所のトイレ問題について詳しく紹介しているのであわせてご覧ください!
避難所での洗濯について
洗濯機が用意されているのかは避難所によって異なります。また、避難所に洗濯機があったとしても、停電や断水の影響で利用できなかったり、利用者の数が多くなかなか利用できなかったりするでしょう。
避難所で洗濯機が利用できない場合には、近くのコインランドリーを利用するという手もあります。
洗濯機やコインランドリーを利用できないことを想定し、ビニール袋やシップロック、洗濯専用バッグ、折りたたみバケツなどを用意しておくといいでしょう。
また、避難所で洗濯物を干すスペースが男女別で分けられていない場合、男性の目があり下着を干しにくいという問題があります。
そのため、男性の目がある中でも避難所で洗濯がしやすいように、一見下着とはわかりにくいボクサータイプのショーツやカップ付きキャミソールなどを用意しておくといいでしょう。
その他にも、中身が見えないそのまま干せる洗濯バッグや洗濯ネットを活用するのもおすすめです。
以下の記事では、避難時に何日分の着替えが必要なのか解説しているのであわせてご覧ください!
避難所での就寝について
避難所によっては、テントやパーテーション、ダンボールなどで仕切りが作られている場合もありますが、避難所は一人ひとりのスペースが限られており完全なプライベート空間を確保するのは難しいです。
一部の自治体では、単身女性・乳幼児連れ・女性のみの世帯などで避難所のエリアを設定するよう工夫しているところもあります。しかし、避難所によってはエリアが分けられておらず、隣のスペースでは知らない男性が寝ているという状況も考えられます。
過去の災害時には、就寝中に知らない男性が布団に潜り込んできて身体を触られたなどの性犯罪も発生しており、不特定多数の人と隣り合わせで就寝することになる避難所では注意が必要です。
もし避難所が、パーテーションなどで各スペース仕切られていない場合は、自宅からダンボールなどを持参して仕切りを作るといった方法もあります。
また、就寝中に限らず、防犯ブザーなどの防犯グッズを常に所持しておくと安心です。
避難所での貴重品管理について
避難所では、ロッカーなど貴重品が管理できる設備が必ずしも整っているとは限りません。不特定多数の人が出入りする可能性があるため、盗難被害に合わないためにも貴重品は自身で管理し、肌身離さず持ち歩くことがおすすめです。
貴重品を持ち歩く際には、両手が塞がらず雨でも濡れる心配のない、防水タイプのウエストポーチやショルダーバッグを用意しておくのがおすすめ。また、盗難のリスクを下げるためにも、高価なバッグは避けて中身が見えないタイプのものがいいでしょう。
防災グッズ以外で、プライバシーを確保するためにできること
防犯グッズを用意する以外に、次のようなこともプライバシーの確保につながります。
在宅避難という手段もある
災害時に必ずしも避難所へ行く必要はありません。自宅が安全であることを確認できるのであれば、「在宅避難」という手段も選択できます。
もし避難所でのプライバシー確保に不安を感じる場合は、在宅避難という手段があることも覚えておきましょう。
過去の記事では、在宅避難の見極め方や在宅避難に向けて準備しておくことなども紹介しているのであわせてご覧ください!
避難所運営に参画してみよう
避難所でプライバシーが確保できない環境なのであれば、自ら避難所運営に参画し、女性専用スペースを確保できるように働きかける勇気も必要かもしれません。
しかし、なかなか一人では声を上げづらいため、普段から地域住民との関わりを少しでも持っておくことが大切です。地域の女性たちと一緒に協力することで、声を上げられるかもしれませんね。
過去の災害を教訓に、避難所の環境が整えられ始めてはいますが、自治体によって取り組みには差があり、まだまだプライバシー面や衛生面での問題を抱えているところも多いです。
一度、自身の地域の避難所の運営体制などを調べてみるといいかもしれません。プライバシー面で心配がある場合には、必要な防災グッズを用意したり、在宅避難も是非検討してみたりしてください。