避難所に行けない・行きたくない人がやっておくべき防災対策、教えてもらいました!
災害時に避難したくても、避難所へ避難できないという場合もありますよね。そんなときは「在宅避難」という手もあります。では、在宅避難する場合どうしたらいいのでしょうか?
こんにちは、カーサミアライターのえなです。防災士という防災系の資格保有者である私が、防災に関するQ&Aに回答していきます!
今回は「在宅避難」に関してです。
大きな災害が発生した際、避難所へ避難しなければいけないと考えている方も多いでしょう。しかし、自宅に損傷がなく、とどまっても危険がない場合には、在宅避難という手段もあります。
人が密集する避難所への避難を避けるために、災害時は在宅避難することを検討している方も増えてきているのではないでしょうか。
在宅避難は、メリットもありますがリスクも伴います。今回は、そのリスクを理解し安全に在宅避難するために必要なことを学んでくださいね。
質問:避難所に行かず在宅避難する場合はどうしたら?
私の住んでいる地域は人口密集地域で、令和元年台風のときは避難所が満員になってしまったようです。
ですから、もし次に地震や台風などの災害があっても、避難所に入れない可能性があると思っています。
基本的に避難所に行かず、家で過ごす場合、気を付けておくことはなんでしょうか。
回答:在宅避難するならリスクを理解し、必要なものを事前準備しておこう
質問者の方のような理由や、「人が密集しているところは苦手」など特別な事情により、災害時に避難所へ避難するという選択が取れない場合もありますよね。その際には、「在宅避難」という手段を選択することも可能です。
もし、災害時に在宅避難を選択する場合は、大前提として「家が安全であること」を確認する必要があります。安全のチェック方法は、台風や大雨の際にはハザードマップをチェックすることや、地震の際には自宅に破損等がないかを確認するなどが考えられます。
安全かどうかの見極め方の詳細は、下記の記事をご覧ください。
在宅避難にもリスクがあることを覚えておこう
在宅避難には、次のようなリスクがともなうことも覚えておきましょう。
ライフラインが断絶する可能性がある
大規模な災害の場合、電気・ガス・水道などのライフラインが断絶する可能性があります。災害に向けて何も準備を行っていない場合、ライフラインが断絶している中で生活するのは、さまざまな問題が発生する可能性があるでしょう。
例えば、「電気・ガスが使えないため調理ができず食事がとれない」「水が流せないためトイレが使えない」「断水しているため、お風呂に入れず飲水の確保もできない」などの問題が考えられます。
トイレは、近くの避難所に設置されている仮設トイレを利用するという手段もあります。しかし、トイレの度に避難所に移動するというのは大変ですよね。また、避難所までの道のりが危険な場合も考えられます。
もし、準備ができていない状態で在宅避難を選択する場合、ライフライン断絶により在宅避難の不便さを痛感し、結局は避難所へ避難せざるを得ない事態になる場合もあることを覚えておきましょう。
避難所よりも情報を入手しづらい
避難所では、いつ給水や支援物資の配布が行われるかなどの必要な情報が発信されています。
避難所は情報発信の拠点となることが多いため、在宅避難でスマホなどの情報収集手段が使えない場合、必要な情報を取り逃してしまうリスクがあることを覚えておきましょう。
在宅避難に向けて準備しておくこと
ライフラインが断絶しても生活でき、大切な情報を逃さないためにも、在宅避難を選択することを考えている方は、次のような準備を必ず行いましょう。
食料品・水の準備
在宅避難で最も用意しておきたいものは「食料品・水」です。食料品は1日3食分、水は1日3リットル(飲料水+料理用として)で最低でも3日分用意しておきましょう。災害時は、支援物資が届けられるのが災害後から3日程度と言われているためです。
また、災害の規模によってはそれ以上掛かる可能性もあるため、用意できるようなら1週間分備えておくのがベストです。災害時に向けて、食料品や水を備蓄するなら「備える→使う→使った分だけ買い足す」という「ローリングストック法」がおすすめです。
電気・ガス・水道のライフライン代替の準備
ライフラインが断絶することを想定し、代替できるものを準備しましょう。
【電気が使えない場合】
スマホなど家電製品の充電ができるように、ポータブル充電器やソーラー充電器などを用意しましょう。
電気照明の代わりとなる、懐中電灯やLEDランタンなどの光るものを用意しておく必要もあります。電池式の場合は、乾電池も十分な数を合わせて用意してください。
【ガスが使えない場合】
加熱調理ができるように、カセットコロンを用意しましょう。
もし、カセットコンロが用意できない場合は、空き缶でコンロを手作りする方法もあります。
また、災害時の加熱料理には「汚れ物が出にくい・きれいな水じゃなくても大丈夫・ポリ袋で調理できる」といったメリットがある「包装食」がおすすめです。
「包装食」については、こちらの記事で体験談を紹介しています。
【水道が使えない場合】
災害時にトイレを流したり生活用水として使えるよう、日頃からお風呂の浴槽の水は抜かずに貯めておいてください。また、飲料水として別にペットボトルの水を用意しておく必要もあります。ペットボトルを何本も用意するのが大変という場合は、ウォーターサーバーを設置するという手段もありますね。
また、災害時に給水を受ける際に、水を確保しやすいようにタンクなど水を入れられるものを用意しておきましょう。
水道は、上下水道が同時にダメになる場合だけではなく、片方だけダメになる場合があります。下水道が使えない場合は(もし上水が無事で水が出ていても)トイレの水を流せませんので、簡易トイレが必要になります。
簡易トイレも食料品や水と同様に、最低3日分〜1週間分用意しておきましょう。ちなみに、もし用意していた簡易トイレがなくなってしまった場合には、簡易トイレを手作りする方法もありますよ。
家具の転倒防止など耐震補強の準備
在宅避難は、「自宅に破損等がなく安全である」ということが大前提です。地震が発生した場合、建物自体に破損がなかったとしても、家具や窓ガラスが壊れて散乱し危険なため、生活できないという事態も考えられます。
そのため、在宅避難を選択するなら地震が発生した際でも、自宅の安全が確保できるよう、家具の転倒防止などの耐震補強を事前に行う必要があります。耐震補強を行うことは、自分自身の命を守ることにもつながります。
災害時の情報収集手段の確保
災害時の情報収集手段を確保するために、ラジオを用意しておきましょう。ラジオを選ぶ際には、充電や電池が必要ない手動式がおすすめです。
すぐに正しい災害情報が入手できるよう、スマホに防災アプリを導入しておくことも重要です。その他にも、自治体のHPやSNSなど災害情報が発信される場を把握しておく必要もあります。
また、災害時に情報を共有したりお互いに手助けができるよう、周辺住民とのつながりを作っておくことも大切ですね。
在宅避難を検討しよう!こんなメリットがある
在宅避難には、次のようなメリットもあります。
感染症にかかるリスクが少ない
人が密集して生活する避難所とは違い、感染症(インフルエンザ・新型コロナウイルスなど)にかかるリスクが少ないといったメリットがあります。そのため、体が弱い方・環境の変化に敏感な方・疾患等をお持ちの方は、在宅避難のほうが適しているのではないでしょうか。
災害時でも住み慣れた場所で生活できる
災害時は、とてもストレスを感じやすいです。避難所は、慣れない生活や見知らぬ人との共同生活でストレスをさらに感じやすくなることが考えられます。
しかし在宅避難の場合は、普段から住み慣れた場で生活できるため、ストレスを感じにくいといったメリットがあります。
在宅避難にはリスクもあると紹介しましたが、事前の準備を行うことでそのリスクは回避できます。また、在宅避難は感染症のリスクが少ないことや、普段から住み慣れた場所で災害時でもストレスが少なく過ごせる、といったメリットがあることも知ってもらえたでしょう。
避難所に入れない可能性がある地域にお住まいの方や、人が密集する避難所への避難を避けたい方は、災害時の避難方法の一つに在宅避難という手段も加えてくださいね。
しっかり準備してリスクを減らせば、避難所に行かない「在宅避難」も可能なんですね!
準備は大変そうですが、一人で避難所に行くのも心細いし…がんばって準備するのもアリかな…?