もしあなたが大地震によって、避難所生活を余儀なくされたらどう行動しますか?
みなさんこんにちは、カーサミアライターのえなです。防災士という防災系の資格保有者である私が、防災に関する疑問を解決していきます。
みなさんは、災害時にどのような犯罪が発生するか、ご存知ですか? 被災地で、窃盗や詐欺などが発生しているということを耳にしたことがある方もいるでしょう。
しかし、それだけではなく、避難所などで「性被害」も一定数発生しているのです。そこで今回は、災害時における避難所での性被害の実態と対策を紹介していきます。
避難所では性犯罪・性暴力が発生する可能性がある?
災害時は、混乱に乗じて多数の犯罪が発生する恐れがあります。以下は、過去の災害をもとに災害時に起こり得ると考えられる犯罪のリストです。
犯罪の種類 | 考えられる発生場所または実態・要因 |
---|---|
窃盗 | 無人民家、コンビニ、スーパー、金融機関、ATMなど |
詐欺 | 災害支援金の募集など被災者の善意につけ込む詐欺 補償金の給付など被災者等の窮状につけこむ詐欺 修理・点検など震災に関連する詐欺 |
性犯罪 | 避難所、仮設住宅、人気のない場所など |
暴行・傷害 | 災害直後にはあまり発生しないが、 避難や復興が長期化すると、 ストレス等により粗暴犯が増加する恐れがある |
残念ですが、窃盗や詐欺などはニュースでもよく目にするかと思います。これももちろん気をつけなくてはいけません。
この中で女性が特に注意したいのが性犯罪。避難所や人気のない場所などで、女性や子どもに対する性犯罪・性暴力が一定数発生していることを認識し、自らの身を守らなくてはいけません。
災害の被害によりライフラインがストップし、避難所生活という慣れない生活の中だと通常よりも防犯対策が緩くなりやすくなるところが注意点です。避難所では見知らぬ男女が共同生活するということもあり、女性や子どもが性被害にあいやすい環境が整ってしまうのです。
参考:警察庁|平成23年の犯罪情勢
警察庁|東日本大震災に伴う警察措置
熊本県|熊本地震の発災4か月以降の復旧・復興の取組に関する検証報告書
避難所生活では被害にあっても声を上げづらい
避難所生活は、皆で協力し共同生活を送ることが原則です。そのため、もし性被害を受けたとしても「みんな大変なのに迷惑をかけられない」「避難所生活の輪を乱してはいけない」と、被害者が声を上げづらい環境になってしまうことがあります。
さらに、自分が被害にあったことが公になると、避難所という狭いコミュニティの中では“うわさ”がすぐに横行しやすいため、被害者は「泣き寝入り」するしかないということも。
こういったことから、過去の災害では表に出ていない性被害が少なからずあると考えられます。
熊本地震で実際に起こった悲しい性被害
2016年の4月に発生した熊本地震では、実際に悲しい性被害が起こってしまいました。以下は、新聞で取り上げられたニュースの一部を抜粋しています。
地震から間もない16年4月下旬、熊本県内の指定避難所。避難者が寝静まった深夜、家族から離れた場所で寝ていた10代少女の布団にボランティアの少年が潜り込んだ。少女は服を脱がされ、体が固まった。助けを求める声を出せず、恐怖と痛みに耐え続けた。
「娘の傷は一生消えない」避難所での性被害の闇 把握10件、相談できず潜在化も 熊本地震2年|【西日本新聞ニュース】
こちらの事件は、被害者の母親が被害に気付いたことで、警察に被害届を出すことができました。
しかし、この事件の少女のように恐怖で助けを求めることができず、被害が申告されなかったという性犯罪が一定数存在すると考えられます。
避難所で性被害が発生するケース
避難所生活を送ることになった際に、危険な場所を避けるためにも、どのようなケースで性被害にあうことが多いのか、把握しておきましょう。
①トイレ・更衣室で性被害が発生するケース
特にトイレに行く際は1人になることが多く、無防備になりやすいです。そのため、加害者はトイレへ向かう女性の後をつけて、性犯罪を行うといった事例が発生しています。
また、更衣室がパーテーションで簡易的に作られている場合には「のぞき」といった性被害が発生している事例も。
②就寝時に性被害が発生するケース
避難所生活では、避難者同士で共同生活を送るため、プライバシーを確保しにくい環境となります。避難者ごとに、パーテーションなどで区切られているということもありますが、簡易的であったり、すぐ隣では見知らぬ男性が生活していたりという場合もあるでしょう。
簡易的な仕切りの場合、就寝時は無防備になってしまうため、「寝ていたら、避難所住民が布団の中に入ってきて、身体を触られた」などという性被害の事例も発生しています。
③ボランティアが加害者となり性被害が発生するケース
避難所で発生する性被害は、共に生活する避難住民が加害者となるケースもあれば、被災地支援に来てくれたボランティアや被災支援者が加害者となるケースも出ています。
災害により困窮してしまった女性や弱い立場にある女性に対して、「支援する代わりに性行為を要求する」といった、見返り的に身体を求める性被害の事例も過去に発生しています。
基本的には、災害復興をサポートしてくれるボランティアの方の存在は、とても大きく重要で有り難いものです。ですので、稀にこのようなケースがあると認識しておいてくださいね。
避難所で自分が性被害に合わないための対策
自分が避難所生活を送ることになった時、性被害にあわないようにするためにも、対策を覚えておきましょう。
1人で行動せず、死角になる場所には近づかない
特に性被害にあいやすいトイレや、夜中の外出だけでなく、日中でもできるだけ1人で行動することは避けましょう。もし1人でトイレに行かなければならない際には、トイレに入る前に怪しい人物がいないかをまずは確認してください。
また、加害者は死角になる場所を狙って女性を襲うこともあるため、なるべくそのような場所には近づかないようにしましょう。
防犯グッズを装備しておく
自分の身を守るためにも、常に防犯グッズを身に付けておきましょう。
・ 防犯ブザー
・防災用ホイッスル などが有効ですよ。
被害にあった際に「怖くて声が出せない」という場合も、防犯ブザーを持っていれば、周囲に助けを求めたり異変を知らせたりすることができます。
これらの防犯グッズは二次避難用の防災袋の中に入れておくと便利です。
・参考記事:一人暮らし女性が大災害に遭遇したら…⑦防災袋に用意しておくべき役立ちアイテム
女性・子ども専用スペースを確保する
避難所が被災者同士で共同運営される場合、男性が主体となってしまうことが多いです。そのため、女性目線で避難所運営が行われない可能性があります。
勇気を出し、周りの女性と一緒に避難所運営に参画しましょう。そして、性犯罪を抑止するためにも、女性や子ども専用スペースを確保できるように働きかけてください。
女性特有の物資は女性が配布する
「女性・子ども専用スペースを確保する」と同様に、避難所運営が男性主体で行われている場合、生理用品など女性特有の支援物資が男性によって配布される可能性があります。
女性特有の物資が男性の目についてしまうと、それが性被害の要因を生み出してしまう可能性もあるかもしれません。女性特有の支援物資は、女性同士で管理することで、少しでもストレスなく避難所生活が送れることにつながるでしょう。
避難所で発生する性被害に関して紹介しましたが、決して避難所にいる男性避難者やボランティア男性のみなさんを「犯罪者かもしれない」という目で見てほしいわけではありません。
いざというときに対策できるように、災害時にはこういった性被害が一定数発生しているという情報を覚えておいてほしいです。
災害に対する予備知識はこちらからチェック
知っておきたい防災の知恵
《災害発生前》
①ライフラインの停止に備えて準備しておきたいアイテム
②非常用持ち出し袋に用意しておきたいアイテム
《災害発生時》
③怪我をした際の応急処置法
④家族や友人に連絡を取る方法
《災害発生後》
➄避難所で支給される食料・物品について
⑥避難所でのお風呂やトイレについて
⑦避難所生活に役立つアイデア
⑧避難所での女性問題(性被害など)
⑨自身が行う救助活動・ボランティア活動
⑩自宅の後片付けについて