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家賃が安い定期借家物件、やめたほうがいい?宅建士が実体験を解説

おうち
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質問:家賃の安い「定期借家契約」の物件、やめたほうがいいですか?

地域の相場よりも家賃の安い『定期借家契約』のお部屋を見つけました。自分なりに調べてみたところデメリットもあるとか…。
家賃が安いのは魅力ですが、やめたほうがいいのでしょうか?

編集部・イイダ
編集部・イイダ

安いのは嬉しいですが、何か裏があるのでは?と思ってしまいますよね。
実は編集部員にも、定期借家物件に住んだ経験者がいますので、体験談を含めて回答してもらいますね。

編集部・イイダ
編集部・イイダ

このコーナーでは、カーサミア編集部が、みなさんの疑問・質問に答えていきます~。

ご質問は随時募集中。こちらから送ってくださいね。

実は、カーサミア編集部は全員が宅建士(おうちに関するプロ)です。

お部屋・住まい・不動産に関する一人暮らし女性の疑問に、宅建士としての立場から回答します。

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回答:家賃「だけ」を魅力に思うなら、やめたほうがいいでしょう

・家賃「だけ」を魅力に思うなら、やめたほうがいい。
契約内容や物件の特徴をしっかりと理解して、判断できるならアリかも!

編集部・アサノ
編集部・アサノ

今回は、私が回答します。

私は、過去に定期借家物件に住んで後悔した経験があります。

この記事では、定期借家物件を検討中の方の参考になるよう、恥を忍んで私の失敗体験談もお伝えするので、最後までぜひご覧くださいね。

そもそも「定期借家契約」とは…

定期借家契約とは、契約期間満了と同時に契約が終了し、更新されない契約のことをいいます。

一般的な「普通借家契約」と今回ご質問のあった「定期借家契約」の大きな違いは、更新を前提にしているか、そうでないかということ。「定期借家契約」の場合は、あらかじめ定められた期間で契約が終了するため、その後は原則として借主は建物を出ていかなければいけません。

契約時に定められた期間以上に住むことができず、基本的には退去が必須のため、安い賃料で募集していることがよくあります。

期間満了後、再契約はできる?

もし当初の契約期間以降も継続して住みたい場合は、貸主と再契約する必要があります。

再契約の場合、改めて敷金・礼金・仲介手数料等を払う必要がある場合もあります。

再契約ができるかどうか、また再契約時にどのようなお金が必要かは、個別の契約によって異なりますので、しっかり確認しておきましょう。

どうして「定期借家」になっているの?

定期借家になっている理由でよくあるものは、以下のふたつです。

  • オーナーの転勤や地方移住などにより、住んでいた自宅物件を一定期間だけ賃貸に出したい場合
  • 取り壊しが決まっている建物を、一定期間だけ賃貸に出したい場合

ほかにも様々な理由がありますので、個別に確認してみましょう。

定期借家のメリット

定期借家の物件のメリットは、以下の通りです。

  • 家賃が安い
  • 期間内の更新手続きが不要
  • (オーナーの自宅物件の場合)仕様設備や周辺環境がよい可能性もある

家賃が安い

家賃が安いのは嬉しいですよね。

特に期間の短いものであれば、安く設定されていることが多いです。

期間内の更新手続きが不要

また、普通の賃貸契約では2年更新ですが、たとえば「5年間」の定期借家契約であれば、期間内の5年間は手続きが不要です。更新料もいりません。

編集部・アサノ
編集部・アサノ

所感では、住宅の定期借家は2年~5年が多いかと思います。

仕様設備や周辺環境がよい可能性もある

あくまで可能性の話ですが、オーナーが転勤等で一時的に賃貸にしている物件の場合は、「また戻ってきて住みたい」と思っているわけですから、仕様設備や周辺環境などの条件がよい可能性も高いです。

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定期借家のデメリット

定期借家の物件のデメリットは、以下の2点です。

  • 期間満了後は更新できず、基本的には退去が必須
  • 中途解約は基本的にできない

期間満了後は更新できず、基本的には退去が必須

その住まいを気に入っても、契約を更新することができません。期間満了後には退去することが必要です。つまり、次の物件のための初期費用(敷金・礼金・仲介手数料)や引越し費用を準備しておく必要があります。

また、その物件で再契約できる場合もありますが、再契約であっても改めて敷金・礼金等を払う必要がある可能性もあります。

中途解約は基本的にできない

契約期間満了を待たずに中途解約することは、基本的にはできません。

ただし、契約時に、中途解約に関する特約がついている場合もあります。特約がある場合は、内容をしっかりと確認しておきましょう。

また、特約がなく、どうしても中途解約したい場合は、オーナー(大家さん)に相談しましょう。やむを得ない事情があれば認められるでしょう。場合によっては、金銭的な支払い(残期間の家賃や違約金等)が必要になるかもしれません。

定期借家の物件で後悔した体験談

編集部・アサノ
編集部・アサノ

続いては、筆者自身が定期借家物件に住んだときの体験談です。

私は上京してすぐのとき、2年後に取り壊しが決まっている古い団地に入居しました。更新のできない「2年間の定期借家契約」です。

敷地が広くて陽当たりも良く、お部屋も広く、なにより相場と比べて家賃がとても安いことが魅力でした。古いゆえの不便さはありましたが、家賃が安いぶんインテリアにお金をかけることもでき、使いやすいように工夫して、昭和レトロなお部屋に満足していました。

しかし、取り壊し時期が近付いているため、上下左右のお部屋からどんどん入居者が減っていきました。期間満了や中途解約で退去者が出ても、次の入居者が全然入ってこないのです。そもそも積極的に募集をしていなかった様子です。

私は当時、宅建士の資格を取って働き始めたばかり。まだ若くて経験も少ない頃で、「定期借家の物件は途中解約できない」という知識こそありましたが、取り壊し時期の近付いた物件がどうなるのかを理解していませんでした。

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入居者がどんどん減っていくとどうなるのか。

団地そのものが「人通りのない、寂しい場所」になってしまいました。外が暗くなってから帰宅するとき、不安に感じるように…。最初は魅力的だと思った広々した敷地も、この段階ではもはやマイナス要素です。

また、入居者が少なくなってくるのと反対に、宗教の勧誘の人や、訪問販売の人が増えました。断るのも疲れて、一度だけうっかり話を聞いてしまったことで、何かのリストに載ってしまったのかもしれません。周囲に人がいない状態で執拗に勧誘されることを、怖く感じるようになりました。

家賃が安いことは魅力ですが、安全には変えられない…と思い、引越しを決意します。幸い、中途解約に関する特約があったため、所定の原状回復費の支払いのみで翌月に退去することができました。

(余談ですが、原状回復費の支払いのとき、きっと取り壊しまで次の入居者は入らないのに、原状回復費を払わなきゃいけないのか…という気持ちになりました。)

こうして無事に引っ越すことができましたが、広いお部屋に合わせて買っていた家具(押し入れサイズの収納ケースなど)が次のお部屋のクローゼットには合わず、短期間で買い替えることになってしまったことは予想外の出費でした。

昭和レトロな最初の部屋で、畳の床に敷いていたフローリング風シートも、次のお部屋では不要なので処分しました。

定期借家物件の家賃が安かったとはいえ、結果的に住んでいたのは短期間でしたから、引越し費用や家具の買い替え費用とあわせてトータルで考えれば、最初から普通の物件に住んでいたのと変わらない出費だったと思います。(かろうじて少し安かった…と思いたいところです…。)

なにより、最初から普通の物件に住んでいれば、人通りがなくなって怖い思いをすることもなかったでしょう……。

編集部・アサノ
編集部・アサノ

定期借家物件を選ぶのであれば、私の失敗を繰り返さないよう、気をつけて選んでくださいね…!

「定期借家契約」がおすすめの人、やめたほうがいい人

このように、定期借家契約の物件には、通常の(普通借家契約の)物件にはない特徴がいくつかあります。

これらの特徴を踏まえて、どんな人におすすめなのか、またどんな人にはおすすめできないのか、まとめました。

「定期借家契約」の物件がおすすめの人

  • 自分も期間限定で住みたい人
  • 契約内容や物件の特徴をしっかりと理解して、判断できる人

たとえば、自分も期間限定の転勤である場合や、上京or地方移住を〇年間だけ挑戦したい場合、などが想定されます。

契約内容や物件の特徴をしっかりと理解することも必要です。私が住んだ定期借家物件のように取り壊しの決まっている場合と、オーナーが数年後に戻ってきて住む予定の場合では、まったくの別物でしょう。

不明点は積極的に不動産会社に質問して、自分でも調べて、しっかり理解した上で判断できるのであれば、定期借家契約の物件のメリットを活用できると思いますよ。

「定期借家契約」の物件をやめたほうがいい人

  • 家賃が安いこと「だけ」が理由の人
  • フレキシブルに住みたい人

目先の家賃が安くても、契約期間満了後には大きな出費が控えています(次の物件の初期費用や引っ越し費用、再契約の場合でも敷金・礼金など)。ですから、家賃が安いこと「だけ」に魅力を感じているのであれば、やめておいた方がいいと思います。

さらに、原則として中途解約や契約更新ができないため、「気に入らなかったら気軽に引っ越す」「気に入ったら長く住み続ける」というフレキシブルな住み方とは相性が悪いでしょう。

※記事の内容は執筆時点のものになります

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