物件を探している時、たくさんの募集広告や物件資料に目を通す中で「これってどういう意味?」という項目に出会うことも多いと思います。
そんな時、「そもそもの情報量が多いから何となくスルーしちゃう」「よくわかんないけどまぁいっか」ということありませんか?
しかし、物件概要の各項目の内容を理解することで、先に知っていた方が良かったことなどが分かり、物件選びの重要な判断基準にすることができます。
こんにちは。カーサミアライターのセナです。この記事では、物件概要に記載されている各項目に関して、注意点も交えながら解説していきます。
前編・後編と続くので、合わせて参考にしてみてください!不動産会社の誘導に引っかからない、より効率の良い物件選びができるようになりますよ。
物件概要はここをチェック
交通
例:都営浅草線 高輪台駅 徒歩5分
・利用できる路線と駅が分かる
複数路線利用できるか、などを確認します。
・最寄り駅までの距離が分かる
不動産表記では「80m=1分」とすることがルールとなっています。
例えば「徒歩5分」であれば、家から駅まで400m以内です。
交通の注意点
・表記の分数で駅まで着かないことがある
家から駅までの道のり(坂道や信号の量・道路の大きさ)、駅の入口から実際のホームまでの距離などは一切加味されていません。
「実際に歩いてみたら、もっと時間がかかった」などもありがちなので、記載された距離だけでなく、実際に自分の足で歩いてみることが重要ですよ。
主要駅までの距離
主要駅までの、通勤時の所要時間+乗り換え時間が記載されています。
所在地
例:東京都港区高輪3-26-27
・その物件の住所が分かる
「所在地」は「住所」と同じ意味です。
所在地の注意点
・場所によっては浸水や液状化の心配がある
この所在地を利用すれば、ハザードマップ(自然災害による予想被害範囲をマップ化したもの)を事前に調べることができます。地震・津波・洪水・土砂災害など種類があるので、それぞれ確認しておきましょう。
▼ハザードマップはここから調べられます
・地震:国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震ハザードステーション
・水害関連:各自治体のホームページよりご確認ください
・駅名と住所が違うことがある
基本的には地域名=駅名になっていることが多いのですが、そうでない場合もあります。特に東京23区内で多く見られます。例えば「新大久保」駅は”新宿区百人町”にあり、新大久保という住所は存在しません。また、新宿駅や品川駅は近隣で区をまたぐため、自宅と最寄駅で区が異なるということもあるでしょう。その場合、エリアによって行政の管轄が変わるため、注意が必要です。
規模(階数)
例:地上7階建の3階
・その建物が何階建てで、今回募集している物件の所在階が分かる
規模(階数)の注意点
・地下○階/地上○階建と書いてある物件もある
分譲マンションの場合は、建物の地下に配管を通すための空間「地下ピット」を設置していることがあります。このピットをつくることで、1階の給排水用配管を通すことができ、配管の維持管理(メンテナンス)が容易になります。購入するマンションとしては良いポイントです。
・1階はセキュリティ面で注意が必要
一人暮らし女性にとっては、所在階が1階と記載されている物件はセキュリティ面で注意が必要です。もしバルコニーやベランダが少し奥まった(死角)に設置されている場合は、人目に付かないため侵入されやすくなることがあります。
また道路に面した場合でも、直接部屋の中が見えてしまうので、覗き見や下着泥棒の被害に遭う可能性があります。どちらにしても、一人暮らし女性が1階を選ぶ際は、注意して判断しましょう。
物件サイトの検索条件に「1階以上」という項目があるのは、こういったセキュリティ面を心配する人が多いためでもあります。
規模(総戸数)
例:総戸数35戸
・建物全体の世帯数が分かる
「総戸数」はその建物の「世帯数」のことで、 賃貸マンションやアパートでは「部屋数」と表現されるていることもあります。 間取りや面積に関わらず、建物全体で何世帯かを確認することができます。また、総戸数には管理人室やゲストルームなど、付帯施設が含まれている場合もあります。
規模(総戸数)の注意点
・規模が大きい方が、管理が行き届いている場合が多い
建物を管理するのにも手間や費用がかかります。そのため、総戸数が多い方が管理に対して負担する費用を掛けられるケースが多くなります。
例えば、総戸数6戸と50戸の物件を比較してみると、管理費・共益費として各世帯から毎月1,000円徴収した場合〔6戸:月6,000円〕〔50戸:月50,000円〕を維持管理に充てられるという計算になります。建物の大きさが違うので、清掃範囲や管理ボリュームに差はありますが、そもそも充てられる金額が変わるので、管理状況も変わってきます。
・購入する場合は、総戸数が少ないと管理組合の理事になる可能性が高くなる
分譲マンションは「所有者=建物の維持・管理をする人」となり、各住戸の所有者全員で維持管理を行わなくてはいけません。ですが、ほとんどのマンションで清掃や管理・修繕対応を管理会社に業務を委託し、各所有者が費用を負担することで、建物の運営と維持をしています。
その管理会社とマンションを繋げるのが、管理組合です。管理組合には所有者の代表として、通常4~5人が理事として選出されます。マンション内で自主的に受けてくれる人がいればいいのですが、そうでない場合は持ち回り(各所有者が順番に)で対応していきます。総戸数が少ないと、その分理事が回ってくる回数が多くなる可能性があるので注意が必要です。
構造
例:鉄筋コンクリート造(RC造)
・建物が何でできているかが分かる
建物の構造には、様々な種類があります。
略語 | 一般名称 |
---|---|
RC造 | 鉄筋コンクリート造(Reinforced Concrete) |
SRC造 | 鉄筋鉄骨コンクリート造(Steel Reinforced Concrete) |
S造 | 鉄骨造(Steel) |
W造 | 木造(Wood) |
代表的な構造は上記のとおりとなりますが、その他にも「軽量鉄骨造」、「プレハブ造」、「ブロック造」などがあります。
物件概要に「RC」とだけ書かれている場合もあるので、覚えておくと便利ですよ。
構造の注意点
・鉄骨造や木造は遮音性・耐震性などの面が心配
遮音性や耐震性は少し心配ですが、その分家賃が安いことも多いので、コスパが良いことがメリットとしてあげられます。
それに対して、鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造は遮音性・耐震性が優れていますが、比較的家賃も少し高くなります。
「家賃」と「安心」をきちんと比較して検討してくださいね。
用途地域
例:近隣商業地域
・その建物が経っている場所が、どんな用途で使える土地なのかが分かる
用途地域はその土地をどんな風に利用するかを定めるもので、 5年に1度見直されています。2020年5月時点で13種類あります。
例えば、こちらは新宿区の用途地域の地図を見ると、場所によって、狭い範囲内で細かく仕分け(色分け)されていることが分かります。ピンクが集中しているところは新宿駅界隈になりますが、ピンク系の色は商業系地域に分類され、商業施設などを建設できるエリア指定されています。だから賑わいができるのですね。
このように、「〇〇駅周辺は工場が多い場所」「〇〇エリアはお店が少ない住宅街」など場所によって異なるイメージは、【定められたルールに則って街づくりが行われているため】ということになります。
用途地域の注意点
ここでは簡単にどんな用途地域があるか説明します。
大きく分けると「住居系」「商業系」「工業系」の3タイプがあります。
以下の表に、3つのタイプに当てはまるそれぞれの種類に関する特徴をまとめているので、参考にしてみてくださいね。
◆住居系
8つの種類から成り、それらに指定されたエリアでは基本的に大規模な商業施設や工場を建てることができません。 基本的には人が住むことを前提とした住環境が優先されている用途地域なので、最低限の生活利便施設のみで周辺にお店が充実していないことも多々あります。ですが、生活する・暮らすことを目的とした人が集まっているので、比較的安心して住めるエリアです。
種類と特徴 |
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●第一種低層住居専用地域 ・低層住宅のための地域で、一戸建てや低層マンション(12m以下)、小中学校が建設可 ・一般的なコンビニも建てられない、人が住むためのエリア |
●第二種低層住居専用地域 ・第一種低層住居専用地域の用途に加え、コンビニや飲食店が建設可 |
●第一種中高層住居専用地域 ・幼稚園や学校などの教育施設、病院、神社なども建設可 ・中高層マンションが多く立ち並ぶエリア |
●第二種中高層住居専用地域 ・中規模のオフィスビルや、床面積1,500平米以下の建物も建設可 |
●第一種住居地域 ・住宅以外に、3,000平米までの事務所や店舗、ホテルも建設可 |
●第二種住居地域 ・ボウリング場などの娯楽施設や、カラオケボックス(床面積に制限あり)も建設可 |
●準住居地域 ・車庫や倉庫、小規模な映画館や自動車工場も建設可 ・幹線道路沿いが多く、業務の利便性と住環境の調和を図るエリア |
●田園住居地域 ・農業関連の場所と調和した低層住宅の環境を守るためのエリア ・教育施設や病院、制限はあるが農産物の直売所や農家系レストランも建設可 |
◆商業系
買い物スポットやレジャー施設を集積させ、人を集めて賑わいを出し、どんどん発展を遂げていく地域です。
駅近マンションなどはほとんどこのエリアに建っています。駅も商業施設も近くて利便性が高いのが特徴ですが、不特定多数が行き来していることや、夜遅くまで賑わっていることもあるので、好みが分かれます。
種類と特徴 |
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●近隣商業地域 ・床面積の制限なく、お店や映画館などが建設可 ・近隣住民に生活利便性を供給するエリア |
●商業地域 ・大型商業施設や百貨店や飲食店、金融機関などが集まるエリア |
◆工業系
人が住んだり、お店を集積させて賑わいを持たせるためではなく、工場の利便性を重視した地域です。大規模マンションなどは、大きな敷地が必要となるため、工場跡地などを活用するケースも多くあります。工業専用地域以外では住宅も建てられますが、土壌汚染などの痕跡があることもあるので、このエリアに住むには少し注意が必要です。
種類と特徴 |
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●準工業地域 ・危険性が高い工場や、環境悪化の可能性がある工場以外、ほぼ全ての工場が建設可 |
●工業地域 ・どんな種類の工場も建設可 ・病院や学校、ホテルなどは建てられない |
●工業専用地域 ・工場を建設するためだけのエリア ・住宅は建てられない |
築年月
例:2005年3月築
・建物が建てられた竣工時期(年月)が分かる
建築基準法の耐震基準が1981年に改正されました。改正前まで施行されていた耐震基準を「旧耐震基準」、改正後の耐震基準を「新耐震基準」と呼びます。
耐震基準は大きな震災を経るごとに厳しい耐震基準に改正されています。建設された時期で、基準が異なり建物の質が変わるので注意が必要です。
築年数の注意点
・「旧耐震」と「新耐震」の境目の時期に注意
以下のように旧耐震基準と新耐震基準は、築年月によって変わります。
旧耐震基準 | 1981年(昭和56年)5月31日以前 |
新耐震基準 | 1981年(昭和56年)6月1日以降 |
耐震基準は基本的に着工日(建築工事に着手した日)で決まるので、1981年6月築以降の建物や1982年築の建物でも、着工日(工事期間)によって旧耐震の場合があるので注意が必要です。
また旧耐震基準の物件でも、後々に耐震補強工事をして「耐震補強済み」で対応している場合もあります。 ここは重要なので、どちらの耐震基準が該当しているか不動産会社に確認しましょう。
・旧耐震基準と新耐震基準の違いを知っておく
旧耐震基準 | 震度5程度の地震が起きた時、建物が損傷を受けるが崩壊はしない。 また、震度5強以上の大地震に対しての定めが特にない。 |
新耐震基準 | 震度5程度の地震が起きた時、軽微なひび割れ程度に抑える。 また、震度6〜7程度の大地震が起きた時に、倒壊・崩壊しないことの検証をすることが定めらている。 |
旧耐震の基準を補強する形で「震度6強〜7程度の地震に対して安全を確保する」という規定が加わりました。
2011年の東日本大震災で宮城県沿岸部が経験した揺れ(震度6〜7程度)と同等の地震が起こった場合、旧耐震基準では設計時に想定していないレベルになるため、倒壊してしまう可能性もあります。
天災は避けられないもの。一人暮らし女性は特に新耐震基準、または耐震補強済みの物件を選ぶと良いでしょう。
・築年数が古いと耐震性の他も様々なリスクが
この辺りにしては家賃が安い!と思ったら、築40年だった…なんて話もよくあります。築年数が古いと、耐震性だけなく他のリスクも出てきます。いくつか考えられる注意点をまとめます。
①耐震性・耐久性などの建物強度に不安がある
先述したとおり、築年数が古いと耐震性や耐久性には不安があります。ただ、耐震補強工事をしている場合もあるので、耐震診断の有無なども併せて確認してみましょう。
②設備が古い
主に水回りの面、ウォシュレットや浴室乾燥機の有無などは築年数によって大きく変わってきます。ただ、こちらも内装をリノベーションしている場合などがあるので、一概には言えません。
③虫が出やすい
築数十年のアパートなどは、網戸の立て付けが悪かったり、配管などが劣化していて、虫や害虫が入りやすくなることがあります。さらに木造住宅の場合、天井裏に住みつくこともあるので厄介です。
④住宅ローンが使えない場合がある
購入する時に住宅ローンを組む場合、金融機関ではその建物の価値=担保評価がどれくらいかを確認します。
鉄筋コンクリートの法的耐用年数は47年と決められているので、築47年を超えると概ね「建物の価値がない=担保評価額がゼロ」となり、金融機関が抵当権を設定する価値がないものと判断し、住宅ローンを組むことが難しくなってしまいます。
⑤大規模修繕などの工事のタイミングと重なる可能性がある
建物は経年劣化するものなので、計画を立てながら修繕して長く使えるように維持していく必要があります。もちろん築年数が経つほど劣化が出てくるので、修繕工事も大がかりになります。
大規模修繕工事では、建物が工事用の仮囲いで覆われ、作業員の足場が組まれたり、共用部やエレベーターが一定期間使用できなくなったりするなど、何かと不便な思いをする場合があります。
⑥売却しようと思ったときに売れない可能性がある
購入時に「10年住んだら、貸すか売るかしよう」と思っていても、売却しようとした時は、購入時の築年数+居住年数が売却時の築年数になります。築30年の物件を購入すれば、10年後は築40年。築40年の物件を購入したいと思う人は少なくなるので、 必然的に需要も減ります。
売却前提で購入しようと思っている人は、売却時を想定して購入することが重要ですよ。
駐車場・駐輪場
例:駐車場5台あり / 駐輪場月額300円(税込)
・駐車場や駐輪場が、敷地内に設置されているかどうかと空き状況が分かる
・利用する場合の月額料金が分かる
駐車場・駐輪場の注意点
・購入の場合:駐車場でも駐輪場でも月額使用料が掛かる場合が多い
●駐車場
マンションを購入した場合、駐車場は区分所有者全員の「共用部分」となり、駐車場は個人のものにならないケースがほとんどです。管理組合が運営を行うので、契約して月額使用料を支払う必要があります。
また、全世帯分の駐車場が設置されていないことも多く、数年に一回利用権の入替があるなど、永続的使用は保証されない場合があります。
●駐輪場
駐輪場も駐車場と同様、マンションを購入した場合は使用料が掛かることが多々あります。物件によりますが、1台につき月額数百円程度が相場です。
・賃貸の場合:有無が記載されていないことがある
●駐車場
物件概要に、駐車場の有無や詳細が記載されていない場合があります。
もし駐車場付きが絶対条件なら、その旨と車種名を事前に不動産会社に伝えましょう。また、駐車場はあっても「サイズが入らない」「現在空きがない」というパターンもあります。
購入と違い、駐車料金が掛からないこともありますが、家賃に含まれていることもあるので注意しましょう。
●駐輪場
賃貸物件では、駐輪場情報の記載がないことがあります。不動産会社に問合せすれば教えてくれるので、事前に確認しておくといいでしょう。
なお賃貸の場合、駐輪場使用料は発生しないケースが多いです。
一人暮らし女性は、物件概要はここをおさえよう!
さて、ここまでは建物の「交通」「所在地」「規模」「構造」「用途地域」「築年数」「駐車場・駐輪場」それぞれの項目を説明しました。
これらの項目は主に建物全体に関する情報で、物件探しの際には重要なポイントになります。
住み始めてから後悔した…!と言うことがないように、自分がどんな物件を希望しているかを明確にして、自分で判断できる基準を持つことが大切です。そのために、まずは各項目が何を示しているかを理解するところから始めましょう。
後編では「間取り」や「バルコニー」など、部屋の内部に着目した項目について説明するので、そちらも合わせて参考にしてみてくださいね!