質問:お部屋探しで譲れない条件ってなんですか?
不動産屋さんから見て、お部屋探しで譲れない条件はなんですか?
とても興味深いご質問、ありがとうございます!
一般論では回答できないので、私たちそれぞれの「譲れない条件」を、ランキング形式で発表しますね。
長くなってしまったので、全3回でお届けします。今回は「総合編」です。
お部屋探しのヒントにしてくださいね!
カーサミア編集部は全員が宅建士(おうちに関するプロ)です。
このQ&Aシリーズでは、いままで、お部屋・住まい・不動産に関する一人暮らし女性の疑問に、宅建士として回答していました。
しかし今回のご質問は、個人の価値観が強く反映される部分。
ですので、宅建士としての回答・解説というよりは、不動産会社でいろいろな物件を見て、実際に一人暮らしで何度か引っ越しをしている個人としてお答えします。
「総合編」「立地編」「室内編」の3回シリーズでお届けしますので、お部屋探しの参考にご覧くださいね。
※「家賃」は今回のランキングからは除いています。家賃は「譲れる・譲れない」を自分で決められる条件ではないと考えているからです。同じ家賃ならどの条件を優先させるか…のランキングとしてご覧ください。
回答:宅建士女子3人が考える、お部屋の条件ランキング
パターン1 立地重視で具体的に、室内はフィーリング
まずは私の条件ランキングを発表します。
場所は変えられないので、好きな沿線で、駅までほどよい距離の立地で探します。
1位 | 好きな沿線 |
2位 | 建物や室内の雰囲気が好みで暮らしがイメージできる |
3位 | 駅徒歩10分以内 |
4位 | 駅の間にスーパーとコンビニとドラッグストアがある |
5位 | 築25年前後以内 |
プロフィール
引っ越し回数:学生時代1回、社会人になってから2回。
1位:好きな沿線
この場合の「好きな沿線」は、地元や馴染みがある沿線を指しています。
どの沿線に住むかで暮らし心地は大きく変わってきますよ。
私は首都圏のあちこちで市場調査をしたり、マンションの企画や販売に携わってきたので、「駅」よりも「沿線」でそれぞに特徴があると感じます。
馴染みのない沿線で家を選んでしまうと、生活スタイルや志向の違う人たちが多くて、暮らしにくかったなんてこともあります。
私自身、学生時代のことですが、知らない沿線に住んでとても違和感を覚えた経験もあります。自分の住む物件やその現地周辺、駅まわりだけに焦点を当てず、沿線や利用している人なども含めて広く全体を見渡してみるのも大切だと思います。
2位:建物や室内の雰囲気が好みで暮らしがイメージできる
そして、お部屋はフィーリング。
部屋に入ったときの印象がよく、生活がイメージできることが大切だと思います。
個人的には、玄関が広めなのが好みです。
3位:駅徒歩10分以内
4位:家と駅の間にスーパーとコンビニとドラッグストアがある
駅まで程よい距離で、家と駅の間に最低限の生活利便施設があればOKです。
あまり不特定多数の人が出入りする賑やかな街は、逆に暮らしにくいと思っているので、自宅周辺にはスーパー・コンビニ・ドラッグストアがあれば十分。
お店の質さえよければ、ひとつずつでも問題ないと思っています。
5位:築25年前後以内
耐震性や品質などの建物の安全性から、築年数が古すぎる物件を避けています。
建物が古いと、天災が起こった際も心配しないといけないですし、セキュリティ(防犯)面でも心配しないといけないですし、設備の使用感が良くない・壊れるなど、あらゆる面で心労が溜まります。
私は首都圏の出身で、かつ仕事柄いろいろな場所を知っているので、「この沿線と相性がいい」のような沿線重視で判断する癖がついているかと思います。
「場所は変えられない」って、不動産屋さんっぽい意見ですよね。
いくら通勤や外出に便利な場所でも、エリアが自分の生活とかけ離れている方ばかりだと確かに生活しづらそうです!
パターン2 自分のライフスタイルから「絶対に嫌・困るもの」を先に決める
では、次に私の条件ランキングです。
理想を見ていくとキリがなくなってしまうので、「どんな条件が絶対に嫌か」でマストの条件を決めてから、「よりよい」条件を探すようにしています。
1位 | 通勤50分以内で乗り換え1回以内 |
2位 | 風呂トイレ別 |
3位 | 室内に洗濯機が置ける |
4位 | 明るい南向き |
5位 | 実家まで日帰りできる距離(電車1~2時間程度) |
プロフィール
引っ越し回数:社会人で2回
1位:通勤50分以内で乗り換え1回以内
私は、まず、自分の生活と照らし合わせて「どのエリアに住むか」を決めます。
社会人一人暮らしの一番はやはり「通勤」。
毎日のことなので、駅徒歩距離よりも通勤時間をベースに家賃と相談してエリアやどの駅を利用するかを決めています。
2位:風呂トイレ別
3位:室内に洗濯機が置ける
あとはお休みやお仕事の後の過ごし方を考えたときに、私は外に遊びに出るより家で過ごしたり、友人とも家で遊ぶことの方が多いので、お部屋の中の条件を優先したい気持ちが大きいです。
お風呂でのんびりしたいから風呂トイレ別がいい、洗濯中に外出したいから外置き洗濯機は避けたい、というのは、私にとってマストの条件です。ここを決めてから、「よりよい」条件を探していくようにしています。
4位:明るい南向き
明るくないと本当に元気が出ないので、晴れの日でも暗い部屋はNGです。
南向きなのはマストで、窓が大きくて部屋の中まで光が入ってきてほしいです。
以前に住んでいたお部屋が、南側の窓がちょうどアパート2軒の間にあり、日当たりもよく人目もそんなに気にならず、カーテンを開けて生活ができたのがすごく気に入ってました。
5位:実家まで日帰りできる距離(電車1~2時間程度)
気軽に帰れる距離がいいですね!
ランキングには入りきらなかったのですが、作り置きするのにキッチンにある程度スペースが欲しい気持ちもあります…!
お風呂・洗濯機重視なんですね。
私はキッチン優先なので、新鮮です…!
お部屋の中の重視ポイントが上位に来ていますね。私とは全然違って面白いです。
パターン3 まず立地と築年数で絞って、あとは自分のライフスタイルに合わせて
最後は私の条件ランキングです。
私は地方出身で、上京後に転々と引っ越し&転職をした時期があります。その経験が、ランキングにも影響していると思います。
1位 | 駅徒歩5分以内 |
2位 | ターミナル駅まで30分程度 |
3位 | 建物の断熱性能(築30年以内くらい) |
4位 | 駅前にスーパー・ドラッグストアが複数 |
5位 | キッチンが広い |
プロフィール
引っ越し回数:学生時代に2回、社会人になってから4回
1位:駅徒歩5分以内
2位:ターミナル駅まで30分程度
私は絶対に駅に近いほうがいいです。できれば5分以内、最大限妥協して7分です。
ふだんは自転車も使いますが、自転車に乗れないときのことを考えると、駅まで遠くて自転車必須の場所は避けたいですね。
自転車に乗れないタイミングって結構多いと思うのです。雨の日・雪の日・荷物が多いとき・怪我をしたとき、などなど…。私は実家が地方なので、帰省や友人の結婚式など、キャリーケースをごろごろさせて移動する機会が多いのですが、キャリーケースがあると自転車には乗れませんし。
逆に駅についてしまえば、電車に乗っての通勤時間は少々長くても気にしません。
ターミナル駅まで30分くらいだと、都内のだいたいの場所に1時間ちょっとで通勤できますし。
3位:建物の断熱性能(築30年以内くらい)
古いと耐震性の心配もあるのですが、それだけではなくて。
実体験として、断熱性能は物件によって大きく違っていると感じているからです。
断熱性能については、その物件の構造・窓の造り・断熱材の質などによるので築年数だけでは判断できません。でも傾向として、新しければある程度の断熱性能が期待できるので、お部屋探しの最初の段階では築年数で絞っています。
もちろん、選べる範囲で新しいほうがいいです(10年以内だと最高ですね!)。でも30年以内なら許容範囲だと思います。
築60年ぐらいのとても古い物件に住んだとき、冬の窓際・壁際が寒くて実質の使える場所が狭い…という経験をしました。広めのお部屋だったので壁際にドレッサー兼PCスペースを作っていたのですが、寒くて寒くて、全部コタツの上に持ってきちゃって、コタツの周りでしか生活できませんでした。
逆に断熱性能のしっかりした物件だと、部屋を隅々まで使えます。なのでお部屋の広さ(面積の数字)が多少狭くても、実際には広く感じられると思います。
4位:駅前にスーパー・ドラッグストアが複数
5位:キッチンが広い
ここからは私自身のライフスタイルを分析して、今の私にとって必要だと思っているものです。ライフスタイルが変われば変わるかも。
基本的には週末にまとめ買いして作り置きする派なので、買物施設は駅前にまとまっていると嬉しいですね。できればお店の使い分けもしたいので、複数あってほしいです。
そして作り置きをするので、キッチンはたくさんのものを広げられる作業スペースがほしい。もちろん収納も充実していてほしいですね!
電車のアクセスについて、職場へのアクセスではなく「ターミナル駅」で考えるのは、上京後に転職を重ねた時期の影響ですね。
次いつ転職しても大丈夫!みたいな。
それぞれの項目に対して細かいこだわりも多めですね…!物件を見つけるのが少し大変そう?
私は実家も関東圏ですぐに帰れるので、実家が遠方だからこその視点は新しくて参考になります…!
お部屋探しの条件で「沿線」を重視する理由
私が「沿線」を一番重視する理由をお伝えしますね。
私は学生時代、通学がちょっと遠かったので、大学のすぐ近くの木造アパートに引っ越しました。
1フロア2世帯の4世帯という超小さな物件でした。大学から近いし、天井も高くてロフト付きで、好きな部屋だったのですが、その沿線と街自体をほとんど知らなかったため、暮らしとしては違和感ありありでした。
街の雰囲気や住んでいる人・生活スタイルが地元と大きく異なっていたのです。
具体的には、
・学生ばかりが住んでいて、夜遅くまでうるさい
・とても自転車が多くて、歩いていて危険
・ゴミが落ちているからカラスが多い
などです。ほかにもいくつもありました。
卒業までの限定入居だったので、どうにか耐えられましたが、あの場所で継続して住むことはできなかったな、と今も思います。
逆に、室内はどうにでもなりました。
ミニキッチンだったので、コンロは1つだったし、冷蔵庫はシンクの下に備え付けで飲み物しか入らない小さいものしかないような間取りでしたが、工夫して快適な生活空間を作れました!
好みの沿線、大切ですよ…!
宅建士女子の条件ランキング【総合編】は、どちらかといえば「立地」に関することが上位に挙がりました。「場所は変えられない」という発言もありましたが、不動産業界で働いていると、先輩や上司から同様の言葉を聞くことが多いです。
しかし、「立地」といってしまえば一言ですが、
- 沿線
- 職場への電車アクセス
- 実家への電車アクセス
- ターミナル駅への電車アクセス
- 周辺のお店の状況
- 現地まわりの環境
- ハザードマップの状況
など、いろいろな側面があります。
どこを重視するかは、人それぞれでいいと思います。編集部内の宅建士女子も、それぞれが自分の価値観を持っています。
また、お部屋の中のことについても、重視する部分は
- フィーリング
- お風呂&トイレ
- 洗面所(洗濯機置場)
- キッチン
- 玄関
- 明るさ・日当たり
- 断熱性能
など、人それぞれのポイントがあります。工夫でどうにかなることも多いですし、理想を追いかけるとキリがない部分。でもせっかく引っ越すのですから、自分のこだわりも大切にしたいところです。
「これが正解」というものはないので、みなさんも自分のライフスタイルや価値観に合わせて、ぴったりのお部屋を選んでくださいね。
次回は、立地について掘り下げた【立地編】です。